なんとなく卓球王国のDVDのサンプル動画を観ていて、刮目させられた。

私は時間がたくさんあると、どんな練習をすればいいか分からなくて、ちょっとフォアとバックの基本練習をした後、なんとなく試合形式の練習になってしまうことが多い。だが、基本練習と試合形式の練習の間にちょうどいい練習がないものだろうか。そんなことを以前も考えた(前記事「ブロック練習…」)。

基本練習ばかり、いくらやっても試合には勝てない。フォアやバックで何百往復とロングのラリーがミスなく続けられたとしても、試合ではそんな能力は役に立たない。各技術をつなぐ練習こそが大切なのである。基本技術を延々と続けられるよりも、切れた分かりにくいサービスを出せるほうが、試合ではずっと有利だ。

「単調な基本練習ばかりやっていても時間がもったいない。 もっと実戦的な練習をしなければ!」

そう思っていたのだが、下の動画を観て考えが変わった。



0:55あたりからの天野優選手の練習である。
バックとバックのラリーから3~4球に1本の割合でイレギュラーにフォアにボールが来るという練習である。

天野



「すごいスピードのラリーだなぁ。それにしても、こんなに強く打っているのにちっともミスをしない。もし私が同じ練習をしたら…」

女子のトップレベルの選手なのだから当たり前なのだが、もし私がこんなにボールを強く打ったら、次のボールについていくのがやっとで、ミスを連発し、積極的にガンガン打っていくことはできないだろう。おそらく3~4割の力でゆるく打たないと、ミスなく続けることはできないのではないだろうか。しかし、上級者ともなると、もっと複雑なシステム練習で7~8割の力で打っても延々とラリーを続けられるに違いない。

私は最近ワンコースでフォアドライブを打てば、10往復ぐらいは続くようになったのだが、そうなって気がついたことがある。試合での強さと、ミスせず基本のラリーを続ける能力とは比例するということである(オジサンレベルでは)。ワンコースのフォアドライブが10往復も続かなかった頃と比べると、私はずいぶん上達したと感じる。試合形式の練習でもミスが減った。

ワンコースでフォアドライブをミスなく続けるというのは、体力の問題を度外視しても、案外難しい。フォアやバックのロングのラリーは身体をあまり使わず、ほぼ一定のコースに返ってくるので延々と打つことはそれほど難しくないが、フォアドライブは身体を大きく使うため、余計な動きが入りやすく、コースも不安定になりがちである。したがって相手の返球も安定しない。あるときはサイドを切るボールが返ってきたり、ある時は極端に浅いボールが返ってきたりする。それらを安定してドライブで返球することは、私のレベルではそれほど容易いことではない。フォアかバックのワンコースのロングなら、それほど神経を使わずに、おしゃべりしながらでも打てるが、フォアドライブのラリーはワンコースといえども相当神経を使う。フォアロングなら、当てる角度を調節するだけで済むが、フォアドライブなら

「このボールはこちらのエンドギリギリまで届く深いボールだから、一歩下がってやや浅い位置を狙ってドライブしないとオーバーしてしまう」

などと1球1球ボールの質、深さなどを吟味しながらドライブしないといけないのである。

こういうことを考えていると、ワンコースのフォアドライブの練習というのは本当に「基本」練習なのかと疑わしくなってくる。フォア打ちは基本練習の最たるものだが、フォアドライブや、さらにはフォア・バックの切り替えともなると、ランダム要素のないブロック練習とはいえ、相当ボールを吟味して打たないと続けられない。これが「基本」練習だなどというのは上級者の傲慢であって、初中級者にしてみたら、これらの練習はもはや「基本」ではなく、「応用」に近いものではないだろうか。

基本練習というと、フォア打ちなどのウォームアップをイメージするかもしれないが、基本練習の中にも高度なものもある。これらを私なりに分類すると以下のようになる。

難度A 一定(フォア打ちのように安定して返球される)のボールを同じ打ち方で返球

難度B 同じコース(回転やコースは同じだが、スピードや深さは異なる)のボールを同じ打ち方で返球

難度C1 異なるコースのボールを異なる打ち方(例えばフォアとバック、ツッツキとドライブなど)で返球
難度C2 異なるコースのボールを異なる位置(フットワークを使って)で返球


Aはワンコースでのフォア・バックロングややツッツキのラリーである。これらは一定の場所に一定のボールが来るし、あまり身体を大きく使わないので、初級者でも延々とラリーを続けることができる。ただツッツキは意外にイレギュラーなボールになりやすいので、集中して打たないとミスしがちである。

Bはワンコースでのフォア・バックドライブである。ドライブは身体を大きく使うので、自分の身体がブレやすく、返球が不安定になりがちである。または2球ずつ攻守を入れ替える練習(一方がフォアドライブしているときは他方はフォアブロック)などもこれに入る。

Cはフォア・バックを切り替えたり、フットワークを使ったりする練習である。たとえば3点に来るボールをオールフォア、またはフォアで2点、バックで1点などと打ち分ける練習である。Bに分類した2球ずつの攻守転換の練習も、Cではブロックはバックで、攻撃はフォアで、のように切り替えの要素を入れる。


これらA~Cの基本練習が8割がたできるようになってはじめてランダム要素の入った練習に進むべきだというのが今の私の考え方である。Aでボールの打球感覚を身につけ、Bで多様な質のボールを安定して打球する技術を身につけ、Cで異なる打法やフットワークに繋げる練習をする。特にCの練習をミスなく続けるのは重要である。フォアとバックのフォームが繋がっていないと、スムースに切り替えられないし、あるいはフットワークが打法に組み込まれていないうちにランダム要素の多い練習に入っても効果が薄いのではないだろうか。

私の卓球はCがまだ不十分なので、ここを改善したいと思っている。基本練習を極めて、A~Cまでをミスなく続けられるようにするというのを私の今年の目標としたい。