しろのたつみ



卓球について考えたこと、
気づいたこと(レベル低いです)
を中心に中級者の視点から綴っていきます。




2021年03月

格闘ゲームの攻撃において重要なのは、単発の「通常攻撃」です。
ボタンを押したらパンチとかキックするアレです。

初級者の対戦において大切なのは、確実に通常攻撃を相手に当てることだ、と格闘ゲーム上級者のマスティ氏は語る。

一般的に格闘ゲームというと、派手な必殺技だの、複雑なコンボだのを連想するが、対戦でそれらの大技を普段使いするのは、上級者になるまで控えたほうがいい。初級者は地味な通常攻撃で確実に小ダメージを与えて、相手の体力を削るのが勝ちやすいということだろう。

これは卓球でも通用する考え方ではないだろうか。
上級者の試合を見て、初中級者は試合中に卓球における必殺技――台上ドライブ強打やカウンター、スマッシュ等を使おうとして、ミスを連発してしまう。そんな派手な必殺技が、たまたまうまくいって、1点とったのに味をしめ、何度も必殺技を使おうとして凡ミスを連発して負けてしまうという初中級者を何人も見たことがある。スーパープレーも1点、ツッツキミスも1点。それなら使う機会の多いツッツキのような「通常攻撃」をミスしないように安定させるのが初中級者が勝利に近づく近道であるはずだ。

格闘ゲームにおける攻撃の基本は、
何を押したら何が出て、どの距離でどの攻撃が当たるのか把握することです。
初心者の多くはこれができていないので勝てません。

卓球で言えば、どのぐらいの強さで打てば、台から出るのか、あるいはどのぐらいの時間的な余裕があるときに、どのぐらい強く打てるかを把握することというのが近いのかもしれない。前陣で相手が早い打点でこちらのバック側につっついてきたボールを初中級者が回り込んで豪快な、決めに行くフォアドライブを打とうだなんて無謀すぎる。ボールのコントロールや、時間と、その状況で可能なショットの選択の関係が把握できていない初中級者は、「勝てません」。


動く相手に100%当てるのは上級者でも難しいのでやる必要はありません。
ここで重要なのは、「攻撃を外さない意識」です。

これを卓球に敷衍すれば、実戦の、どこに打たれるか分からない下回転ボールを100%決める(決定打を打つ)ことは上級者でも難しいので、初中級者はそのような練習をする「必要はありません」。初中級者にとって大切なのは、とにかくミスをしない(つなぐ)意識だと言えるだろう。

通常、格闘ゲームの攻撃は、次のような何もできない「硬直」が発生します。

・攻撃が相手に当たった時、相手が動けるようになるまでの時間
・攻撃を相手にガードさせた時、相手が動けるようになるまでの時間

つまり、相手に攻撃をヒットまたはガードされた時、お互い動けない時間が発生します。
この時、相手の方が早く動ける場合、反撃を受けてしまいます。
こういった反撃を受けてしまいやすい攻撃を「隙が大きい攻撃」と呼びます。

卓球でも「硬直」が発生する。
たとえばドライブ強打である。こちらが回り込んで相手のバック側にフォアドライブ強打を打ったものの、相手がそれをプッシュ気味のブロックでストレートに返した場合などは、ふつうは対応できない(フットワークのいい学生なら、連打できるかもしれないが)。フォアドライブ強打の後は「硬直」が発生しやすいからである。逆に軽いループドライブやブロックのような「通常攻撃」は硬直時間が短いので、次のショットに繋げやすい。こういう意味でも初中級者の試合では「通常攻撃」をミスなく使いこなせる(=当てられる)ようにするのが大切である。

攻撃を当てられるようになったら、今度は射程を自由自在に操れるようにしましょう。
その一つが「先端当て」です。
ではこの「先端当て」、何が良いのでしょうか。
具体的には次のメリットがあります。

・最大射程で攻撃できるようになる
・反撃を受けづらくなる

自分の攻撃の当たり判定ギリギリの先端で攻撃を当てると、仮にガードされても、ある程度の距離があるので、相手からの反撃を受けにくいというわけである。

卓球でも、スイングの前半でインパクトを迎えるのではなく、後半で迎えれば、戻りが早くなり、次の相手の攻撃に対応しやすいし、こちらの攻撃にも移りやすい。

分かりやすいのはツッツキである。
ツッツキのスイングの前半でボールに触ってしまうと、相手に打たれた時にブロックが難しい。逆にツッツキのスイングのいちばん最後でボールに触れた場合、戻りが早く、相手の攻撃に備える時間が十分にある。

