しろのたつみ



卓球について考えたこと、
気づいたこと(レベル低いです)
を中心に中級者の視点から綴っていきます。




2019年06月

私は異質との対戦が苦手である。ペン粒と試合をして勝ったことなんて数えるほどしかない。

「ツブに下回転を送ると、『どうぞ打ってください』と言わんばかりの上回転で返ってくるんですよ!なんで苦手なんですか?」

などと友人には言われるが、そんなおいしい展開になるイメージがほとんどない。下回転サーブを出そうものなら、深いナックルのような、よく分からない回転のプッシュでズンっと押されて、それをループドライブで応じると、次はとんでもない下回転が返ってきて…とにかく「ツブ高は怖い」という拭いようのない苦手意識が私には刷り込まれていたのである。しかも私の周りにはツブ高がいないので、いつまでたってもツブ高に慣れることができない。

しかし、先日公開された中国卓球の孟コーチの動画をみたら、ツブ高ってあまり怖くないかもしれないと思うようになった。



ツブ高は

”こちらが回転をかければかけるほど、重いボールが返ってくる”

したがって

”いかに軽い力で打つかが大切になってくる”

極端な話、軽く打つフォア打ち(ロング)とツッツキを交互にミスなく繰り返せばツブ高に勝てるというのである。

易しいときは軽くドライブ
軽いボールのときは、軽く打つ

難しいときはツッツキ
重いボールのときはつっつく

”ツブ高と対戦するとき、すぐに決めようとしてはいけない、延々とラリーを続ける覚悟で臨まなければならない”

永遠に続けろ

なるほど。私はツブ高が苦手なので、ラリーに持ち込ませずにできるだけ早い段階で打ち抜きたいと、3球目強ドライブをしてしまうのだが、それでは相手の思うつぼなのだ。

振り返ってみると、私がツブ高と対戦するときは、私がナックルロングサーブを送り、それを相手が低くプッシュしてくるので、3球目で全力でドライブしてブロックされ、ドツボにハマってしまうというのがいつものパターンなのである。これからは軽いボールでゆっくり戦うことにしよう(といっても裏面とかでパシっと打たれしまったらどうしようもないが)

この動画を見て、もう一つ考えたことがある。

A1「こちらがドライブする」→A2「重い、難しいボールが返ってくる」
B1「こちらがつっつく」→B2「軽い、易しいボールが返ってくる」

動画を見ていると、私にはA2が「難しいボール」には見えなかったのである。というか、むしろ打ちごろの下回転に見えたのである。

たぶん、私はA2を全力でドライブしてしまうだろう。

A3「ドライブ強打」→A4「非常に重く難しいボールが返ってくる」

そしてA4を体勢を崩してでも、イチかバチか、渾身の力でなんとか持ち上げようと思うだろう。

私の「難しい」ボールの認識は、おそらく上手な人と違うのである。となると、私が今まで「難しくない」と思っていたボールのうち、何割かは、実は難しいボールだったということになる。レベルの低い人ほど難しいボールをムチャ打ちしにいってミスを連発するものである。私がミスしているボールの多くは実は難しいボールだったということにならないか。

相手の返球場所を指定して、こちらが打つ練習をしているときは8割がた入っているボールでも、どこに来るか分からないときは、ミスすることが多い。難しさはボールのスピードや回転だけではない。むしろ、どのコースに来たボールか、身体との距離が遠いか近いか、逆を突かれて身体の向きがあらぬ方向を向いていないか、そういう気づきにくい点から私にとっての「難しい」ボールを点検しなおさなければならないだろう。


村瀬勇吉氏の監修による「サービスはマジックだ(前編)」を見て、驚くべき説明に出会った。



”手首で回転を掛けようとしても、手首の動きは遅い”

「バイバイ」を手首の筋肉だけで行おうとすると、非常に疲れるし、機敏に動かない。そうではなく、手首の力を抜いて前腕を全力で振ると、手首がそれに「振られて」目に見えないほど速く動くのである!「手首を振る」のではなく、「手首が振られる」のである。

