もやしの価格に関するこんなニュースがあった。
せめて1袋40円で売ってほしい
 
もやしといえば、安くておいしく、栄養もあり、 貧乏学生の強い味方というイメージがあったが、最近、40~50円がふつうになりつつあるようだ。それでも安い野菜には変わりないけれど。
moyashi
焼肉のタレといっしょに炒めるだけでおいしいもやし

記事を読むと、もやしの価格が安いと、そのスーパーが安いというイメージができるとされていて、仕入れ値以下の価格――1袋20円以下とか?で客寄せのために売るスーパーも少なくないのだという。それで

「もやしは安い」

というイメージがなかなか抜けない。もやし農家にとっては頭の痛い問題だろう。高価な生産設備を導入したのに、種の値段が上がり、年々利益が減っていく。転業しようにもうまくいくかどうか分からないし、子供も来年は大学で教育費がかかるし…。

これは対岸の火事ではないと感じた。
卓球用具も最近はネット通販で3割、4割引きは当たり前という風潮だからだ。私は卓球ショップの経営のことなど何も知らないので、間違っているかもしれないが、おそらく実売4000円のラバーを1枚売って、400円とか500円程度の利益しか出ないのではないだろうか。そうすると、1日10枚のラバーを売ったとしても、1日4000~5000円のもうけしか出ない。コンビニでアルバイトをしたほうがずっと稼げる(あくまでも根拠のない勝手な思い込みなので、実際はもっと儲かっているかもしれないが)。

ぐっちぃ氏のブログ「卓球の仕事は大きく3パターン」「卓球の仕事がしたい」で卓球メーカーに就職するのは狭き門であると説明されていたが、卓球ショップのほうも非常に厳しいらしい。

卓球ショップ単体で新規でやって生き残れる確率は・・・
本当にやばいものになってます

ネットの店舗と比べて、実店舗は商品が手にとって触れるとか、知識の豊富な店員さんに購入のアドバイスをしてもらえるとか、そのようなメリットがあることはあるが、そのようなメリットよりも、100円でも安い方がいいと答える卓球人も少なくないのではないだろうか。最近は実売1万円を超えるラケットも普通になってきたし、ラバーも実売4000円ぐらいする。ちょっと離れた実店舗に買いに行くなら、往復の交通費まで上乗せされるのである。用具の安さは魅力である。

もやし生産農家は「もやしは安い」というイメージを払拭するために「スーパーのみなさん、安く売りすぎないでください」と呼びかけたわけだが、同じように卓球メーカーも「ネットショップのみなさん、安く売りすぎないでください」と呼びかけたところであまり効果がないように思う。ネットショップは何も悪いことをしているわけではない。消費者の期待に答えているだけなのだから。

そもそも実店舗がなくなったら、不都合なのだろうか?

もちろん実店舗が必要だという人も存在するだろう。たとえば初心者である。マークVとかライズ、はたまたヴェガとかファクティブで卓球を始めたばかりの人が、「今度はもう少しスピードが出るラバーに換えてみたい」とか「7枚合板や特殊素材入りのラケットを使ってみたい」とか、そういうときに近くに実店舗があって自分に合った用具は何かという相談に乗ってくれるなら、多少高くても実店舗で買いたいという人はいるはずである。

しかし、私の場合で言えば…あまり不都合はない。ただし、用具を売ることに特化した実店舗の話である。ぐっちぃ氏の記事にもあったように卓球教室や卓球場に併設されている店なら話は別である。そういう卓球場なり教室なりでなじみの店員さんや指導者がいて、お世話になっているとしたら、多少高くてもそういう実店舗で用具を購入したいと思う。たとえばよく利用する卓球場で練習をしているとき、店員さんがそれを見て

「フォア側に動いてボールを打つとき、打点がちょっと遅れているみたいですよ。」

などと軽いアドバイスをしてもらったり、大会の情報などを教えてもらったり、そんなふうに卓球場利用以外にもちょくちょくお世話になっているのなら、そのような無償のサービスに対して多少なりとも報いてあげたいという気になるものである。そういう卓球場で用具が購入できるなら、購入したいと思う。

そして練習後にちょっとした飲食ができるコーナーがあって、そこで飲み物などを注文してまったりできるというのなら、なおいいと思う。というか、練習後でなくとも、フラッと訪れて、そこでコーヒーなんかを飲みながら、店員さんと卓球談義なんかができたらいいなと思う(前記事「シュタムティッシュ」)。

