しろのたつみ



卓球について考えたこと、
気づいたこと(レベル低いです)
を中心に中級者の視点から綴っていきます。




2019年02月

当ブログでは皆様からの寄稿を募集しております。卓球について意味のある主張を発表したい方はshirono.tatsumi◯gmail.comまで原稿をお寄せください。

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それってyoutubeの見過ぎだよ――卓球の制限モードについて

バックハンドドライブが安定しない…。

先日、初めて打つ人と試合形式の練習をしていたとき、なかなかバックドライブが入らず調子が悪かった。それを上級者が見ていてこんなことを言った。

「それ、youtubeの見過ぎですよ。」

ITTF動画

もちろん、面識のある人に言われたのである。どういうことかというと、youtubeでレベルの高いプロのプレーを見て、自分もできると思ってプロの真似をして難しいボールをミスしたという意味である。

しかし、そんな高度なことをしたつもりはない。ただ相手がこちらのバック側に横下ロングサーブを出してきたので、それをバックドライブで迎撃しようとしただけなのだ。

「いきなりあんなドライブ強打を打って入るわけないじゃないですか。」

え?じゃあロングサーブをつっつけとでもいうのか。そんなことをしたら、相手にみすみすと先手を取られてしまう。台から出たボールはドライブで迎撃するのがふつうではないか。

「相手のサーブがどのぐらいの回転量かまだ分かっていないうちにあんな強いドライブを打っても入りませんよ。打ち慣れていない相手と試合をする場合、まず初めは相手のサーブがどんな回転で、どのぐらいの回転量があるか探りながら、上にこするドライブでとりあえず入れるべきですよ。しろのさんの打ったドライブはループドライブじゃなくて、前に振る、決めに行くドライブじゃないですか。打ち慣れている相手ならいざ知らず、初見の相手のサーブに対してあんな強打を打つのは危険すぎます。」

なんと!上手な人は台から出るサーブは全部ドライブ強打するものだと思っていたが、そうではないらしい。1ゲーム目は相手の回転を探りながら慎重にプレーし、2、3ゲーム目になって相手の回転が分かってきてから積極的にドライブ強打を打つようにしているのである。

「ショートサーブをいきなりチキータとかフリックとかするのも怖いから、私は試合の序盤では控えますよ。まずはツッツキとかで回転を探っていき、相手に慣れてきて初めて使う技術だと思います。」

こんなに強い人が「怖い」といっていることを私は平然とやってしまい、ミスを連発していたわけである。初見の相手のサーブをいきなり決めに行くというのは相当高いレベルの人でないと無理だというわけである。なるほど「youtubeの見過ぎ」と言われたのもむべなるかな。こういうことを譬えた蛇に関することわざがあったなぁ。なんだっけ?ネットで調べてみたが、差別的な表現だったので、代わりに英語のことわざを紹介したい。

 Fools rush in where angels fear to tread.
 【訳】 愚か者は、天使が恐れて足を向けない所へとび込んで行く。
"tread"を辞書で調べると、「歩く」とか「踏む」という意味があるので、「足を向けない」というよりも「足を踏み入れない」と翻訳したほうがいいかもしれない。

このことからいろいろなことが分かってくる。

・ドライブには決めに行くドライブと、打たれない程度につなぐドライブとがあること。
・レベルの低いプレイヤーはこの区別をあまり意識できていないこと。
・試合で相手の回転やリズムに慣れるためには意識して慎重に探っていかなければならないこと。

