しろのたつみ



卓球について考えたこと、
気づいたこと(レベル低いです)
を中心に中級者の視点から綴っていきます。




2019年12月

当ブログでは皆様からの寄稿を募集しております。卓球について意味のある主張を発表したい方はshirono.tatsumi◯gmail.comまで原稿をお寄せください。

コメントについて:
コメント欄は他の読者が読んで意味のある情報交換の場としてご利用ください。当ブログの方針(察してください)に沿ったご意見は公開します。返信しにくい場合は公開のみとさせていただきます。指導者ではないので、技術的な質問には答えられません。中傷等は論外です。なお、メールアドレスは公開されません。

平成末年から令和元年を振り返る――拙ブログの今年一年の軌跡

昨日まではひどい寒気と頭痛に襲われて、床に臥せっていたが、ようやく起き上がれるようになった。正月休みだと気が緩んだせいだろうか。風邪を引くなんて1年ぶりぐらいである。私は昭和の人間なので風邪ぐらいではもちろん病院には行かない。自分の免疫力で治すのである。なぜか分からないが、体の節々が痛い…。

そうして今年も残すところあとわずか。

今年1年で私の卓球に対する意識はどの程度進歩しただろうか。去年の年末には「卓球ポートフォリオ」という振り返り記事を書いたのだが、過去の記事に目を通すのは予想外にめんどくさかった。あまり気が進まないが、やはりこの1年でどんなことを考えたり、知ったりしたのか、改めて振り返っておくべきだろう。最近、物忘れがひどくて、同じような内容の記事を繰り返し書いてしまうことがあるので、備忘録的な意味もある。

数えてみると、寄稿を含めて2019年に66本の記事を公開している。この記事で67本目である。
以下に私の卓球意識の変遷に影響したと思われる記事を時系列順に並べていきたい。

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1月
小首をかしげて
顔をインパクトに近づけてサーブを出すとカドらない。

感覚を聞く
とにかくたくさんボールを打つという量的な練習から、1球1球神経を集中させて味わって打球すると、今まで気づかなかったことに気づけるかもしれない。

ここじゃないどこかへ
動くのが楽しいと自己暗示をかけ、動きたくてたまらないという気分にしておいた上で足を動かすと、効率よく動けるのではないか。

2月
○球目にご用心
サーブ時なら1球目、レシーブ時なら2球目の打球直後に神経を集中させることが大切。

アクセルかブレーキか
体重移動時に踏み込みが強すぎると、戻りが遅くなる。

それってyoutubeの見過ぎだよ
プロの選手が当たり前のようにやっていることを一般層も当たり前のことだなどと思ってはいけない。

3月
手首・肘・肩 支点のバックドライブ
釣り竿を振るように手首を支点にしてBDを振ると、軽い力で安定したドライブが打てる。

いいドライブは呼吸している
ドライブ時に足裏で床を蹴るようにしてドライブを打つと良いドライブが打てる。

ラバー・ペンシル・イリュージョン
指に力を入れないことによってラケットを素早く振れる。


4月
神巧也選手の前後のフットワーク
打球と次の一歩を同時に出すと、素早いフットワークができる。

卓球における質の高さ
ボールの質ばかりでなく、フットワークの質や戦術の質を高めることも大切。


5月
リソース不足
動きながら質の高いボールを打つには、上半身か下半身のどちらかを無意識に行えるようにしたい。

カウンターだよ、卓球は
カウンターの意識を常に持っていれば、反応が早くなる。

6月
回り込みと体の向き
回り込みは横に移動するのではなく、まず横を向いてから、後ろに下がると素早く回れる。

ズンチャッチャ
「打球」→「移動」→「移動」の三拍子を心がければフットワークが安定するか。

ライトウェイト卓球
台から離れて大きく動いて強打を放つ、ハイパフォーマンス卓球ではなく、前陣で軽やかに軽打を放つライトウェイト卓球を目指したい。

バイバイの動き
手首に力を入れなければラケットが速く動き、サービスも切れる。

難しいボール
中級者にはあまり難しくないつもりのショットでも、上級者にはリスクの高いショットである場合がある。中級者と上級者は「難しい」の基準が違う。

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以上、駆け足で今年前半期を振り返ってみたが、大切なことなのにすっかり忘れていたこともいくつかあった。

