しろのたつみ



卓球について考えたこと、
気づいたこと(レベル低いです)
を中心に中級者の視点から綴っていきます。




2020年01月

「兄さんは今日の次は当たり前のように明日が来るって思ってるでしょ。
今週の次は来週。今月の次は来月。今年の次は来年。私にはそれがないの。
今日、眠ったら明日は目覚めないかもしれない。…」

takako

ある日、当たり前のことが当たり前でなくなることがある。

今まで当たり前に出していた下回転サーブが急に入らなくなったり、ブロックがちっとも止まらなくなったり。

私の場合は、急に裏面の使い方が分からなくなった。今まで無意識にできていた裏面が最近ちっとも入らない。下回転を持ち上げられる自信がない。力が伝わっている感触もない。いったいどうしたらいいのだろう?

しかし、このような状況は自分のプレーを見直すいいチャンスだと肯定的に捉えたい。下回転サーブが入らなくなったとき、今まで意識していなかった打球ポイントを意識するようになり、それまでよりもずっと下回転サーブが切れるようになった。ブロックも自エンドでバウンドしてからの距離を見直すことによって前よりも安定して入るようになった。

今度は自分の裏面バックハンドを見直すいい機会が訪れたのだと思う。

上手な人のバックハンドをいろいろ観察して分かったことがある。上手な人のバックハンドは見ていてミスする気がしない。いかにも入りそうな打ち方をしている。それがどういう打ち方なのかというと、あまり摩擦に頼っていないのである。

インターハイに出ている選手のバックハンド(シェークだが)を観察してみると、高い打点でボールに対して後ろ(対下回転)からしっかり当てているように見える。たとえ振らなくてもそのまま当てるだけでボールが入りそうな角度である。私の裏面と比べて面がかなり立っている。その角度から当てながらこすっている感じである。まったくボールが落ちる気配がない。

一方、あまり上手じゃない人(=私)のバックハンドはボールに対してかなり面を寝かせていて、摩擦の力で上にこすり上げている感じである。こすらず、そのまま当てたら、ななめ下に落ちてしまう不安定な角度である。しっかりと体を使って力を込めて振れば、摩擦の力だけでも回転のよくかかった低いショットが打てるのだが、少しでもタイミングがずれるとネットに直撃である。

まずはボールの後ろをしっかり捉えて打たなければと思った。

面をあまり寝かせずに当てると、小さなスイングでも下回転が持ち上がる。ボールの後ろを捉えて、上方向ではなく、横方向に振るのが安定するコツなのではないか、と今のところ考えている。

シェークのバックハンドは面の角度を見失いにくいと思う。シェークのバックハンドの面は(偏ったグリップでなければ)手の甲の角度とほぼ同じだから、ボールに対して手の甲を当てるような感じで面の角度を作ったらいいと思う。しかし、ペンの場合はそのような角度のガイドとなるものがない。それでペンの裏面を打つときは面の角度を見失ってしまい、ボールに対して面が寝すぎていたり、ボールの左側を取りすぎて、自分が思っているよりも右にボールを飛ばしてしまったりする。ペンでも角度を作る際のガイドとなるものがあればいいのだが…いや、ある!グリップのレンズである。

grip lens
最近は右の細長いタイプのレンズがはやりだが、私は左の丸っこいレンズのほうが好みだ

グリップのレンズをボールの後ろに当てるような角度で面を作ればおのずからラケット面もボールの正面をとらえることができる。ついつい面を寝かせすぎてしまっていたり、面が右を向きすぎてしまっていたりするときに、このレンズの向いている方向を思い出せば、角度を補正することができる。