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以上、対戦格闘ゲームで初級者が勝つためのコツをみてみたが、卓球の対戦にも応用できる部分が多かった。ビデオゲーム(e-sportsというのか?)に限らず、対戦スポーツの「勝ち方」というのは、案外どの競技にも通じるものがあるのかもしれない。


対戦空手道
対人対戦格闘ゲームの先祖、デコの「対戦空手道」


「与えるな ムダな体力 ヒマとカネ」
学生時代に小学校の通学路でこんな標語を見かけて思わず苦笑してしまった。
子供の人権とか、そういうのを一切無視した潔さは、ある意味力強さを持っていた。

この標語を作った親の子供は、友達としょっちゅうケンカをしてケガをさせたり、なまじカネがあるためにファストフードやゲーセンなどに入り浸って悪い仲間とつるんで悪い遊びを覚えたりして、親を困らせているのだろうか…などといろいろ想像がふくらむ。

子供でなくても、大人でもヒマとカネがあると、いいことがない。なんとなく手持無沙汰な時間が続くと、空腹に敏感になってしまい、つい何かを食べてしまう。そしてつい必要もないのに新しい用具を買ってしまったりする。ムダな体力が残っていると、夜更かししてyoutubeの動画などをつい見てしまったり、ブログの記事を書いてしまったりする。

卓球で言えば、特に「ヒマ」が問題である。自分が打球した後に何もやることがないと、つい自分の打ったボールを見てしまい、次の対応が遅れてしまう。卓球においてヒマというのは百害あって一利なしなのである。そこで私は自分が打球したあと、相手の打球が返ってくるまでの約1秒を有意義に使うことを心がけることにした。

というのは、以前、こんなことがあったのだ。
練習中、どうしてもバックドライブの下回転打ちが安定しない。集中して必死になって打てば入ることは入るのだが、がんばって打たないとドライブが入らないというのは、絶対に何かがまちがっているはずなのである。正しい打ち方をすれば、軽い力で楽に下回転が持ち上がるはずなのである。
そんなとき、バックサイドを切るツッツキを打とうとして、左足を斜め前に一歩踏み出してバックドライブを打ってみると、不思議なことに楽々と下回転が持ち上がるではないか!

私のバックドライブは、ラケットの角度や体の使い方が間違っていたのだと思っていたが、そうではなかったのである。なんてことはない、左足の位置が10数センチほど足りなかっただけだったのである。

そんなわずかな足の位置の調整でこうもバックドライブが安定するものなのか。
左足をいつもよりも大きめに(斜め前に)踏み込んでバックドライブをすると、自分の体の正面が相手の打球方向に対して真正面を向く。それですなおに真上に振れば、簡単にバックドライブが入るのである(スピードは出ないが)

ちなみに踏み込みがほんの少し足りないというのは、上級者でも起こりうることのようだ。
一歩だけ

「横山友一が三重県代表候補選手を直接指導」
https://www.youtube.com/watch?v=b_xdpLGqKHo

足の位置がずれていても、入ることは入るので、今まで気づかなかったが、この出来事があってから、ポジショニングをできるだけ正確にしたいと思うようになった。どうやって適切なポジショニングにすればいいかというと、足をバタバタさせるのである。自分が打球したあと、相手の打球を見ながら、足を小刻みにバタバタさせて、より適切な位置に足を運ぶのである。この「バタバタ」を必ずしなければならないとなると、自分の打球後にのんびりボールを見ている余裕がなくなる。つまり「ヒマ」がなくなるわけである。

私の卓球はいたるところにヒマ、つまりスキマ時間がある。それらをボールの行方を眺める時間にしてしまわず、すべてを足の運びのために費やせれば、すいぶん上達するに違いない。適切なポジショニングというのは、体の使い方やフォームなどに先立つものと思われる。

