先日、年配の上級者(日ペン)とお話ししたときのこと。Xさんとの対戦を振り返って、次のようなことをおっしゃっていた。

「この間の試合でバックサービスを出してみたんや。そうすると、Xのレシーブが一瞬遅くて棒球を返しよる。こいつこんなにレシーブが下手やったんかて思うたわ。今どき、フォアサービスはみんな使っとるさかい、慣れとるわな。しかし、バックサービスを使うやつは最近珍しいさかい、よう効くんや」

私もその対戦を見ていたが、私にはXさんは通常通り、きちんとレシーブしていたように見えた。

「ちゃうちゃう。フォアサービスの時はビシっと鋭いツッツキを打ちにくいところに送ってきよるが、こちらがバックサービスを出すと、レシーブに迷いがあるいうんか、少しだけ返球が遅れるんや。あれは効いとったで。」

サービスを出してそれが相手に効いているのかどうか、私にはよく分からない。
レシーブ


たとえば私のサービスを何度もネットにかけたり、浮かせてくれたりすれば、効いているなと思うが、そういう分かりやすいケースではなく、相手が浮かさないで返球してきた場合は、果たして自分のサービスが効いているのかどうか分からない。

もし私がXさんだったら、相手のサービスが自分に効いているかどうかすら気づかないかもしれない。

「ふぅ~。難しいサービスだったが、なんとか浮かさずにレシーブできた。我ながらいい仕事をしたなぁ。」

などとのんきなことを考えているかもしれない。私の中では「良い」レシーブというのはネットにかけず、低いボールが打てた場合のことなのだ。あるいはロングサービスがきたら、バックハンドドライブなどで迎撃できた場合、それは「良い」レシーブなのである。

しかし、考えてみると、そういうレシーブに相手は本当に打ちづらさを感じているのだろうか。

たとえば相手のロングサービスを私がバックハンドドライブで持ち上げた場合、相手はそれを待っているなんてこともあるのでは…。

たとえ私が低くて速いレシーブができたとしても、それが相手の想定内のボールだった場合、それは悪いレシーブになってしまうのではないだろうか。本当に良いレシーブというのは、返球方法が限定されず、相手にとってどこにどんなボールが来るかわからないレシーブなのではないだろうか。

たとえば相手がバック側からこちらのバック側に切れたロングサービスを出してくるとする。それを私はがんばってバックハンドドライブで相手のバック側に返球するとする。しかし、他のレシーブ――短くストップしたり、フォア側に払ったりすることができず、いつも相手のバック側にほどほどのスピードで一定のドライブを打ってしまうとしたら、そのサービスはこちらのレシーブの自由を奪っているということになり、3球目を相手の好きなように打たれてしまうかもしれない。

【まとめ】
悪いレシーブというのは、ネットミスや浮かせてしまうレシーブばかりではない。上述のように一見すると、悪くないレシーブをしているつもりでも、同じようなボールしか返球できない――レシーブを限定されてしまっている場合は、悪いレシーブであり、相手をそういう状態にするサービスも、効いているサービスと言えるかもしれない。こちらのほうは、レシーブしている本人が「悪くないレシーブだ」などと勘違いしている分だけ、明らかなレシーブミスよりも厄介なのではあるまいか。