グリップレンズがまるで目のように私のラケット面を監視してくれているようで頼もしい。

evileye

用途は違うが、トルコ土産にもらったことがあるイーブルアイにどこか通じるものがある。

以上、グリップレンズの向きをガイドにして面の角度を作ってみるというアイディアである。

この間、久しぶりにツイッターを見ていたら、「ドコデモ」というサービスの予告があった。

dokodemo

スカイプを使って、Liliの村田コーチをはじめとした卓球のコーチが私たちのプレーの問題点を指摘してくれて、指導、練習方法の指南などをしてくれるらしい。

この試みが成功したら、卓球界の大事件になるのではないだろうか。

全日本に出るほどの実力を持っているが、卓球関係の仕事に就けない人たちが卓球である程度の収入が得られるのである。そんなレベルでなくとも、今まで卓球に全てを捧げてきて、卓球がアイデンティティとなっている人が卓球で食べていけるということが現実になったら…、これは日本卓球がロンドンオリンピックで銀メダルを獲得したぐらいの大きな事件になると思う。このような流れができれば、卓球界に勢いが出て、20代で卓球をやめるという人は確実に減るだろう。

この試みが成功することを祈ってやまない。

ただ、本業にはできないように思う。副業の一つという位置づけだろう。

このサービスはどういう人にとって有益なのだろうか。

・長年卓球を続けているが、上達を実感できない人
・地方に住んでいて、近くに卓球の指導者がいない人
・指導者に習っているが、セカンドオピニオンを聞きたい人
・部活などで勝率を上げたい人
・指導者を目指している人

というのがターゲットかなと思う。逆に次のような人には関係のないサービスだろう。

・健康卓球、あるいは交流メインの卓球をしている人
・近くに卓球教室などがあって、信頼できる指導者のいる人

コーチ側からすれば、指導するために卓球場のようなところで実演しなければならないし、場合によっては相手も必要である。それなりの手間と集中力を割いて指導をするのだから、その対価として月に20万ぐらいは稼げないと意味がない。1日に1万ぐらいは稼げないとダメだ。となると、1時間で最低でも3000円ぐらいは払ってもらい、1日に最低でも3人の客がいなければならないということになる。専門知識・技術のある人が時給2000円とかでは安すぎる。

1時間で3000円払うとなると、大半の客は社会人(あるいはリタイアした年配者)だろう。

リタイアした年配者だと、スカイプでのやりとりというのが大きな障害となる。レッスンを申し込んではみたものの、機器がうまく使えず、キャンセルするということにもなりかねない。なお、wifiが使えない環境なら、スカイプでビデオ通話をすると1時間あたり約200~300MBかかるそうである。

ある程度ITを扱えて、3000円ほどの出費が苦にならない人が全国にどのぐらいいるだろうか?最低でも毎月70人は利用してもらわないと困る。都道府県一つに月1~2人利用者がいれば大丈夫だが、それが毎月となると、難しくなってくる。実際に「治療(練習)」できるのではなく、自分のプレーの問題点を「診察」してもらうだけなので、毎月利用する人は少なくて、半年に1度ぐらいの利用が大半かもしれない。今の時点で競合する他の事業主がいなければ問題ないが、このモデルに追随して、あちこちに同じようなサービスができてくると、月70人の利用が難しくなってくる。

リピーターがたくさんできて、「かかりつけのお医者さん」的な感じで頻繁に利用してくれる顧客をたくさん作ることが課題なのかなと思う。しかし、そうすると、単に技術の指導だけでなく、人間的な付き合いも求められるだろう。お得意さんの名前や特徴も頭に入れておかなければならないし、それらの客の「カルテ」も作らなければならない。時には客の興味のない話にも付き合わなければならないだろうし、偉そうな態度を取る客にも笑顔で接しなければならない。

スタディサプリのようなインターネットの学習サービスのように不特定多数に動画を提供するだけで済めば楽なのだが、「ドコデモ」のようなサービスだと、どうしても一人ひとりに対応しなければならないので手がかかる。

顧客にしてみれば、ネット越しの付き合いだけだと物足りないので、オフ会のようなことも定期的に行ってほしいと思うだろう。そう考えると、楽な事業じゃないと思う。というか、地域密着型で地方の卓球教室のコーチが定期的な出張講習会などを前提とした、オンライン指導という位置づけなのかもしれない。

