「今日は調子が悪い。全然入らない。」

卓球ではこんな嘆きをよく耳にするが、この「調子」というのはなんなのだろうか。

その一方で

「今回の期末テストは調子が悪かった。前回は200人中30位だったのに、120位になってしまった。」

という嘆きを耳にすることは稀だ。テストの点数が悪かったのは、単に勉強が足りなかったという原因が明らかだからだ。全科目をまんべんなく復習したにもかかわらず、たとえば前回の順位を100位近くも落としたというのはありえない。もしそういうことがあるなら、テストの方に問題があると言える。

卓球には理不尽な「調子の波」というものがある。

2008-2-16-8
「神様なんて・・・いつもそうよ・・・いつも理不尽なことばかり・・・」
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いくら練習してもその「波」に乗れなければ、試合でいいプレーが全く出ないのだとしたら、こんな理不尽なことはない。そうではなく、いいプレーができないのは私たちの自身に対する認識や自己省察の方に問題があるのではないだろうか。

サービスの第一バウンドは重要である。サービスミスをするかどうかは第一バウンドを狙い通りのところに落とせなかったから、ということが多い。どうしてサービスミスをするかを考えてみると、いくつかの要因があるように思われる。たとえば

A 打点が早(高)すぎたり遅(低)すぎたりする
B ボールを当てるブレードの位置(ブレードの先端か、グリップ寄りか等)がいつもと違う
C ブレードの入り方(ブレードの先端から入るか、肩、真横から入るか)がいつもと違う
D ボールを当てる厚さがいつも違う
E 第一バウンドの位置がいつもと違う
F インパクトをするときの位置(ラケットの身体からの距離)がいつもと違う

他にもあるかもしれないが、少なくともこれらの項目が要因として考えられる。もしサービスが入らない場合、これらの項目をチェックして、ふだんと同じに修正できれば、サービスミスはそうそうしないのではないだろうか。数センチ単位の厳しいコントロールが要求される上級者ならともかく、一般的な選手なら、これらのすべての項目を確認すれば、ふだんとさほど変わらないサービスが出せるはずだ。

ただ、私たち中級者はサービスを打つとき、これほど細かく分析していない。「厚さ」と「第一バウンドの位置」ぐらいしか意識していない人が多いのではないだろうか。私の場合はそれさえもあまり意識していない。その結果、感覚でプレーしてしまい、「調子の波」に乗れなくなったときには、どこが狂っているのか分からず、自身のプレーの修正のしようがない。
上級者はそうではなく、「調子」が悪い時でも、ふだんのプレーのイメージを明確に持っており、それらを一つ一つ確認すれば、どこが狂っているかが分かり、自ら修正可能なのではないだろうか。

これはサービスにとどまらず、他の様々な打法でも同様だと思われる。初中級は自分の打ち方を大雑把にしか把握していないのに対して、上級者は自分の打ち方を複数の項目に分解して(前記事「眼光紙背に徹す」)、細かく分析・意識化しているのだろう。ドライブがうまく入らない時には

「スイングスピードはどうか」
「スイングの円の半径はどうか」
「当て方や軌道は?」
「下半身との連携は?」
「戻りの早さはどうか」

など、ふだんの自分のプレーに対するイメージが複数の項目にわたって明確にあるのではないだろうか。上級者と中級者の違いは分析の細かさとイメージの明確さに帰するというのが私の見立てである。

【まとめ】
ほんの数センチという精密さで卓球をしているのでない限り、自分のプレーが「調子の波」などという、運不運のめぐり合わせに支配されているなどと考えるべきではないだろう。自身のプレーを構成要素に分解して点検し、狂いの元を突き止めれば、調子に大きく影響されることはないのではないか。調子の波があるという人はもっと自分のプレーを細部まで見つめる必要があると思われる。