「そろそろラバーを替えようと思うんですよ。」
「どのぐらい使ってるんですか?」
「そろそろ1年です。」
「それはがんばりすぎじゃないですか?」
「でも、週に1回しか練習しないので…もちろん新品とは明らかに違うんですけど、使おうと思ったらまだまだ使えるというか…」

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知人はあまり用具にこだわりのない人だが、上手なので、ラバーが劣化しても、ひっかかりがなければないなりにボールが打ててしまう人である。

ラバーの寿命は3か月ぐらいなどと言っている用具メーカーが多いが、WRMの動画で、ラバーの寿命というのは人によって違うので、客観的な寿命というのは設定しにくいという旨のことを言っていた。自分では精度や球威が落ちている自覚はないが、「まだまだ引っ掛かりあるやん、イケる!」と言われれば、なんとなくイケるような気もする。しかし、客観的には自分のプレーを相当損なってしまっているということがあると思われる。

上級者はともかく、中級者以下は、自分の中に「正しい感覚」――広い意味での「感覚」で、打球感覚のみを指しているわけではない――がまだできていないので、自分の感覚を信じてプレーするのは危険だ。

たとえばバックハンドドライブが安定しない。チャンスボールを打つとき、3本に1本しか入らない。しかし、1本は入る。そのとき、「入った時のあの感覚を再現できれば、安定するはずだ」と、つい思ってしまうのだが、本当にそうなのか。そもそもふつうなら入るはずのない打ち方をしているから、3本中、2本はミスしてしまうわけで、偶然入った1本をいくら追い求めてもミスは減らないのではないだろうか。そうではなく、根本的に打ち方なり打球ポイントなりを変えるのが安定への近道なのではないだろうか。

また、私は振り遅れることがよくある。というか、「今のは振り遅れていた」と人に指摘されることが何度もあったのだ。自分では振り遅れている自覚はないので、「今のミスは角度が悪かった」とか「スイングスピードが…」とかそんなことを考えていたのだが、プレー中、相手のラケットに合わせてバックスイングを引くようにした(前記事「踵を接して」)ら、軽い力で驚くほどスピードのあるボールが打てた。実に爽快だった。そのとき私はすべてを理解した。

「これが振り遅れているということか」

と。私はそのとき、自分の感覚というものは本当に当てにならないと思ったものだ。

振り遅れというのは、本当に微妙なもので、多少振り遅れていてもボールが入ってしまうことが多いから厄介だ。自分が悪い打ち方をしていると気づきにくい。

というようなことをxia氏の「良い悪いを感じる能力について」という記事を読んで考えた。