卓球に近いスポーツとしてテニスやバドミントンが挙げられる。これらのスポーツの知見が卓球に参考になるだろうことは疑いを容れない。特にテニスから学べることは多いだろうと思うのだが、テニスの本質についてテニス未経験者に簡潔に解説してくれるような記述に出会ったことがない。たしかに、テニスの入門書にはそれに近いことが書いてあるかもしれないが、それは私が求めている情報ではない。

ネットで「大人になってテニスを始めてみたい」という人に向けた情報は、

・テニスの魅力(少人数でできる、年をとってもできる、男女がいっしょにプレーできる)
・テニスに必要な用具や習える場所
・テニスにかかるお金

といったものである。
私が求めている情報は、もっとプレーの本質に関する情報なのである。

拙ブログは、基本的に卓球について卓球人に対して発信しているが、非卓球人への発信がもっと必要なのではないかと思っている。卓球というスポーツがどんなスポーツかを多くの人に知ってもらうことで卓球の地位向上にもつながるだろうし、私のように、卓球のプレーの本質について知りたいと思っている他競技人もいるだろうからである。

とはいえ、卓球にどっぷり浸かっている私が、卓球を知らない人に卓球とは何かを語るのはかなり難しい。たとえて言えば、日本を出たことのない日本人が「日本とはどんな国か」を語るようなものである。この試みがうまくいくとは思えないが、私なりに非卓球人に卓球とはどんなスポーツかを語ってみたい。
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卓球というスポーツは

・時間の感覚がシビアである
卓球は時間の奪い合いと言われる。自分の時間的余裕を作りつつ、相手には時間的余裕を与えないようするということである。が、これは卓球に限った話ではなく、テニスでもバドミントンでも、その他、多くのスポーツにも通用することだろう。ただ、卓球の場合は他のスポーツに比べてその要求が厳しいと思われる。テニスなら、自分が打球して0.5秒ぐらい何もしない時間があっても大丈夫かもしれないが、卓球にはそんな時間的余裕さえないことが多い。相手の打球を見て、次のアクションに移るのでは遅い。遅くとも相手が打つ寸前には自分は次の行動の準備に移っていなければならない、というぐらい時間の感覚がシビアなのである。

・反射神経よりも、予測や戦術が大切である
卓球は早いテンポのラリーが続くことから、反射神経が最も大切だと思われがちだが、返球が早すぎるので、反射神経でプレーするのではどうしても間に合わなくなる。相手の次のショットの深さやコース、タイミング等を予測して、常に次のボールに備えなければならない。相手の次のショットを予測するためには、その前のこちらのショットで「罠」を仕掛けなければならない。たとえば、こちらから長くて速い、上回転のサービスを送れば、相手が浅いショットで返球するのは困難である。必然的に長い、上回転のボールが返ってくる。このように自分のショットから相手のショットを限定することができれば、高い確率で相手のショットが予測可能である。このような予測によって反射神経に頼るよりも早く次の行動に移ることができる。

・ボールの回転が勝敗を左右する
他競技で全国レベルの実力を持つほど運動能力が高い人でも、卓球を初めて2~3年の子供にさえ勝てないだろう。複雑な回転のかかったボールは、経験がなければ返球できない。たとえば上回転だけのラリーなら、テニス経験者はある程度対応できるだろう。しかし、横下回転サーブを3球目強打されないようにレシーブするのは卓球経験がないと難しい。卓球では、回転の分かりにくいサービスが出せれば、それだけでかなり試合を有利に運べる。

・用具がプレーに大きく影響する
ボールの回転を生み出すラバー(ラケットに貼り付けるゴム)によってプレースタイルも変わってくる。
ラバーの種類

表面がフラットでグリップ力のある裏ソフトラバーを使う人は、ボールをこするように打ち、ドライブ(上回転のショット)やカット(下回転のショット)を主体にしてプレーする。
表面がツブツブで、相手の回転の影響を受けにくい、表ソフトラバーを使う人は、ボールを叩いて打つ、ミート打ち(あるいはスマッシュ)を多用する。
表面がツブツブだが、粒が長い、粒高(つぶだか)を使う人は、相手のショットを受けて、浅く返球したり、回転を変化させて返球したりするトリッキーなプレーが持ち味である。
卓球はラケットとラバーの組み合わせによって、ショットのスピードや回転量がが2割、3割ぐらい変わる印象である。用具の性能がプレーに大きく影響する。

