しろのたつみ



卓球について考えたこと、
気づいたこと(レベル低いです)
を中心に中級者の視点から綴っていきます。




2019年03月

当ブログでは皆様からの寄稿を募集しております。卓球について意味のある主張を発表したい方はshirono.tatsumi◯gmail.comまで原稿をお寄せください。

コメントについて:
コメント欄は他の読者が読んで意味のある情報交換の場としてご利用ください。当ブログの方針(察してください)に沿ったご意見は公開します。返信しにくい場合は公開のみとさせていただきます。指導者ではないので、技術的な質問には答えられません。中傷等は論外です。なお、メールアドレスは公開されません。

平成の終わりと固定点

ショーケンが68歳で亡くなったというニュースが飛び込んできた。
また昭和のアイドルが一人世を去った。
ショーケンという男は人間的にいろいろ問題があったかもしれないが、若いころはとにかくかっこよかった。
傷だらけの天使

破天荒でがむしゃらで、野獣のような奔放さを持つ一方で、しゃれたデザイナーブランドを身にまとい、男の色気とでもいうべきものを放っていた。ドラマ「傷だらけの天使」では探偵オサムを演じ、水谷豊演じるアキラの兄貴分としての役柄はバッチリはまっていた。水谷豊といえば、代表作「相棒」で理知的で上品な紳士というイメージを確立したが、私の中では「あにき~!」といつもオサムを金魚の糞のように慕っているチンピラのヘタレである。水谷の舎弟役も名演だった。「死ぬ前に一度でいいから女を抱いて死にてぇよ~」という名言も忘れられない。
----------

先日の記事のコメントで読者のMr.Smith氏から興味深い動画をご教示いただいた。


徳島の野球専門トレーニングジム「インディゴ・コンディショニングハウス」で球速150キロの投球を実現するためにアマチュアの野球選手がトレーニングを積むという企画である。

次々と出てくる謎の測定器具やトレーニング器具、あふれる専門用語…トレーナーの殖栗氏の知識の博さには驚くばかりである。
こんな人に指導されたら、誰でも簡単に150キロの速球が出せそうな気がしてくる。
私は野球には全く興味がないが、「体のひねり」「タメ」「下半身の使い方」等、ここで指導されている内容というのが野球のみならず、卓球にも大いに関係しそうなのである。これは見ないわけにはいかない。
-------------

はじめに体力テストが行われる。
「骨盤回転」「バネ右足」「シングルスクワット」「リアクション」等、野球に関するあらゆる身体能力を数値化し、どこが弱いかを把握するのである。

それぞれの値について殖栗氏が野球のどんな部分に役立つかを解説する。手慣れている。
そして一通り体力測定を終えて、弱い部分を矯正していくのだが、内容が濃すぎて、一回で理解するのが難しい。頭で消化して、肚に落ちるまでにはかなりの時間がかかりそうだ。

すべてが競技力に結びついていてスキがない。おかしい…。スポーツの指導ってこんな手の込んだものだったっけ?これではまるで人間ドックではないか。

おそらく昭和の時代にはこういうスタイルの指導はほとんどなかったのではないだろうか。もっと「体力の限界」とか「長時間練習こそ正義」といった雰囲気だったと思う。日本のトップレベルではどうだったのか分からないが、アマチュアレベルで海外の進んだ理論にもとづいて科学的で無駄のないトレーニングを行うというのは平成に入ってからの傾向なのではないかと思う。インターネットが発達し、youtubeで世界中のスポーツ指導が手軽に見られるようになったことがその背景にあるのだろう。

-----------
ショーケンのような危険で歯止めの効かない役者は平成では居場所がない。平成では(舞台の外では)礼儀正しくルールを守り、誰に対してもニコニコしている社交的な役者こそが求められる。

昭和と平成は時代の雰囲気とでもいうべきものがやはり違うなと思う。若い人は昭和の雰囲気を知らない人も多いと思うが、社会は平成になって確実によくなってきたと思う。より公平で、より合理的で、スマートな社会に変わってきた。昭和はもっと暴力的で、権威主義的で、セクハラだらけで、悪いやつらがのさばっていた(古老の話によると、64年の東京オリンピック以前の日本はそれ以後とは全然違って途上国丸出しだったらしい)。そしてときおり突き抜けた(いい意味での)バカが時代を動かしたりできた。平成は違う。そもそもバカが生まれにくくなっている。情報が行き渡っているので、何かを始める前にだいたいの結果が予想できる。今の世の中、海外に渡り、事業で大成功を収めたいと、言葉も通じぬ異国に徒手空拳で渡ろうなどというバカはなかなかいない。だいたいネットで現地の事情を調べてから、相応の準備をして渡航するのがふつうだ。さらに身の丈に合った夢を追い、無理な夢は追い求めない。平成になってバカが少なくなった。合理的思考を身につけた常識人が多い。

そんな昭和と平成の違いに思いをはせる間もなく、あと1か月で平成が終わってしまうなんて…。感慨深い。
------------

殖栗氏の一連の動画に目を通して頭に残ったのは「固定点」という言葉である。これが今の私に欠けているところだと思うからである。
殖栗氏は選手に肘を曲げるように指示し、選手は言われたとおりに肘を曲げてみる。

