「卓球…に限らず、たいていのスポーツはつまるところ、下半身やで」

という意見を聞いたことがある。いろいろなスポーツを経験したことがないので本当かどうか分からないが、なんとなく説得力のある意見である。ある程度までなら下半身をほとんど使わなくても卓球は強くなれるが、ある程度以上になると、上半身だけではダメで、下半身が使えるかどうかに上達が大きく左右される。私の実力はちょうどその境目のあたりだろうか。

前記事「カット打ちのコツ」で力の入る範囲についての発見があったと述べた。簡単に言うと、卓球では土星の輪のように、自身の体幹を中心に力の入る層が分布しているのだが、それが実際には思っていた以上に狭かったという発見である。

ラケットの届く範囲がすべて打てる範囲かというと、そんなことはない。体幹に近いミドルは言うまでもなく、腕を限界まで伸ばして、ラケットがギリギリボールに届くような距離では当てるだけしかできず、力が入らない。

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こういう限界まで腕を伸ばして打つ人もいるので、一概には言えないが

では80%ぐらい腕を伸ばしてやっとボールに届くような距離ならどうか。フォアハンドなら力が入るかもしれないが、バックハンドではどうだろうか。ペンの裏面なら、その距離ではあまり力が入らないのではないだろうか。私は80%腕を伸ばした状態で、裏面バックハンドが打てないことはないが、安定しない。しかし、手が届いて打ててしまうので、以前はあまり気にしていなかった。

まず、フォアハンドで腕を80%ほど伸ばしてカット打ちをしてみると、力が入ることは入るが、大振りになってしまい、スイングのキレがなくなる気がする。うまくタイミングが合えばパワーは十分だが、スイングの描く円が大きいので、スイングスピードが最速に達するまでに時間がかかってしまう。その結果、振り遅れてしまうことも少なくない。伸縮率70%ぐらい(脇を軽く空ける程度)が私にとってパワーとキレのバランスが一番いいように思う。腕の伸びにやや余裕をもって振ると、スイングの描く円が小さくなるので、スイングスピードがマックスに達する時間が短くなり、キレがある。裏面ドライブなどは、50%ぐらいの伸縮率が一番バランスがいい。

台から50センチほど離れた、私のニュートラルポジションでのベストの腕の伸縮率は、フォア70%、バック50%と試算している。それが台から20センチほどの台近の場合は、フォア60%、バック40%の伸縮率がベストかもしれない。そして台から1メートル以上離れた場合は、フォア80%、バック60%がベストかもしれない。台から近ければ近いほど、ボールの到達が早くなるわけだから、すぐにマックススピードに達する小さいスイングがいいはずだ。私の仮説は、台からの距離に応じて腕の伸縮率を変えるのが打球の威力とキレのバランスを最高に保つコツなのではないかということである。もしかしたら今まで私は台の近くでも、台から離れた時も同じように腕を限界近くまで伸ばして打っていたことが多かったかもしれない。今まで台からの距離に応じて伸縮率を変えようという発想がなかったので、以前はどう打っていたのか思い出せない。おそらく台の近くで振り遅れたり、オーバーミスをしていたのは、腕を伸ばしすぎていたことが原因なのではないかと疑っている。

そして、私にとってのベストの腕の伸縮率――「腕のスイートエリア」は、以前思っていたよりも、もっと短いのだと思う。以前は腕のスイートエリアを外れたボールも、文字通り「手を伸ばし」て打球していたため、ミスが多かったのだろう。これまでよりも10%ほど伸縮率を下げて打つのがよさそうだ。

となると、腕を少し縮めて力のこもったスイングができるようになる代わりに、今まで届いていたボールに届かないということになってくる。今までの私が「届く」と思っていた距離よりも、もう10センチほど近づかなければならないとなると、失われた10センチをフットワークで補わなければならないということになる。

冒頭の「つまるところ下半身」という話題である。

サービス後の素早いフットワーク(前記事「ザリガニのように」)から始まって、その後のラリーも足で細かく動かし続けるということが私の卓球を上級者の卓球に近づけてくれるに違いない。

フットワークをどのように私の卓球に組み入れるか。それにはもう少し実践――練習を重ねた上で報告したい。

【付記】
なお、前記事「ボールを転がす方向」で取り上げたカラカセビッチ選手は、サービスの後、その場でじっと待っており、ほとんど動かない。