Tリーグの観客動員数が1戦あたり1000人ほどだという(おそらく実際はもう少し少ないだろう)。その一方で「13時間卓球」では1開催あたり200人ほどの参加者がいるのだという(これも場所によって増減が激しいと思うが)。コスパで言えば「13時間卓球」は圧倒的である。一流の選手のプレーを観戦するイベントよりも、参加型のイベントの需要のほうがはるかに高いと感じる。ネットでの指導というのも、参加型のイベントと抱き合わせればうまくいくのではないだろうか。

そしてもう一つの解決策は、できるかどうか分からないが、個人ではなく、法人を顧客にすることである。具体的には学校の部活を取り込むことだと思う。全国の中学や高校などと提携して、ネット上の外部コーチになるのである。やる気はあるのに指導者がいないという中高は非常に多い(おそらく9割以上)はずである。これならまとまった固定客が確保できて、安定した収入と安定した指導が両立できる。

あるいは大学のサークルや企業の卓球部の外部コーチをさせてもらうのはより現実的だと思う。有名な指導者が毎週自分たちの練習を見て、アドバイスや練習メニューを作ってくれるなら、かなり需要があるだろう。

このサービスはまだまだ道は険しそうだが、なんとか軌道に乗ってほしいと思っている。

「現代卓球はバックハンドのラリーを起点にして展開し、フォアハンドで決めるのが主流だ」

などと言われる(おそらくかなり高いレベルの話だと思うが)。ということは、いくらフォアハンドを磨いても、バックハンドの質が低ければ、攻めさせてもらえず、フォアハンドの出る幕がないということになる。フォアハンドを磨くよりも、バックハンドを磨くほうが先決であるにちがいない。
しかし、卓球はバックハンドに至る前にサーブやレシーブの段階があり、そこの質が低ければ、こちらのサーブは一発で打ち抜かれてしまうし、こちらのレシーブは3球目攻撃の絶好のチャンスとなってしまう。私のようなレベルでは、バックハンドを磨く前にまずサーブとレシーブを磨かなければならない。

まずはサーブである。こちらのサーブに対して相手が少し迷ってくれたり、攻撃的なレシーブができなかったりすれば、試合はかなり優位になる。まずはサーブを磨かなければならない。

その場面で、どんな狙いで、どんなサービスを出すのか、フォームやコース、長さなど、こと細かに想像して練習すれば、30分練習したとして出せるサービスはせいぜい数十球だと思います。しかし、そこまでイメージして取り組んだのなら、10球に1球でも自分で納得の行くサービスが出せれば、何も考えずに何百球もサービスを出すよりもはるかに効果があります。
「幻惑の縦回転SV〈後編〉」『卓球王国』2019-10

そうだよなぁ…。単にたくさんサーブ練習するだけじゃダメだよなぁ。

私は食べ放題とかが大好きだが、女性は少量で手のこんだ料理を好む傾向が強い。多少雑に作られた料理でも、お腹が一杯になるならそれで私は満足である。いくら凝った料理でも、少量で同じ値段なら願い下げである。

という延長で上の楊氏の説明を読むと、がむしゃらに練習するよりも、少しだけ練習するほうがいいと誤解してしまいがちだが、楊氏が言っているのは「こと細かに想像して練習」することなのである。単に練習量を減らせと言っているわけではない。果たして私は練習時にイメージを持って練習しているだろうか。おそらくほとんどできていない。ボールを打つこと自体が楽しくて、イメージなど脳裏から消え去っている。たとえばワンコースでドライブを打つ練習にしても、ただ打つだけでなく、理想のイメージを持って練習しなければ意味がないということなのである。

上手な人の切れているサーブは「オレにさわるとヤケドするぜ」的な雰囲気をもってグングン迫ってくる。それでも台から出るサーブなら、ドライブすればそこそこのボールを返球できそうだが、上手なサーブはコースや軌道もちょうど台に収まるように低く迫ってくる。それでしかたなくツッツキなどをすると、相手にドカンと打たれてしまうわけだ。私だってよく「サーブが切れている」と言われるので、回転量ならそこそこあると自負しているが、高さや速さ、軌道となると、全く無頓着である。こういう細かいことまで気をつかって練習しないと、いつまでたっても上達しない。