最近見た卓球丼氏の動画でも同じようなことを言っていた。



卓球丼氏「みなさんは最初のうちは絶対に自滅型です。」

自滅型


やっすん氏「めっちゃわかる、それ。そういう人、多い。特に学生だったら、中学生とか。高校生になると経験年数が長くなるので…それでも自滅型多いか。」

卓球丼氏「多い!すごく多い。」

やっすん氏「無理な3球目攻撃をしてミスる、みたいな。速い球出す練習ばかりしていて台に入らないとか。練習だったら入るけど、試合で台に入らないとか。」

そうなのである。まるで自分のことを言われているようだ。いつも練習している相手なら、回転の種類も量もだいたい見当がつくから、いきなり強打をしてもけっこう入るのだが、それで「この程度のボールなら、いつでも強打できる」と錯覚してしまうのである。同じようなボールでも人によって回転量や回転の方向が微妙に異なっている。卓球は非常にデリケートなボールタッチが要求されるので、そのような微妙な差異に敏感でなければならない。しかも問題は回転だけではなく、ボールの深さや打球点、打つリズムなども人によって微妙に変わるので、相手に慣れないうちに積極的過ぎるプレーに走るのは禁物である。というか、私のようなレベルの低いプレーヤーは、そのようなボールのさまざまな差異の存在すらあまり意識しておらず、したがって相手を観察したり、相手に慣れようとしたりする努力も怠っていた。その結果、「いつもの相手なら入る強打が入らない」「今日は調子が悪い」と、調子のせいにしてしまっていたのである。

「チキータができる」「カウンターができる」「強烈なスピードドライブが打てる」などというのはあくまでもいつも練習していて打ち慣れている相手に対してであって、あまり打ったことのない相手にはそれらの技術が不安定なのは当たり前のことである。自分の最大限の技術をよく知らない相手に使うのは自滅への道まっしぐらである。

そこで卓球の「制限モード」を提唱したい。レベルの低い初中級者は知らない相手に対しては、まず比較的ミスの少ない技術のみを使って相手のプレーを解析しなければならないと思うからである。

試合でまず使う技術として例えば次の技術が挙げられる
・ループドライブ
・ツッツキ
・ストップ
・角度レシーブ
・流しレシーブ
・ブロック/ショート

以上の安定性の高い技術のみを使うのが「制限モード」である。

そして試合の後半になって相手のプレー、回転に慣れてくるにつれて徐々に以下の技術を慎重に試してみるのがいいと思われる
・スマッシュ
・ミート打ち
・スピードドライブ
・フリック
・チキータ
・カウンター
・プッシュ

これらを使ったプレーは、いわば「完全モード」である。

練習でできる(といっても、おそらく成功率はせいぜい60%ぐらいだと思うが)ことが試合でもはじめから使えるわけではない。試合では相手のプレーをよく観察し、「制限モード」でミスをしないように遅くて高いボールを打ちながら相手の球質を見極め、次第に低くて速い、厳しいボールを打つようにしなければならないと思う。

メンタルと試合の流れ

私は「格下」と思われる相手と試合をしてよく負ける。
格下だと思うと、なんだか気が抜けてしまい、「相手を打ち負かしてやる!」という闘争心が湧いてこない。なんとなく相手に合わせるようなプレーを続けた結果、相手にガンガン打たれて負けてしまうのだ。

「こんなはずじゃなかった…」と後悔しても遅い。これがいわゆるメンタルの問題というものだろうか。

よく自分を奮い立たせるために、ポイントしたら大きな声を出す選手がいる。私もポイントのたびに大きくチョレイなどと叫んでみたらいいのだろうか。でもちょっと恥ずかしい。

高遠

声を出したら、闘争心が呼び覚まされて、プレーが積極的になる?

しかし、そんな単純なものだろうか。声を出して気持ちが高ぶってきても、肝心のプレーがおそまつということもありうる。気ばかり逸ってしまい、打ちミスを連発してしまうかもしれない。

たとえば、サムソノフ選手や丹羽孝希選手のように寡黙にプレーしても自分の持つ能力を遺憾なく発揮できる選手もいるではないか。声をほとんど出さないのに強い選手は少なくない。声を出さないとプレーが固くなってしまう選手もいるのかもしれないが、声を出せばプレーが積極的になるとは一概には言えないだろう。

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全日本卓球2019の伊藤美誠選手対早田ひな選手の準決勝の解説で宮崎義仁氏がこんなことを言っていた。

「チャレンジャー、向かっていったほうが勝つのかなと私は思います。そういう意味では早田のほうが1ゲーム目、乗っていくかな。伊藤が最初からね、早田にたいして挑戦者の気持ちで向かっていけたら、そりゃ別なんですけど、今、女王ですからね。彼女は受けてしまうんじゃないかな…そこの出足が心配だなというふうに見ています。」

