最近、身体の使い方をいろいろ模索するあまり、何が正しいのかよくわからなくなってしまった。
そこで基本中の基本、フォア打ちから見なおしてみようと思い立った。
ぐっちぃ氏のフォア打ちの動画があったので、それを参考にしてみた。
ぐっちぃ氏は指導経験も豊富で、実力もあるので、彼の言うことは信用できる。といっても盲目的に従うべきではないと思う。いくら経験豊富な人でも、気づかないことや間違っていることが少なからずあるからだ。
以前、英語の先生(日本語の上手な英語のネイティブスピーカー)にこんな質問をしたことがある。
「母音で始まる単語の前の"the"の発音はザではなく、ズィに変わりますよね?たとえば"earth"とか。」
「そんなバカな。どんな単語でも、"the"は"the"ですよ。The earth is round...あれ?」
ネイティブはこの発音の変化を意識していなかったのだ。空気のような存在の母語であるからこそ気づかないということもある(「母音の前のTheって」)。日本人だって「心配」と「反対」の「ん」の音が変わっていることに気づかないのが普通だ。フォア打ちも同様に卓球人にとっては空気のような存在だから、ぐっちぃ氏といえども見落としや意識していないことがあるのではないだろうか。
以下、動画中のぐっちぃ氏の発言を検証したい。
「強い選手ほどフォア打ちが上手い、フォア打ちが上手い選手ほど強い選手という傾向があります」
なるほど。やはりフォア打ちはフォア打法の基本だということか。言い換えれば全てのフォア打法に通じるということかもしれない。そうだとしたら、「通じている」のは何かが問題になってくる。
「ラケットの面は垂直にするか、気持ちかぶせ気味にする」「気持ちかぶせる程度で押し出す」
このコメントの「垂直」はボールに対して垂直か、台に対して垂直か分からない。かなり傾けているように見えるので、ボールに対してということかもしれない。そしてこするのではなくて、押し出すように打つのがいいようだ。押し出す感覚を身につけることでボールをラバーに食い込ませる感覚を養うということかもしれない。
「バックスイングは身体の真横からスタートしてスイングする」
後ろに引きすぎると、スタートが遅れて、手打ちになりがちだという。早いピッチに対応できるよう、あまり引き過ぎないほうがいいという。
「スイングは頭まで振らない」「頭の前ぐらいでラケットを止めてもらうぐらいがいいですね」
私はフォアドライブのときは、しっかり横に振り切った方がいいと思い始めている(前記事「横に振りきれ」)が、ぐっちぃ氏はフォア打ちのときはピッチの早さを優先してあまり振り切らない方がいいという。しかし、これではフォームが小さくなって、ドライブなどの強打を打つときに悪い癖となってしまわないだろうか。私の個人的な意見にすぎないが、もっと大きなスイングのほうがいいのではないかと思う。
スイングが小さくなって、ついねこぱんちのようなスイングをしてしまう…
「頭の前で止めて、その反動で戻す」「直線の移動で戻るほうが早いです」
これは一般的な意見とは異なると思われる。一般的なのは楕円を描くように戻すということである。ぐっちぃ氏ももちろんそれを承知しているが、それでも戻りの早さを優先してあえて直線移動で戻ったほうがいいという。しかし、切り替えのように素早くフォア→バックを打たなければならないとき、直線で戻す癖がついてしまうと対応しにくくならないだろうか。ふだんのラリーでも、いつもの癖で、つい直線的に戻してしまうと、一度フォアに戻してからバックのボールを打つことになりやすいのではないか(前記事「ラケットのニュートラルポジション」)。
「打球位置は身体の気持ち斜め前」
打球位置が身体の真横になると、振り遅れてスイングが「つまる」のだという。
「ラケットを引くときは、右足に体重が乗っています」
「打つ瞬間に左足に乗る」
「1球1球重心移動することで体を使って打つという感覚が養えます」
「この時に腰も右から左に動かすような感覚」
「基本、右から左に身体を動かす」
「足と腰が重心移動することで、ラケットをそんなに動かさない状態であっても、腰、足の動かし方で勝手にラケットが回ります」
「足と腰を主体とした重心移動をしてもらうことできれいなフォア打ち、体を使ったフォア打ち伸びるフォア打ちってのが覚えれる形です」