今までサーブ練習は、何も考えず5秒に1本ぐらいのピッチで出していたが、これからはサーブの長さや軌道などをイメージして30秒に1本ぐらいのピッチで出してみようと思う。

Liam SVpractice
もしかしたらサーブのイメージを補強するために台の上に何か置いたほうがいいのかもしれない。

一方で、平野友樹選手のサーブ練習は「切り方や感覚をつかむため」だけの練習だったという。
コントロールや軌道のイメージなどは、対人でないと効果が薄いという考え方のようである。

https://www.youtube.com/watch?v=s8miK5UogTA

私の周りにOさんというとんでもない「卓球」をする人がいる。
バックへのロングサーブに対してはバックドライブ強打、ショートサーブに対してはチキータ、こちらがドライブ強打を打てば、フォア、バックに関わらず、カウンター。とにかくどんな厳しいボールでも全部打ってくる。しかしOさんは初中級者なので、ほとんどのショットはミス。それどころか成功率は2割以下である。

「いいかげんにせいよ。そんな卓球あるか!」

と言いたいところだが、そんな卓球が実際にあるということを今日、全日本卓球で見せつけられた。

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大阪開催の全日本卓球2020最終日を観戦してきた。

最終日は男女シングルス準決勝の4試合と、男女シングルス決勝2試合の計6試合が行われた。
たった6試合では物足りない。土曜日なら男女シングルス準々決勝の8試合と、男女ダブルス6試合の計14試合あるからお得だと思う人も多いだろうが、私は6試合も観戦したら、もうお腹いっぱいである。ずっとパイプ椅子に座りっぱなしなので、お尻は痛くなるし、2台同時進行だと目移りして試合にに集中できないし、最終日でよかったと思っている。試合を観るのも楽じゃない。

準決勝に進出したのは

男子:張本智和選手、戸上隼輔選手、吉田雅己選手、宇田幸矢選手
女子:伊藤美誠選手、早田ひな選手、石川佳純選手、橋本帆乃香選手

だった。

その中で注目の一戦は張本選手対戸上選手の準決勝だった。
張本選手の鎧袖一触かと思いきや、結果は全く反対だった。戸上選手のボールがとんでもなく速い。速いだけでなく3本も4本も連打できる。世界の第一線で活躍中の張本選手が最終的に打ち抜かれてしまうほどの威力なのである。バックハンドの強さに定評のある張本選手が、バック対バックのラリーで押されている。張本選手がバックで強打すれば、普通の選手は一発で打ち抜かれるか、せいぜいブロックでなんとか返球するのがやっとだろう。しかし戸上選手はそんな鋭いボールに対してもカウンターで応じ、張本選手のバックハンドに打ち負けない、というより張本選手のほうが次第に劣勢になっていく。とんでもないレベルのラリーが続く。バック対バックの途中で「ヤマを張ってるんじゃないか」と思うほど早い回り込みでフォア強打カウンター。張本選手がフォアに振っても戸上選手は素早いフットワークでフォアカウンター。ブロックなんてしたのだろうか?と思わせるほど戸上選手が守備的な技術を使った印象は薄い。戸上選手が前後左右に動き回り、常に主導権を握り、先手を取って攻撃。そのすさまじいスピードのボールに対して張本選手は返球するだけで精一杯である。試合を通じて張本選手がきれいに打ち抜いたボールは4~5球程度ではないか。張本選手の得点源の大部分は「拾う得点」(前記事「失点を拾うか…」)だったように思う。ほとんどのボールは戸上選手が攻撃し、ミスがなければ戸上選手の得点、ミスが出れば張本選手の得点、という試合だった。張本選手は攻めに行かず、なんとか厳しい返球をして戸上選手のミスを待つという形――試合巧者のベテランが自分のミスを極力減らし、相手のミスで勝利するという戦術に見えた。