「なんでそういう動き(肘を曲げる)が出るかっていうと、ここ(肩)が固定されてるんです。」
「筋肉が収縮する場合って収縮する前に必ず固定点が必要になってくるんです。」

固定点

「バッティングでもピッチングでも大事なのは全部そこですよね。」

言われてみれば当たり前なのだが、どこかを動かすにはどこかが固定されていなければならない。強いショットを打つために「力を抜いて」「体をリラックスさせて」などと言われるが、全身の力を抜いてしまったらいいショットなど打てるはずがない。腕や肩の力を抜くのは、他のどこかに固定されている箇所――力の入っている箇所がなければならない。

固定点からの動き
もうなにがなんだか分からないが、要するにすべての関節の動きには固定点が必要らしい。

固定点を作るには体幹がしっかりできてなければならず、そこから四肢が動き、重心移動が起こるという順番があるらしい。固定点にも複数あり、前後の固定点(腰を曲げる)、左右の固定点、水平面の固定点(上半身の捻り)があるという。すさまじい情報量と説得力である。

在野の指導者がここまでするなんて突き抜けている。もうここまでくると、愛好家レベルの枠を越えてしまっている。平成になって突き抜けた人が少なくなったと思ったのは私の勘違いであり、昭和に数多く存在していた突き抜けたバカが、平成になって進化し、突き抜けたナイスガイになってきたのではないだろうか(殖栗氏は非常に感じのいい人である)

----------
この動画を卓球にどのように応用すればいいか分からないが、とりあえず私は自分なりに理解した殖栗氏のポイントから、先日の練習では右足の付け根に固定点を作ってフォアドライブを打つようにしてみた。もちろん腕や肩の力は抜いて。すると、コンパクトなフォームでいい感じのドライブが打てた。
さらに動画を見てみると、どうやら足の裏も非常に大切らしい。

足の裏

今度は右足の付け根だけでなく、足の裏にも気をつけようと思う。

【追記】190514
右足の付け根に力を込めてドライブを打っていたところ、股関節が痛くなってきた。
故障しやすい打ち方なのかもしれない。

heika


ラバー・ペンシル・イリュージョン――卓球のグリップの話

シェークのグリップではどの指に力を入れるかが人によって違い、大きく2つのタイプに分かれるという。(「二本で握る?三本で握る?」)
一つは人差し指と親指に力を入れて握るタイプ。もう一つは小指と薬指(と中指)に力を入れるタイプ。
前者は角度が安定するので繊細なプレーがやりやすく(台上とか)、後者は威力が出やすいので、ラリーでの優位性があるのだという。

ペンホルダーの場合はどの指に力を入れるべきか。
ペンホルダーの場合、フォアとバックとで力を入れる指が変わるのがふつうだが、フォアハンドなら人差し指と親指と中指の3本で握る人が多いかもしれない。私は以前はフォアハンドで親指と中指の2本で板を挟むように力を込めていた(人差し指は遊ばせる)のだが、最近グリップを変えた。5本の指に力を入れないことにしたのである。

「指に力を入れない?どういうことだ!?」と意外に思われる方もいるかもしれない。以下に私のグリップについて述べたいと思う。

前記事「手首・肘・肩 支点のバックドライブ」で新井卓将氏のバックハンドを紹介したが、その延長でタクショー氏のフリッカー・バックハンドの動画を見ていて、どうしてもフリッカー・バックハンドを習得したいと思い、少し練習してみた。が、私には難しすぎて習得できなかった。


「一撃で決める!フリッカーバックハンド」

しかし、その副産物として私は「付け根グリップ」を会得したのである。

付け根グリップ

タクショー氏がフリッカーバックハンドを打つときは、どうやら指で握っていないらしい。指の付け根で握るのである。こうすると、ラケットと指の接地面積が極端に小さくなる。その結果、ラケットはグラグラになってしまう。

この「付け根グリップ」をフォアハンドで使ってみるとフォアハンドの威力が増すような気がするのである。シェークのグリップの下三本グリップ(小指と薬指、中指に力を入れるグリップ)に近いと思う。下三本グリップは上二本グリップ(親指と人差指に力を入れるグリップ)よりもラケットとの接地面積がずっと小さくなることによってラケットがグラグラになり、威力のあるドライブが打てる。ペンホルダーでも同様だと思うのである。

子供の頃に2本の指で鉛筆を握り、これを上下に振ることによって鉛筆が曲がって見えるという錯覚で遊んだ経験は誰にでもあるだろう。

rubber pencil

これを3本以上の指で握ると、あまり曲がらない。2本の指でグラグラに握るからこそ、先端が非常に速く動くのである。また、鉛筆の先の方を握るよりも、後ろの方を握ったほうがよく曲がる。つまり、2点で後ろの方を軽く握ると先端がよく回るということなのである。ペンホルダーの付け根グリップはこの条件をどちらも満たしている。

