しろのたつみ



卓球について考えたこと、
気づいたこと(レベル低いです)
を中心に中級者の視点から綴っていきます。




2021年02月

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「意識的なプレー」と「無意識のプレー」

最近の私のゲーム練習の一コマ。
Mさんはペンドラで、中陣から豪快なドライブを打ってくる。スピードもあるが、回転量が多いので、ちゃんとブロックできない。ブロックできても止めるだけの甘いブロックなので、連続でドライブ強打を打たれてしまう。
「なかなかミスしてくれない…安定してるなぁ。」

そうかと思うと台上で厳しいフリック。ボールのスピードが速い!
「あんな低いボールを強打してよく入るなぁ。」

といっても、Mさんもマスターズとかに出られるレベルには程遠い。そのへんによくいる「強い人」である。レベルの低い中級者同士のゲーム練習でこれなのだから、上級者ならもっと厳しいボールが飛び交うことになるのだろう。
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アマゾンプライムでTリーグを見るようになって(前記事「Tリーグの未だ…」)、だんだんTリーグがおもしろくなってきた。Tリーグのおもしろさは、なんといっても解説だと思う。卓球の指導者がプロの試合をわかりやすく解説してくれて、勉強になる。ほとんどコメントしない解説者もたまにいるが、だいたいの人が上手に解説してくれて、時には実況のほうが聞き手に回ってしまうほど、卓球を熱く語ってくれる解説者もいる。そういう解説はとてもおもしろい。

最近見た、リーグ最下位のトップおとめピンポンズとリーグ最上位の木下アビエルの試合。
バック表の木原みゆう選手と、シンガポール代表のリン・イエ選手の対戦である。木原選手のバックハンドのピッチの早さとリン・イエ選手の男子並みのフォアドライブの威力のぶつかり合いである。
木原リン・イエ

が、解説では、そういうボールのスピードとか威力とかについての言及はほとんどなかった。

(木原選手は)リン・イエ選手がサービスのときも、ストップレシーブが本当によかったですよね。…リン・イエ選手の攻撃をさせないで自分で攻撃してたので。
(実況)「ストップレシーブで相手にそのまま返させないシーンもありましたからね。」
そうですね。そして長いサービスを読んでの回り込みドライブ。本当に読みどおりの試合だったなと思いますね。

12/11 トップおとめピンポンズ 対 木下アビエル(森本文江氏解説)

木原選手の読みが今、当たっているので、全部打ちに行こうとしているんですね。…打ち急ぐと、勝ち急ぐとミスになってしまいます。
自分の読みが当たると、全部がチャンスボールに見えるんですね。


2/18 トップおとめピンポンズ 対 木下アビエル(森本文江氏解説)

木原選手のバック表の鋭いミート打ちは?リン・イエ選手のドライブの威力は?
解説の中心は、ボールのスピードや威力ではなく、選手がどんなことを考えてサーブやレシーブでコースを突いているかばかりである。

プロの試合では、ボールの威力というのは大した問題ではないのだろうか?

威力といえば、水谷選手が全日本決勝の一つ一つのプレーを細かく解説してくれる下の動画。
森薗政崇選手にはチキータという得意技があるが、及川瑞基選手にはこれといった得意技がない。しかも及川選手の球威は水谷選手に「威力なさすぎ」と言われるほどである。それでも及川選手が強いのはなぜか。

読み合い
水谷隼 全日本決勝を語る 第2ゲーム
https://www.youtube.com/watch?v=3t0A4N48s5I&t=607s

試合の序盤、及川選手は森園選手のバック側に2本連続でロングサービスを出す。
水谷選手によると、2本連続のロングサーブは森園選手にとって「想定外」のはずだそうだ(第1ゲームでの解説から)
その意外な選択にも森園選手はうまく対応し、ミスせずレシーブできた。

「(森園選手が)仕上がっていなければ、…バック側への2本目のロングサービスは返せないと思います。」
「今は完全に森園が有利ですね。次の及川のサービスのときはロングサービスを待たなくていいようなものなので。」