「上級者のフォア打ちは小さい振りでリズムがいい」
ここがぐっちぃ氏の最も強調したいところだろう。いいフォア打ちを一言で言えば重心移動である。同じWRM知恵袋の動画「フォアドライブ徹底分析」では打つときに「右足を沈み込ませてタメを作る」「足と身体でタメて打つ」との説明がある。ただ、原田隆雅氏の動画では、下回転のボールをドライブする場合についてだが、「左→右」の重心移動がいいという(前記事「重心移動を回転運動に」)。私も実際に試してみたのだが、やはり一般的な「右→左」のほうがやりやすかった。「左→右」のほうが体のブレなどが軽減されるのかもしれないが、難しいと感じた。
なお、xia氏の動画ではフォアドライブについて以下のようにコメントしている。
「右腰で押すようなイメージで打っています」
「よく右から左へ重心移動しろって言われるんですけど、どっちかというと、押し…」
最後の部分は聞き取れなかったが、xia氏の感覚ではドライブの場合は重心移動よりもむしろ右腰で押すイメージのようだ。重心移動か、押すイメージか、フォア打ちではどちらなのだろう?
ぐっちぃ氏の解説に戻る。
「フリーハンドは右手と連動するような形でお腹の前に添えてあげる」
「スタンスは肩幅よりも少し広く、右足よりも左足のほうが足1こ分前になった状態」
動画ではフリーハンドが連動しているように見えなかったのが残念である。フリーハンドの技術はかなり重要だと思われるが、詳細はわからない。
スタンスなどは一般的な説明と同じである。
【まとめ】
ここまで検証してみて、ぐっちぃ氏のフォア打ちのキモは右から左への重心移動ということがわかった。私はこの説明はとてもわかりやすいと思う。「腰を使って打て」などと言われるよりも、重心移動をすれば、自然に腰も腕も回るという説明のほうが分かりやすい。冒頭の私の問題提起、全てのフォア打法に通じるものというのは、この重心移動なのではないか。
ただ、いくつか賛成できない点もあった。「スイングを小さくして顔の前あたりで止める」「直線的に戻す」という点である。何が「正しい」かというのは目的や人によって違うので、一概にはいえない(できれば動画の中でフォア打ちの意義についてのより詳細な議論もほしかった)。これはあくまで「私にとって」適当かどうかという観点なのだが、私はスイングが縮こまりがちなので、もっと大きく肩の辺りまで振って(ただしバックスイングは小さく)、楕円形で戻したいと思う。そのほうが私の苦手な切り替えにいい影響をもたらすと思われるからである。早いピッチでムダのないスイングでフォア打ちをするという目的ならぐっちぃ氏のフォア打ちを採用したいと思うが、私にとってフォア打ちは全てのフォア打法の中継地点(前記事「練習メニューの仕分け」参照)という位置づけなので、ぐっちぃ氏の提唱するフォア打ちのうち、上記2点を私なりにカスタマイズして取り入れたいと思う。
参考までに新井卓将氏のフォア打ちの動画も挙げておく。
タップダンスをしながらラリーするイメージです。
ぐっちぃ氏にはない、リズムとステップについての言及があり、参考になる。
他にも細かいことを考えれば、打点・目線・ヒジ・膝・ラケットヘッドの高さ、身体の開き具合なども気になるところだ。特にペンの場合はラケットヘッドの向きが重要だと思われる(以下の動画を参照。かなり声が聞き取りにくいが)。
そこで基本中の基本、フォア打ちから見なおしてみようと思い立った。
ぐっちぃ氏のフォア打ちの動画があったので、それを参考にしてみた。
ぐっちぃ氏は指導経験も豊富で、実力もあるので、彼の言うことは信用できる。といっても盲目的に従うべきではないと思う。いくら経験豊富な人でも、気づかないことや間違っていることが少なからずあるからだ。
以前、英語の先生(日本語の上手な英語のネイティブスピーカー)にこんな質問をしたことがある。
「母音で始まる単語の前の"the"の発音はザではなく、ズィに変わりますよね?たとえば"earth"とか。」
「そんなバカな。どんな単語でも、"the"は"the"ですよ。The earth is round...あれ?」
ネイティブはこの発音の変化を意識していなかったのだ。空気のような存在の母語であるからこそ気づかないということもある(「母音の前のTheって」)。日本人だって「心配」と「反対」の「ん」の音が変わっていることに気づかないのが普通だ。フォア打ちも同様に卓球人にとっては空気のような存在だから、ぐっちぃ氏といえども見落としや意識していないことがあるのではないだろうか。
