中高年プレーヤーの肉体的な衰えとして「目がついていかない」というのもよく聞くが、「足が動かない」「足が出ない」という人が最も多いのではあるまいか。私もついそんなことをグチってしまうが、中高年になると足が動かなくなるというのは果たして本当だろうか。「もう中年だから足が動かなくてね」なんていう人は、若い頃はキビキビと動いていたのだろうか。私もときどき「足が動かない」と嘆いたりするが、よく考えてみたら、若い頃からそんなにキビキビと動くタイプではなかった。

「足が動く」というのは、バック側に大きく回りこむことを指すのだろうか。そういう大きく早く動くのは中高年には厳しいかもしれないが、小さく早く動くことは十分可能だと思う。
コートの左角に対角線に向かって構えたとき、ちょうど中央のラインのあたりにボールが来たとき、私は腕を伸ばしてボールを打つ。腕が長い私はその程度の距離なら届いてしまうのだ。それで動かずにボールが打てる。しかし、最近それは違うのではないかと思うようになった。横着して腕を伸ばして打つと、体の軸がブレ、そのため次のボールに対応できなくなる。上手な人は、腕を伸ばせば届くような距離でも小さく一歩踏み出して打っているような気がする。

フットワークには大きいフットワークと小さいフットワークがあると思う。そして私たちが「足が動かない」というときは大きいフットワークを指しているように感じる。しかし大きいフットワークは高度なラリーには必要だが、中級者の卓球にはそれほど必要がないような気がする。むしろ、短いボールには小さく前に一歩を踏み出し、深いボールには小さく後ろに一歩踏み出すといった小さいフットワークが決定的に欠けているように感じる。

この小さいフットワークを意識しだしてから、私の足は「動く」ようになってきた。小さくキビキビと動くことによって振り遅れることが少なくなったし、体のバランスが崩れにくくなった。間に合わない時もあるのだが、それでも卓球をしているという充実感を味わうことができる。

思うに、足が動かない人は、まず上半身から動かそうというクセが付いているのではないだろうか。すべて私の個人的な経験を基にしているので、あまり説得力がないが、私はボールが来たと思ったら、まず腕から動いてしまう。そうではなく、まず足から動き、次に上半身を動かすようにしたら、卓球がかなり変わってくると思われる。

小さいフットワーク、この効果は意外に大きいものである。 「ぴょんぴょん」と併用すれば、さらなる効果が見込まれるだろう。