その後、森園選手は得意のチキータを出してくる。水谷選手の言った通り、及川選手はショートサービスを出してきたのだ。

「あそこ(ロングサーブ2本の次のサーブのターン)で及川がバック側にロングサービスを出せていたら、本物なんですよ、読み合いとしては。」
「あの2本(のロングサービス)を取られた(うまくレシーブできた)ことによって森園がチキータをできるようになってしまうという…」
森園チキータ
積極的にチキータを使い出す森園選手

「またチキータですね。バック側にロングサービスがないってことが分かっちゃってるんで」

次の及川選手のサービスのターン。及川選手は森園選手のチキータを警戒して今度はロングサーブを出すが、及川選手の狙いを読んで、森園選手は回り込んでフォア強打。

森園回り込み

FDで打ち抜く
レシーブ強打一発で打ち抜かれる及川選手

「森園、うまかったですね」
「完全に優位に立ち回っているんですね、読み合いでは。」
「たぶん森園からしたら、さっきいいチキータを2本したから、次はチキータをさせないサービスだろうと逆に今度は一気にロングサービスを警戒していたと思うんです。」

「完全に及川はハマってるんですよね」
「(及川選手は)森園が考えていることをそのままやってしまっている」
「どこかで断ち切らないといけない」
「このままだと、ずっと森園の罠にハマったままサービスを出さなければいけなくなるんで」

「(森園選手は)相手のことをしっかり把握して、『絶対にこれはないだろう』というのを自分の読みから外して自分が待つところを限りなく狭めてしっかりそこを狙い打っている
「相手がうまくバック側にロングサービスとかフォア側に逆を突いても、(森園選手は)結構対応してるんですよね、変なミスがないので、無意識でできるプレーもかなりいい状態だと思います。」

なんだか私にとっては異世界の会話のようである。
卓球の試合ってこんなに考えながらするものだろうか?
この解説からわかるのは、卓球には「意識的なプレー」と「無意識のプレー」の2つがあるということである。意識的なプレーというのは、相手の狙いや考えを読んで、その裏をかくようなプレーであり、無意識のプレーというのは、予測ができず、その場で反射的に行うプレーということになる。及川選手は2ゲームまでは読み合いに負けていたが、3ゲーム目からは読み合いで優位に立っていく。及川選手が強いのは、技術の精度もさることながら、相手の先手を取れる読みの鋭さにあるのではないか。

Tリーグの試合解説や水谷選手の全日本の解説を聞いて、プロのレベルの試合ではボールのスピードや威力というのは二の次で、相手のサーブ・レシーブを読んで、いかに相手の狙いを外しつつ、自分が先手をとるかという「意識的なプレー」が重要だということが分かった。

私のプレーは9割以上「無意識のプレー」である。打てそうなボールが来たら、全力で打ち、打てなそうなボールならつなぐ。これだけである。しかしプロはおそらくほとんどの場面で意識的なプレーをしているのだろう。意識的なプレーが冴えていれば、ボールの威力がない選手でも試合に勝つことができるのである。

しかし、これはあくまでもプロの試合の話であって、初中級者の試合では予測や読みよりも、ボールの威力のほうが…いや、もしかして無意識のプレーの精度の低い中級者の試合でこそ意識的なプレーが有効なのではないか?

10時から11時の間――裏面インパクトの位置

お化けが最も活発に活動する時間は夜中の3時だと聞いたことがある。
なぜなら夜が明ける直前が最も闇が深いからである。

そんなことを思い出したのは、裏面ドライブのインパクト位置を探していたときに同じような経験をしたからなのだった。

以下、いつもどおりレベルの低い考察になるので、軽く読んでいただければ幸いである。

対下回転の裏面ドライブが安定しなくなり、いろいろ試しているなかで、原因とおぼしきものにたどり着いた。それは私のバックドライブはヘッドの回転の前半でインパクトを迎えてしまっていたことだと思われる。

ドライブ――特にペンホルダーの場合はヘッドがよく回る。スタート時はラケットのヘッドが斜め下を向いていて8時ぐらいからスイングをスタートし、9時にヘッドが水平になり、10時にヘッドが上を向き、11時にスイングが終わる。フォワードスイングが終わる寸前の11時に近い位置――10時ごろが最も力が入り、8時に近い位置が最も力が入らない。下回転打ちが安定せず、ネットに掛けてばかりだった私はどうやら9時ぐらいの位置でインパクトを迎えていたらしい。これをもう1時間遅らせれば下回転が楽に持ち上がったはずなのである。