ハンドサイン

付け根グリップのフォアハンドドライブでは、上の図のように人差し指を伸ばすのがいいと思う(完全にまっすぐ伸ばすのは難しいが)。伸ばすことによって付け根のほうに力が入り、ラケットのヘッドがよく回るからである。


いいドライブは呼吸している――バックハンドドライブの基本

フォア打ちをするときにリズミカルにぴょんぴょん跳ねるようにフォアロングを打つ人がいる。
おそらく1球ごとに左右に軽く体重移動しながら打っているのだろう。
見るからに軽やかで1球1球の威力も出そうだ。ああやったら安定するのだろうか。

そんなことを考えて真似してみたのだが、そうするうちに何か別のアイディアがムクムクと湧き上がってきた。

左右に体重移動すると同時にもう少し踏み込んで姿勢も低くしたらどうだろうか。
フォア打ちではなく、フォアドライブでこういうのを見たことがある。

フォアハンドのバックスイングをとると同時に右足に体重移動をし、そのとき姿勢も低くする。
次に打球しながらバネのように体を伸ばし、左足に軽く体重を移動させる。
またバックスイングを取りながら右足に体重移動をし、姿勢を低くする。
次に打ちながら体を伸ばし、左足に体重移動する。

なんだか「もぐらたたき」のもぐらのように「ぴょこぴょこ」しながら打っている気がする。

こういう打球しながらの上下運動は大丈夫なのだろうか。

いろいろ動画を見てみたところ、バックハンドドライブでは上下運動をしながら打つ人が多かった。
特にバタフライのページでの林高遠選手の動画に顕著だった。

「ラケットを動かし始める前に姿勢を高くしているのは両足で床を押してスイングに助走をつけるためだ」
「スイングに助走をつけたら斜め上へコンパクトにスイング」
高さ
姿勢を低くしておいて、伸び上がるのはスイングのための「助走」だったのか。

上の図の白線を見てもらえば分かるように、林選手はかなりぴょこぴょこしながら中陣からのバックハンドドライブ(以下BD)を打っているようだ。



「ミスなく連打できる中陣バックハンドドライブ」
https://youtu.be/-FBW3H70tKU?list=PLvjUxcGdF8P-dedONqql2G5WCGx8iSq7I&t=72

上の動画は中陣でのBDだが、前陣でもそんな時間的な余裕があるのだろうか。

「腕だけでなく上体を軽く起こす勢いを利用する」
「足で床を押す勢いを利用して上体を起こす」
前陣BD下
前陣BD上

単に伸び上がるだけでなく、足で床を蹴るようにするといいらしい。


「前陣での高速バックハンドドライブ」

https://youtu.be/kT3SZPOjHq0?t=71

加藤美優選手の「究める!ミドルに来たボールに対するバックハンド」という動画を見ると、加藤選手はこのような「ぴょこぴょこ」をしていないようにみえる。


「ミドルに来たボールに対するバックハンド」


加藤BD下
加藤BD上
しかし、動画を止めて確認すると、ほんの少しだが「ぴょこぴょこ」しているのではないだろうか。

BDといっても、いろいろな情況がある。順回転に対するBDもあれば、強い下回転に対するBDもある。低くて深いボールもあれば、少し浮いたボールもある。そのどれに対しても「ぴょこぴょこ」を使う必要はないと思うが、低いボールに対しては有効だと思われる。

同じバタフライのビデオ「基礎からよく分かる! 黄鎮廷の裏面ドライブ」を見ると、黄選手は顕著な「ぴょこぴょこ」を常に繰り返している。まるで呼吸しているかのようである。


「第1回 基本の裏面ドライブ」

黄BD下
黄BD上

字幕では以下のポイントが挙げられている。

「前傾姿勢を作りスタンスを肩幅より広くして左足前にする」
「ラケットをスムーズに引きやすいようわきを空けてひじを体から離す」
「ラケットの先を自分の方へ向けるように手首をひねる」
「手首をリラックスさせて前腕中心に斜め上にスイング」

以下、黄選手のコメントである。
「飛んでくるボールのリズムに合わせることと手首に余計な力を入れすぎずにスイングすることが大切です」
「スイングでは手首を少し使います」
「打球点は頂点よりも少し前の上昇途中を捉えます」
「打球する位置は体の正面もしくはややバック寄りが裏面ドライブを打ちやすいです」

どういうことだろうか。
・スタンスの広さ
・腕(ひじ)の位置
・ラケットヘッドの向き
・スイング方向
・打点・打球位置
については言及があるが、「ぴょこぴょこ」についての言及がない。ラケットの向きだの、スイング方向だの、そんなことよりも「ぴょこぴょこ」のほうがずっと大切なポイントだと思うのだが…。もしかしたら、この「ぴょこぴょこ」は言うまでもないほど基本的なことなのだろうか。私は今まであまり意識していなかった…。