言われてみれば当たり前かもしれないが、私にとっては目からウロコだった。

バイバイ

この動きをサービスのインパクト時に使ったらどうなるのか…おそろしいことになるに違いない。いや、サービスだけではない。ドライブやツッツキにも応用できるに違いない。

自分の手でいろいろ試してみたところ、「バイバイ」だけでなく、「おいでおいで」も前腕を使えばすごいスピードで動く。ペンホルダーの場合は「おいでおいで」の可動方向を利用すればループドライブがすごいことになるかもしれない。いや、むしろフォアフリックやバックハンドのツッツキのような小技のほうが効果を実感しやすいかもしれない。

私もおそらく無意識に手首の力を抜いて前腕でボールを打つことはあったのだと思う。しかし、これまでは意識して可動方向に沿って前腕を振っていなかったために手首が十分振れておらず、中途半端だったように思う。

早くこのアイディアを試してみたい。週末の練習が待ち遠しい。

なお「サービスはマジックだ(前)」には他にも多くの有益な情報がちりばめられていておすすめである。

今週は余裕がなかったなぁ。ブログにまで手が回らなかった。
10日以上更新していないので、さすがに何か書かないといけないなと思い、最近の練習を振り返ってみる。

そうだ!こんなことがあった。

カット打ちをしているとき、相手のカットが低くて、切れていて、なかなか持ち上がらない。
うちのパーティーには裏裏の攻撃型とペン表しかいないので、私はツブとかカットマンと打ち慣れていないのである。

muramatsu
そういえば、村松選手は最近あまり話題に上らないが、元気にしているだろうか。

その人のカットは、早い打点で全力で持ち上げて、ようやくネットを越えるぐらいである。1~2球はなんとか持ち上げられるが、3~4球連続でカット打ちをすると。ネットにかけてしまう。よくあるケースは、威力のあるショットを打とうとしすぎて前方にスイングしすぎているというものである。私もそれは分かっているので、ほぼ真上に擦り上げているにもかかわらず、まったく余裕がない。これは何かが根本的に間違っていると直感した。
一般愛好家レベルの卓球で全力でないとボールが持ち上がらないというのは何かが間違っているはずだ。われわれのレベルで全力で打つショットよりも、上級者が軽く打つショットのほうがスピードが速いというのはよくある話である。カット打ちも上手な人は「あらよっ!」と軽々とボールを持ち上げる。絶対に私より力を使っていないはずにもかかわらずである。それでいろいろ試行錯誤してみたところ、バックスイングを取らないというやり方が効果があった。はじめは重い下回転に負けないように十分にバックスイングをとって台の下からブーンと大きなスイングで持ち上げていたのだが、それをやめてラケットを台の上からスタートさせるようにしたのである。そうすると、多少余裕が出てきた。ついでにボールにあと20センチぐらい(ブレード1枚分)身体を近づけて打つようにしてみた。すると、さらに軽い力で持ち上がるようになった。腕を伸ばしすぎだったんだろうと思う。

腕を伸ばしきる
初中級者がこんなふうに腕を伸ばして打つのは危険だと思う。

また、最近ロングサーブからの展開を練習しているのだが、せっかく打ちごろのボールが返ってきても、うまく打てない。サーブが速いだけに返ってくるボールも速いのであまり動けず、さしこまれてのオーバーミスが多い。おそらくボールに間に合っていないのだろう。横下フォアサーブを出すと同時に後ろに飛び跳ねて時間を作ろうとするのだが、そうすると、今度は浅く返されたときにうまくタイミングが合わない。

「サーブのあとに無駄に腕を動かしていませんか?」

そんなことを言われて思い当たることがあった。私はサーブのフォロースルーが大きいのである。インパクト後にスイングの勢いのまにまに、腕を前方に伸ばしてしまうので、次の打球に間に合わないのかも。いや、そうは言っても、インパクト後に30センチほどしかラケットは移動していないように思う。この30センチが私の卓球にどれほど影響しているというのか。しかし、試せることは全部試してみたい。やるなら徹底的にやらねば。インパクトと同時にラケットを止めて、すぐにニュートラルに戻り、3球目を待つようにしたところ、たしかに動く余裕が少し出てきたのである。それにバックスイングなしのドライブを合わせると、さらに余裕が出てくる。

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ネットのニュースで「最近のスポーツカーが高額化する理由とは」という記事を読んだ。それによると、スポーツカーにはイギリス流のライトウェイトスポーツカーと、大陸的なハイパフォーマンススポーツカーの系統があるのだという。

