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それは「下回転サーブが出せない病」に苦しんでいるときだった。

卓球のサービスで最も基本的な下回転ショートサービス。台上で2バウンドさせるサービスは意外に難しい。回転量を増やそうとすると、台上で2バウンドせず、台から出てしまう。がんばって台上に収めようすると、今度は回転がかからない。ボールの斜め下をとらえる横下回転サービスなら、前に押す力を横に逃がせるので台上に収めやすいが、真後ろからラケットを押し出す純下回転サービスは、上手にボールの下部を捉えないと、ボールを押してしまい、台上に収まらない。あるいはネットにかけてしまったりしてミスしてしまう。ボールを切る感覚をつかみ、ようやく安定して下回転サービスが出せると思っていたら、ある日突然下回転サービスが全く入らなくなる。こうなると、いくらがんばってもその日は下回転サービスが入らない…。

これが私が頻繁に見舞われる「下回転サーブが出せない病」である。

この病気にかかると、プレー全体が狂ってくる。サービスはその後のプレーのすべてを左右するからだ。

「試合を決めるのは結局サービス。今日は岸川さんのサービスがぼくよりもよかった。」
『卓球王国』2015・4 松平健太選手の全日本準々決勝の試合に対するコメント

「…サービスが変わればその後の戦術も違う。」
『卓球王国』2015・4 水谷隼選手の「チャンピオンインタビュー」より

自分だけの調子が悪いなら構わないが、この病気に罹ってサービスミスを連発すると、相手にまで非常に迷惑をかけてしまう。

「切れていなくてもいい、無難にミスなく下回転サービスを入れなければ」

と焦れば焦るほど下回転サービスはネットにかかってしまう…。

何かが根本的に間違っている。こんなにがんばって安定性最優先でシンプルな下回転サービスを出しているのにどうして入らないんだろう?

そこで思い至ったのが、ボールの打球点の高さである。

高い打点2図1
上の図1のように高い打点から斜めに切っているからサービスが長くなってしまうのだろう。
ほぼ水平で切ってみたらどうだろうか。

しかし、図2のように高い打点で水平に切ると、たしかにサービスが短くなり、安定するのだが、スピードがなく、ポテンポテンという相手に打ちやすいボールになってしまう。
高い打点図2


下の図3のように低い打点で水平に近い角度で打てば、低くて速い下回転にならないだろうか。こうすれば、タタンという低くて速いサービスが打てる。


低い打点図3


そこで低い打点で打とうとするのだが、私の身長の関係で、低い打点で水平に切りづらい。いろいろ試行錯誤していると、

「あれ?奥まで入る?」

なんと、サービス時に膝をグッと曲げて打つと、膝が台の下にスッポリ入るのだ(「前傾姿勢のスクワット運動」というラベルは無視していただきたい)!私のフォアサービスは横を向いてバックスイングを取り、インパクトしながら前を向くのだが、その時に膝を軽く曲げただけでは台に太ももの辺りが引っかかってしまい、台から少し距離をとらなければならなかった。といってもわずか20センチほどである。それが膝をしっかり曲げて、姿勢を低くすると、膝が台の下に限界まで入り、下腹部の辺りに台のエンドがハマる。

膝の位置図4

図4の↑が膝の位置だが、左の曲げ方では台の浅い位置で引っかかってしまうが、右の曲げ方にすると、下腹部深くに台が入り込んでいる。

この姿勢でサービスを出すと、下回転サービスが安定したのだ!

そして『卓球王国』のニッタクの広告にあった「馬龍の下横回転サービス」をみると、


maron serve01-vert

馬龍選手もトス時の状態(右上)では比較的腰の位置が高いが、インパクト直前(左上)で腰の位置を低くして、インパクト時(右下)では膝をしっかり曲げて、下腹部に台がハマるように腰の高さを調整している。

もしかしたら、この下腹部に台の端をハメるというがサービスを安定させるコツなのかもしれない。

さらにこの「ハメる」はレシーブやツッツキにも威力を発揮する。
よく雑誌などで「ツッツキの時にはしっかり台の下に右足を入れて」などと書かれていて、私もそれは注意してきたつもりだったのだが、実際にはあまり台の下に右足を入れていなかったと言わざるをえない。おそらく雑誌の技術解説で筆者が意図しているのは、この「ハメる」ことに違いない。ハメれば自然と姿勢が低くなり、短いボールに身体を近づけて打球できるので、ツッツキ等が安定する。上から見下ろしてツッツくのと、ボールに近い低い視線からツッツくのとでは安定度が格段に違ってくる。

【まとめ】
卓球では低い姿勢が推奨されている。高い姿勢は素早いフットワークや台上処理等の妨げとなる。
しかし、その「低い」というのがどういう基準なのかよく分からなかった。低ければ低いほどいいというわけでもないだろう。私は軽く膝を曲げて自分なりに低い姿勢でプレーしていたのだが、そのような姿勢では不十分で、もっと膝をしっかり曲げて、台のエンドを自分の下腹部に入れ込めるような位置が最も適当な高さなのではないかと考えている。私にとってこの高さはサービスやツッツキが最も安定する高さなのである。