・細かいフットワークが大切である
卓球では1メートル以上の距離を移動する、大きいフットワークと、10センチほどの短い距離を移動する小さいフットワークがある。どちらのフットワークも大切だが、卓球は他のスポーツに比べて、小さいフットワークの重要性が際立っている。というのは、卓球ではわずか10センチ足のステップがずれているだけで、ミスや体勢の崩れにつながるからである。そのため、常に足を小刻みに動かし続け、素早く適切なポジショニングをすることが求められる。

・一般愛好家レベルでは身体能力はそれほど必要ではない
卓球では非力な小学生や女性が男子大学生に勝つということも珍しくない。むろんプロともなれば、筋力が必要とされるが、県大会レベルぐらいなら、筋力がなくてもある程度勝つことが可能である。同様に若い卓球部員が上手な老人に翻弄されることも珍しくない。
また、背の高さがそれほどアドバンテージがないスポーツである。背の高い人は台から距離をとって、大きな卓球をするのに適しているが、背の低い人は台の近くでタイミングの早い卓球に適している。日本の男子プロ卓球選手は、身長が170センチ未満の選手が多い。

以上が私の考える卓球という競技の特徴である。メンタルが勝敗を左右するというのは、卓球に限らず、ほとんどの競技に言えることだろうから割愛する。


私は試合では気の向くままに多様なサーブを出すので、試合が終わった後、何も残らない。
しかし、解説付きの試合動画などをみていると、どうやら他の人は違うらしい。

「何も残らない」というのは、戦術的な反省点が出てこないということである。

「ミドル前に下回転ショートサーブを出すと、相手はフォアハンドでこちらのミドル前にストップするか、こちらのバック奥に深く流してくる。バック奥を警戒しながら、ストップを狙って深くつっつけば、優位に立てたのに…」

のような反省点が出てこず、ただ「負けて残念!」としか思えないのである。

1球ごとにサーブをあれこれ変えるのではなく、腰を据えて一つのサーブを出し続ければ、相手の返球パターンが見えてきて、こちらも試合中に対策を講じることができるに違いない。

とりあえず、王道のサーブといえば、バック前に下系のショートサーブである。これを軸にして、どんな得点パターンが作れるか、研究してみよう。
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現在開催中のWTTドーハ大会。
床のマットも黒で、卓球台の色もガンメタルでかっこいい。Tリーグで一般的なレジュブルーの台は色が明るすぎてディスプレーによってはボールが全然見えないので、この黒い卓球台が日本でも普及してほしいものだ。

今大会で私が日本選手とともに注目しているのがドイツのチウ・ダン選手。
qiu dan

ここ1~2年でメキメキと実力を上げているペンホルダーである。
彼の試合を見ていると、驚くぐらいサービスを変えないのである。しかも出す場所はほぼすべてバック側。基本的にショートサーブである。
ということは、チウ選手の試合を見れば、自分でバック前ショートサーブを出したときの相手のレシーブの反応をイメージすることができるのではないか(プロと、草卓球では全くレベルが違うが、参考程度にはなるだろう)

バック前サーブ
チウ選手のサーブが相手コートにバウンドする寸前の一コマ。戻りがほぼ完了している。
https://youtu.be/vH3blQF-Si8?t=4335


具体的に下の動画でどんなサーブとレシーブになるか数えてみよう。数えるのは研究の第一歩である。
https://www.youtube.com/watch?v=67F2I61bDjg
Qiu Dang vs Thiago Monteiro | WTT Star Contender Doha 2021 | Men's Singles | QUAL Highlights

全4ゲームのチウ選手のサーブの配球は以下のとおりである。
A)バックにショートサーブ:12
B)ミドルにショートサーブ:14
C)バックにハーフロング:9
D)バックにロングサーブ:1

横からの視点なのでバックへのショートサーブとミドルへのショートサーブというのは判別しにくい。またハーフロングかショートサーブかというのも判別しにくい。おおざっぱな分類だと考えてほしい。

バックにショートサーブばかりかと思っていたのだが、実際に数えてみると、バック寄りのミドルへのショートサーブのほうが多かった。このミドルへのショートサーブについてだが、センターラインをフォア側に越えたのは数本で、ほとんどすべてのサーブがセンターラインのバック側である。大雑把にまとめると、長短はあるものの、チウ選手のサーブはほとんどが相手のバック半面へのサーブである。

