100%の力でボールを打つのは難しい。多くの初中級者は本当にその難しさに気づいているのだろうか。
相手のボールに合わせて打つだけなら、安定性が高く、8~9割方ミスせず返球できるが、強く打ち返してやろうと思ったとたん、ミスを連発する。
私はプレー中に自分がどんなミスをしたか振り返ってみると、半分以上は強く打とうとしたときのような気がする。つまりこういうことだ。

   振ったときボールが入る確率
100%  ■
90 % ■■
80 % ■■■
70 % ■■■■■■
60 % ■■■■■■■■
50 % ■■■■■■■■■■

※上の図は私の中のイメージなので、実際のデータに基づくものではない。ブロック等は想定してない。

多くの初中級者は恐れを知らず、100%の力で打っても、だいたいボールが入ると思いこんでいる気がする。しかしコースの決まった練習ならまだしも、試合形式の、どこにボールが来るかわからないラリー中なら、100%の力で打ってボールが入る確率は1割程度なのではあるまいか。タイミングや打球点、ボールタッチやストロークの方向などの条件が完全に合致したときにしか100%のボールは入らない。たしかにフォア前に適度な長さのゆるいツッツキが送られてきたときなどは、初中級者でも100%の力で打つことはできるだろう。しかし、試合形式でそんな甘いボールが来ることは稀だ。そうではない、予想とはちょっと違うコースに、低くて速いボールが来たとき、100%の力で打っても自爆するだけだ。だから、90%、80%の力で打つ初中級者が多いが、それでもかなり難しいタイミングが要求されるだろう。その針の穴を通すようなシビアなタイミングで上級者は安定して80~100%のボールを打つことができるが、初中級者の打球は、タイミング等になんらかの狂いを生じている場合が多いので、多くの場合ミスしてしまう。

dameningen
「俺まだ100%の力出してないしぃ」 
最近の若者はあえて本気を出さない人が多いという。


速いボールを打つと、速いボールが返ってくる。あたりまえのことだ。だからボールを打つ前によく吟味してみるべきだ。「このボールが返ってきたとき、自分は対応できるのか」と。もし自分が無理な体勢にあって、100%の強打を放ったとしても、相手の打ちやすいコースなら、それは返球される可能性が高い。そうすると、こちらは次のボールに対応できない可能性が高い。それならちょっと考えなおして、70%ぐらいの打球でとりあえずつないで、次のボールを100%の力で決めにいったほうがいいのではないか。つまり、100%の力で打つのは確実に仕留められる場面だけに限り、それ以外のボールの場合はもっと力を抑えて打つのが身の丈に合ったプレーなのではないか。

安定性と威力のバランスを考えると、私の場合、70%以下の力で打球すると、相手の強打を浴びずに最も安定したボールが打てるようだ。安定性を優先した場合、50%の力でもいいかもしれない。70%と80%の間には大きなギャップがあると感じられる。

釣り研修(双恵丸) 010

釣りをイメージしてみてほしい。魚がかかったからといって、むやみに引っ張ったら、糸が切れたりして獲物をとり逃してしまうこともある。そうではなく、慎重に少しずつ糸を巻きながら、魚が弱るのを待ち、魚が観念したときに一気に釣り上げるという戦略が卓球のラリーにも言えるのではないだろうか。
「来た!」
「来た!」

「今だ!」
「今だ!」

「今だ!」2
「ピチャ!」

「慌てちゃダメ!少しずつ、少しずつ」
「慌てちゃダメ…」

「ふぅ~!やれやれ」
「ふぅ~やれやれ」

まとめ
初中級者は自分がどのぐらいの強打を打てるかを自覚していない人が多い。むやみに強打を打つのではなく、強打のリスクをもっと自覚し、70%以下の力で安定した卓球をしたほうがもっと卓球を楽しめると思われる。