このインパクト位置を曖昧にしていると、力が分散してしまう。

力を入れる時間は短いほどいい。8時から11時まで力を入れ続けると、かえって力がこもらなくなる。8時から10時ぐらいまでは手を使わず、左足の踏ん張りと、腰の回転だけでラケットを動かし、10時あたりになってはじめて手に力を入れる――よく言われる「インパクトの瞬間にラケットを握る」というやつである。

このように打つと、下回転打ちの安定性が高まる。

フォアドライブでも同様である。特にフォアハンドは腕が大きく使えてしまうので、力が分散しやすい。腕を伸ばしてバックスイングの時点から全力を込めている人もいる。ペンはその点、力の込めるポイントがわかりやすい。手首を回す、1時間ほどの間を目掛けて力を込めればいい。こちらは時計で言えば、4時から1時の間である。

head rotation
ペンホルダーのヘッドの動きは、AからCあたりまでは下を向き気味だが、CからDでヘッドのスピードが急激に上がる。言い方を変えれば、Cまでは「ためて」おき、Dの前で手首を返し、一気に力を込めるようにすれば、プロネーション(のような何か)が起こる(前記事「手首って使うの?…」)。

ペンホルダーはフォアドライブが強力だというのは、このヘッドの返しの恩恵に与っているからだろう。力を入れるポイント(CからDの間)が可視的でわかりやすい。

週末に見た加藤氏の動画。ペンのヘッドを下げるメリットについての解説が今回のトピックとの関連で参考になった。

kato channel

「ラケットのヘッドを上げる、下げる、どっちがいいの?」
https://www.youtube.com/watch?v=yHva7A8JGeY

【追記】
裏面のインパクトをいろいろ試してみたが、スイングが9時に終わる振り方なら、9時直前、10時にスイングが終わるなら、10時直前にインパクトが来るのがいいと感じた。振り方によって必ずしも10時過ぎが最適とは限らないだろう。

ぐるぐる回そう!卓球ビジネス

最近、卓球ショップからのプロモーションのメールが頻繁に届く。大手のショップでも経営が苦しいのだろうか。

このような社会の変動にあたって、卓球ビジネスについて考えることが多くなった。別に卓球ビジネスを自分でやってみようと思っているわけではない。単に世の卓球ビジネスの行く末が気になるだけである。

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やまなみ氏:歌詞の中に「思い描いていた未来とは違うけれど、すべてがいとおしい」とありましたが、…(若いころ)どんな未来を思い描いていましたか?


純一氏:少なくとも、20代のころに住み始めたワンルームマンションに、まだ住んでるとは思いませんでした。もうワンルームは卒業してると思ってました。45歳でワンルームにまだ住んでるとは思いませんでした(笑)。

 

 山下純一

https://www.youtube.com/watch?v=xnOzTIu6sqk

京都の誇る、全盲車いすのブルース・ハープ奏者、山下純一氏のライブ動画がアップされていたので見てみた。その中での障害者アートをプロデュースする「やまなみ工房」の代表、山下完和(=やまなみ)氏との対談が興味深かった。

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やまなみ氏:やまなみ工房の人たちの中にはですね、描きたいときに描きたいものを描くっていうような、たとえば社会の評価や賞賛を気にせず、極端に言えば、描き終わったものに執着も何もなくなるんですね。有名になりたいとか、いくらで売りたいとか、そのような意識がなく、とにかく描きたいものを描くという方々もいらっしゃるんですけども、純一さんの表現とやまなみ工房の人たちの絵画作品を見ていると、純一さんは目の前の誰かに音楽を通して何かを伝えたいとか…目的がまずあると思うんですが、そのあたりはただただ音楽が好きだから伝えている、じゃなくて音楽を通して社会に何か発信をしたいっていうようなことはあるんでしょうか?

