今回は卓球用のグルー(接着剤)の代用品について書いてみたい。
※卓球用の有機溶剤のグルーは使用・生産禁止になっています。試合では使用してはいけません。
昔の接着剤はよかった。すぐに貼れて、簡単に剥がせた。そして安かった。
しかし今の接着剤はやっかいなことばかりだ。
高い。皮膜(カス)が残る。そして最悪ラバーのスポンジ、ラケットの表面の板まで持っていく。
ラバーに残った皮膜。白っぽい部分がそうである。他のラケットに貼るためにこの皮膜をキレイに剥がさなければならないのだが、1時間ぐらいかかる。しかも完全には剥がせない時もある。
世間で一般的に評価されているのは次の接着剤である。
ファインジップ25ml:520円~
のり助さん40ml:590円~
フリーチャックⅡ20ml:330円~
ファインジップは皮膜(カス)がはがしやすいと評価が高いが、私の経験から言うと、それほどでもなかった。ちゃんと推奨されたスポンジで塗っていなかったからかもしれないが、薄く塗ると皮膜が非常に剥がしにくい。厚く塗ると、皮膜は剥がしやすいが、ラケットの表面を持って行かれてしまう。接着力が強力すぎるのだ。
ラケットの表面の板が剥がれて、右側にかなり深い穴ができてしまった。orz
それ以外にもささくれたようにかなりたくさん板が剥がれてしまった。このラケット、お気に入りだったのに。
ただ、これはニッタクの古いラケットの特徴なのかもしれない。以前セプティアーの表面の板が剥がれたというレビューを読んだことがある。
のり助さんは卓球ショップの人が勧めていた。今までの中で一番失敗が少ないということだった。
フリーチャックⅡはこの中ではもっとも新しい製品だが、非常に水っぽい。おそらく接着力は一番弱いだろう。しかしそれでも不安なので(「王励勤」の悲劇はもうゴメンだ)、私はラバーを貼る前にラケットを軽く濡らしてから接着剤を塗る。今までのところ、これで板を剥がしたことはない。
他にも接着シートというものがある。
TSP接着シート:150円~
しかし、1回しか使えないのに150円もするのはどうかと思う。
ただ、これなら貼るときに空気が入らないように気をつければ、非常に安全だ(たぶん)。
私はこの製品を使って、ラバーを貼り、それを剥がしてみた。シートはラケットにくっついていて、ラバーのスポンジは無傷だった。そしてシートはまだ十分な接着力を持っていたので、そのままもう1枚貼って使ってみたが、普通に使えた。
以上、現在の公認接着剤の問題点を指摘してきた。そしてこの現在のグルーに代わるものはないかといろいろ探してみた結果、以下の製品が見つかったので、試してみた。
ゴムのり(ノントルエン)85ml:300円ほど
エコセメント100ml:800円ほど
バルカーン:1100円ほど
どれもマルニ工業の製品で、自転車のパンク修理用の接着剤である。チューブとパッチをつけるための接着剤らしい。
これらは公認接着剤ではないので、個人的に楽しむために使っている。
現在の公認接着剤は木工用ボンドのような白くてドロドロした液体だが、これらのパンク修理用接着剤はやや白濁した透明でトロッとした液体である。
すぐ乾いて、剥がすのも楽(接着力が弱い)。皮膜は薄くほとんど気にならないので、剥がさずそのまま別のラケットに貼り付けられる。
ただ気になるのは人体にどのぐらい有害かということだ。この3つの製品の毒性についてマルニ工業に問い合わせたところ、次の回答を得た。
バルカーンにはトリクレンが含まれますので、毒性の高い有機溶剤となります。
ゴムのり(ノントルエン)にはノルマルヘキサン
エコ・セメントにはメチルシクロヘキサンを含みます。
有機溶剤としましては、ゴムのり(ノントルエン)とエコ・セメントは毒性の低い溶剤となります。
よくわからないが、バルカーンは危ないらしい。
また、接着力はどうか。あまり接着力の強いものは困る。これについては以下の回答を得た。
チューブとパッチでの接着力の強度は次の順番になります。
バルカーン>ゴムのり(ノントルエン)>エコ・セメント
やはりバルカーンは卓球のラバー接着には適しないようだ。
ゴムのり(ノントルエン)とエコセメントが適当なのだが、値段が倍以上違う。エコセメントにはハケがついていて、少し容量が多いにしても、ゴムのり(ノントルエン)が最も経済的だと言えよう。
そこで私は今、ハケが付いているエコセメントを使っているが、使いきったらゴムのり(ノントルエン)を補充しようと思う。ゴムのり(ノントルエン)は以前使っていて、歯ブラシでラケット・ラバーに塗りつけていたのだが、けっこうロスが多い。
ゴムのり(ノントルエン)は接着にはまったく問題がなかった。エコセメントは貼っただけで、まだ剥がしていないので、剥がす際の問題点を報告できないが、おそらく大丈夫だろう。
まとめ
これらのゴムのりは私的に楽しむ範囲では公認接着剤よりもずっと経済的で機能的で、ラケットにやさしい。
また、スポンジにグルーが染みこんでラバーの反発力が増し、よく弾むようになる(スピードグルーと同様、ラバーが反り返るが)。ボールを売った時の感覚がブルンブルンと心地よい。公式試合に出られないという点を除けば非の打ち所のない接着剤である。
機会があれば、次はより人体に無害な文房具の合成のりなども試してみたい。
追記1:世の中の人は現在の公認接着剤で不便を感じていないのだろうか。先日、初めてスポンジを使って公認接着剤(ファインジップ)でラバーを貼ってみた。すると、けっこう剥がしやすかった。もしかしたら、スポンジを使って塗れば、古いラケットでも問題なく剥せるのかもしれない。
追記2:エコセメントで何度も貼ったり剥がしたりしたが、全く問題なく使えている。ただ、ラケットに水性ニスを塗ると、逆に接着力が弱すぎて、軽く塗っただけでは部分的に剥がれてしまうことが多い。ラケットを回したりして、ラバーの端が指や服に当たったりすると、その部分が剥がれてしまう。ベッタリと十分にエコセメントを塗り、ラバーがラケットからはみ出ないようにカットして使っている。
コメント
コメント一覧 (5)
まさか貼ろうとしているわけでは・・・?
しかし、一本差しで重いラバーを貼ってドライブを極めれば、遠心力で強烈なボールが打てるかもしれません。
私はそれを使っていた世代ではないので分かりません。