実際に先日の練習で「ぴょこぴょこ」を試してみた。BDでは足で床を蹴るのではなく、腰の曲げ延ばしを使って「ぴょこぴょこ」しながらBDを打ってみたのだが…非常に効果があった。特に低い下回転に対しては安定感が全く違う。ただツッツキ打ちのような比較的時間的余裕のある場合にはできるのだが、ラリーが続いて、ボールのスピードが速くなると「ぴょこぴょこ」を忘れて夢中で単なる腰の回転運動だけで打ってしまいがちである。これを無意識で出せるよう、繰り返し練習し、呼吸のように自然な動きとして身につけることができれば、私のBDはこれまでの数倍の安定性を獲得することだろう。

ドライブにおいて「ぴょこぴょこ」は非常に大切だと思うのだが、どうして世間ではこの重要性にあまり触れられていないのか不審である。

手首・肘・肩 支点のバックドライブ

最近のマイブームは「たくしょー」。

言わずとしれたピンポン・パフォーマー、新井卓将氏である。

卓球のことをあまり知らない読者は、テレビによく出る卓球の曲芸が上手い人というイメージをお持ちかもしれないが、指導者としても一流で、多くのジュニア世代を育てている。

前記事「それってyoutubeの見過ぎだよ」で、上に振るバックハンドドライブの有用性を認識したので、上に振るバックハンドドライブ(以下、BD)の動画を探していたところ、またもやyoutubeのお世話になるという皮肉な結果となった。


バックドライブのコツ(対下回転)

たくしょー氏のBDは力が抜けており、軽く鋭い振りを実現している。
なぜこんなにラクラクと下回転が持ち上がるのだろう。

その秘密がこの動画に隠されていたのである。
手首

対下回転のBDで最も大切なのは手首を利かせることなのだという。

初心者は手首を動かしまくってボールをあらぬ方向に飛ばしてしまいがちである。だから私は初心者の頃から手首を使うのが怖くて、できるだけ手首は固定して打っていた。BDは肘支点で打つといいとよく言われる。それで私は何となく手首を固定しつつ、肘を支点にして車のワイパーのようにBDを打っていたのである。

BDは肘支点で打つという主張は、あちこちで見られる。
たとえば「バックハンド・ドライブの基礎」というページには「バックハンドは、ヒジを支点にしておへその前からラケットを出す動きです。」と説明されている。もちろん肘だけでなく「フリスビーを投げるように手首を返し、強い上回転をかける」と手首を利かせることも重視しているのだが、肘が主で、手首は従という感じである。

荘智淵選手も卓レポの特集で「体の正面で打球できる位置まで動き、ひじを体から離してバックスイングを取ったら、ひじを支点に右斜め上方向へスイングしてバックハンドドライブします。」と述べている。

荘智淵BD

BDは肘支点で打つというのは間違ってはいないだろう。

ただ、これは対順回転のボールや、前に振るドライブの話であって、対下回転では肘を使わないほうがいいらしい。私は上に振るドライブでも前に振るドライブでもどちらも肘が主導するスイングだったためにBDが安定しなかったわけなのだ。対下回転のBDでは手首に力を入れて振るのがいいのである。

たくしょー氏「ラケットに一番近い関節っていうのは、指。指の次に近いのは手首なので、指と手首を使ってスイングできると、台上でも、小さいスイングでもいろいろな回転がかけられる」

手首だけでなく、指も使うというのが興味深い。

肘は使わない


「肘が伸びたり、曲がったりせずに、なるべくこの状態(120°ぐらいの角度?)を維持してスイングします。」

上腕を軸に

そして上腕を外側にひねる(外旋)するようにするのだという。

たくしょー氏の対下回転BDは手首(と指)が主導し、それに付随して上腕の外旋が起こるというものだろう。

説明の中で非常にわかりやすかったのが、釣り竿の喩えである。
自分の体に対してラケットが平行になるように構え、ラケットを釣り竿に見立てる。そしてラケットヘドに付いている糸を引っ張るイメージで、ヘッドを下げ、糸を離したら、ラケットが跳ね上がるように手首でスイングするといいのだという。

釣り竿を引っ張る

離すとピョン

これがたくしょー氏のスイングが軽くて鋭い秘密なのだと思われる。

ここまでをまとめると、肘を中心(手首は従)にするBDは、前に振る、威力重視のドライブ。手首を中心にするBDは安定性重視の力の要らないドライブ。

フラン氏が肘支点、肩支点の特徴を以下のように端的にまとめている。

肘を支点にしてしまえば前方に振る力が強くなってしまいます。
肩を支点にしてしまえば振りが大きくなってしまいがちです。

私が提唱する支点は手首です。インパクト時に手首を支点として肘、肩の関節運動を行うことを提唱します。(「【追記】バックドライブの支点」)

フラン氏は下回転に限らず、すべてのBDを手首中心にすることを条件付きで勧めているようだ。

対下回転は手首主導のBD!

