「テナジーとオメガVとどちらが高性能なのか。イヤイヤ、ラザントやブルーファイヤ、ファスタークやラクザ7も侮りがたい。」

このブログで「検索ワード」というのが見られる。どういう語を検索してこのブログに辿り着いたのかが分かるわけだ。ときどきその「検索ワード」をチェックしてみると、ラケットやラバーの名前で検索してくる人が非常に多い。どうやら多くの読者の関心は用具にあるようだ。

とすると、このブログで私のひとりよがりな由無し事を綴るよりも、用具をいろいろ買ってみて、その感想などを書いたほうが喜ばれるということなのかもしれない。

つらつら考えて見るに、同じ価格帯のラバーの優劣というのはどの程度なのだろうか。定価6000円ほどの最高級テンションラバーと定価3000円ほどの旧式の「高弾性ラバー」を比較すると、たしかにボールの威力がかなり変わるかもしれない。しかし同価格帯のテナジーとオメガの違いというのは、せいぜい弾みや引っ掛かりが数%違う程度なのではないだろうか(弧線がどうのということは私には分からない)。全国レベルの選手にはその差が致命的なのかもしれないが、多くの人にとっては、誤差の範囲でしかなく、しばらく使っていれば、自分の感覚がラバーに慣れてくる、あるいは経月変化で性能差は解消されるのではないだろうか。1ヶ月前に使ったときはとてもいい感じだったが、久しぶりに使ってみたら、イマイチだった、あるいはその逆ということもよくある。これは自分の打法や感覚が変わったせいだと思われる。「ラバーXはラバーYよりも高性能だ!」という中級者のレビューは、実は気のせいという要因も大いに与っているのではないだろうか。

「いいラバー」かどうかを決めるのは、結局のところ自分の打法に対する相性であり、同価格帯のラバーなら、ラクザが高性能だとか、ラザントのほうが上だといった議論は、あまり意味がないと思われる(少なくとも初中級者にとっては)。
私は用具が嫌いというわけではないのだが、最近の用具をめぐる狂騒には違和感を感じる。

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最近出た裏ソフトラバーの数々。毎年おびただしい数のラバーやラケットが発売されている。これからも毎年2~30枚ぐらいの新製品ラバーが発売されるのだろうか。一体そんなに種類を増やす必要があるのだろうか。何のためにそれほど多くの用具を発売するのだろうか。

こういう事情をみるにつけ、現在の出版業界のことが思い合わされる。私は出版業界の人間ではない(もちろん卓球業界の人間でもない)ので、以下の考察は憶測が多く含まれているので注意されたい。

現在、出版業界は非常に苦しい。長年読み継がれる本は少なく、出版各社は次々と新刊を出してはその場をしのいでいる。新刊を出せば、とりあえず人の注目を浴び、書店の目立つ棚に置いてもらえ、ある程度の売上が見込める。出版の企画や執筆期間はどんどん短縮され、質より量となってくる。新刊は2~3ヶ月もすれば書店の片隅に追いやられ、挙句の果てに返本の憂き目に遭う。店頭に並ばなくなった本は売上がガクンと落ちる。出版社は何が何でも新刊を出し続けなければならない。
最近では余った在庫のカバーだけを新しいデザインのものに替えて「新装版」などといって出しているものさえ目にする。

ラバーも同様に次々と新しい製品を出さないと、注目されなくなり、新製品を次々と出している他社にシェアを奪われてしまうという仕組みなのかもしれない。市場に問うほどの新味もないのに、新製品を出さざるをえない。こういう「出したもの勝ち」のような業界の構造が行き着く先は価格競争ではないだろうか。
私の本音は、スピードやスピン性能が向上しているかどうかはどうでもいい、したがってテナジーのような高性能・高価格ラバーを買うよりも、ヴェガ相当のそこそこの性能のラバーが2000円以下で買えるなら、銘柄は何でもいいというものである。卓球人の多くがそのように考えるようになれば、卓球業界も出版業界のように構造不況に陥るのではないだろうか。最近の極薄ラバーのような新分野の開拓ができればそれが望ましいが、こういうユニークな製品の開発はそうそうできるものではない。

現状では、卓球メーカーはゴムづくり、板づくりに精を出しているが、消費者は早晩このおいかけっこに飽きてくるのではないだろうか。数年前に発売された製品と比べて、劇的な用具の進歩が感じられないからである。いや、仮に年々スピードとスピン量が数%ずつ向上していったとして、それに何の意味があるのか。去年と比べて、仮に2倍のスピードのボールが打てるようになったとしたら、卓球が楽しくなるのだろうか?3倍になったらもっと楽しいのだろうか?卓球人は打球スピードやスピン量を向上させることを求めているわけではない。自分の能力の向上をこそ求めているのだ。用具の性能がいくら向上しても、使う人が下手なままなら、卓球はちっとも楽しくならない。卓球メーカーが用具の性能向上にいくら血道を上げても、卓球業界が活性化するとは思えない。

私なら、次々と新しい用具を購入するよりも、自分の能力向上に投資したい。例えば仕事帰りにちょっと上手な人が相手をしてくれるような卓球場にお金をつかいたい。バッティングセンターのようなイメージで「卓球マシンセンター」でもいい。

卓球メーカーはどこへ向かっているのか。これからもスピードとか、「つかむ感覚」とか、スピン性能を追い求めていくのだろうか。もうそういうのは行き着くところまで行っており、十分なのではないだろうか。それよりも、もっと消費者が求めているものを提供したほうが業界全体の活性化にはならないだろうか。

【追記】 140101
新年早々デパートのバーゲンに多くの人が訪れるらしい。
服なんてタンスに入りきらないほどあるだろうに、多くの人はどうしてまた新しい服を高い金を払って買うのだろう?そう考えると、卓球用具を買う人も同じことなんだろうと合点がいった。