相手のループドライブをカウンターでドライブしようとして、ついオーバーミスをしてしまうことがよくある。
そんなとき、「もっとラケット面をかぶせなきゃ」などと思うが、直観的にその判断は間違っていると思いなおす。相手のループドライブが手元でグンと伸びてくるのにうまくタイミングが合わせられずにオーバーミスしてしまうというのは、角度の問題ではなく、やはりタイミングが合っていない――振り遅れているのだろうと思う。
ふだんの練習で自分は守りに徹し、私のやりたいように打たせてくれる親切な人――仮にEさんとしておく――がいるのだが、Eさんは私のようなピンポンに毛が生えたような卓球ではなく、高校生や大学生の練習相手も務まるような本格的な卓球である。社会人になってしばらく卓球からは遠ざかっていたが、おそらく学生時代はバリバリやっていたような人だ。その人と週に1回、打つチャンスがあるのだが、Eさんは本気を出さず、私のやりたいようにやらせて、ときどき中陣から強烈な1本を放ってくるというような卓球をする。いわば、相手を自由に泳がせておくような卓球である。私が同じようなことをしたら、たとえ格下でも、ほとんどラリーにならず、簡単に打ち抜かれてしまうが、Eさんは守備力が高く、そうそう打ち抜けない。
そんなEさんが先日の練習ではかなり本気で――積極的に攻撃する卓球をしてきた。
やはりオジサン卓球とは違う。サービスは、腕を大きく動かさず、スナップを利かせてチョチョンと軽く素早くスイングするが、かなり切れている。小さいスイングなので、サービス後の戻りがとんでもなく早い。私はそのサービスをなんとかレシーブするが、Eさんはそれを待ち構えていて、余裕をもって攻撃をしかけてくる。それを私はなんとかブロックするが、Eさんは私の返球に対して矢継ぎ早に攻撃をしかけてくる。
が、Eさんはブランクが長かったせいか、3度目のドライブでラケットの角に当ててミス。
また、私がうまくレシーブし、先手を取って攻撃できた場合もあったが、Eさんは私の攻撃をカウンターで返そうとするが、うまく角度が合わず(あるいは厚く当てすぎて)ネットミス。
Eさんは練習不足のせいか、ミスが多かった。ただ、私のミスと違うのは、タイミングがバッチリ合っていたことだ。振り遅れて打点が遅くなってミスしたり、体を効率的に使わず、とりあえず手だけで打ってミスしたりといったことがほとんどない。
野球でよくこんなことが言われる。
「バッターの真後ろに飛ぶファールは、バッティングのタイミングが合っている」
おそらく、もう少しスイングの軌道を調整すれば、いいヒットが打てるという意味だろう。
Eさんのミスというのも、根本的に何かが間違っているのではなく、基本的なところはできているのだが、感覚的な微妙なところが調整不足でミスをしてしまったような気がする。はたから見ると、「今のミスは入ってもおかしくなかったのに、アンラッキーだったな」という類のボールである。一方、私のミスはもっと根本的なミスで、たまたま角度が合って入ることもあるが、はたから見ると、「よくあんなのが入ったな」という感じのボールなのではないかと思う。
このように考えていくと、Eさんのミスと私のミスは、同じミスでも雲泥の差があるのではないかと思うようになった。うまい人と下手な人ではミスの種類が異なることが多いのではないだろうか。
ミスの原因を思いつくままに列挙していくと、以下のようになる。
(1)回転を完全に見誤っていた
(2)ラケット角度(あるいはボールにラケットが接触する位置)が不適切だった
(3)当て方(薄い/厚い)が不適切だった
(4)ポジショニング(ボールから近すぎる/遠すぎる)が不適切だった
(5)力のこもり具合(トルク)が足りなかった
(6)打点(バウンド後、打球までの時間)が不適切だった
しかし、これは厳密な分類ではなく、感覚的な分類にすぎない。たとえば、大きくフォアに振られて、次にこちらのバック側に返球されてミスしたときは、フットワークが間に合わず、ポジショニングが原因でミスをしたとも考えられるが、同時に早い打点で打球できなかったという打点の問題もあるし、力のこもり具合も足りないというようにミスが複合している場合もある。排他性まで考えて厳密に分類するのはめんどくさいので、ひとまずこの分類で話を進めることとする。
省みると、私のミスの原因はタイミングが合っていないことが多く、振り遅れたり、ボールに十分近づかず(いわゆる引き付けが足りない状態)に離れた位置から無理に打ったりして、ミスすることが多いようだ。それに対してEさんのミスはラケット角度や当て方に起因することが多い気がする。
(1)の回転を見誤っていたというのは、上級者でも、分かりにくいサービスをレシーブするときによくあることではないだろうか。(2)は練習不足の人なら、感覚がなかなか戻らず、つい角度を誤ってミスしてしまうこともありうる。(3)も練習不足の人はつい押しすぎ(厚く当てすぎ)て、ボールをオーバーさせてしまうこともよくあるかと思われる。(1)~(3)はそれほど重大なミスではなく、調整次第ですぐに修正できるミスの可能性が高い。