これを先日の練習で試してみた。うまく打てた時はボールがすっ飛んでいかず、低く浅めに安定して入る。スピードはそんなに速いわけではないが、しっかり回転がかかっている感じである。

これからは対下回転は手首主導の上に振るBDで行こうと思う。


卓球ラバー4000円の壁

数日前に興味深いニュースがあった。

曰く、鉄道関係者の間では「4時間の壁」というものがある。それは片道で移動に4時間以上かかると、消費者は飛行機を選択するという考えである。事実、東京-広島間の新幹線での所要時間は約4時間。その移動は新幹線を選択する人と飛行機を選択する人がほぼ同等で、5時間かかる博多の場合は飛行機を選択する人が多数派になるのだという。それでJRでは新幹線のスピードアップが検討されているのだが、筆者はたとえ新幹線がスピードアップして、博多や、北海道まで4時間未満で移動できたとしても、新幹線が飛行機に勝つことはないだろうというのである。なぜならたとえ「4時間の壁」を越えたところで、料金が高ければ、安い飛行機を選択する消費者が圧倒的に多いだろうからである。

「新幹線というのは商品としての価格の問題を克服しない限り、せいぜい利用されるのは1万円の範囲内。」
「つまり、新幹線で片道2万円も払って旅行へ行くぐらいなら、LCCで南の島へ行きましょうというのが若い人たちを中心に始まっている」

筆者は新幹線が本当に越えなければならない壁は「1万円の壁」だと主張している。

もちろん、東京から北海道、あるいは博多までどうしても片道4時間以内で新幹線で行きたいという需要がゼロだとは言えない。しかし、一般人の感覚からすると、「6時間かかってもいいから1万円ぐらいで行きたい」、もう少し私個人に引き付けて言うと、「京都から東京まで8000円ぐらいで行けるなら、4時間かかってもいい」ということになる。「ぷらっとこだま」が約4時間で1万円強だが、「もう一声」ほしいのである。

------------
私は経営とか、市場とか、ビジネスとか、そういうことについて非常に疎い。なので、以下は素人の取るに足らない独り言として読んでいただきたい。

卓球界では今「ディグニクス05」というラバーが話題になっている。

Dignics05

なんでもテナジー05と比べて「弧線の描きやすさ」が大幅アップし、さらにスピード、回転量、球持ち、磨耗耐久性も多少アップしているらしい。

しかし、実売価格はどうやら9000円を超えるようだ。

もちろん、全日本や世界で戦う選手の中には「どうしても勝ちたい、今よりも勝率が上がるなら、一枚1万円でもほしい」という需要もあるだろう(というか、そういう選手はメーカーから無償で提供されるだろうが)。しかし圧倒的多数の卓球人からすると、「テナジーでいいから、実売価格4000円以下にならないものか」というところではないだろうか。私は別にテナジーでなくともいい。実売3000円台のスーパーヴェンタスやヘキサーグリップで十分すぎるほどなのである。おそらく私がテナジーを使っても、スーパーヴェンタスやヘキサーグリップを使っても、試合での勝率は変わらないだろう(おそらく違いもあまり分からないと思われる)

それに「高性能」――引っ掛かりが強いラバーなら、相手の回転にも敏感になり打ちミスが増えるだろうし、弾みが強いなら、レベルの低いプレーヤーはすぐにボールをオーバーさせてしまい、コントロールが難しくなる。私なんかは1~2か月使って引っ掛かりが落ちてきたラバーの方が安定するぐらいである。「高性能」であればあるほど卓球が上手くなるというわけではない。

こんな低いレベルではなく、全国大会を目指している若い人たちのような高いレベルのプレイヤーなら「高性能」なラバーを必要とするかもしれない。

しかし、たとえば週5回練習するとして、ディグニクス05を1か月使った場合、その「性能」は他のラバーを2~3枚使うのに比べてどの程度の優位性を保っているのだろうか。1か月使っても新品同様の「性能」が発揮されるとは思えない。いくら高性能なラバーでも週5のペースで1か月使えば、さすがに引っ掛かりは新品のときに比べたらかなり落ちるだろう。3000円台のラバーを1か月2~3枚のペースで使った場合と比べて、どれほどのアドバンテージがあるのだろうか。引っ掛かりだけでなく、弧線の高さなど、他ラバーには代えがたい性能があったとしても価格を考えたらどれほど支持されるか微妙である。2週間ほどで貼り替えるとして一か月に両面で5万円弱もの大金をラバー代に費やせるなら話は別だが、ほとんどの上級者はディグニクスを使うのをためらうのではないか。

採算度外視で高性能スポーツカーを作る自動車メーカーのように、ブランドイメージのためにどうしても高性能なラバーを作らなければならないということなのかもしれないが、9000円台は高すぎる。売る気があるとは思えない。バタフライの経営は大丈夫だろうか。進むべき方向性を間違っているのではないか。ロゼナと同程度の価格でロゼナの「性能」を上げたほうがよほど消費者の心をつかむだろう。

越えるべきはテナジーの、性能ではなく、4000円の壁なのではあるまいか。

以上、素人のつぶやきである。

【追記】190311
今日は東日本大震災を記念する日だったのを忘れていた。ケータイが急に災害の警告を発したのはそのためであった。あの悲劇をこれからも長く語り継いでいきたいと思う。

