晩にしこたま卓球をしてクタクタに疲れ、翌日、心地よい空腹で目が覚めた。

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空腹なのに不思議と食欲を感じない。

水を1杯飲む。なんと清々しい朝だろう。心穏やかで頭も身体もスッキリしている。こんな朝は久しぶりだ。こういうときはなんでもできそうな気がする。いつもだったら「外にでるのがおっくうだ」とか「部屋の掃除なんかあとでいいや」となるのだが、今日ならどんなことにも意欲的に取り組めそうな気がする。身体が、いや、むしろ心が軽い。

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寝覚めの仕事は捗りそうだ

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早朝のジョギングも気持ちいいかもしれない

気候やストレスの有無なども関係するかもしれないが、今回のコンディションの良さには空腹が大いに与っているような気がする。

今回は卓球にあまり関係ない話である。なお、私は生理学とか栄養学とか、そういうものには全く縁がないので、以下に述べることは私の個人的な体質に関するものであり、完全に民間療法的な思い込みだと言われればそれまでであるが、なにかしら読者の皆さんを裨益するところもあればと思い、公開する次第である。

私は最近節制している。暴飲暴食や間食を控え、ソーダよりも水をのむようにしている。3食きちんと食べるが、腹八分目である。その結果、労せず5~6キロほど減量できた。節制をして、毎週卓球で汗をかけば、健康食品などに頼らずとも、自然に体重が落ちるのである。思うに中年太りや肥満の原因は間食と満腹感なのではないか。

最近は便利な世の中になり、辺鄙な田舎でも国道沿いならいくらでもコンビニが見つかる。それで空腹を感じたら、すぐに適当な食べ物を口にすることができる。しかし、それが私には良くないのである。手軽に食料が手に入るために十分空腹を感じる前――空腹を感じるか否かというタイミングで食べ物を口にしてしまい、空腹感を感じる暇がない。それで食べて満腹になると、なんだか頭がボーっとしてしまう。集中できない。逆に仕事等に追われて、食事時を逸してしまったときなどは、エネルギーがほとんど底を突いているはずなのに、案外頭が働き、集中力が増すことがある。

卓球で腹ペコの状態でプレーしても、力が入らず、うまくプレーできないが、満腹状態のときもまた、うまくプレーできない気がする。頭が働かないのだ。

石川佳純選手が試合中に最も酷使するのは頭だという。



12:10
「やっぱ頭ですかね、試合で一番疲れるのって。ここ(眉間)が一番痛いです、試合終わったら。試合中ずっと考えてるから。」
「戦術…ですね。どこに攻めようとか、待ってるからもうちょっと…反対側にとか。まぁ、こんな大雑把じゃないですけど。」


もし満腹感が頭の働きを鈍らせるなら、適度な空腹状態というのは卓球の対戦中にも役に立つに違いない。

私にとって自分の脳のパフォーマンスを高めるのに最もいいのは満腹状態を避けることだが、かといって朝食抜きということになると、身体に全く力が入らないことがある。そこで適度な空腹状態を持続させるのがいいのではないかと思っている。どうすればいいか。

私の場合、朝ごはんを腹八分目にすると、11時ごろからだんだん空腹を感じてくる。そして12時頃にはお腹が鳴るほど空腹感を感じる。しかし、その状態での私の精神的なパフォーマンスは決して低くない。むしろ頭が冴えている感じである。また、十分空腹状態を持続したあとで昼ごはんを食べると、当たり前だがおいしい。空腹だからといってドカ食いはしない。少しずつ、控えめに味わって食べる。そうすると、味がよく分かる。その時も腹八分目である。そうすると、16時ごろには空腹を感じ始め、17時頃にはかなり空腹を感じる。しかし、私は間食はしないようにしている。何も口にしないと、つらいので、お茶やコーヒーで空腹を紛らわすようにしている。軽く空腹を感じているときはなんとなく頭がよく回り、体も軽いような感じがするからである。こうして適度な空腹感を一日に何度も繰り返すと、仕事の能率も上がる。

このような体調の変化を経て、私はある意識を獲得した。最近、空腹を少し楽しむことができるようになったのである。この空腹を楽しむという考え方が生活のさまざまな面で私に好循環をもたらしている。お腹いっぱい食べると、しばらく何もしたくなくなるし、太りやすい。余計なことをいろいろ考えてストレスも増える。

そういえば、いろいろな宗教で断食というのが行われるが、あれはどういう理由なのだろうか?
『日本大百科全書』によると、断食の理由について定説はないらしい。いくつかの理由のうちの一つが以下のものである。

断食は修行の一形態として行われる。これは、食を断つことによって人間の欲望を制御し、精神の集中を助けることによって、高い宗教的境地に到達しようとして行われるものである。仏教、ジャイナ教、ヒンドゥー教、中国の道教、日本の修験道(しゆげんどう)など、とくに東洋の宗教に広くみられる。

やはりそうか。空腹には欲望を抑え――雑念を離れ、精神の集中を助ける働きがあるようだ。

水谷選手は今年の全日本卓球選手権に臨むにあたってずいぶん節制を重ねたと聞く。

体重を増やさないように食事をコントロールしています。今まで体が重くて、あと5kgは落としたいです。(中略)脂肪も落ちたし、体も軽いですし、このまま落としていきたい。(『卓球王国』2014年4月号の水谷隼選手のインタビューより)

水谷選手は過去のブログでスナック菓子やソーダ類をガマンしているとも書いていた。ヨーロッパのプロ意識の高い選手はみんなそうしているのだという。水谷選手のパフォーマンスが上がったのは、脂肪が落ちて、体が軽くなったことにもよるのだろうが、水谷選手が間食をガマンし、適度な空腹状態を維持していることも影響しているような気がする。

空腹感が心身に好循環をもたらすということは、分かっているが、空腹がなかなかガマンできないという人もいるだろう。どうすれば空腹に克つことができるのだろうか。私の場合は意識の持ちようで克服できた。今までは、いろいろなおいしい食べ物を食べないとなんだか損なような気がしていたのだが、最近は逆にいろいろなものを食べたほうが損に思えてきたのだ。空腹状態が心身に良い影響を与えると信じているので、無駄に満腹状態にするのがもったいないと思えるようになったのである。スーパーで惣菜が安売りされていても、買わなくなった。新製品のお菓子が発売されてもどうでもいい。これらを食べることによって自分の精神的なパフォーマンスを低下させるし、お金もかかる。空腹状態を十分満喫した後、食事も腹八分目になった。

ついでに物欲も弱くなった。新製品の用具などを欲しがらず、あるもので満足し、悠々自適の状態にあると、卓球のことももっと深く考えられる。

【まとめ】
空腹を感じている時は頭がスッキリして、体が軽い。集中できる。それに対して満腹だと、眠くなるし、頭も働かない。なぜか分からないが、嫌なことばかり考えてしまい、ストレスが溜まる。それでまた食べてしまう…。

減量には意識の持ちようが最も効果的だと思う。大義名分が何もなければ空腹をガマンしようという気さえ起こらない。しかし、空腹は心身のパフォーマンスを高めるのに効果的であり、逆に満腹は意識を濁らせ、体も重くするという大義名分があれば、ある程度の空腹には耐えられるはずだ。手軽に食料が手に入る環境に慣れてしまい、この空腹の妙味をしばらく味わっていない人は、ぜひ味わってみてほしい。自分が少し高尚な人間になったような気がする。