「受けてしまう」。私が格下と試合する時はまさにこんな心境である。
相手の隙を突いて自分から積極的に攻撃を仕掛けていくというよりも、「相手はどんなことをしてくるのか」と様子見をしてしまう。途中から「このままでは負けてしまう」と分かっていても相手の出方に合わせてしまう。私は自分の実力が大したことがないということをイヤというほど思い知らされているので、格上ぶっているつもりもない。しかし、「格下」っぽい人と試合をすると、「受けてしまう」のである。どうすればいいのか。

そんなこんなでいろいろな「格下」に負け続けて気づいたことは、メンタルよりもマインドのほうが問題だったということである。カタカナで表現すると曖昧になるので漢字で言えば、「心」よりも「知」のほうが問題だと思うのである。私がどうして自分から先手を取れないかというと、自分の攻撃するイメージがないからなのである。

フォア前にサーブが来た。そこで相手のバックにフリックしたら相手は最も遠いこちらのバック奥に返球してくるだろう。だから急いで戻ってバックハンドで強いボールを打たなければ。

こんなイメージを持たずになんとなくフォア前のサーブを相手のバックにフリックしてしまい、相手がこちらのバック奥に返球してくるのに驚いて当てるのが精一杯の弱い打球で返した結果、相手に攻め込まれてしまうわけである。「格下」だと思うと、警戒心が薄れてしまい、次の展開を考えずになんとなくプレーしてしまうことが多いようなのだ。相手が格上だろうが格下だろうがやるべきことは変わらないはずである。格下だと思ったときに次の展開を思考するのを止めてしまうのが私の卓球の悪い癖だと分かった。

前記事「私の観た全日本卓球2019」で「迷ったまま入ってしまう」ということについて述べたが、私の場合は「迷ったまま」というよりも「何も考えずに入ってしまう」のである。声を出して自分を奮いたたせるというのは、迷いを断ち切る役には立つかもしれないが、そもそも何も考えずに入ってしまう私のような卓球では全く意味がない。それよりも頭を使って相手のプレーを分析し、次の展開のイメージを持つことこそが私に最も欠けているものだと思う。

シェークハンズの藤井貴文氏が「心技体知」についてブログで書いていた。

「技術は同じなのに、何度やっても勝てないケースがあります。その時の差は「戦術」の差です。」
「いわゆるどのスポーツでも言われている、「心技体」そして「戦術の知」だと思われます。」

スポーツや武道で「心技体」ということがよく言われるが、卓球に関しては「心技体知」だと聞いたことはあったのだが、最近この「知」の大切さがよく分かるようになってきた。よく「メンタルが弱いから負けた」ということを聞くが、そのときの「メンタル」というのは「心」も「知」もいっしょくたにした曖昧な言い方で、実際はメンタル(気持ちの強さや積極性、冷静さ)というよりも「知」の部分に問題があることが多いのではないだろうか。

先の宮崎氏は1ゲームを獲った伊藤選手について次のようにコメントしている。

「…去年のチャンピオンですし、ワールドランキングもだいぶ上ですし、伊藤がね、少しこう、待ち構えてやるような、受け身になるのかなと思ったら、なんのなんの、伊藤のほうが思い切ってましたね。やっぱりこのメンタルの強さ、さすがですね。」

こういうコメントを見ると、プロの試合では「心」の部分が試合を大きく左右するのだということがうかがえる。つまり、「技体知」の部分ができているのは当然のことで、あまり問題にならず、問題になるのは「心」の部分だということが分かる。しかし、初中級者の試合では「心」よりもまず「知」の部分が問題になることが多いのではないだろうか。

ここまで考えて、「試合の流れ」ということももしかしたら同じことなのかと思った。卓球全日本2019男子の解説で河野正和氏が「試合の流れ」に何度か言及していた。「流れがきている」などとよく言われるが、これについて私は幸運か何かが定期的にめぐってくるようなイメージを持っていたが、ようするに自分の戦術が相手に効いて、自分のイメージしたとおりの展開が続くことを言うのだろう。その戦術に相手がうまく対応して戦術が通用しなくなったら「流れが行ってしまう」ということになり、戦術を変えて、それがまた相手に効き出したら、また「流れが来た」ということになるのではないか。試合というのは徹頭徹尾、戦術であり、メンタル(心)というのは戦術という食材を際立たせる調味料にすぎないのではないだろうか。