ロードスター

テスタロッサ

卓球も同じようにコンパクトなスイングで軽快に小さく動くライトウェイト卓球と、台から距離をとって大きなフットワークで強力なショットを放つハイパフォーマンス卓球とがあるように思う。私はそんなハイパフォーマンスな卓球などできるはずもないのに、気がつくと、つい全力で打っていることがある。ユーノスロードスターにフェラーリ・テスタロッサのエンジンを積めるとしたら、きっと私の卓球のようにちぐはぐなことになってしまうだろう。よりコンパクトに、より素早く。これが私の身の丈に合った卓球だろうと思う。

人はどうして自分の実力を省みずハイパフォーマンス卓球に走ってしまうのだろう。おそらくライトウェイト卓球よりもハイパフォーマンス卓球のほうがかっこいいと漠然と感じているからに違いない。できればハイパフォーマンス卓球がしたいけど、無理だから、ライトウェイト卓球をするというのではなく、ハイパフォーマンス卓球よりも、ライトウェイト卓球のほうがかっこいいと積極的に感じるようになるには年齢とか、人生経験といったものが必要になってくるのかもしれない。若くて体力の有り余っている人にライトウェイト卓球のほうが勝てるんだと言ってみたところで、頭では理解しても、心から納得してもらうのは難しいに違いない。

「ああ、時間がない。このままでは今日の練習に遅れてしまう…。」
しかしどうしても練習時間までには終わらない仕事量である。なんとか仕事を選別して、自宅でできない仕事だけ、職場で済ませることにした。

というわけで、この週末はいろいろ仕事を持ち帰ってしまい、うちで片づけなければならなかった。
ちょうど香港オープンをやっていたので、ブラウザで卓球動画を開きながら、PCで仕事をしていた。これがおそろしいほどハマった。つまらない仕事でも、卓球の試合を見ながらだと、非常にはかどるのである。卓球の試合も楽しめるし、それにつられて仕事の方も苦痛ではなくなってくる。
Tリーグで生の迫力を堪能するのもいいけれど、年をとると、わざわざ出かけるのがおっくうになる。自宅で仕事のかたわら試合を観戦するほうが私のライフスタイルに合っているようだ。これで積み残した仕事は解消され、月曜から晴れ晴れした気分で仕事に取り組むことができそうだ。ワールドツアーをちゃんと見ることは少ないが、仕事のBGM代わりにすると、とても楽しめる。

以下、香港OPを見たとりとめもない感想などを綴ってみたい。

香港オープンは中国オープンと違い、中国の1軍が出場しなかった。それで日本選手が上位に食い込めたので観戦にも熱が入った。とはいえ、中国の準1軍ともいうべき若手やベテランの強い選手などが出場していたのでレベルが低かったわけではない。

女子は佐藤瞳選手がベテランの木子選手(元世界選手権3位)を破るという快挙を成し遂げ、平野美宇選手は同じくベテランの馮亜蘭選手や馮天薇選手を下した。平野選手は最近思うような戦績が残せていないだけにこの勝利は復活を期待させるものだった。

印象に残ったのは張本選手と周雨選手の準決勝である。

周雨



周雨選手は準々決勝でティモ・ボル選手をラリーで圧倒し、張本選手にもそのすさまじい威力のドライブで襲いかかった。これで1軍に入れないなんて中国の層の厚さよ。ラリーでは張本選手も相当レベルが高いはずだが、その張本選手をもってしてもラリーでは分が悪かった。さすがの張本選手も万事休すかと思われたが、張本選手はラリーで打ち合わず、レシーブでは台上で短く止めたり、コースを厳しくしたりしてラリーに持ち込ませないようにしているようだった。驚いたのは張本選手のサーブである。張本選手のフォアショートサーブは短く低くレシーブされることがほとんどないのである。周雨選手だけではない。他の選手も張本選手のフォアショートサーブをどうしても少し浮かせてしまう。それを張本選手は3球目でフォアフリック強打やフォアドライブで厳しく攻めて、大きいラリーにさせずに一気に攻めきってしまうことが非常に多いのである。それほど個性的なサーブには見えないのだが、試合を通じてずっと効いていた。そして序盤の私の予想を裏切って4-1で張本選手が勝ってしまった。私はついつい派手なラリーに目が行ってしまうが、この試合でラリーが強いからといって勝てるものではないのだと学習した。

