知人から古いTSPトピックス(1988年)を借りて読んでみた。

表紙

わずか45ページほどの薄い雑誌であり、現在は廃刊となっている。
当時は卓球が初めてオリンピックの種目となり、日本代表は以下の選手だった。

男子:宮﨑義仁、小野誠治、斎藤清、渡辺武弘

女子:星野美香、内山京子、石田清美

シングルスは小野、星野両選手が1回戦敗退の他は全て予選リーグ敗退という寂しい結果だった。

この年の全日本の優勝は、男子、斎藤清選手、女子、佐藤利香選手だった。

この号には、その前年の1987年に全日本で優勝した糠塚重造選手のインタビューが載っている。

糠塚選手は今、何をしているのだろうか。斎藤清選手の全盛時代、彼と何度も全日本の決勝で対戦したほどの実力者ながら、今はとんと名前を聞かない。卓球から完全に足を洗ってしまったのだろうか。

糠塚選手は大学生になって日ペン裏ソフトから表ソフトに転向して成功した珍しい選手である。

(大学2年)夏のインカレ(大学対抗)が終わってから,裏ソフトから表ソフトに変えました。表ソフトのほうがいいと助言してくれる人もいたし,高校のときから表ソフトのほうが向いていると言われたこともあったし、自分でも表ソフトのほうがいいかなと思っていましたから。

私も以前、上手な大学生のバック表の弾きのスピードにしびれて表ソフトを試してみたことがあったが、裏ソフトと性質が全く違い、2~3回使っただけで断念したことがある。それを考えると、結果が求められるトップ選手が、その最も大切な大学時代という時期に裏ソフトから表ソフトに転向するなんて無謀とさえ思える。トップ選手ともなると、これほどの用具変更も困難を感じないのだろうか。

しかし、記事を見ると、やはり糠塚選手も表ソフトには手を焼いていたようである。

ぼくは裏ソフトと表ソフトの両方を経験しましたけど……やはり表ソフトは難しい。【中略】
表ソフトは精神的な要素が大きい。たとえば19-13ぐらいのスコアだったら裏ソフトはそれほど負ける要素はないと思うけど,表ソフトはわからない(笑),負ける可能性がある。そういう経験がぼくにもあります。あっという間に19-16になって,逆転されるとか……。守っていたら,あっという間に追いつかれますからね。

表ソフトはナックル性のボールがでるからといって,極端なスイング(ナックルを出すための)が表ソフトの打ち方だと思っている人もいますが,それではボールが安定しません。水平スイング,いつでもスマッシュを打てるスイングでありながら,少しずつボールに回転を与え,安定したボールの飛行曲線をだすことが大切だと思います。

そういえばオガさんも、表ソフトでも「ミート打ちやスマッシュは擦りながら弾いたほうが、ミスは減る」と説いていた(前記事「表ソフトの使い方」)。

糠塚選手はこのインタビューで自身の卓球人生を振り返り、最後に自身の卓球論について語る。

卓球は「動き方」のスポーツではないでしょうか。うまくなる人というのは動き方を知っています。脚力とか筋力があっても,合理的な動きをしなければ何にもなりません。ボールへの最短距離をいかに効率よく動くかが大切。

最短距離を効率よく動くことが卓球の極意ということだろうか。効率よく動くとはどういうことだろうか。私もその「動き方」を知りたい。

斎藤の場合でも,とれないようなボールをパッととってしまったりしますものね。やっぱり前に動いているんじゃないでしょうか。ふつうの人だったら横とか後ろに動いてしまうやつを,彼は前の方に効率のよい動きを見せる。やはりそういうことを彼は知っているんだなと思います。

記事で明かされていることはこれだけである。これだけの情報から効率のいい動きというのがどのようなものかは想像もつかない。とりあえず「前に動」くということが糠塚選手の卓球の極意ということだろうか(前記事「背中を見せたら終わり」)。
糠塚インタビュー


自分の試合中のビデオなどを見ると、「横とか後ろに動いてしまう」例として、次のようなシーンが多かった。

追いつけない01

図1
中途半端にバック側にフォアドライブを打つと、見事に取れないボールが返ってくる。その結果、横や後ろに動いてしまうのだ。

取れない

図2

同じくドライブを打つならもっとバックサイド近くを狙わなければならないのだろう。このように相手のバックサイドギリギリに打てば、相手もまっすぐストレートに返すよりも、大事を取ってややミドル寄りに返球してくれるような気がする。サイドを切るボールが打てれば動く距離がもっと小さくなるのだろうが、私にはなかなか難しい。

追いつける
図3

そして、「前に動」くというのだから、前陣では前に動きようがないのであって、中陣から打って前に出るということになるだろう。

私のダメなところは、このフォア側への飛びつきのときに身体の向きがフォア側を向きっぱなしになってしまうという点である。ここはしっかりとクロス側に向き直らなければならないと反省している。

私の場合、効率的に動くという以前に身体の向きが間違っているような気がする。

非常に中途半端だが、今回はここまでである。「前に動」くということから、何かおもしろいことが分かるのではないかといろいろ考えてみたのだが、あまりおもしろい結論に至らなかった。残念。

【おまけ】
1982年のTSPトピックスに載っていた広告である。
カタログ01


「イボ高」のカールは当時からあったということを知らなかった。スペクトルといえば表ソフトだが、裏ソフトのニュースペクトルというラバーもあったらしい。価格はたった1000円。
シェークのラケットはハイピッチ1号・2号とヤナギ3号・5号。このネーミングはアームストロングの回転1号を思い出させる。やはり日ペンのバリエーションが豊富で大和S、覇権、ダイナム、バーミンガム77等。
カタログ02


エリカという「新鋭ファッショナブルウェアー」は私も昔、持っていたような気がする。
カタログ03

シューズのハイアストールは4800円。デザインは当時のバタフライよりも洗練されていたと思う。