それに対して(4)~(6)のミスというのは初中級者に多いミスのような気がする。細かいフットワークに慣れておらず、つい横着して手を伸ばして打ってしまった(4)り、しっかりタメを作らず、手打ちで打ってしまった(5)り、打球後の戻りが遅く、相手のボールに対して振り遅れてしまった(6)り。こういうミスは1~2時間調整練習をしたからといってなくなるものではない。いわば偶発的なミスではなく、必然的なミスなのである。
以上のようにミスには大きく2種類あるのではないだろうか。
そんなとき、「もっとラケット面をかぶせなきゃ」などと思うが、直観的にその判断は間違っていると思いなおす。相手のループドライブが手元でグンと伸びてくるのにうまくタイミングが合わせられずにオーバーミスしてしまうというのは、角度の問題ではなく、やはりタイミングが合っていない――振り遅れているのだろうと思う。
ふだんの練習で自分は守りに徹し、私のやりたいように打たせてくれる親切な人――仮にEさんとしておく――がいるのだが、Eさんは私のようなピンポンに毛が生えたような卓球ではなく、高校生や大学生の練習相手も務まるような本格的な卓球である。社会人になってしばらく卓球からは遠ざかっていたが、おそらく学生時代はバリバリやっていたような人だ。その人と週に1回、打つチャンスがあるのだが、Eさんは本気を出さず、私のやりたいようにやらせて、ときどき中陣から強烈な1本を放ってくるというような卓球をする。いわば、相手を自由に泳がせておくような卓球である。私が同じようなことをしたら、たとえ格下でも、ほとんどラリーにならず、簡単に打ち抜かれてしまうが、Eさんは守備力が高く、そうそう打ち抜けない。
そんなEさんが先日の練習ではかなり本気で――積極的に攻撃する卓球をしてきた。
やはりオジサン卓球とは違う。サービスは、腕を大きく動かさず、スナップを利かせてチョチョンと軽く素早くスイングするが、かなり切れている。小さいスイングなので、サービス後の戻りがとんでもなく早い。私はそのサービスをなんとかレシーブするが、Eさんはそれを待ち構えていて、余裕をもって攻撃をしかけてくる。それを私はなんとかブロックするが、Eさんは私の返球に対して矢継ぎ早に攻撃をしかけてくる。
が、Eさんはブランクが長かったせいか、3度目のドライブでラケットの角に当ててミス。
また、私がうまくレシーブし、先手を取って攻撃できた場合もあったが、Eさんは私の攻撃をカウンターで返そうとするが、うまく角度が合わず(あるいは厚く当てすぎて)ネットミス。
Eさんは練習不足のせいか、ミスが多かった。ただ、私のミスと違うのは、タイミングがバッチリ合っていたことだ。振り遅れて打点が遅くなってミスしたり、体を効率的に使わず、とりあえず手だけで打ってミスしたりといったことがほとんどない。
野球でよくこんなことが言われる。
「バッターの真後ろに飛ぶファールは、バッティングのタイミングが合っている」
おそらく、もう少しスイングの軌道を調整すれば、いいヒットが打てるという意味だろう。
Eさんのミスというのも、根本的に何かが間違っているのではなく、基本的なところはできているのだが、感覚的な微妙なところが調整不足でミスをしてしまったような気がする。はたから見ると、「今のミスは入ってもおかしくなかったのに、アンラッキーだったな」という類のボールである。一方、私のミスはもっと根本的なミスで、たまたま角度が合って入ることもあるが、はたから見ると、「よくあんなのが入ったな」という感じのボールなのではないかと思う。
このように考えていくと、Eさんのミスと私のミスは、同じミスでも雲泥の差があるのではないかと思うようになった。うまい人と下手な人ではミスの種類が異なることが多いのではないだろうか。
ミスの原因を思いつくままに列挙していくと、以下のようになる。
(1)回転を完全に見誤っていた
(2)ラケット角度(あるいはボールにラケットが接触する位置)が不適切だった
(3)当て方(薄い/厚い)が不適切だった
(4)ポジショニング(ボールから近すぎる/遠すぎる)が不適切だった
(5)力のこもり具合(トルク)が足りなかった
(6)打点(バウンド後、打球までの時間)が不適切だった
しかし、これは厳密な分類ではなく、感覚的な分類にすぎない。たとえば、大きくフォアに振られて、次にこちらのバック側に返球されてミスしたときは、フットワークが間に合わず、ポジショニングが原因でミスをしたとも考えられるが、同時に早い打点で打球できなかったという打点の問題もあるし、力のこもり具合も足りないというようにミスが複合している場合もある。排他性まで考えて厳密に分類するのはめんどくさいので、ひとまずこの分類で話を進めることとする。
省みると、私のミスの原因はタイミングが合っていないことが多く、振り遅れたり、ボールに十分近づかず(いわゆる引き付けが足りない状態)に離れた位置から無理に打ったりして、ミスすることが多いようだ。それに対してEさんのミスはラケット角度や当て方に起因することが多い気がする。