【寄稿】なぜトップ選手はバックサーブを使わないのか

80年代以前はバックサーブが全盛だった。
back serve

ペンのみならず、シェークの選手でもバックサーブが主体だったと思う。フォアサービスは初心者っぽい感じで私はあまり使わなかった。当時、巻き込みサーブなどはほとんど使われていなかったし、逆振り子サーブなんて見たこともなかった。順横回転サーブを出すためにラケットのヘッドを下にしたフォアサービスを使うこともあったのだが、バックサーブのほうが美しく洗練されているように感じていた。腕が内側から外側に開いていくバックサーブの動きは身体の理にかなっているため、流れるような滑らかさで3球目につながるように思った。

それが2000年代になって卓球を再開してみたら、みんながみんなフォアサービスなので驚いた。あんなに台の端からフォアサービスを出したら、フォア側がガラ空きになるではないか。みんな不安じゃないのだろうか…。

しかし、慣れとは怖いもので、私もすっかりフォアサービス派になってしまった。どうしてバックサーブを使わないのだろうか。

今回、ご寄稿いただいたのは、玄米茶さんで、フォアサービスとバックサービスのメリット・デメリットなどを考察されている。

以下、本文である。

----------
トップ選手はバックサーブを使わない選手が多いです。
メインで使っているのは男子ではオフチャロフ,サムソノフ,鄭栄植,女子では徐孝元をはじめとするカットマン達くらいではないでしょうか(ごくまれにバックサーブを使う選手はもっと列挙できると思いますが)。

ovcha

9割がたの選手はフォアサーブを主体で戦い,バックサーブは使いません。
使わない理由としては

①インパクトを体で隠せない
②ラケットの面を隠せない
③グリップの問題
の3つが挙げられると思います。

①について
卓球の現行のルール上ハイドサービスは禁止ですが,フォアサーブのインパクトの瞬間が相手にぎりぎり見えるか見えないかというレベルでサーブを出している選手が見られます(右利き対左利きの場合,ほぼ見えていない場合もあるのが実情だと思います)。
審判に注意されないぎりぎりのラインです。
全員が全員ではありませんが、こうした相手にインパクトの情報を与えない工夫をして,サーブの回転を読ませないようにすることでアドバンテージを得ている面があると思います。バックサーブではこれができません。

②について
フォアサーブの場合,インパクトの直前までラケットの面を体の利き腕側に隠して,相手にラケットの面の角度を見せない(相手に情報を与えない)ことができます。それと比較して,バックサーブではラケットの面の角度を、インパクトの前に相手にはっきり見られてしまいます。台の下にラケットを隠す人もいますが、インパクトの前にはどうしても台の上にラケットが出て、相手に面が見られてしまいます。

③について
フォアサーブを打つときには中指・薬指・小指をブレードから外すので手首の自由が利き、順横回転も逆横回転も自由に出せ、フェイクもかけやすいです。しかし、バックサーブは指を外してしまうと打ちにくくなってしまうので指を外さず、結果として順横回転が出しにくくフェイクの多様性も欠けています。バックサーブはそのグリップゆえに、フォアサーブより手首の動きが限定されるという欠点があると思います。

サーブ・レシーブでのわずかなアドバンテージの奪い合いが非常にシビアなトップ選手は,上記の理由でバックサーブをあまり使わないのではないかと思います。

いっぽうで,アマチュア選手にとってバックサーブは

・台に正面に向かって構えてサーブを出すので、フォアサーブよりサーブ後の戻りが楽になる
(フォアサーブのほうが3球目に繋げやすいという人も当然いて、プレースタイル次第だと思います)
・巻き込みやYGが苦手な選手でも逆横回転系サーブのバリエーションを増やせる

といった利点がありますので,十分に使うメリットはあるのではないかと思います。  

--------
拙ブログでは読者のみなさんからのご寄稿を募集しております。我はと思う方はふるってご投稿下さい。

加藤美優選手の不思議な強さ――世界卓球2019 日本代表選考会から

ジャパントップ12卓球大会。
今年は土曜と日曜に分かれていて、土曜は世界卓球シングルスの代表選考会を兼ねており、男女8名がトーナメントで世界卓球シングルスの代表権を争う。代表男女各5名のうち、各4名はすでに決定しており、土曜日のトーナメントの優勝者は最後の代表に選ばれる。日曜はすでに代表に決まった「あがり」の選手たち同士のトーナメント戦。
選手のレベルは日曜のほうが高いかもしれないが、私は土曜のほうが絶対におもしろいと思う。最後のチャンスに賭けた選手たちが必死になって戦うのだから、熱いドラマが繰り広げられるにちがいない。

以下、ネタバレが含まれるので、観ていない人はご注意を。

仙台アリーナ
会場はカメイアリーナ仙台。この選手たちの巨大な表示は一体どうやっているのだろう?