試合後のインタビューがおもしろかった。張本選手は抱負を聞かれて「GFでは勝っていますが、相手のほうが世界ランキングも上ですし、格上だと思っているので、1球1球気持ちを込めてプレーして勝ちにいきたいと思います。」のようなことを言っていたが、通訳の英語の説明は「勝てて嬉しいです。次もベストを尽くします」だけだった。張本選手もこの通訳にはびっくりして「え、それで終わり?」と目をパチクリさせていた。張本選手が自分で中国語に翻訳したほうがずっとよかったのに。

え、それで終わり?
「そんなこと一言も言ってないけど…」と驚く張本選手。



続く決勝では林高遠選手との対戦である。中国男子の一軍が馬龍、樊振東、許昕選手だとすれば、林選手は限りなく1軍に近い選手だと言えるだろう。実力では1軍の選手に対して遜色がない。ただ、いつも惜しいところで勝ちきれないという気の毒な選手である。世界ジュニアでは丹羽孝希選手に金メダルを譲ってしまったし、グランドファイナルでは張本選手に金メダルを献上してしまった。実力はあるのに運には恵まれていない選手という印象である。私は張本選手に勝利してほしいと思う一方で林選手にもがんばってほしいと思っている。現在24歳ということなので、張本選手と9つ違いということになる。もう「若手」とは言えない年齢である。実況で林選手のことをDark Knightと連呼していたが、どういうイメージなんだろう?バットマンの映画を見ていないのでよく分からないが、知人のアメリカ人に聞いてみたところ「陰からスッと現れるイメージ」ということだった。それは優勝候補ではないが、無名の人が優勝をかっさらうみたいなことなのか、と聞くと、それはDark horseだということだった。やはりよく分からない。

林選手も周選手と同様ラリーがめっぽう強い。張本選手はやはり正面から打ち合わず、相手の打つ機を外しながら試合をしているようだった。

林高遠
「高遠」という名前がかっこいい。私も改名できるなら「たかとお」にしたい。

他にも伊藤美誠選手のプレーも印象的だった。素人目に見てだが、勝つ気がないのではないかというぐらい思い切ったプレーでミスを連発していた。ラバーを変えたというのが大きいと思うが、要所でミスが出る。ふつうの選手なら、「ちょっと安定性を重視してミスしないようにしよう」と思うところだが、伊藤選手はまるで「こんな試合で負けたっていい、勝利に執着するよりも、思い切っていろいろな技を試してみたい」とでも言いたげにミスを恐れずにプレーしていた。伊藤選手の目標はもっと高いところにあり、ワールドツアーの1大会での負けなど気にならないのだろう。

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この間、ツイッターをたまたま見ていたときにこんなツイートが…。

ishikawa

https://twitter.com/ittfworld/status/1136901898697494528

「今年になって一度も中国選手を倒していない」
「中国の若手にさえ負け続けるなら、東京オリンピックへの出場は難しい」

中国オープンでは若手の陳幸同選手にストレート負け。香港オープンでも若手の王芸迪選手に1-4で敗北。世界ランキングは一時3位まで上がったが、だんだん下がり、現在6位。

石川選手の日本卓球への貢献は計り知れない。世間の好感度も非常に高いし、実績もすばらしい。ミックスダブルスでは、元世界チャンピオンである。現在の卓球ブームは彼女なくしては訪れなかったといっても過言ではない。若手の台頭にどうしても伍していけないというのならしかたがないが、まだまだ十分強いのだから、気力の続く限り、がんばってほしいと切に願っている。

「あの選手の打点の早いこと」
「ドライブの威力もさることながら、コースも厳しい」

プロの試合を見るとき、そういうことにばかり目を奪われていたのだが、自分がフットワークで悩むようになってからは下半身のほうばかりに目が行くようになった。


木原美悠選手 対 加藤美優選手

上の動画の木原選手の動き方を見ていると、前陣では「打球→ステップ→ステップ、打球→ステップ→ステップ…」という小気味よい3拍子のリズムを刻んでいるように見える。大きく動かされたり、通常より速い、あるいは遅いボールが来たときは、これほど規則正しいステップではないのだが、ポイントの序盤、台上や軽いドライブに対応する場合はこのような3拍子のステップになることが多いと感じる。