ラリー力では戸上選手が一枚うわてなので、張本選手はストップなどの小さな展開で優位に立ちたいところだが、戸上選手は台上も冴えていた。張本選手のショートサーブに対してはチキータや深いツッツキ、それを少しでも浮かせてしまうと戸上選手のフォアフリック強打や台上バックドライブが待っている。とにかくなんでも打ってくる。そしてそれがかなりの確率で入ってくる。

どうやっても張本選手は主導権を握れない。張本選手が試合に勝てるかどうかは戸上選手のミス次第なのである。

結局、フルセット9点で張本選手がギリギリ勝利したが、もし戸上選手のミスがもう少し少なければ、負けたのは張本選手だったかもしれない。まぁ、私程度のプレーヤーの見立てなので、どれだけ的を射ているか分からない。張本選手も顔がずいぶん赤かったので、体調不良だったのかもしれないし。

togami
どこかものさみしげな戸上選手の背中

とんでもない高校生が出てきたものだ。丹羽選手がストレートで負けるのもむべなるかな。

続く決勝は戸上選手のライバル、宇田選手。宇田選手も戸上選手と同様、超攻撃卓球で、試合を通して主導権を張本選手に渡さなかったように思う。そして戸上選手よりもミスが少なかったのか、張本選手にフルセット9点で勝利した。

女子では伊藤美誠、平野美宇、早田ひなの3選手が切磋琢磨しているが、男子でも張本、戸上、宇田の高校生トリオがこれからの日本男子卓球をリードしてくれそうな気配である。今の男子日本代表もウカウカしていられない。この3人には、もしかしたら中国を倒してくれるのではないかと期待させる頼もしさがある。

以上、本日の観戦の感想を簡単に述べたが、女子卓球も非常に興味深かった。橋本帆乃香選手の前半の攻撃的な姿勢は、女子カットマンの既成概念を打ち壊すような新鮮さがあった。女子も若手が次々と現れて頼もしい。

全日本が来年も大阪開催ならぜひまた観戦したいと思う。

保育園で子供たちがいっしょに遊んでいるすぐ横で、一人、熱心におもちゃで遊んでいる子供がいる。
もし自分の子がこんなふうにみんなの輪に入らず、一人遊びをしていたら、親としては心配にならないだろうか。

「うちの子は協調性がない」

「はみご(仲間外れ)にされているのではないか」

孤独力

しかし、こういう行為は子供の発達に必要不可欠なステップなのだという(『「友だちいない」は“恥ずかしい”のか』より)。なぜなら、子供というものは何かに取り組んで、うまく行かないとすぐに飽きて、投げ出してしまうものである。だが、あるとき、どうしても気になることがあり――たとえばパズルをどうしても完成させられない、3つぐらいのはまらないピースができてしまうといった場合、いつもなら飽きて投げ出してしまうところを、どうしても完成させたいと、友達の輪にも加わらず、一人で黙々といろいろな可能性を試してみる。何度もやりかけのパズルを壊して、やり直してみたり、細部に注目して、自分がミスを犯していないか一つ一つ点検してみたり。こんな時の集中力は大人顔負けである。試行錯誤の末についにパズルを完成させたとき、その子は階段を一つ上がり、幼児から児童へと近づいていく。

みんなといっしょだと、どうしても集中できないことがある。一人になって自分と向き合い、じっくり考えてみるということは、子供にはもちろん、大人にも必要な時間である。といっても、一人になれば自分に向き合えるというわけではない。最近は情報が手軽に手に入りすぎて、一人になっても、自分に向き合える時間が少なくなっている。一人になってツイッターやyoutube を見ているならば、それは自分に向き合っているとは言いがたい。周りに人がいてもケータイを片時も手放せない若者も少なくない(「スマホは負け組の吹き溜まり」)。