私の観た全日本卓球2019――最終日女子

今更ながら、全日本を観た感想などを書いてみようと思う。大阪開催なので、実際に見に行きたいと思ったのだが、あいにく都合が悪く、見に行けなかった。来年こそはと思っている。

先週末からの3連休で時間的な余裕があったので、シングルスの準決勝から決勝までまとめて視聴してみた。男子解説の河野正和氏も悪くはないのだが、やはり宮崎義仁氏の解説は圧倒的におもしろい。プレーを見ればそこから選手の考えを鋭く見抜き、技術や戦術についてのコメント、さらには国際的な視野からの比較や古いエピソードなど、いくらでもおもしろいうんちくが湧き出てくる。そこからわれわれ一般愛好家も多くのことを学ぶことができる。

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宮崎氏「今、ちょっと悩んだまんま入ってしまったっていう感じですかね。」

渡辺アナ「迷ったまま入ってしまった、そこをもう少し詳しく教えていただけないでしょうか。」

宮崎氏「チキータをやらせようか、それともチキータをやらせないでロング(サーブ)から勝負しようか、どちらかなんですよ。チキータもやらせなかったですよね?ミドル前に(サーブが)行ったら、チキータがやってくるんですけど、バック前に行ったから、チキータこないんですよ。レシーブはチキータが来ない。でもロング(サーブ)でもないから、早田もどんなレシーブが来るか分かんないで(サーブを)出してるんですよ。だから、明確にチキータさせるか、ロングサーブを出してロング戦に持っていくか、どっちかはっきりした戦術じゃなかったんですよね。ただ単にチキータやられたくないな、でもロング(サーブ)も打たれたくないな、どうしようっていう戦術のない…迷ったままサービスを出してしまったという感じですね。」

バック前サーブ
バック前に下回転っぽいショートサーブを出した早田ひな選手

打ちミス
それを伊藤選手はうっかり浮かせてしまい、突如チャンスボールが訪れるが早田選手はスマッシュミス

はたから見たら、早田選手がなんてことのないボールを打ちミスしてしまったように見える。しかし、上述の宮崎氏の解説を聞いていれば、これは起こるべくして起こったミスだということが分かる。

「どんなレシーブが来るか分かんないで(サーブを)出してる」

というのは、私がしょっちゅうやっていることである。それでどんなレシーブが来るか分からないから、判断が遅れてミスを連発する。しかし、こんなレベルの高い試合でも同様のことが起こっているというのに驚かされた。宮崎氏が「世界トップレベル」と称賛する早田選手の実力をもってしても不意に訪れるチャンスボールをミスしてしまうというのはどういうことか?つまり私のような草卓球レベルでは「必ミス」となるだろう。私のような低いレベルのプレーヤーはどんなレシーブが来るか分かっていてもミスするのだから、どんなレシーブが来るか分からないようなサーブは絶対に出してはいけないということになる。

勉強になるなぁ。

回り込みバック

女子の試合ではフォア側に回り込んでバックでサイドを切るレシーブがよく見られた。バック側に回り込んでフォアを打つというのは私のレベルでもよくあることだが、フォア側に回り込んでバックを打つというのはほとんどない。私もこれからは台上でこういうプレーを取り入れてみたいと思う。

反対の山の準決勝は森さくら選手対木原美悠選手。
木原選手は平野美宇選手を破り、佐藤瞳選手をフルセットの大逆転で破る金星を重ねてここまで勝ち上ってきた。対佐藤選手の試合を見たが、木原選手は佐藤選手のカットの変化が分からず、1、2ゲームを見た時点でもう木原選手が勝ち目はないなと思ってみるのを止めたのだが、なんとツッツキ合戦に持ち込んで促進ルールで木原選手が勝利したのだという。その戦術を授けたのがエリートアカデミーの劉楽コーチなのだという。