(1)の回転を見誤っていたというのは、上級者でも、分かりにくいサービスをレシーブするときによくあることではないだろうか。(2)は練習不足の人なら、感覚がなかなか戻らず、つい角度を誤ってミスしてしまうこともありうる。(3)も練習不足の人はつい押しすぎ(厚く当てすぎ)て、ボールをオーバーさせてしまうこともよくあるかと思われる。(1)~(3)はそれほど重大なミスではなく、調整次第ですぐに修正できるミスの可能性が高い。
それに対して(4)~(6)のミスというのは初中級者に多いミスのような気がする。細かいフットワークに慣れておらず、つい横着して手を伸ばして打ってしまった(4)り、しっかりタメを作らず、手打ちで打ってしまった(5)り、打球後の戻りが遅く、相手のボールに対して振り遅れてしまった(6)り。こういうミスは1~2時間調整練習をしたからといってなくなるものではない。いわば偶発的なミスではなく、必然的なミスなのである。
以上のようにミスには大きく2種類あるのではないだろうか。
コメント
コメント一覧 (7)
いつも一球一球ミスに対する反省をしていけば必ずミスは減ります。
私の場合、現在は週に一度練習出来ればいい方なのでミスに敏感になってしまいます。ミスが多い時は簡単な事から修正します。まず相手ラケットのどこに当たったか自分のコートのどこに落ちたか自分のラケットのどこに当たったかを確認といった具合です。一球一球です。無意識と言う言葉がありますが意識を繰り返して行く中で生まれてくるもので勝手についてくる物ではありません。無意識で打球したとはまぐれ当たりだと思っていけはミスは経るはずだと信じています。
コメントありがとうございます。
「一球一球ミスに対する反省をする」「ミスに敏感になる」というのがなかなか初中級者にはできないことだと思われます。初中級者にとってミスするのはふつうのことなのに対して、上級者にとってのミスはふつうじゃないことなのだと思われます。
それでミスの原因を深く考えるという習慣が身につかないのだと思います。
「意識を繰り返す中ではじめて無意識が身につく」というのも深い言葉でした。
ひでさんの言葉はひとつひとつが深く考えさせられます。
ミスをしたらその打球はミスの練習をしたことになる。
適当な打球をしたらたとえ入ったとしても適当な打球の練習をしたことになる。
大会で一勝する事が出来たら練習の何倍も強くなる。
無意識の打球が入ってもただのまぐれ当たりだと思え。
強いヤツも同じ人間だ強いヤツに出来てお前にできないはずはない。
大会でいくらリードしていても相手の気持ちを考えろ。負けてもいいと思って大会に出てくるヤツはいない。
集中しろは必ず集中する内容を考えて集中しろ。口だけ集中って言ってても意味がない。
下回転系のボールは低い位置からの方が見易くドライブしやすい。上回転系のボールは高い位置からの方が見易くドライブしやすい。
下回転系サービスからの三球目ドライブをしたいときはサービス後低く構えると三球目ドライブしやすいですよ。上でも下回転でも同じ高さに構えると筋力がかなり必要です。
サービスにも応用出来ます。
レシーバーが高く構えると上回転系に対するレシーブか得意、低く構えると下回転系に対するレシーブが得意。なので私は高く構える相手には長い下回転系サービス主体でサービスを組み立てます。低く構える相手にはショートサービス主体でサービスを組み立てます。
目線の高さの維持も重要です。フットワークや打球時に目線の高くがぶれるとミスしやすいですよ。台やネットを見てチェックすると良いです。大会の会場によって見え方が違う点にも注意が必要です。
ご返信ありがとうございます。
「ミスの練習をしたことになる」というのがおもしろいですね。
練習後、
「今日は何をやっても入らない…今日の練習は時間の無駄だった」
と感じることがあるのですが、「ミスの練習をした」と思えば、それも有意義な時間に感じられますね。
集中力の対象ということについては拙稿でも考えたことがあります。
ご参考までに。
http://shirotatsu.blog.jp/archives/41679053.html
ご返信ありがとうございます。
さりげなく、とても重要なことを教えていただきました。
上回転系サーブのレシーブでは上から見下ろすように、
下回転系サーブのレシーブでは下から見上げるように。
言われてみれば、非常に理にかなっています。こんど相手の構えを見て、高く構えている人だったら、下回転系を集中的に出し、姿勢の低い人なら、上回転系を多くしてみようと思います。
移動時の目線の高さを一定にするということは考えたこともなかったです。今度試してみようと思います。
たくさんの有益なご教示ありがとうございました!
私もコメントを拝読し、興味深く感じました。
「 下回転系サービスからの三球目ドライブをしたいときはサービス後低く構えると三球目ドライブしやすい。」
特に横下系のサービスを出した後は、サービスの行方に意識が行き、腰高になることが多いです。だから3球目ドライブをネットにかけたり、腰が入らずに手打ちドライブになってしまいます。サービス後は、スタンスを広めにとって重心を下げることを意識してみます。