以下、動画中のぐっちぃ氏の発言を検証したい。
「強い選手ほどフォア打ちが上手い、フォア打ちが上手い選手ほど強い選手という傾向があります」
なるほど。やはりフォア打ちはフォア打法の基本だということか。言い換えれば全てのフォア打法に通じるということかもしれない。そうだとしたら、「通じている」のは何かが問題になってくる。
「ラケットの面は垂直にするか、気持ちかぶせ気味にする」「気持ちかぶせる程度で押し出す」
このコメントの「垂直」はボールに対して垂直か、台に対して垂直か分からない。かなり傾けているように見えるので、ボールに対してということかもしれない。そしてこするのではなくて、押し出すように打つのがいいようだ。押し出す感覚を身につけることでボールをラバーに食い込ませる感覚を養うということかもしれない。
「バックスイングは身体の真横からスタートしてスイングする」
後ろに引きすぎると、スタートが遅れて、手打ちになりがちだという。早いピッチに対応できるよう、あまり引き過ぎないほうがいいという。
「スイングは頭まで振らない」「頭の前ぐらいでラケットを止めてもらうぐらいがいいですね」
私はフォアドライブのときは、しっかり横に振り切った方がいいと思い始めている(前記事「横に振りきれ」)が、ぐっちぃ氏はフォア打ちのときはピッチの早さを優先してあまり振り切らない方がいいという。しかし、これではフォームが小さくなって、ドライブなどの強打を打つときに悪い癖となってしまわないだろうか。私の個人的な意見にすぎないが、もっと大きなスイングのほうがいいのではないかと思う。
スイングが小さくなって、ついねこぱんちのようなスイングをしてしまう…
「頭の前で止めて、その反動で戻す」「直線の移動で戻るほうが早いです」
これは一般的な意見とは異なると思われる。一般的なのは楕円を描くように戻すということである。ぐっちぃ氏ももちろんそれを承知しているが、それでも戻りの早さを優先してあえて直線移動で戻ったほうがいいという。しかし、切り替えのように素早くフォア→バックを打たなければならないとき、直線で戻す癖がついてしまうと対応しにくくならないだろうか。ふだんのラリーでも、いつもの癖で、つい直線的に戻してしまうと、一度フォアに戻してからバックのボールを打つことになりやすいのではないか(前記事「ラケットのニュートラルポジション」)。
「打球位置は身体の気持ち斜め前」
打球位置が身体の真横になると、振り遅れてスイングが「つまる」のだという。
「ラケットを引くときは、右足に体重が乗っています」
「打つ瞬間に左足に乗る」
「1球1球重心移動することで体を使って打つという感覚が養えます」
「この時に腰も右から左に動かすような感覚」
「基本、右から左に身体を動かす」
「足と腰が重心移動することで、ラケットをそんなに動かさない状態であっても、腰、足の動かし方で勝手にラケットが回ります」
「足と腰を主体とした重心移動をしてもらうことできれいなフォア打ち、体を使ったフォア打ち伸びるフォア打ちってのが覚えれる形です」
「上級者のフォア打ちは小さい振りでリズムがいい」
ここがぐっちぃ氏の最も強調したいところだろう。いいフォア打ちを一言で言えば重心移動である。同じWRM知恵袋の動画「フォアドライブ徹底分析」では打つときに「右足を沈み込ませてタメを作る」「足と身体でタメて打つ」との説明がある。ただ、原田隆雅氏の動画では、下回転のボールをドライブする場合についてだが、「左→右」の重心移動がいいという(前記事「重心移動を回転運動に」)。私も実際に試してみたのだが、やはり一般的な「右→左」のほうがやりやすかった。「左→右」のほうが体のブレなどが軽減されるのかもしれないが、難しいと感じた。
なお、xia氏の動画ではフォアドライブについて以下のようにコメントしている。
「右腰で押すようなイメージで打っています」
「よく右から左へ重心移動しろって言われるんですけど、どっちかというと、押し…」
最後の部分は聞き取れなかったが、xia氏の感覚ではドライブの場合は重心移動よりもむしろ右腰で押すイメージのようだ。重心移動か、押すイメージか、フォア打ちではどちらなのだろう?