自分の卓球が行き詰まっているとき、情報を遮断して一人卓球についてじっくり考えてみるのが案外上達の捷径なのかもしれない。

自分のプレーがうまくいかないときは、ひとつ前に自分が送ったボールに原因があるということを私はダブルスから学んだ。

自分に攻撃がうまくいかないなら、攻撃の前の台上に問題があるはずである。

今までなら、できるだけ多くの球を打ち、体で覚えるというやり方によって問題を解決しようとしていたが、最近は実際にボールを打たなくても、上手な人のプレーを観察しつつ、自分のプレーとどう違うのかを考えられるようになった。これもある意味成長なのかなと思う。

明日は全日本卓球選手権の最終日である。去年はいろいろな事情で見に行けなかったが、今年は見に行けそうだ。一番良い席――アリーナ席を確保してある。9時開場で10時に競技スタート。9時からは選手たちの練習を間近で見ることができるだろうか。10時から女子の準決勝である。

今年の全日本も波乱があった。

まさか丹羽選手が戸上選手にストレート負けとは。橋本帆乃香選手と吉田雅己選手の準決勝進出も意外だった。

関西の卓球ファンのみなさん、明日は大いに試合を盛り上げましょう!

年末にインフルエンザに罹ってしまい、ずっと床に臥せっていたのだが、手持ち無沙汰だったので、youtubeで卓球の動画をいろいろ見ていた。
知らない間にいろいろな人気卓球チャンネルができていたことに驚いた。

その中で、年末に私を大いに楽しませてくれたチャンネルに大阪発の「ごぶりんずTV」というのがある。
メンバーはみんな(?)全国レベルの上級者の若者で、とんでもなく上手い。



そのうちの一人、ヤンマ氏がいろいろなラバーを試打してその「性能」を点数化するという企画の動画を見て、ラバーの「性能」について考えさせられた。

yamma

試打するラバーは
「ラクザX」「ラクザ7」「V15エキストラ」「V15スティフ」「スーパーヴェンタス」「ファスタークG1」「ファスタークP1」「ラザンターR47」「ハイブリッドK1J」「エボリューション」

どれもZX-GEAR INというラケットに貼ってある。



私はこのうち、「ハイブリッドK1J」「エボリューション」以外は「試打」したことがある。ラクザやスティフ、ファスタークなら数週間(といっても週1の練習だが)以上使ったこともある。

ファスタークG1だけ、私には硬すぎて違和感があったが、それ以外はみんな使いやすい良いラバーだと感じた。スピードも出るし、しっかり回転もかかる。程よい硬さで打球感も良い。これらのラバーに私が点数をつけるとしたら、5点中、5点である。各ラバーの個性?う~ん…よく分からない。どれも大差ないと感じる。

私の「試打」というのは、ちゃんとボールが入るかどうかというのが最も重要で、それ以外のボールのスピードや回転性能などは高ければ高いに越したことはないが、必須条件ではなく、「おまけ」という位置づけである。

しかし、ヤンマ氏の場合は違った。凄まじいスピードのボールをバシバシと連打している。これが全国レベルか…ボールの質が高い。

bekkaku

sugosugi

ヤンマ氏のショットは非常にシビアなタイミングと強いインパクトで放たれているので、ラバーのほんのわずかな違和感が即ミスにつながる。もしミスしないで入れることを優先したら、本来のスピードや回転が大きく損なわれてしまうのである。

全力のカウンターが目に見えないほどのスピードで這うように台上を滑っていく。こんなショットが半分以上の確率で入るなら、私はこのラバーに忠誠を誓うだろう。
しかし、ヤンマ氏は納得できない表情で小首をかしげている。このラバーに全く満足していないようだ。

「絶対無理や」

絶対無理

こんなすさまじいショットが打てるラバーでも、ヤンマ氏にとっては実戦での使用に堪えないらしい。

われわれ中級者層の「良いラバー」と全国レベルのプレーヤーの「良いラバー」というのは、もしかしたら全く違うものなのではないだろうか?中級者層の要求も上級者層の要求も広くカバーする万能ラバーというのもあるのかもしれないが、中級者層に使いやすいラバーが上級者層に使いやすいとは限らないし、逆もまたしかり。そう考えると、ラバーの良し悪しというのは一体なんなのだろうか?