2月の「それってyoutubeの見過ぎだよ」、6月の「難しいボール」と、似たような主題で記事を書いている。さらに今月にもこれらと同じような記事を公開している。私の卓球人生においてこの事実は元号が変わるぐらいの画期的な発見だったのだと思う。卓球歴累計20年ほどにしてようやく気づいた上級者への道(すでに手遅れかもしれないが)。このことに気づかなければ、私の上達のスピードはもっと遅くなっていたことだろう。

なんだか頭が痛くなってきたので、今晩は無理をせずに休むことにしたい。続きはまた明日。

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【続き】

7月
ブレードのどの辺で回転をかけるか
ブレードの先端のほうから斜め方向にボールを通す意識でドライブをかけると、安定する。


8月
やっぱりそうだった
卓球レベルの段階を3つに分けてみた。
レベル1(初中級レベル)はボールを正しく打てるかどうかのレベル
レベル2(中上級レベル)は打球と打球をつなげられるかどうかのレベル
レベル3(上級レベル以上)は戦術と駆け引きが中心のレベル

足で打つとは
フットワーク練習は、足を速く動かす練習だけでなく、相手の動きを確認し、次の自分の動き出しを早くする練習も兼ねている。

フォアハンドを振り切るには
アープのサンプル動画を見て、自分なりに解釈。おそらく体の向きが大切で、背中と肘を直線で結ぶように意識すると、フォアハンドを振り切れるか。

自分の持ち味
腕に利き腕があるように、体のあらゆる部位にドミナントがあり、自分のドミナントがどちらかを知れば、自分の持ち味を活かせるプレーができる。


9月
エネルギーの方向性
下回転を持ち上げるにはスイングスピードを上げるより、ボールの触る位置を変えたほうが簡単である。また体の中心に向かって体を「圧縮」させる意識で体を回転させるとスイングスピードが速くなる。

感覚を閉じる
視覚に充てるリソースを他の感覚に振り分けることによって聴覚や筋感覚が鋭敏になる。そうすることによって自分がどの筋肉を使って打球しているかが分かる。

安定したツッツキ
ツッツキを上から振り下ろさず、下からしゃくるように打てばツッツキが安定する。

動作の楽しみ
体を動かすことは面倒なことではなく、むしろ楽しいこと。


10月
節制は勝利のもと
自分の全力で打つのはやめて、マージンのある卓球を基本とすべきである。

足惜しみ
フットワークでは感覚を研ぎ澄まし、足を動かそうという姿勢を保つべきである。

インソールの穴
踏ん張らないほうがフットワークが速くなる。


11月
CUE
無意識に不合理な癖にとらわれてプレーしている場合もあるので、それに自分で気づけるようにしたい。

ツッツキのバリエーション
ツッツキを細かく打ち分けることが大切

止まって打つとは
打球のインパクトと右足の踏み込みを同時に行うようにすると安定する。

12月
大人の卓球
強ドライブで一発で決めに行くよりも安定したドライブで自分のミスを減らしたほうが試合で勝てる。

標準卓球
初中級者が「標準」だと思っているプレーは客観的に見ると、リスクの高いプレーである可能性が高い。

失点を拾うか、得点を奪うか
上級者にしても、試合で全力ドライブやカウンターは余裕のあるときでない限り避け、むしろ堅実につないで相手のミスで得点しようというほうに意識が向いている。

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以上、後半期の記事を振り返ってみた。

9月の「感覚を閉じる」は1月の「感覚を聞く」と同工異曲である。
2月の「アクセルかブレーキか」は10月の「インソールの穴」とよく似た主張だし、一年のうちに何度も同じような主張をしてしまう。半年前のことが頭の中からすっかり消えてしまっているわけである。脳の老化というのはおそろしい。

10月の「節制は勝利のもと」、12月の「大人の卓球」「標準卓球」「失点を拾うか、得点を奪うか」は、2月の「それってyoutubeの見過ぎだよ」、6月の「難しいボール」と共通する主張である。一言で言えばリスキーなプレーはやめて、自分の実力相応の安定したプレーを貫いたほうが試合で勝てるということである。

以上、今年1年の記事を振り返ってみた。
このようにたくさんの気づきをもらえたのは無料で動画を公開してくれている方々、ブログやコメントで質の高いご意見を発表してくれたみなさまのおかげである。この場を借りてお礼申し上げます。

