補助剤対策としてラバー反発力の上限設定を設けようという動きがある。
もちろんそれに異存はない。
下のような器具を使って、9ミリの鉄球を51センチの高さから落とし、上の磁石のスイッチを一瞬オフにして、すぐにオンにする。そして磁石に鉄球がくっついてしまったらアウト!ということらしい。

文書名 _Tsuji Y-1c_revised-OK
Tsuji and Kimura 2013 Effects of booster on bounce properties of rubber より

しかし、この器具は他の使い道もあるのではないか。つまり球離れと球持ちを測定する基準にならないかということである。

ラケットやラバーの弾みというのはカタログなどでだいたいの見当がつくのだが、ラケットの硬さとか、球持ちというのは人によって意見が異なる。あるいは人によって「硬さ」の概念が違う場合もある。「カタログに書いてあることなんて嘘っぱちだ」と豪語する人さえいる。よく「インナーフォースZLCは球持ちが良すぎる」とか、「ギャラクシャ・カーボンは球離れが早い」とか、そんなことを耳にするのだが、私にはさっぱりわからない。同じ条件(同じ厚さのラバー)で打ち比べてみればそういうことも感じられるかもしれないが、やったことがないので分からない。さらに「しなり」というよく分からない打球感もある(前記事「WRM高田馬場店への行き方」)。

私は基本的に世の中の情報の9割がたは信用していない(前記事「一定の打点」)。といっても、何も9割の情報が全てウソだといっているわけではない。1から10まで真実と正反対の情報は少ないと思う。しかし、1から10まで完全に真実の情報もまた少ない。つまり全体の9割の情報の中には少なからず誤謬が含まれており、100%信用できる情報は1割ほどではないかということである。言い換えれば、世の中の多くの情報はwikipediaぐらいの信頼性だと思っているわけである。こういう疑ぐり深い私は、「球持ち」や「しなり」といった数値化しにくい情報には特に多くの誤りが含まれていると思っている。それがこの器具を使えば、少なくとも「球離れ」と「球持ち」は数値化できるのではないだろうか。

方法はこうである。
この器具を使って鉄球を落としてみて、それをハイスピードカメラで撮影するわけである。


K0000664331

LUMIX DMC-FZ1000 約80000円強


これは100fpsのスローモーション


EX-FC400SWEというハイスピードカメラでは1/1000秒(1000fps)の高速度撮影が可能だという。

ダウンロード
EX-FC400SWE 4万円ほどで買えるらしい。

私はカメラに詳しくないので、実用的にどうなのか分からないが。


上の動画はEX-ZR100という古い型の機種での1000fpsの映像。画質は良くない。
肝心のバウンドの瞬間が映っていないのが残念だが、ストップウォッチといっしょに映せば「球持ち」の時間が分かる?


そうすると、ラバーに鉄球が接触している時間が1/1000秒単位で分かるかと思われる。上の図の器具は競技用なので厳密な値が出るはずである。
これによって実際に球持ちがいいとか、球離れが早いといったことが数値化できるわけである。さらに可能なら、2つの鉄球を同時に落とせるような仕組みなら、ラケットの比較もできておもしろい。

前記事「スーパースロー映像が卓球を変える?」にも書いたが、今後、文明の利器を上手に使って卓球の「都市伝説」の解明が進めばと願っている。