それに対するモンテイロ選手のレシーブは以下のとおりである。上の数字と数が合わないのはご愛敬(1回目と2回目の集計で分類の基準が変わったか)
A)バックへのショートサーブに対するレシーブ
→バックへツッツキ:2
バックへストップ:5
ミドルへストップ:2
→ミドルへツッツキ:1
フォアへストップ:3

B)ミドルへのショートサーブに対するレシーブ
→バックへツッツキ:3
→ミドルへツッツキ:1
ミドルへストップ:3
→フォアへフリック:1
フォアへストップ:5

C)バックへのハーフロングサーブに対するレシーブ
バックへドライブ強打:3
バックへフリック:2
→バックへツッツキ:1
ミドルへフリック:2
→フォアにツッツキ:1
→フォアにストップ:1

D)バックへのロングサーブに対するレシーブ
→バックへドライブ強打:1

まず、A)とB)のショートサーブで考えてみよう。
ショートサーブに対してモンテイロ選手はチキータやフリックをほとんど使わなかった。どういう理由か分からないが、仮に下回転がブチ切れだったということにしておこう。

A)とB)に対して最も多かったレシーブはA)のバックへのストップと、B)のフォアへのストップである(ここで「ストップ」というのは、台から出さないように打ったという意味で、結果として台から出てしまったものも含む)。次がA)のフォアへのストップ、B)のミドルへのストップとバックへのツッツキである。

このことから、バック辺りに下系ショートサーブを出したとき、まず警戒すべきはストップだということが分かる。バックからフォアまで幅広くストップされる。回数にして18回/26回(約69%)。ツッツキは7回/26回(約27%)。ストップとツッツキを7対3ぐらいの割合で待っておけばいいだろう。

次にC)のハーフロングサーブに対するレシーブである。
これはバックハンドドライブやバックフリックなどである程度強打される可能性が高い。ツッツキも少しは警戒したほうがいい。コースはバックやミドルで待つのが無難である。逆にストップは1回のみなので、待ちから外していいだろう。

最後にD)のロングサーブは自分のバック側への強打を待っておけばいいだろう。

このような待ちはレベルの低い、愛好家レベルの試合でも通用するだろうか。ストップとツッツキの割合が変わるかもしれないが、基本的に通用しそうに感じる。

バック側への下回転ショートサーブを出したあと、前陣でストップを待っておき、返球が低く、短いストップなら深いツッツキで、高く、甘いストップならフリックで返球する準備をしておけばよい。
モンテイロ選手とは違い、ストップよりもツッツキを多用する人との対戦なら、ドライブでコースを突く準備をしておけばよい。

やや長いハーフロングサーブを出す場合は、相手に軽く打たせてから、カウンター、あるいはブロックでコースを突くという心構えでいたらよさそうだ。

それ以前に相手がフリックやチキータをしたくならないような低くて切れた下系サーブを身につけることが先決なのは言うまでもない。

【付記】
2011年3月11日のあの日から、もう10年が経とうとしている。
まだ4万人以上もいる避難者のみなさんの健康と心の平安をお祈りいたします。


春の新製品が発売された。
私が注目したのは、バタフライの高級ラケット 林昀儒 SUPER ZLCである。性能やデザインに惹かれたというわけではない。ついに実売3万円台のラケットも珍しくなくなってきたと感じたからなのである(下は国際卓球の価格。激安ショップなら、もっと安い)
lin yun ju ZLC

LIN YUN-JU SUPER ZLC 37,620円(税込)

この不景気にこんなに高い用具をいったい誰が買うのだろうか。別に高いラケットを買ったからって卓球が上手になるわけでもあるまいし。それほどの値打ちがあるものだろうか?
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散髪屋で髪を切ってもらいながら、店員さんの腕を見ると、スマートウォッチがはまっていた。
この手のガジェットが使い物になるのかどうか、前から気になっていたので、スマートウォッチの使い勝手などについて質問してみた。

apple-watch-series-6
しろの「それ、スマートウォッチですよね。おいくらぐらいするんですか?」
店員さん「アップルウォッチなので、6万ぐらいしますね。」