今回私が注目したのは加藤美優選手。

2000年生まれの伊藤美誠選手、平野美宇選手、早田ひな選手の1学年上である。加藤選手は国際大会でも常に一定の戦績を残してはいるが、上記3人の「黄金世代」の影に隠れてあまり注目されていない。その加藤選手が準決勝で今乗りに乗っている早田選手を大逆転で破って決勝に進出したのである。

あの中国選手にも警戒されている早田選手を破るなんて一体どんなすごいプレーをするのだろうか。

紹介文では「高速バックハンドは世界トップレベル」となっている。

しかし、卓球を見ていると、失礼ながらあまり強そうには見えない。「高速バックハンド」というなら、「黄金世代」の3人のほうがずっと速いし、加藤選手のバックハンドは「高速」というより、むしろふつうよりちょっと遅いように見える。が、なぜか国際大会でも安定して勝てるし、1月の全日本卓球では石川佳純がベスト16、平野美宇はランクにさえ入れなかったなかで、ベスト8まで勝ち進んでいる。

準決勝で早田選手を破った試合後の平野早矢香選手のコメントは「早田選手は最後まで加藤選手のサーブに悩まされた」ということである。あの、そのへんの女子中学生がやっているような、鋭さのないフォアしゃがみ込みサーブのことだろうか。

サーブに限らず、加藤選手のプレーは見た目がなんだかプロらしくない。

ボールが高くて遅い。しかし相手に打ち抜かれることもあまりなく、なぜか相手のほうが先にミスする。

フットワークを使ってガンガン打ちまくるということもなく、逆に相手に振り回されて、よく姿勢を崩しながらラリーをしている。

崩れた姿勢


崩れた姿勢04

一体加藤選手の強さの秘密とはなんなのだろうか。準決勝・決勝での平野早矢香氏の解説から彼女の強さを探ってみたいと思う。





「両者ともにラリー戦、非常に上手い選手で…」
「(森・加藤)両選手ともラリー戦を得意とするタイプなので…」


加藤選手はラリーが得意らしい。といってもあまりラリーが続くことは少なく、だいたい3~5球目で終わってしまう印象がある。


「先ほど森選手の形になっていてもミスをして点数につながらなかった…なぜかというと加藤選手、非常にブロックが堅いんですよね。ですから『(打っても)返ってくるんじゃないか…」っていうプレッシャーっていうのもあるので、普段よりも1テンポ早いタイミングで打ってしまってミスということがありましたね。」(決勝3ゲーム目)
「加藤選手は準決勝、早田選手のボールに対しても距離をとってでもしっかりと粘りづよく返しましたからね」(決勝3ゲーム後のコメント)
「(守備力が高いというアナのコメントに対して)加藤選手、ミスが少ないですね。」
「自分でも決まった!と思うボールを返されるのは心理的にどうなんですか?」「プレッシャーかかりますね。」



ラリーが得意というのは、ブロックが上手く、相手の攻撃をミスせずに何本も止めてくるということを言っているようだ。加藤選手のほうが連続攻撃をしてラリーを続けるのではなく、相手のほうが攻撃してくるのを加藤選手が止めまくって最後にカウンター、あるいは相手のミスでポイントを取るというスタイルなのだ。


「(加藤選手は)ラリーの中でもちょっとしたチャンスは、やっぱ攻めてきますね?」「そうなんですよね。つないでいる、入れているだけであれば、森選手ももっといろいろな形が作れるんですけど、少しでも甘くなってしまうと、高い打点で攻め込まれるというプレッシャーもありますので、…バック半面のラリーっていうのはほとんど加藤選手が優位な形になっていますね。」


そして単にブロックが上手いというだけでなく、甘いボールを攻撃してくるというスタイルなのである。バック対バックのラリーで相手が先にミスするのを待ち、あるいはゆるいドライブなら反対にドライブで反撃に出る。なんだかカットマンのようだ。

そしてもう一つの強さはサーブである。


「加藤選手のサーブはですね、少しボールの高さはあるんですけど、ゆっくりと、そして回転量が強いので、回転の判断ミスをしてしまったりだとか少しタイミング的に取りにくいところがあるので…」(準決勝 対早田戦6ゲーム目でのコメント)
「加藤選手のサーブですね、少しアップダウンのようなサーブ、これに対して少し森選手、迷いがあるかなという…」
「加藤選手もサーブの展開を…いろいろなサーブを使いながら早く…どんどんどんどん展開してきますね。」



サーブが分かりにくいだけでなく、サーブ後の3球目も上手いのだという。


「加藤選手は試合を進めるのが非常にうまいなと、相手を見ながら、サーブレシーブの展開、コースの展開を変えていますので、そういった意味では加藤選手らしさが出ていますよね。」
「準決勝とは全く違うサーブの組み立てをしていますので、相手に応じてという…(以下、森さくら選手の絶叫でかき消される)」(5ゲーム目)


サーブからの配球、ポイントの組み立てというところが多彩で相手に容易に強いボールを打たせないということだろうか。相手の強く打てないところへボールを送り、返球コースを限定してブロックで待っている。だからブロックが堅いということになるのではないか。ただ、いくらブロックが堅くても、相手に好きに打たせていたらたまったものではない。相手のドライブ対ブロックやドライブ対ドライブのボールにも秘密があるのである。


「加藤選手は威力のあるボールだけでなく、緩いボール、回転系のボール、回転の少し少ないボールが非常に球質の変化をつけてますね。」
「加藤選手はバック対バックのラリーでもワンコースだけではなくて、少しずつコースをずらしながらミドルまで使いながらコース取りを決めていますよね。」


加藤選手のラリーというのは単に同じように返球しているだけではなく、回転をかけたり、あるいはかけなかったり、速かったり遅かったり、コースも少しずつずらしているために相手の連続攻撃を防ぎ、ミスを誘うことができるようなのである。まるで下回転とナックルを自在に操るカットマンのようなスタイルではないか。


「距離のとり方がしっかりしてますよ、動きもいいですしね。」


この「距離」とはどういうことだろう?