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「いらっしゃい」
「今日は練習するつもりはないんだけど、近くまで来たもんだから。ホットコーヒーいただけますか。」
「はい、少々おまちください。ホットコーヒー1つ入りましたぁ~!」
「ところで、ラザンターというラバーが話題になっていますよね。ラザントが「速い」という意味だから、ラザンターは「もっと速い」なんですかね?」
「さぁドイツ語はさっぱりなもので。でも、いい評判をよく聞きますね。」
「ここでも買えるんですか?」
「在庫はありませんけど、注文すれば買えますよ。でも、ネットショップより高いですよ。」
「いいですよ。ここで買えば、貼り付けサービスもありますし。R42っていうのがよさそうなんですけど。赤で特厚お願いします。」
「じゃあ、注文しときますね。ラザンターR42ウルトラマックス赤1枚入りました~!」
「ところでマスター、Kっていうカットマン知ってる?いつも頭にバンダナを巻いてるやつ。」
「あぁ、Kさんね。Kさんは本職はペンらしいですよ。ときどき遊びでカットも引くみたいですけど。」
「遊びって…。そういうレベルじゃなかったよ。俺、あいつのカットが全く打てずに3コロで負けたんだよ。それでカット打ちの練習しなきゃなって思って。誰かいい人いない?」
「そうですねぇ。何人か心あたりがあるので、今度あたってみますね。練習相手を承諾してくれたら、連絡します。」
「なんだか、お腹も空いてきたよ。新メニューのたまごサンドいただけますか?」
「はい、コロナのたまごサンド1つ入りました~!」

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こんな感じで卓球ショップにカフェが併設されているだけでなく、地域のコミュニティーセンターとしての役割も果たしてくれたらありがたい。地域の卓球情報や練習相手の斡旋などをしてくれるというわけである。
そういえば、日本にも最近スポーツバーというのがあるらしい。

スポーツバー

私もロス・アンジェルスで一度だけ入ったことがあるが、アメリカでは店でハンバーガーとかを食べながら、大画面のテレビでスポーツを観戦するという文化が根づいている。卓球場にもあんなふうに大画面のテレビを置いて、世界卓球や、オリンピックのときは深夜営業をして、卓球ファンがいっしょにテレビで観戦しながら盛り上がるというのは楽しそうだ。

しかし、卓球愛好家だけの閉じられた空間というのはよくないかもしれない。もっと非卓球人にもオープンな空間であるべきではないだろうか。

20世紀には想像もできなかったが、最近、いたるところにフィットネスクラブのような施設ができている。コナミのスポーツクラブやカーブスのような施設に通う人は多い。それだけ需要があるということなのだろう。

curvestop

上の写真のような簡単な運動器具なら卓球場に置くことも十分可能なのではないだろうか。筋トレをしたい卓球人もいるだろうし、フィットネスクラブも兼ねてみるというのはどうだろうか。そこでポイントになるのは、スポーツ医学などの知識を持った専門家だろう。こういう人が常駐していて、筋トレのアドバイスなどをしてくれるなら、卓球人のみならず、一般人も利用しやすいかもしれない。そして隣で卓球の練習をしているのを見たら、「ちょっと私も習ってみようかしら?」などと卓球に興味を持つ人も出てくるに違いない。

それから、卓球人の多くは不要になったラケットの5本や10本は持っているものである。都会では居住空間が限られているので、ふだん使うラケット2~3本以外は処分したいと思っている人が多いと思われる。しかし、ジャスポに買い取ってもらっても、定価の2%が買取価格とあるので、定価1万円(実売7000円ほど)のラケットが200円(のポイント)にしかならないことになる。それなら知人にあげたほうがマシだと思う人もいるのではないだろうか。ヤフオクで売るという手もあるが、手続きが面倒だし、面識のない人と取引をするのは怖いという人もいるだろう。そこで実店舗で中古ラケットを扱うというのは、リスクもあるけれど、うまみのあるビジネスになると思う。中古のラケットなどは、やはり手にとって確認できたほうが消費者としてはありがたい。

最近、働くお母さんが増えている。しかし保育所のような施設の整備が不十分で待機児童が溢れているという。子供を預ける施設が足りないというのは女性の社会進出にとって深刻な問題である。韓国ではそういうお母さんのために子供の習い事のビルがあるらしく、そこには学習塾やピアノ教室、体操教室、水泳教室などが集まっていて、年会費を払えばどのフロアの教室も自由に利用できると聞く。幼稚園や小学校からスクールバスが出ていて、子供は放課後、そのビルで夜まで預かってもらえるらしいのだ。卓球場も学習塾と提携して、子供を預かるという方面に進出してはどうだろうか。ただし、学習塾と卓球教室だけである。余計な才能を伸ばしてはいけない。勉強に疲れたら、卓球一択!これでお母さんは子供の学力の心配もなくなり、日本の卓球のレベルも底上げされるに違いない。

以上、実店舗の卓球ショップがネットショップに負けない方法について考えてみたわけだが、単に用具を販売するだけでなく、

A:卓球場・卓球教室
B:カフェ・スポーツバー
C:コミュニティーセンター
D:フィットネスクラブ
E:中古用具販売
G:保育所・学童保育所

のような機能を備えれば、ネットショップに対抗できるのではないだろうか。これが私が考える未来の卓球ショップである。