劉コーチ
木原美悠選手の劉楽コーチ

手ごわい森選手に対して木原選手はフォア前サーブからのミドル攻めという戦術で危なげなく森選手からゲームを奪っていく。ゲーム間に劉コーチが木原選手にまくしたてるようにアドバイスをしている。
その劉コーチのアドバイスについて福原愛氏は次のように述べている。

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福原氏「的確なアドバイスだと思います。本当にしっかりと、こういうボールに対してはこういう対応をしなさいっていうアドバイスだったので、選手としてはとてもやりやすい環境を作ってくれたと思います。」

宮崎氏「(劉コーチは)日本に来てそんなに経験が長くないんですけど、すぐ日本語を覚えたんですよ。選手のために毎日勉強してテレビを日本語で見て…ほんとに努力家です。…(木原選手は)指示通りやってますね。指示通りやれる選手と、全く指示を聞かない選手っているんですけどね。木原の場合は指示通りやれる選手なのかもしれませんね。」
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実力的には木原選手が他の強豪選手を圧倒していたという印象はない。木原選手が倒してきた選手たちにも決勝に進出するチャンスがあったと思う。とすると、この劉コーチの授けた戦術こそが木原選手を決勝まで導いたと言えるかもしれない。


木原美悠選手のバックハンドの安定感と技術がすごい。バックハンドってあんなにコンパクトでいいんだ…

https://youtu.be/WECbVzKrRWs?t=37


コーチングについて最後にRallysの宮崎氏へのインタビューが興味深かったので紹介したい。
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宮崎氏「例えば、ミックスダブルス決勝では、張本は森薗の質の高いサーブをうまくチキータできていなかった。それに気づいてやっとストップに切り替えた。まずそのタイミングも遅かったんですよね。
そしてストップに切り替えた1本目は得点になる。その次のボール、張本はもう1本ストップしてしまった。伊藤美誠がストップを待っているにも関わらず。なので待ち構えていた伊藤に強打され失点してしまった。この場面ではもう一回チキータか長いツッツキレシーブをミドルかバックに送る方がよかった。」

ーーだから先を読んだ実況解説ができるんですね。恐れ入りました。ちなみに今みたいなお話は選手たちに直接アドバイスされるのでしょうか?

宮崎氏「伝えないですよ。全て選手が自分で考えて、感じてやるもの。選手は自分でやります。人に教えられてやるなんてありえないですし、それだと遅いんですよね。
「選手をどうやって指導するんですか?」と良く聞かれますが、教えない。教えたこともないし教えようようとも思わない。」
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指導というと、なんらかの「正解」を指導者が生徒に「教える」ものだと誤解されがちだが、自分で考えられるようになったら、「正解」は自分で探し出さなければならない。国際レベルの選手ともなれば、中高生でもこのような思考を身につけておかなければならないだろう。

「先生が言ったことを生徒はちゃんとメモして忘れないようにする」

というのは自分で考えることができない子供に対する教育だと思う。レベルの高い選手には考え方や枠組みを教えるだけでいいのだ。選手一人一人が宮崎氏の上記のような試合の見方を参考にして自分自身で相手の弱点を探し出せるようにならなければ世界で勝つことなどできるわけがない。私は宮崎氏の指導方針を聞いて、現在の日本代表の未来は明るいと感じた。

アクセルか、ブレーキか――踏み込みについて

サービスを出すときに床をダンっと蹴ったり、フォアドライブを打つときにグッと右足で踏み込んだりする。そうすることで回転がかかったり、威力のあるショットが打てるのではないかと私は思い込んでいる(冷静に考えると、サービスの時に足を踏み鳴らして回転量が増えるかどうかは疑問だが)

この踏み込みという動作にはアクセルとブレーキの働きがあると思う。

たとえば野球のピッチングで非利き足をグッと踏み込むことは球威を上げるのに重要な役割を果たす。これはアクセルだろう。卓球でもフォアドライブで体重移動しながら非利き足をグッと踏み込むことは球威を上げるのに役立つはずだ。