kihara

エンドが変わり、加藤選手のステップを見てみると、やはり前陣では3拍子のステップが確認できるのだが、木原選手ほど規則正しいステップではないように見える。

ラリー中はいろいろなスピードのボールが返ってくるわけだから、常に規則正しい3拍子のステップを刻めるわけではない。

基本的には

「ズン・チャッチャ」

だが、ゆっくりしたボールが返ってきたら、

「ズン・チャッチャー」あるいは「ズン・チャッチャチャ」

の場合もあろう。逆に早く返球されたときは

「ズ・チチャ」あるいは「ズン・チャ」

となるかもしれない。
ボールの遅速にかかわらず、常に3拍子のステップを守り、拍の間隔を変える方法(「ズン・チャッチャ」「ズン・チャッチャー」「ズ・チチャ」)と、ボールの遅速によって、拍の間隔はあまり変えず、拍子を増減させて、4拍子(「ズン・チャッチャチャ」)、あるいは2拍子(「ズン・チャ」)にするやり方もあるだろう。どちらがいいのか分からないが、常に3拍子を守ったほうが安定すると思われる。あるときは4拍子、あるときは2拍子のように拍子が不規則になると、足が止まりやすいからである。

以上、実践を伴わない机上の考えであるが、前陣では3拍子を守るやり方が有効なのではないかという仮説を立てておく。

中学時代の部活のとき、誰が言い出したのか知らないが、腕立て50回、腹筋50回、反復横飛び台のフォア端からバック端まで10往復というトレーニングを練習の前にすることになっていた。今から考えると、どんな意味があったのか疑問である。腕立てで腕の筋肉を鍛えることで振りが速くなったりするのかもしれないが、その反面、腕力に頼った打ち方になってしまうおそれがある。しっかりした指導者がいて、スイングは体幹で打つものだという指導があれば腕力を鍛える意味もあると思うのだが、指導者どころか上手な先輩もいない、田舎の中学の部活では弊害の方が多かったかもしれない。腹筋は体幹を鍛えられそうだから、専門的にはよく分からないが、意味がありそうだ。反復横飛びはどうだろう?これが一番卓球の練習に直結している気がする。フォア側に飛びつくときも、バック側に回り込むときも、大きなフットワークを使う時は反復横飛びで移動するのだから。

そういう意識があったのだろう、私の回り込みが遅いのは反復横飛びの練習が足りないのだと思い込んでいた。そのことを上級者に相談してみるとこんなことを言われた。

「回り込みの下手な人は横に移動しとる。上手な人はまずフォア側を向いてから後ろに下がるもんや。」

私は回り込みというのは放射状にお尻で円を描くように回り込むものだと思っていた。つまり、反復横飛びを使って横に移動すると同時に体の向きを少しずつ横方向に変えていたのである。しかし、上述のアドバイスを受けて、バック側に突っつかれると察知した瞬間に体を完全に真横(フォア側)に向けてから後ろに下がるような意識で回り込んでみると、明らかに回り込みが早くなっていた。今までだったら詰まっていたボールでも、なんとか詰まらずにフォアドライブにつなげられたのである。

回り込みでは反復横飛びを使わない?

たしかにフォア側に大きく動くときは反復横飛びを使うかもしれないが、回り込みに関して言えば、反復横飛びは役に立たないと感じる。

プロはどのように回り込みを解説しているのだろうか。

水谷 回り込み

バック側に来たサービスをフォアハンドで攻撃できると判断した水谷は、右足をバック側に運んで回り込み、フォアハンドドライブのバックスイングを取った。
特に、参考にしてほしいのが、写真4の体勢だ。このように、台に対して半身になるくらい上体をしっかりひねると、スイングのパワーがたまることに加えて、相手に打球コースを隠すことができる。

「今日の連続写真」(「卓球レポート」)
「写真4」というのは上の写真の左のカットである。

戸上 回り込み

下の動画で戸上隼輔選手は回り込みのコツの一つとして左足を前に出すことを挙げている。これは私の言い方で言うと、真横を向くということである。

 

私は自分の回り込みを見たことがないので、厳密にいうと私の説明の通りではないかもしれないが、意識としては、まず体の向きを変える(真横を向く)、次に後ろに下がるというのが素早い回り込みを成功させるコツだと思う。


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