「加藤選手、距離の調整の仕方ですね、非常に上手いですねぇ。」「この僅かな動きなんですよねぇ。」「はい、細かい動きがボールの球質っていうものに大きく影響しますからね。」(長いバック対バックのラリーを制した後のコメント)

よくわからないのだが、下の図のようにラリー中に台との距離を微妙に変えて、あるときは下がりながら遅いボールを返球したり、あるときは前に進みながら速いボールを返球したりすることかなと理解した。

細かい動き01

細かい動き02


「(レシーブが浮いているというアナのコメントに対して)森選手の攻撃のボールに対して予め予測をして距離をとって、角度を出して、ということが正しくできていますので、いつのまにかラリーも五分の形に持って来られてしまっているような、そんな感じですね。」
「一歩前に出たり、下がったりなんですが、あの一歩が重要なんですか?」「そうですね。同じようなコースに見えると思うんですけども、少し短かかったり、少し長かったりと、ボールの長短ですよね、そういった変化がありますので、その辺りの調整が加藤選手、非常に上手いんですね。…ボールの質としては、全部が速いボール、強いボールじゃないんですけど、非常に安定感がありますよね。」



たとえボールを浮かせてしまっても、すぐに後ろに下がり、距離をとっているのでそうそう打ち抜かれない。しかも微妙にボールの深さやスピードをを変えているので、いつのまにか攻守が逆転し、加藤選手のほうが攻撃に転じるということができるようだ。


「あまり短いボールにこだわらず、長くツッツキをして、ドライブするならどうぞ、それを待ってますよという形で…(以下、森選手の絶叫にかき消される)。」(森選手に6-6で追いつかれて)


相手にしてみたら、どう対応してくるのか分からないし、球質が一定していないから、一本調子で攻め続けることはできない。サーブも分かりにくいし、コースも意外性のあるところを突いてくる…加藤選手の卓球というのは相手の嫌がるところを的確に突いてくるような卓球のようだ。


「タイミングの部分に関しましても…変化をうまく使いながら、相手のミスを誘ったり、ときにはスマッシュで攻めていったりということで、本当に加藤選手らしさが出ていると言えますね。」(1ゲーム後のコメント)
「バック対バックのラリーはこの二人のスタイルですと、避けられない部分だと思いますので、…変化の部分では加藤選手は一つ上を行っているのかと感じますね。」


卓球の強さといえば、たとえばタイミングが早かったり、ボールのスピードが速かったり、回転がかかっていたりといった「分かりやすい」強さだが、加藤選手の強さというのは速いボールや前陣でのピッチの早さというのを捨てて、相手がふだん練習で受ける機会の少ない、最適なタイミングやコースをずらされた不規則な卓球、いわば「変化卓球」なのではないだろうか。

そのようなことを実際の試合の中で実現するには試合中の相手の観察が欠かせない。

「一本ブロック、そして次のボール、フォアドライブということで、相手をよくみてますねぇ。」
「(加藤選手は)冷静に相手選手を見ながらですね、なおかつ自分のプレーを出し切るということに徹しているように感じますね。」

加藤美優

「加藤選手は試合を進めるのが非常にうまいなと、相手を見ながら、サーブレシーブの展開、コースの展開を変えていますので、そういった意味では加藤選手らしさが出ていますよね。」


加藤選手は試合中に相手の位置をできるだけ確認しながら、自分の次のボールをどう打つかを決めているらしい。これは非常に神経を使うプレーになるだろう。サーブからの展開をいろいろ変えて相手の出方を見ながら、ボールの長短、強弱などを変え、こちらから攻撃できるチャンスを作っていく。加藤選手の卓球は辛抱強く頭を使い、粘ってボールを拾う卓球、いわば「根性卓球」と言えるのではないか。

そして決勝の森選手を破って緊張感から解放された加藤選手。

泣き顔
ふだんあまり感情を出さない加藤選手が試合後に見せた表情。

この表情を見て思わず私ももらい泣きしてしまった。苦しかったなぁ。がんばったなぁ。早田選手との準決勝は首の皮一枚だったもんなぁ。

これだけのドラマを見せられたからには、世界選手権での加藤美優選手の活躍を祈らないわけにはいかない。がんばれ、加藤選手!

最新記事
記事検索
プロフィール

シロノ タツミ

カテゴリ別アーカイブ