他にも相手のショートサーブに対するレシーブ時に前に移動し、右足でグッと踏み込んでツッツキをしたりする場合は右足の踏み込みがブレーキとして働いていると言える。もしこの「グッ」というブレーキがなければ、ツッツキのとき、台上で前に突っ込みすぎてしまい、次の動作が遅れる原因になるだろう。

前記事「○球目にご用心」で1球目を終えて3球目に備える、あるいは2球目を終えて4球目に備えることの重要性を再認識したので、最近はできるだけ素早く次の動作に移れるように気をつけている。

ツッツキのときに右足でグッとブレーキをかけて、すぐに台から距離を取るようにしているのだが、ここで私の右足は上述の私の考えとは異なる働きをしていることに気づいた。

私は相手のサーブをツッツキするとき、相手のインパクトの前に助走として少し足をバタバタ動かし、インパクトの瞬間、ショートサーブだと分かると、2~3歩小さくポジショニングして、ボールを正面から迎えられるようにする(ペンホルダーのツッツキはシェークより正面ぎみでボールを迎えるので)。その最後の1歩が右足になるのだが、そのときの右足の「グッ」はどちらかというと、アクセルのような「グッ」になるのである。

踏み込み

私が想像していたように、体が前に行こうとする力を止めるのに右足を使っているわけではなかった。

小さなステップで台に接近して、最後に右足を踏み込んでから右腕を少し伸ばしてツッツキをする。時間的な余裕がある時は、前に突っ込むようなことはなく、あまり前傾姿勢にもならない。右足はブレーキではなく、むしろアクセルのように働く。このようにツッツキ時に右足を利かせると、攻撃的な深いツッツキが打てる。しかも、その右足はそのままブレーキにもなり、私の身体を台から後ろに移動させる働きもするのである。

右足の踏み込みはフォア側の打球全般で使うと思うのだが、フォアツッツキの場合、

右足の踏み込み→打球→右足に体重を載せたまま後ろに戻る

という流れになるので、右足の踏み込みはアクセルであると同時にブレーキでもあったのである。
以下の王皓選手の動画のようなイメージである。


1分ほどオープニングが続くので、下のリンクから視聴されたい。
https://youtu.be/zyEMKbalUxw?t=58

同じく右足で踏み込むフォアドライブではどうだろうか。

通常(?)は

右足の踏み込み→打球→左足の踏み込み

のような流れになると思うのだが、そうすると、右足の踏み込みはアクセル、左足の踏み込みがブレーキということになるだろうか。しかしこうすると体が左に流れてしまい、次の動作が遅れてしまう。

上手な人のフォアドライブを動画で見てみると、

FD踏み込み
右側に体を傾け、右足でグッと踏み込む


FD伸び上がり
打球後、左右のどちらにも偏らない中立の姿勢


FD戻り
左足でブレーキ…あれ?左足が仕事をしていない。




https://youtu.be/5TWreEciHGc?list=PLsb_4V4-v9foxwDadaD_P7P3n5JtqcbNo&t=81

左足の踏み込みでブレーキを掛けていない。打ち終わったときに左足にはとりたてて体重が載っているわけでもなく、ちょうど中立の姿勢で終わっている。左に体が流れない。

フォアドライブってこうやって打つのか…。なるほど、こうすれば次の動きにすばやく移れる。

今までの私のフォアドライブは、右足で踏み込んで左足でブレーキをかける、大振りで効率の悪いフォアドライブだったのか。

フォアサービスの場合はどうなるのだろう。私は今までフォアサービスのインパクトと同時に左足をダンッと踏み込んでいたのだが、もしかしたら、左足を踏み込むことによって3球目への準備が遅れていたのかもしれない。ツッツキとフォアドライブの考え方をフォアサービスにも援用すると、フォアサービスでも左足にはあまり体重を載せず、右足に載せたまま後ろに下がったほうがいいということである。

そういえば、「右から左、後ろから前への体重移動というのは時代遅れだ」という上級者の意見をどこかで聞いたことがある。こういうことだったのか。踏み込みというのは両方の足でするのではなく、片足だけで完結したほうが次の動きにすばやく移れるということが分かった。


