初心者にもいろいろなタイプがいるが、私の出会った初心者は大きく2つの類型に分かれる。

  • A:何をするにも慎重すぎて間に合わない。打球時に考えすぎて、気づいたら、振り遅れているタイプ。ラケットをほんの少ししか振らない。
  • B:思い切りがよすぎて、ムチャに打とうとする。考えるより先に、失敗してもいいからとにかくやってみるタイプ。スイングはかなり大振り。

そしてこの2つをミックスしたようなタイプもいる。

  • C:慎重に球質を吟味しているのだが、打つとなったら、ムチャクチャに打ってくるタイプ。

しかし、先日すごい初心者に出会ってしまった。
その人(仮にTさんとしよう)はシェークにもかかわらず、珍しいことにバックハンドが安定していた。
初心者がバックハンドを安定させるのは難しい。なぜなら、バックハンドは体の正面でボールを捉えなければならないからだ。フォアハンドは腕を伸ばして打ってもそこそこボールをコントロールでき、コートに入れることができるが、バックハンドで腕を伸ばして打ったら、初心者はそうそう入るものではない。普通の初心者は体より左にボールが来たら、腕を伸ばして不自然な姿勢で打ってミスをする。そしてミドル(右腰あたり)にボールが来たら、バックハンドではとれない。
しかし、Tさんは左に来たボールも右に来たボールも、体が正面になるようにフットワークを使って移動しながら打っているのだ。しかも、少し前後のフットワークまでおりまぜて。

私が感心したのは、Tさんは「できること」と「できないこと」をちゃんと理解していることだ。Tさんは自分が腕を伸ばしてバックハンドを振ると、安定しないことを知っている。それでラケットを体の正面に引き寄せて、軽くプッシュするようなバックハンドを使っている。

つまり、

体から少し離れたボールを打つには腕を伸ばして振らなければならない。
Tさんは腕を伸ばして安定してボールを打つことが「できない」。
そこでその欠点を補うためにフットワークで腕を伸ばさずともボールが届く位置まで移動して打っている。

という論理なのである。このようなタイプには今まで出会ったことがない。

  • 「できること」と「できないこと」を把握する
  • 「できないこと」を他の「できること」で補う

このような問題解決法はあたりまえのことといえば、あたりまえのことだが、多くの初心者は自分が何ができて、何ができないかに気づいていない。だからできないことでも、できると思い込んで同じ失敗を繰り返すことになる。

翻って自分はどうなのだろうか。この初心者の知恵から学ぶことはできないだろうか。

私は何ができないのだろうか?

残念ながら、私は自分は何ができないかがきちんと意識化できない…。これが意識化できていないと、「できる技術」で補うことができない。

以前、上達の最短ルートとは、自分の弱点を的確に見つけ、それを繕うプロセスの繰り返しだと述べた(前記事「問題意識」)。欠点をもっていることは致命的な欠点ではない。自分の欠点を発見する能力が低いことこそ、上達にいたずらに時間がかかる致命的な欠点だといえないか。「過ちて改めざる」これこそが真の「過ち」というべきだろう。