純一氏:好きだからやる、これは当然ありますし、誰かとつながりたいという思いで音を発信している。もう一つはそれをやり続けたい、そのためにはみなさんに喜んでもらったり、かわいがってもろたり、応援してもろたり、ようするにビジネスとして成り立つっていうところまでいかないと、グルグル回らないですよね。

 

純一氏:僕がやまなみさんのすごいなぁって思うのはね、知的障害の方とか、そういう方たちに居場所を提供されてるのかなって思うんです。好きな絵を描いて、喜んでもらうために描いてないとしても、結果として喜んでもらえている。それを世の中の人に「いいやんか、これ」みたいな形にして送り出しておられる。人間ですから、生きていかなあきませんから、お金のことは大事だと思うんですよ。そこでグルグル回る…やっぱ回らんとね、福祉とかって止まってしまいますよ。


やまなみ氏:社会を回していくっていうのは、それだけ人と人とがつながっていくっていうことが大事なんだろうな、っていうふうに思いますが…。

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やまなみ工房のアーティストたちは、純粋に描きたいから描いているだけ。それをやまなみ氏が間に入って世の中に広く発信していることで人と人とがつながってビジネスになり、お金が「グルグル回る」。
一方、純一氏(と、その仲間たち)は純粋に演奏したいから、演奏するだけでなく、それを広く社会に発信していくという二つの役割をこなしている。多くの人の鑑賞に堪える演奏をするだけでも大変だが、それを「ビジネスとして成り立つ」ように発信するというのも同じぐらい大変なことだろうと思う。

「卓球ビジネス」などという言葉を軽く使ってしまうが、これがいかに大変なことか、起業してみないと実際には分からないに違いない。卓球ビジネスがグルグル回るためには2つの難関を突破しなければならない。

一つはマッチングである。欲しい人に、欲しいもの(サービス)を届けてやる。

これがうまくマッチすれば、卓球ビジネスは「ぐるぐる回る」。しかし、今まではマッチしていても、これからはマッチしなくなるものも出てくるだろう。

たとえば、
生産者側:「外出先でも食材のストックがケータイでチェックできる。スマート冷蔵庫30万円!」
消費者側:「機能は基本的なものだけでいいから、故障しにくくて15万円ぐらいの冷蔵庫がほしいなぁ。」

こういうのがマッチしない例である。

卓球ビジネスでいえば

生産者側:「あの有名選手の卓球指導DVD!1枚5000円!」
消費者側:「何回も見るもんじゃないし、DVDでなくてもいいから、24時間制限付きネット配信で、500円なら見てみようかな。」

生産者側:「各チームに国家代表レベルの選手が在籍!世界最高レベルのプレーが目の前で見られる!入場料3000円。」
消費者側:「交通費で往復2000円ほどかかるし、国内上位レベルの選手でいいから、入場料1000円だったら見てみたいなぁ」

DVDにしても、作っている人は精いっぱいがんばって作っているのだろう。その結果、非常に質の高い製品ができ上っているに違いない。卓球リーグはどうだろうか。各選手は「卓球が好きだから卓球をしている」という純粋な気持ちで非常にレベルの高いプレーをしていると思われる。が、それだけでは「グルグル回」らない。品質がいい、プレーのレベルが高いだけではダメなのである。山下純一氏のハーモニカの演奏は一級品である。にもかかわらずワンルームを卒業できない。それを必要とする消費者とマッチングしなければならないのである。

もう一つの難関はメッセージ性だと思われる。

上の動画のやり取りの中でやまなみ氏は「音楽を通して社会に何か発信をしたいっていうようなことはあるんでしょうか?」と問いかけていたが、これからの時代は、単に安くて質が高いだけでなく、卓球を通して何かを発信したいという思いが求められるように思われる。卓球用具メーカーにしても、Tリーグにしても、どんな理念をもって、消費者にどんなメッセージを伝えようとしているのか。その辺があいまいである限り、卓球ビジネスは、やがてグルグル回らなくなってくるのではないだろうか。

先日のネットニュースで福原愛氏がomusubiという会社を設立したというのを見た。どんな活動をするのか未定ということだが、今の卓球ビジネスに欠けていること――メッセージの発信を担い、生産者と消費者をつなげるような活動をしてくれればなぁと思う。


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