し「へぇ。私のケータイ本体よりもはるかに高いですよ。それ自体でケータイとして使えるんですか?それともアイフォンがないと機能しないんですか?」
店「それ単体で電話ができるタイプもあるんですけど、もう少し高くなります。これはアイフォンが近くにないと使えませんね。」

し「もっと安いやつもありますよね。」
店「僕はアイフォンをずっと使ってるので、スマートウォッチもアップルで統一したかったんです。
毎日仕事で腕にはめて、防水もあるので、このままシャンプーもできるし、仕事の後にジムに行ってワークアウトのデータとかも記録できるし、一日中使えるんです。6万円は高いですが、毎月5000円払うと思えば、1年で元が取れますから、そんなに気になりません。」

し「平成なら、男は車とかバイクとかにお金をかけたりしましたよね。」
店「中京区(※京都市の中心部)に住んでいるので、車は必要ないですし、買って趣味で乗るとしても休日だけだから、ほとんどガレージの中に置いとくことになるので、もったいないですよ。」

し「なるほど。そう考えると、毎日使える時計なら、あまり高く感じませんね。」
店「でも、いつか100万円ぐらいのロレックスを1本買いたいと思ってるんですよ。」

し「え、時計に100万!? 商談のときとかにはめてると、見栄えが良いからですか?」
店「いえ、高級時計は値崩れしにくいので、資産にもなりますし、いつか自分の店を持ったときに自分へのご褒美として買いたいんですよ。」

し「私は4桁の値段の時計しか自分で買ったことがないですよ。」
店「そういう人生の節目に高い時計を買ったら、『あぁ、オレはがんばったな』って励みになると思うんですよ。腕にはめて仕事中に眺めたら、仕事もがんばれますし。」

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店員さんのお金のつかい方が、私と全然違うので、新鮮に感じた。
一見高い買い物も、毎日(あるいは頻繁に)使うのであれば、1回あたりの「使用料」は大したことはない。

また、店員さんの買い物についての考え方で感心したのは、ほしいものがあれば、高くても妥協しないという点である。

たとえば私がアップルウォッチがほしいと思って、アマゾンやらヨドバシやらのサイトを見れば、類似品がもっと安く売っている。性能的にアップルウォッチの80%ほどで、値段が半分だったら、私は迷わず類似品のほうを買ってしまうだろう。しかし次第に不満な点も出てきて、別の類似品に買い換えることになるだろう。もしかしたら、買い替えたものにも不満で、結局もう1台ぐらい買い換えることもありうる。結果としてアップルウォッチを3~4年使い続けるよりも割高になってしまう。

そして人生の節目に、記念として買い物をするという発想である。
私は何となくお得なものが目に入ったら買ってしまうという悪い癖を持っている。「ほしいけど、高いから買えないな」と思ってためらっているモデルがある一方で、特売品やら中古品やらで5~6千円ぐらいのラケットがあると、「ずっとほしかった」というモデルでなくてもつい買ってしまう。特に思い入れもないので、数回使ったら、別のラケットに替えてしまったりする。ずっと気になっていたラケットを買って、3~4年も使い続けるよりも、はるかにお金がかかる。

さらに買ったものが励みになるという価値観である。
自分ががんばったから買ったという大義名分があるので、なんとなく買ったものよりも思い入れも生まれるし、なによりもその時のがんばりを思い出して、「私はやりとげられる!」という自己肯定感の源泉となる。パワースポットならぬ、パワー用具である。

人が何かを買うとき、その人なりの理由がある。その理由を聞くと、その商品が不思議とかけがえのないものに思えてくる。逆に特に理由もなく、安いから買ったというだけでは、その商品の価値を高めることはできない。ラバー込みで、実売1万円台前半という標準的?な価格のラケットでも、それを買うに至ったストーリーがあれば、そのラケットは持ち主にとってかけがえのないものとなる。したがって他のラケットに目移りしなくなる。いつも他のラケットのことが気になる私のような人間は、今使っているラケットに大した価値を見出していないからだろう。

商品の値打ちというのは、まさに買う人によって決まるということを散髪屋のお兄さんから学んだ。3万円台のラケットを買う人は、きっとなんとなく買うわけではないのだろう。

ちなみにニッタクの新製品ではキョウヒョウ龍5が3万円台である。
馬龍5

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