フォアハンドのフォームが大きすぎるので、もっとコンパクトにして戻りを早くしてみようと思い、小さなフォームに変えてみたら、フォアドライブで力が入らなくなってしまった。

今まではフォアドライブを打つときに引っ掛かりのようなものがあり、「今、まさに回転をかけている!」という感覚があったのだが、最近はスムースに振れすぎて、回転をかけているという感覚がほとんどなくなってしまった。

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自分は今まで一体どんなふうにフォアドライブを打っていたのだろう…戻せるものなら今までのフォームに戻したいのだが、思い出せない。

いろいろ考えた末、卓球の入門書をひもといてみることにした。

ブックオフに行くと、佐藤正喜2005『うまくなる!卓球』(西東社)という本が200円で売っていたので、購入し、読んでみた。著者は日産自動車卓球部の監督(当時)とのこと。

卓球の書籍と専門誌の記事を比べると、前者は初心者向けで中級者にとっては見るべきところが少なく、後者はより実践的で中級者にとって見るべきところが多いというイメージがある。しかし、単行本と雑誌記事では記述の丁寧さに違いがあると私は思う。書籍として後々まで残り、著者の業績にもなるので、間違いがないか、分かりやすいかなどは、単行本のほうが優れいている場合が多いのではなかろうか。

入門書なので、用具の選び方、グリップの握り方など、「お約束」のような記述から始まる。しかし、よく読んでみると、意外な発見もあるかもしれない。

強く握らないのはシェークハンドと同じ。とくにペンホルダーは指の微妙な動きでラケットをコントロールできるのが利点なので、指に力を入れてはいけない。

(ペン裏面3本の)指を深く曲げると、手首が動かしやすくなって台上の小技をより多彩に発揮することが可能となる。指を伸ばすと裏面を強く押せるので、フォアハンドから繰り出す強打の威力がアップする。

そうだったのか…。ペンなのに思い切り指に力を入れていた。指を曲げると小技を使いやすいというのも初めて知った。

そして次の章は「スイングの基本」である。
私はそのページの吉田海偉選手のスイングの写真を見て瞠目させられた(大げさか)。

基本のスイング


強打のスイング


「基本のスイング」(中打)と「強打のスイング」を比べると、写真2はほとんど同じだが、写真1で「強打」はバックスイングを大きくとっている。これは特に驚くほどでもないが、注目したのは写真3である。

肩甲骨が伸びている。

3では、肩甲骨が左の方に動いているように見えるのだ。よく見れば1にも赤字でさりげなく「上体はやや斜めになる」「上体は横向きになる」とある。非常にレベルの低いことを書いてしまうが、中打を打つ時と、強打を打つ時では、スイングが変わるのだ。レベルが低すぎて、一体私が何に驚いているか分からない読者もいると思われるが、つまり、中打と強打の違いは力の入れ具合ではないということである(力の入れ具合も多少はあるだろうが)。私は同じスイングで50%の力で打てば中打、90%の力で打てば強打になると思っていた。そうではなく、中打と強打を分かつものは力の入れ具合というより、むしろ身体のねじり具合肩甲骨の開き具合だったということである。そういえば、腰を使って腕を伸ばしてスイングすれば、あまり力を入れなくても速いボールが打てる。ということは、バックスイングのねじりを深く、フォロースルーの肩甲骨の動きを大きくしたら、同じ力で打っても強打になるということにならないか。逆に中打のスイングで、身体のねじりが浅ければ、力を込めてスイングしても、強打にならないということである。

力を入れずともフォームを変えれば強打が打てるとは…。

さらに次のページにはこんな写真付きの解説があった。
支点


軽打と中打と強打では、スイングの支点が異なり、軽打なら肘を支点にスイングし、中打なら肩を支点にスイングし、強打なら腰を支点にスイングするとある。

知らなかった…。もしかしたら、私は肘や肩を支点にして強打を打とうとしていたのかもしれない。まだ練習で試していないが、この「フォームを変える」「支点を変える」で私の「力が入らない」という問題点も改善するかもしれない。この本を読んで、基本ができていない私には、入門書といえども学ぶべきことがたくさんあると再認識した。

【付記】
世界卓球2016予選リーグ最終戦、対ポルトガル戦をテレビ大阪で観戦中である。女子の試合が長引いたので、こんな時間になってしまった。もちろんネット等で結果は見ていない。
丹羽選手は調子を取り戻しつつあるようで、重畳重畳。男子チームのベンチも心配したようなギスギスした雰囲気ではなく、チームメイトを支えようという気持ちが伝わってくる。いい方向に向かっていると感じた。

ポルトガル戦の2番目はテレビ放送ではカットされていて観ることができなかったが、今度は水谷選手の調子のほうが心配である…。