もう今年もあと数分。新年も拙ブログ「しろのたつみ」をどうぞよろしくおねがいします。

さよならイノシシ
さらばイノシシ

失点を拾うか、得点を奪うか――読者のコメントから

前記事「標準卓球」で次のようなコメントをいただいた。非常に有益なコメントだったので、シェアしたいと思う。
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自分で書くのもおこがましいのですが、自分はしろのさん基準でいう「上級者」に分類されると思います(インターハイ、インカレ、全日本出場経験ありの現役大学生)。ただ、いわゆる一般目線でいう上級者の私もしろのさんが挙げられたような「当たり前」のプレーができているかと聞かれると、全くできていません。さらに言えばあまりする気がなく、特に両ハンド強打や2球目強打、カウンター等は全く入る気がしないのでよっぽど余裕のある試合でしかすることはありません。
最近、鹿南クラブさんの動画がじわじわ伸びつつありますが、鹿南クラブさんの考え方はいわゆる上級者全員に通じる考え方だと思います。特に強豪校と呼ばれるところでは「負けない卓球」を叩き込まれているので、「得点を奪う技術」よりも「相手の失点を拾う技術」を使うのが上手いです。
いまいちまとまりのない文章なのですが、結論としては、しろのさん目線でいう中級者、上級者の間にはこのあたりに差があると思います。中級者は「得点を奪う技術」に目が向きハイリスクなプレーになり、上級者はよっぽどのことがない限りローリスクにプレーすることが基本になっているのでプレーが安定する。私の実体験からしても、このことは確信を持って言えます。上級者は卓球が上手いからミスが少ないのではなく、ミスをしないように簡単なプレーだけをチョイスしているからミスが少ないのです。

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上のコメント主、四ツ谷氏は、相当な腕前である。インカレや全日本に出場したことがあるだなんて、私から見たら異世界の住人である。

そのようなどこから見ても上級者の氏が

「当たり前」のプレーが「全くできてい」ない
「2球目強打」「両ハンド強打」「カウンター」はよほど格下相手にしか使わない

というのである。
さらに上級者と中級者の意識の差として、「上級者は相手の失点を拾う」ほうに意識が向いており、中級者はハイリスクな「得点を奪う技術」のほうに意識が向いているというのである。

これを読んで思い当たることがある。
強打自慢のRさんは大学までガッツリ卓球をやってきた中上級者である。Rさんと練習試合を何度かしたことがあるが、いつもストレート負け。しかし、一度だけ勝ったことがある。

Rさんと対戦するときはいつも緊張して、早い打点で低いボールを返球しなければならないというプレッシャーがある。普通にツッツキすれば、回り込まれて強打の餌食になってしまうので、低い鋭いツッツキを心がけている。台上のちょっと浮いたボールはこちらが強く叩きにいかないと、次にRさんの強打が待っている。そういうプレッシャーから、打たれまいと鋭いツッツキをしようとしてネットミス。台上の浮いたボールを叩いてオーバーミス。ロングサーブが来たら、渾身の力でバックドライブするも、ネットを越えない…。

これがいつもの私の負けパターンである。しかし、あるとき、開き直ってリラックスして対戦できたことがある。相手のショートサーブに対して私は軽くフォアフリック。Rさんはもちろん自慢のフットワークでそれをドライブ強打するのだが、フリックがナックル気味になっていたのでドライブをネットに引っ掛けてしまう。あるときはフォア前にちょっと浮いたストップをして、強打を打つつもりのRさんが強打できず、置きに来たボールをバック奥にツッツキ。Rさんは全力でバック側に戻るも間に合わない。

伊藤選手がよく使うコース取りである。
フォア前に
フォア前サーブのあと、

バック奥に
バック奥へ

Rさんは次第にプレーが崩れていき、そのまま負けてしまったのだ。そのときは単に相手の調子が悪かったから、私が勝てたのだと思っていたのだが、今思い返してみると、Rさんほどの上手な人でも、微妙な回転のボールは必ずしもガツンと強打できるわけではないし、とっさに予想していない高さや深さのボールを送られると、ミスをしてしまうということなのである。

全日本一般に出場したことのある四ツ谷氏にしても両ハンド強打はそうそう打てないと言っているのである。いわんやRさんをや。

上級者は相手の得点よりも、自分のミスで負けることのほうが多いということをよく理解しているため、慎重にプレーして相手の失点を拾おうとするが、中級者は「2球目ドライブ強打ぐらい当たり前」「台から出るツッツキに対してはすべて決めに行くスピードドライブ」のような得点を奪う意識でいるため、自分のミスで負けてしまうことが多いのだと思われる。