ヤンマ氏の試打ではスーパーヴェンタスとK1Jが高評価だったが、おそらく全国レベルの上級者が「ここが違う」と評価する部分というのは、ラバーの限界性能の部分で評価しているのであって、中級者以下の人たちはその違いを体感できる、ラバーの性能の限界に近いショットなど打てないのではないか。

そう考えると、評価の高いシューズというのも、森園選手や神選手のようなフットワークのいい選手が限界ギリギリまでシューズに負荷を与えたときにはじめて性能の違いがあらわれるのであって、一般層ではどのシューズでも大差ないということになる。

ラケットでも中陣より後ろから豪快なショットを打てる選手なら違いを感じることができても、ほぼ前陣でプレーする選手には、性能の違いというのは感じることができないということもあるのかもしれない。

用具の性能の違いというのは、結局のところ、限界近くまで性能を引き出せるような力のある人でなければ意味がないということにならないだろうか?

用具レビューというのはどのレベルを対象にして、どんな基準で評価するのかというのを考慮しなければならないので、非常に難しいと感じた。

stiff
V15スティフを私は実際に使ってみて非常に満足し、リピートしたが、ヤンマ氏の評価は最低レベルである。


ヒッコシカクメイ
大阪の電車で見つけた吊り革広告。おもしろい。
 

「フォアドライブを軸にしてポイントを組み立てる」

のようなことをよく聞く。自分の得意技術をポイントの要として、それが打てるようにサーブやレシーブを工夫するということである。私が試合の時、なんとなく負けてしまうのは自分の展開というのがなく、行きあたりばったりで試合をしているからなのだと思う。私も自分の卓球の軸を作ろうと思う。

私の中で比較的得意な技術というと、フォアドライブかもしれない。しかし、フォアドライブを軸にしてポイントを組み立てるとなると、どうしても避けられないのがフットワークである。私はフットワークには自信がない。しかも、フォアドライブを軸にするとなると、かなり綿密なコース取りが要求されるだろう(前記事「やっぱりそうだった」)。こちらがフォアドライブで決めたいと思っていれば、あるいはフォアドライブで得点ができているならば、相手は絶対にフォアを打たせまいとしてストップをしてきたり、バックばかり狙ってきたりするに決まっている。そのような困難を跳ね返してフォアドライブを打つには相当な工夫が要求されるわけだ。

フォアドライブはやめだ、難しすぎる。バックドライブならどうだろうか?フォアドライブよりもバックドライブのほうが打つチャンスは多いはずである。ただ、私はあまりバックドライブが得意ではない。裏面が打てるとはいえ、シェークのバックハンドと比べると、ペンのバックハンドはシェークほどの対応力も威力もない。

ツッツキを軸にするというのはペンらしくていいかもしれない。もちろんツッツキだけでは打たれてしまうので、ツッツキとストップの合わせ技というのがよさそうだ。ツッツキやストップなら地味だし、相手もあまり警戒しないにちがいない。フォア側かバック側かどちらに来るかギリギリまで分からず、台から出るかどうかも分かりにくいとなると、相手にとってかなり驚異になるはずである。

ただ、これも私はあまり得意な技術ではない…。しかしそんなことを言っていたら、私の得意な技術は何もないということになってしまうので、ツッツキとストップを今年は磨くことにしよう。

ペンのツッツキ

ストップが上手にできるようになったら、相手はツッツキで返してくるだろう。すると次はフォアドライブでしっかり打てるようにならなければならないだろう。回り込みが間に合わない場合はバックドライブで打たなければならないかもしれない。
あるいは鋭いツッツキが打てるようになったら、相手はループドライブで持ち上げてくるだろう。そうすると、ブロックやカウンターを磨かなければならなくなる。

ということは、結局全ての技術をまんべんなく磨かなければならないということになってきそうだ。

そうかぁ。結局どれもできなければならないんだなぁ。とはいえ、やはりプレーの軸というべきものを持っていると、自分の技術をどのように使えばいいか具体的なイメージができるので、軸となる技術を作っておくのは間違いではないと思う。

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