以前「卓球の見せ方」などでも観戦スポーツとしての卓球に対する提案をしたが、この記事でも観衆が卓球をより楽しめるような提案をしたいと思う。

『卓球王国』2013・8月号に載っていたアメリカのチャンピオン、アリエル・シンAriel Hsingの小さな写真に心惹かれた。

 SN3B0328_0001










腕に”Let Go"と書いてあるではないか。”Let Go"はレッツゴーではない。

let go
(1).〈人が〉自制心を失う,はめをはずす.
(2).(…から)手を放す((of ...)).
(3).(…を)忘れてしまう,捨て去る((of ...)).

出典:e-プログレッシブ英和中辞典

”Let Go"は「解放する」のような意味だが、ここでは

「(自らを)解放しろ!」「囚われるな!」「リラックスして行こう!」

のような意味になるかと思われる。アリエル選手はどのような心態で世界選手権に臨んだのか。あるいは何らかの心境の変化があったことを示唆しているようでおもしろい。ロンドンオリンピックでは勝利にこだわりすぎて、かえって良い結果を残せなかったという反省があるのだろうか。ドラマを感じさせる。

人生卓球



















同じく世界選手権で松平健太選手と死闘を演じた(「二人の若き才能」)サムソノフ選手である。ユニフォームの右袖に「人生卓球」と刺繍してある。サムソノフ選手はこのとき1976年生まれの37歳。どれほどの星霜を卓球に費やしてきたのだろうか。その道は決して平坦ではなかったはずだ。その人生の集大成として今がある。「人生卓球」。この言葉はサムソノフ選手の人生をみごとに言い表している。30歳前後で卓球選手生命を終えてしまうアジアの選手からみると、40歳近い年齢で世界のトップレベルで戦えるというのは驚異的である(参照「卓球選手生命」)。20代の選手には背負いきれない重みのある言葉である。
【追記】「人生卓球」というシャツは海外バタフライで一般的に売られているという。

卓球選手は自身の個性を表現する手段が限られている。私は選手のプレーの個性だけでなく、選手の心理的・人柄的な個性も知りたい。熱心なファンなら「馬琳選手はこの大会が大満貫達成の最後のチャンスだ。この試合にかける意気込みはかなりのものだろう」のようにその選手の事情を知っているので、想像をふくらませていろいろ楽しめるが、それほど詳しくないファンの場合はどの選手も同じように見えてしまい、試合を観ていてもそれほど楽しめない。せいぜい日本選手に勝ってほしいと漠然と思って観戦するしかない。

しかし例えば福岡春菜選手のユニフォームに「サービス命」と刺繍してあったら?水谷隼選手のユニフォームに「王座奪還」と刺繍してあったら?選手の意気込みや個性が感じられて、観戦が俄然おもしろくなってくるではないか。ユニフォームに刺繍というのが大仰だというのなら、ゼッケンに一言コメントを書くとか、アリエル選手のように油性ペンで腕に所信表明を書くというのでもいい。選手が今何を考えているのか。どういう抱負を持って試合に臨んでいるのか知りたい。私は純粋にプレーだけを観てもあまり楽しめない。選手の人柄などを含めて試合を楽しみたいと思う。

個人的には
松平志穂選手のユニフォームにはデカデカと「萌え」と記してほしい。
moe

平野早矢香選手は「Rock Me」。
水谷隼選手には「有言実行」。いや、「ロシアより愛をこめて」のほうがタイムリーでいいかもしれない。
丹羽孝希選手には「唯我独尊」。
森薗政崇選手には「倒れるときも前のめり」。
塩野真人選手には「我武者羅」。

選手がみんなこんなメッセージをユニフォームに入れてくれたら、おもしろいのにと思う。

【追記】130904
最後の各選手への提案として、松平健太選手の「オレの才能はどうだ!!」というのを忘れていた。追加したい。 女子選手で「魔性の女」が似合う人がいればカッコイイのだが。ペン粒で相手を翻弄し、私生活でも恋多き女性だったらピッタリだ。