ぐっちぃ氏の解説に戻る。
「フリーハンドは右手と連動するような形でお腹の前に添えてあげる」
「スタンスは肩幅よりも少し広く、右足よりも左足のほうが足1こ分前になった状態」
動画ではフリーハンドが連動しているように見えなかったのが残念である。フリーハンドの技術はかなり重要だと思われるが、詳細はわからない。
スタンスなどは一般的な説明と同じである。
【まとめ】
ここまで検証してみて、ぐっちぃ氏のフォア打ちのキモは右から左への重心移動ということがわかった。私はこの説明はとてもわかりやすいと思う。「腰を使って打て」などと言われるよりも、重心移動をすれば、自然に腰も腕も回るという説明のほうが分かりやすい。冒頭の私の問題提起、全てのフォア打法に通じるものというのは、この重心移動なのではないか。
ただ、いくつか賛成できない点もあった。「スイングを小さくして顔の前あたりで止める」「直線的に戻す」という点である。何が「正しい」かというのは目的や人によって違うので、一概にはいえない(できれば動画の中でフォア打ちの意義についてのより詳細な議論もほしかった)。これはあくまで「私にとって」適当かどうかという観点なのだが、私はスイングが縮こまりがちなので、もっと大きく肩の辺りまで振って(ただしバックスイングは小さく)、楕円形で戻したいと思う。そのほうが私の苦手な切り替えにいい影響をもたらすと思われるからである。早いピッチでムダのないスイングでフォア打ちをするという目的ならぐっちぃ氏のフォア打ちを採用したいと思うが、私にとってフォア打ちは全てのフォア打法の中継地点(前記事「練習メニューの仕分け」参照)という位置づけなので、ぐっちぃ氏の提唱するフォア打ちのうち、上記2点を私なりにカスタマイズして取り入れたいと思う。
参考までに新井卓将氏のフォア打ちの動画も挙げておく。
タップダンスをしながらラリーするイメージです。
ぐっちぃ氏にはない、リズムとステップについての言及があり、参考になる。
他にも細かいことを考えれば、打点・目線・ヒジ・膝・ラケットヘッドの高さ、身体の開き具合なども気になるところだ。特にペンの場合はラケットヘッドの向きが重要だと思われる(以下の動画を参照。かなり声が聞き取りにくいが)。
コメント
コメント一覧 (2)
その目的に合うのであれば、何が正しいかは、あまり気にする必要がない。
また、その確認内容も人によって、その時によって様々である。
自分の骨の一つ一つの連携具合を確認する人もいれば、球をラバーと板で持つ感覚を確認する人もいる。台の特性やボールの特性に注意を向けることもある。音とスピードの整合性をチェックすることもある。
コメントありがとうございます。
上級者からみたフォア打ちの位置づけについてのご教示、ありがとうございます。
骨の感覚や台の弾みの確認というのは、すごいですね。
そのデリケートな感覚がつかめないと、勝てる試合も勝てなくなるということなんでしょうね。