「今日のユリカさまのコーディネートはバッチリよ。トップスから靴までロリゴシックで揃えてあるんだから。」
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というような「衣服の組み合わせ」のような意味の「コーディネート」とコーディネーション・トレーニングの「コーディネート」はどういう関係があるんだろう?コーディネーション・トレーニングというと、球撞きとか、鬼ごっことか、そんなものを連想するが、ファッションでいう、「コーディネート」とちっとも関係がない。

そんなことが気になって、辞書をみると、次のように説明してあった。

coordinate

2〈…を〉整合する,調整する,調和させる.
用例
How shall we coordinate these two projects?
この二つの計画をどう調整したらよいだろうか.
Let's coordinate our efforts. 我々はひとつ協調しようではないか.
She coordinates her clothes well. 彼女は着る物を上手にコーディネートさせる.
『新英和中辞典』(研究社)

「コーディネート」というのは「いくつかのものを統一的に連繋させる」というような意味のようだ。ファッションでいうと、スカートや靴、かばん等を黒系統で揃えるといった意味になると思われる。では、それがトレーニングとどう関係があるのか。

コーディネーションとは「動作を行う調整的な能力」を言い、いかに効率よく動けるかということを 意味している。
コーディネーショントレーニングは、すべてのスポーツに共通して重要な神経系のトレーニングである。
『卓球コーチング教本』(大修館) 

この定義ではちょっと分かりにくいので、他の説明に拠ると

眼や耳などの五感によって、身体の内側と外側の情報刺激を分析、把握しながら、今もっとも適切な行動は何なのかを判断して、すぐに行動に移す。これがコーディネーションの主なしくみです。
NHK 視点・論点 「コーディネーショントレーニング」 

ようするに、筋力トレーニングではなく、神経と身体部位を適切に連繋させるトレーニングというのがコーディネーショントレーニングということらしい。そうすると、早口言葉などはその典型ではないだろうか。「僕、ボブ」というのを素早く10回言うというのは、非常に難しい。脳からの指令を口が正確に実行できない。

私にはまだピンと来ない。卓球にこのようなトレーニングが必要なのだろうか。反応が良くなるというのはもちろん卓球にも役に立つが、そんな都合のいいトレーニングがあるだろうか。どこに打たれるか分からないスマッシュを前陣で取る練習とか?

以下のページでより分かりやすく解説してあった。

「コーディネーション」とは、 1970年代に旧東ドイツのスポーツ運動学者が考え出した理論で、コーディネーション能力を7つの能力に分けてとらえています。その7つの能力とは、「リズム能力」「バランス能力」「変換能力」「反応能力」「連結能力」「定位能力」「識別能力」で、スポーツを行っている時は、これらの能力が複雑に組み合わさっているのです。
例えばサッカーをしている場合、身体をバランス良くリズミカルに動かす(リズム能力・バランス能力・連結能力)、ボールの落下地点へ身体を移動する(反応能力)など、さまざまな能力が絶えず複雑に機能しているのです。

あぁ、なるほど。例えばコーナーキックを蹴って、落ちてきたボールのバウンド位置を予測して、走りながらシュートを打つといった一連の動作を上手にできる人もいれば、バウンドしたボールを空振りしてしまう人もいる。こういう能力は卓球にも必要だ。コーディネーションにはいくつかの種類があって、そのうちのタイミングやリズムの能力は卓球能力の向上に大いに役立ちそうだ。

私の今の課題は上半身と下半身の連繋なので、素早くリズミカルに動きながらラケットを振る動きに近いトレーニングでもあれば、いい練習になりそうだ。素振りをしながら歩くとか、そういうのは直球すぎて、恥ずかしいし…(前記事「常住卓球」)。

しかし、どんな練習でその能力を高めればいいのか。上に挙げた『卓球コーチング教本』には、平均台をまっすぐ歩くとか、球撞きとか、雲梯とか、スキップなどが例として挙がっていたが、こんな練習でタイミングやリズムの能力が劇的に高まるのだろうか。たしかに平均台はバランス感覚を、スキップはリズム感を養うのに関係がありそうだが、そんなまどころしいことをしなくても、シャドープレーでフットワーク練習をしたほうが効率がよさそうな気がする。球撞きは一人でできるし、役に立ちそうな気もするが、鬼ごっこが卓球能力の向上にどれだけ役立つのだろうか。

結局、納得の行く解答は出ないが、コーディネーショントレーニングというのは、気分転換とか気晴らしといった意味合いが強いのかもしれない。効率だけを求めれば、シャドープレーが最も効率がいいと思うのだが、部活などで、毎日同じ練習ばかりしていると、飽きてしまうので、ときどきこんな練習をしてみてはどうかという位置づけなのかもしれない。練習時間がなかなかとれない社会人が、自宅で手軽に取り組める練習なのかと期待していたのだが、私には関係なさそうだ。