喩えて言うなら、一流の経歴を持つ人も慎重に行動しなければ不倫やら汚職やらで現在の地位を失ってしまうというのに似ている。

このような意識の違いを多くの初中級者に知ってほしいと思う。

「標準卓球」――中級者と上級者の違い

付き合いで団体戦に出ることになった。
試合会場で、空いている台で30歳前後の若い二人が練習している。
お互いにすごいスピードのドライブを打ち合い、攻守を転換しながら、凡ミスもせず、延々とラリーを続けている。台から2メートル以上も離れてのドライブの打ち合いは豪快そのものである。明らかに私のチームとはとは違うレベルの卓球だった。

「あんな人たちと当たるんだろうか。もしそうなら試合になんかならないぞ…。」

そこには知り合いのS君も来ていた。S君は関西学生リーグ1部校出身の上級者である。もしかしたら、全日学とかにも出場したことがあるかもしれない。だが、さすがのS君もあの二人と当たったら、勝てないのではないか?

案の定、私のチームは早々に敗退してしまった。私はS君のチームがあの二人のチームとどんな試合をするかが気になって両チームの対戦を見ていたのだが、S君はあっけなく二人の一方を撃破してしまったのだ。さきほどの練習の時とは違い、その若者はなかなか攻撃させてもらえず、凡ミスを連発していた。

それを見て私は理解した。

中級者の上のほうのレベルと、上級者の違いとは、素人目には分かりにくいところにあるのだと。
中級者でお互いの手のうちを知り尽くしているチームメート同士が練習をすると、それは一見、上級者のプレーに近いものがある。しかし、中級者はふだん打ちなれている相手と違う球質の相手や、不慣れな戦型と対戦すると、ふだんのプレーが発揮できず、格下相手にも苦戦したりする。

しかし、上級者はどんな相手とやっても自分の最低限の実力は発揮することができ、めったなことでは崩れない。S君のプレーはそれほど派手なプレーではないが、台上は相手の打ちにくいところを突き、ブロックはしっかり止める。チャンスが有れば両ハンドでミスなくドライブを放ち、カウンターだって決めてしまう。

「当たり前」のことを当たり前にこなすのがS君のプレーなのである。

では「当たり前」のプレーとはなんだろうか?

【続く】

最近、忙しくて更新が滞っているので、未完成だが、とりあえず前半部分のみ公開したい。後日時間の余裕のある時に加筆するつもりである。

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【続き】

卓球における「当たり前」のプレーとはどのようなものだろうか。
・短いサーブにはネット上ボール2個分の低いツッツキ

・台から出るサーブ、あるいはツッツキには両ハンドでドライブ強打。

・それほど切れていないショートサーブにはチキータ、あるいはフリック。

・ループ気味のドライブに対してはカウンター、あるいはスマッシュ。

…書いていて虚しくなってくる。これはかつて「標準世帯」と呼ばれたものと同じだと思うからである。標準世帯とは夫が働き、妻は専業主婦、子供が二人いる家庭のことである。昭和の頃にはこれが典型的な家庭だったのである。そして年に月給2ヶ月分のボーナスが2回出て、手厚い社会福祉と退職金によって守られているサラリーマンの家庭が思い浮かぶ。

令和の現在、このような家庭がどれほどあるか分からないが、少なくとも「標準」ではなくなっている(「30代で月に48万必要」)。世には結婚できない人があふれており、妻は働かず、家事や育児に専念するなどというのは相当恵まれた家庭だろう。かつての「標準世帯」というのは、今や「理想世帯」とさえ言えるかも知れない。

「夫になる人の年収は少なくとも800万はほしい」

などと言って結婚せずに出会いを待っている人にはかなり厳しい現実が待っている(たぶん)

卓球だって同じである。
相手のサーブに対して常にボール2個分の低さで返球するなどというのは、ふだん打ちなれている人ならいざしらず、初見の相手には難しい。台から出るツッツキはすべてドライブ強打?私だっていつも練習している人のサーブやレシーブに対してはかなりの確率で2球目のドライブ強打や、3球目強打も決まると思う。しかし、実際の試合では相手がどこにどんなボールを送ってくるのか分からないのだから、ドライブ強打なんてそうそう打てるものではない。ミスしないようにとりあえず高くてゆるいドライブを打つのが精一杯である。チキータだの、フリックだの、コースが決まった練習なら打てないことはないが、実戦では入る確率が半々である。こんな技術は実戦では使い物にならないし、相手のドライブに対するカウンターなど恐ろしくて打てない。ブロック一択である。

試合ではできない





ちょうど同じようなテーマで上の2つの動画がアップされていた

初中級者が自分の実力をかえりみず、実戦で上記の「当たり前」のプレーをしたら、厳しい現実が待っているだろう。低くレシーブするのだって、対下回転強打だって、ふだんの練習相手になら高確率で決まるだろうが、初見の相手にはなかなか安定しないものである。

