「テナジー05はどうもしっくりこない。やっぱり64だな。」
こんなことを以前水谷選手が言っていた。世界レベルの選手ともなると、さすがに細かい。

しかしこんなことを言うのは世界レベルの選手に限らない。
県大会レベルの選手でさえ「5枚より、7枚合板がいいけど、シナリがちょっと」とか「このラバーでドライブをかけると、ボールが軽くなるが、弾道は…」とか言ったりする。

みんなどれだけ感覚が鋭いんだ?

私はラバーだったら

「かたい/やわらかい」
「引っかかる/ひっかからない」
「弾む/弾まない」

ぐらいしか体感できない。

ラケットだったら

「軽い/重い」
「硬い/硬くない」
「弾む/弾まない」

ぐらいしか体感できない。ラケットが「しなる」ってどういうことだろう?ドライブの描く弧線が高いとか気のせいじゃないの?

私は毎月のようにラケットを替えるし、ラバーの構成もしょっちゅう変える。なので「自分のボール」というのがない。毎週違うボールを打っていると思う。用具がしょっちゅう変わるので、スイングなども微妙に変わっていると思う。おそらく、世間の人は一定の構成の用具を何年も使い続け、「自分のボール」を確立しているのだろう。それで、新しい用具で試打する時、ふだんの「自分のボール」を尺度にして「回転がかかる」とか「ドライブが低く沈む」とか感じられるのだろう。

ところで、弧線を高く描くのと、低く描くのではどちらが良いのだろうか?高く描いたほうが安定性は高くなるだろうし、低く描いたほうが決定率は高くなるだろう。どちらが良いとは一概にいえない。重いボールと軽いボールなら、重いボールのほうがよさそうだが、そのためにスイングの戻りが遅くなるなら、軽くて速いボールのほうがいいのではないだろうか。

よく「○○より☓☓のほうが高性能」と書いてあるのを目にする。
同じようなドイツ製のテンションラバーを使っていたら、どちらが高性能かというのは私には分からない。
もちろん柔らかい・硬いとか、ひっかかりがいい・悪いというのは分かるのだが、柔らかいのと硬いのとどちらが「高性能」なのか分からないし、ひっかかりが悪いよりはいいほうが望ましいというのが一般的な通念だと思うが、人によっては引っかかりすぎてスマッシュが安定しないなどということもあるだろう。「高性能」というのは何を意味するのだろうか?

先日、非常に球威のある人と卓球をした。ラバーはドニックのDESTOとかいうラバーを使っていた。
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ジャスポで4000円弱

その人のボールは非常に重い。ズシッとくる。その人の打つ軽いドライブをドライブで返そうとしたら、うまくドライブできない。うまく説明できないのだが、ボールをミートしたとたん、バーンと弾かれてしまう感じで、ボールが直線的に飛んでいって、相手コートからわずかに出てしまう。うまくドライブがかけられない。気持ち悪い。そこで私なりに原因を分析してみた。もしかしたら、相手のボールのスピードと球威が強すぎて、こちらのラバーがボールをつかむ前に飛んでいってしまうのではないかと。
そこで思い至った。もしかしたら、ラバーによっては相当な球威のボールでもしっかりボールをつかめるラバーがあるのではないかと。世間で言われている「高性能」ラバーというのは、つまりこういうことなんだろうか?
「相当な球威でもしっかりボールをつかんで、回転をかけ返すことができるラバー」
とすると、私のようなヘタクソではなく、県の上位レベルや全国大会レベルのハイレベルなラリーにおいてこそラバーの性能の高さが大きく影響するのかもしれない。逆に言えば、私程度のレベルではラバーの性能が高い・低いというのはほとんど関係なく、柔らかくて引っかかりのいい安いラバー(ヴェガとか)で十分ということではないだろうか?テナジーとヴェガを打ち比べたことがある。確かにテナジーのほうが弾むし、回転もかかる気がする。しかし私にはテナジーの値段分のアドバンテージは感じられなかった。「高性能」ラバーの恩恵に与れる人は、一部の上級者だけなのではないだろうか。