公園の砂場にて
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小学校の女の子がお父さんといっしょに砂場にやってきた。
「さぁ、何を作ろう?」
とりあえず砂を盛り上げて、山を作り始める。
「もう3年生なのに、砂場で山なんか作って楽しい?」
近くのお父さんがうんざりしたような口調で言う。どうやらいやいや公園に付き合わされているらしい。
「う~ん…つまんないけど、楽しい。」

そんなやり取りを傍で聞いて、「ちょっと深いなぁ」と思ってしまった。

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絶好球を最適な打点とスイングスピードでフォアドライブしたときの感覚というのはいわく言い難い。人によって異なる感覚であろうが、私が表現するとしたら、ラバーでボールを捉えるじっとりとした感覚を伴った爽快な振り抜きとでも表現するかもしれない。

そしてまれにボールがラバーに食い込み、それをラバーが反発で押し返している感覚を感じることもある。私はそれがラバーどまりなのだが、感覚の鋭い人は、打球時に、まずラケットの反発を感じ、それからラバーの反発を感じるという。その0.1秒?ほどの微妙な感覚を感じ分けられるのだと聞いて、驚いた。しかし、こういう微妙な感覚を感じられない私のような鈍感な人間のほうが少数派なのかもしれない。

こういう観点で打球感を楽しむ卓球というのを飽きるほどやってみたい。

最も取り組みやすいのがフォア打ちである。
同じ強さで同じリズムでミスなく打ち続ける。ふつうならこんな練習を30分も続けたら飽きてしまうだろうが、神経を研ぎすませてラケットの反発とラバーの反発の感覚に耳を澄ませてみる。そうすると、自分がスイングしている感覚がなくなって、打球感を感じやすくなってくる。そういう状態に入ってから、微妙に打球の強さを変えてみたり、当てとこすりの割合を変えてみたりすると、用具の反発が感じられるかもしれない。あるいは身体の向きや姿勢の高さ、打球ポイントを微妙に変えてみると、自分にとってもっとも気持ちいい打ち方が発見できるかもしれない。こうやって心静かに三昧境に入れば、単なるフォア打ちも豊かな練習になるだろう(前記事「感覚を味わう」)。

食べ物も、さまざまな調味料を駆使して絶妙の味わいを実現する料理もあれば、ほとんど味付けをしないで素材本来の味わいを活かす料理もある。練習も同じではないだろうか。

次にどんなボールがどこにくるか分からない、ランダム要素満載の練習もいいが、こういう心静かに打球感を味わう練習も楽しいと思う。ひたすら同じことを繰り返す「つまんないけど、楽しい」という感覚は練習時間がなかなかとれない私のような社会人に欠けている練習だと思う。