私たち初中級者が「当たり前」と思っていることは、試合ではちっとも当たり前じゃないと思う。上級者になって初めてどんな相手のどんなボールにもある程度は対応できるようになり、私たちがイメージする「当たり前」のプレーができるようになるのだと思う。「当たり前」のプレーは、ちっとも当たり前じゃない。

大人の卓球

大人になると、実利のことばかり考えて行動するようになる。

「それをやったら金になるのか」
「自分の影響力を高めるにはどうすればいいのか」

そんなことばかり考えてしまう。実に夢がないと感じる。若いころは「楽しいから」とか「やってみたいから」という理由だけで自分の時間や労力を惜しみなく費やしていたのに、大人になると、そういう純粋さを忘れてしまう。

実は私が何の得にもならないブログを続けているのは、このような大人の考え方を戒めるためなのである。

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最近よく見る動画に鹿南8の神山氏の動画がある。

その中で衝撃的な発言があり、私は一気に悟ってしまった。

「ループドライブを打つべきシンプルな理由」

神山氏は言う。決めに行くドライブ強打は原則として一般層の卓球では必要ないのだと。

「地区・県レベルであればループドライブで十分だと思いますし、…下回転(に対するドライブが)1本入ってしまえば、だいたい点数になってしまうっていうのがこの競技レベルでは現実的なところなのかなと思います。」

「私の経験上ですけど、…中学生・高校生ぐらいで全国大会に出るところですね、出て1回戦、2回戦ぐらいまでのレベルは正直…例えばサーブ3球目を打つときとか、レシーブ4球目を打つときに、強ドライブ…を多用していくよりも、ループドライブをしたほうがはっきり言って勝てるかなと思ったんです。」

「もっと言えばですね、ループドライブを打つ必要すらないことも多いと思うんですよ。下回転のボールはつっついたほうがいい」

神山

神山氏は愛工大名電から埼玉工業大に進んだ、卓球のエリートである。そして現在は、小中学生の指導に携わっているようだ。その氏が「中高の全国大会1~2回戦までは下回転に対するドライブ強打は必要ない」というのである。

中高生の地区大会のレベルと、社会人の地区大会のレベルというのはあまり変わらないだろう。ということは、私のレベルにもこの考え方は当てはまるということなのである。

たしかに相手のツッツキを一発強打で打ち抜く卓球は爽快である。いかにも「卓球している」という感じがする。しかし、その一発強打のために平均して2発の強打ミスが伴うのだとしたら、どうだろう?打ちたいだけ強ドライブを打つ卓球をすれば、自分の実力は出し切ったという達成感はあるかもしれないが、試合には負ける可能性が高い。
逆に下回転のボールを打点をやや落として常にスピードの遅いループ気味のドライブで返球したらどうか?たしかに時にはそれを相手にスマッシュや、カウンタードライブで迎撃されてしまうこともあるだろう。だが、その相手の強打も1発につき、平均して2発の打ちミスが伴うというのも現実には起こりうるのである。

私の周りの上手な人のプレーを振り返ってみると、昔、全国大会に出たことがあるという若い人は、たしかにガンガンドライブ強打を打っているが、そうではなくて、私とさほど年齢も、レベルも違わないけれど、なぜか勝てないという人は、ツッツキやブロックで手堅く試合を進め、浮いたチャンスボールだけを強打するというプレーが多いような気がする。

ここから分かることは、試合で負けるというのは、相手に負ける以前に自分のミスに負けている、あるいは自分の実力に対する認識の甘さに負けているということである。大人の視点で見れば、強ドライブを打って負けるよりも、ツッツキやループドライブで、できるだけ自分のミスを抑えるという姿勢が望ましいということになる。なぜなら、勝利という実利にかかわってくるからである。

もちろん「試合の勝敗には頓着しない。格上に対して自分の全力をぶつけたい!」という人は強ドライブをガンガン打てばいいのだが、試合に勝つという目的だけなら、大人の卓球でプレーしたほうが有利である。ただ、大人の卓球で勝利するには、前提として、相手が気持ちよく強打を打ってミスを量産してくれる必要がある。もし相手も大人の卓球をしてきたら、大人の卓球対大人の卓球ということになり、また戦術を変えなければならないかもしれない。

私も「卓球は勝敗じゃない!」と言いたいところだが、大人になると、つい勝敗にこだわってつまらない卓球をしてしまう。


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