郭子琦

上の動画のモデルは郭子琦選手。ジュニアの選手である。いつか日本女子代表と戦うことになるかもしれない。

○球目にご用心――台との距離

昔、TOEICという英語のテストを受けたとき、リスニングの問題が難しくて全然答えられなかった。会話文を思い出して選択肢を選んでいる間に次の問題に移ってしまい、ひどい結果だった。

私はリスニングの問題でどうしてあんなにボロボロだったのか思い返してみると、日本語の構造と無関係ではないように思う。

日本語は重要な情報が最後に来る。

「ご依頼の件は、担当者が説明に参り…」

まで来ても、まだ諾否が決まらない。

「参ります」なのか「参りません」なのか、ここを注意して聞かなければとんでもない誤解をしてしまうことになる。そうかと思うと、「参りますが…」などと、どんでん返しの展開も想定しなければならない。日本語では文末に最大限注意しなければ重要な情報を聞き逃してしまうおそれがある。

こういう日本語の構造に慣れてしまっているため、私は英語を聞くとき、前半は流しながら聞き、最後の部分だけ集中して聞くという癖が染み付いてしまっていたのだ。英語では逆に主観的な態度や時制、肯否などの重要な情報が助動詞などによって前半に提示されるので、前半を集中して聞き、後半は流しながら聞くべきだったと後悔した。

TOEICのリスニングで私は文意のかなめとなる前半部分をむざむざと聞き逃してしまったためにテストの点数が振るわなかったというわけである。

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唐突に卓球の話になるが、卓球で何球目が大切だろうか?

「それは3球目に決まっている」
「レシーブ側なら2球目だ」

などという意見が出てきそうだが、たいていのポイントが5球目までで終わることを考えると、1球目のサーブが大切なのは言うまでもないし、2球目のレシーブが大切なのも当然である。3球目は攻撃のチャンスだし、4球目はそれをどう止め、反撃に転じるかの境目になるし、すべての球目が大切だと言っても過言ではない。1球たりともおろそかにはできない。

では聞き方を変えて、何球目に最も気をつけなければならないだろうか。

私はサーブ側なら1球目、レシーブ側なら2球目が最も気をつけなければならない球目だと思うのである。なぜかというと、サービスというのは台にピッタリくっついて出す人が多い。
下の森園選手のように台のサイドにまで入り込んでサーブを出す人もいる。

morizono serve

そして相手の次のレシーブが深いツッツキやチキータだった場合、距離が近いだけにかなり早くボールが自分の打球ポイントに到達してしまうことになる。上手な人はサーブを出した瞬間にすぐに飛び退くように下がることができるが、多くの初中級者の場合、ここの対応が遅れ気味で、1球目のあと、ボーッとしてしまうことが多い。そして、あっと気づいたときにはボールはすでに自分の打球ポイントまで迫っている…。そのため詰まってまともな打球ができなくなる。

「おかしいなぁ。練習では3球目が打てるのに試合ではちっとも打てない」

こういう人が初中級者に多いと思う。練習の時は打ち慣れている相手なので、どんなボールが来るかなんとなく予測できるので台との距離が近くてもなんとかなるが、試合ではそうはいかない。

レシーブのときも相手がショートサーブを出したら、台の中に右足を踏み込んで台に最も接近した状態になってしまうが、そこで3球目を打たれたり、相手に深いボールで突かれると、詰まってしまう。ポジションが台から近いので、軽いフリックもかなりのスピードに感じられる。サーブのときと同様に初中級者はここの判断が遅いのでまともに相手の3球目に対応することができない場合が多い。

その後、うまく4球目をしのぎ、5~6球目となると台からある程度距離ができているので、ちょっと反応が遅れてもなんとか対応できる場合が多い。

3球目や4球目で攻撃するのが難しいのではない。1球目、2球目という台に最も接近した状態からすばやく距離をとって3~4球目に備えることが難しいのだ。冒頭のTOEICでの失敗のように、私は1~2球目をなんとなく「打ち流して」しまい、3~4球目に集中していいショットを打とうとするのだが、それでは遅いのである。1~2球目が終わるか終わらないかの瞬間こそが最も集中していなければならないときなのである。

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