しろのたつみ



卓球について考えたこと、
気づいたこと(レベル低いです)
を中心に中級者の視点から綴っていきます。




2018年06月

当ブログでは皆様からの寄稿を募集しております。卓球について意味のある主張を発表したい方はshirono.tatsumi◯gmail.comまで原稿をお寄せください。

コメントについて:
コメント欄は他の読者が読んで意味のある情報交換の場としてご利用ください。当ブログの方針(察してください)に沿ったご意見は公開します。返信しにくい場合は公開のみとさせていただきます。指導者ではないので、技術的な質問には答えられません。中傷等は論外です。なお、メールアドレスは公開されません。

ボールを当てる位置――岸川聖也選手のバックハンドから

私が卓球のすばらしさについて友人に滔々と語っていたところ、「卓球以外のことも考えたほうがいい」と言われてしまった。世の中には卓球以外にも楽しいことがあるらしい。

しかし、卓球以外に何について考えたらいいのだろう。

狼狽して天を仰いだ。

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雲というのはなかなか趣があるなぁ。

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手前は黒いのに奥は明るい白だ。白と黒のグラデーションも、いろいろなパターンがあって奥が深い。
そして背景の青。どちらが地で、どちらが図なのか…。

あ~どうでもいい!やっぱり卓球のことを考えたほうが楽しい。

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卓レポの動画で岸川聖也選手のバックハンドが紹介されていた。


究める!シリーズ(5) バックハンドドライブ|岸川聖也(ファースト)

岸川選手と言えば、バックハンドの安定性に定評のある選手である。何か私のバックハンドの改善に役立つことがないかと動画を観てみた。

「肘をあまり動かし過ぎないようにしっかり固定して、手首から先を使うイメージで」
「肘を先に動かしてしまうと安定しないので…手首を少し使って回転をしっかりかけて打球することが大切です」


前記事「木造勇人選手によるバックハンドのコツ」では「全身を使うこと」がポイントとして挙げられており、手首に関する言及はなかったが、岸川選手は手首を利かせることをポイントの一つに挙げている(「手首を少し使って」と使いすぎは戒めているが)。どちらが私のバックハンドに合うのか分からないが、岸川選手のバックハンドのほうがとっつきやすく、安定しそうだ。

岸川選手のバックハンドは見ていて心地いい。なんとも楽そうにボールを返球している。
ぼんやりと繰り返し動画を見ていて気になったことがある。ラケットにボールが当たる位置である。

一般的にボールはラケットのどこに当てればいいのか。もちろんラケットの真ん中にボールを当てるのがいいに決まっている。しかし常に真ん中に当てられるとは限らない。真ん中から外れるとしたら、どのあたりに当てたらいいのだろうか。私は以前はどちらかというと、ラケットの「前半」や先端に当てたほうがいいのではないかと思っていた。
「前半」というのはボールがブレード上を通過するはじめのほうのことである。つまり、下の図で言えば、以前はAの辺りにボールを当てようと意識していた気がする。あるいはスイングの最も外側、つまりラケットのヘッドのあたりのBでボールをインパクトしようとしていた気がする。これなら強いインパクトを生み出せそうである。しかし、最近私はヘッドを立てぎみにして最もグリップ寄りのCの辺りで打球するようにしている。それが私のグリップでは裏面が最も安定するのである。

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岸川選手の動画を観てみると、果たしてCの辺り――いわゆる「エラ」に近い部分に当てているように見える。なんと私の打ち方と同じではないか!

バックハンドドライブではボールをブレードのエラの部分(下のほう)に当てると安定する、かもしれない。


反動――スイングスピードとバックスイングスピード

最近なんだかドライブに力がこもらない(何度目だ…)。突っつかれたボールを回り込んでフォアドライブしようとするのだが、パワー不足でツッツキが持ち上がらない。

なんてことのない打ちごろの下回転をバックドライブでよく落とす。
フォア打ちでさえ相手のボールに押されるような気がする…。

(比較的)若かったころはこんなことなかったのに。

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加齢による体力の衰え? 筋力が急激に落ちているなんてことも考えられるかも。

いや、よく考えたらそんなはずはない。還暦を過ぎてもパワフルな卓球をしている人だっているし、
そもそもフォア打ち程度でボールに押されるなどというのは筋力には関係ないはずだ。
身体の使い方が悪いのか、足が止まって適切なポジションがとれないのか。そんな原因を考えてみた。
しかし、これといった対策がみつからないまま、なんとなく塩野真人氏の技術動画を見ているとき、「これだ!」とひらめいた。


「カットマンの前後の動き!」

Lili卓球スタジオのスタッフへの指導の一コマ。
フットワーク 蹴り

「前後に振られると、間に合わなくなる」というスタッフの悩みに対して「足を蹴ることがポイント」と指導する塩野氏。
私は前後に素早く動くコツは相手の打つコースを察して、そちらへできるだけ早く第一歩を踏み出すことと思ったのだが、それだけではどうしても間に合わない場面が出てくる。そこで、動く前に反対の足でグッと床を蹴って、動く方向に第一歩を踏み出すというのがいいらしい。素早い前後のフットワークのポイントは第一歩目ではなく、それ以前の「強い蹴り」だったのである。

また、高くバウンドするドライブに差し込まれて、詰まってしまい、うまく打てないという悩みには次のように答えている。

ここの速さ。バックスイングとるときの。
バックスイングスピード02

中国人コーチに「ここ速く、もっと速く」って言われてたんで。
バックスイングスピード


ここ(バックスイング)が速いと詰まっても上から振れる。
相手が強くなればなるほど、ここの速さで対応できるようになる。

理想を言えば、腰をグッと回す。
腰のひねり

これはカットを引く場合にとどまらず、ドライブを引くときにも有効である。
十分な時間があって、ボールとの距離も十分とれる場合はしっかりと力のこもったドライブが打てるが、回り込んでフォアドライブを打つ場合や、深いボールを詰まり気味でバックドライブしなければならない場合はバックスイングで意識的に力を入れるとスイングスピードが上がる。たとえば、バック対バックでしばらくラリーを続けていて、こちらが回り込んでフォアドライブをするという場面で私はよく振り遅れる。なんとなくバックスイングを引いていたのではどうしても間に合わない。直前のバックハンドを打った流れでラケットを止めず、かなり意識的にバックスイングを速くしないと回り込みのボールに間に合わない。

考えてみればスイングスピードの速さというのはよく問題になるが、バックスイングのスピードというのは案外盲点で、気づいていない人が多いのではないか。少なくとも私はバックスイングのときに力を入れて意識的に速く戻すという発想はなかった。

また、以前私はよく切れた逆振り子サーブを出せるようになったことがあったが、あれもインパクトの前に反対方向(つまり自分の方)に思い切りラケットを振ってから、逆振り子サーブを出すと、切れ味が倍増する。反対方向に一度全力で振ることによって、スイングスピードが速くなるのである。

塩野氏の解説のようにフットワークでも一度反対方向に体重をかけて(つまり、グッと床を蹴って)から第一歩を踏み出すと、素早く第一歩が踏み出せる。

ここから帰納すると、ある方向への強い力を生み出したい場合は、一度反対方向に強い力を加えることが必要なのである。もう少し詳しく言うと、逆方向に入れた力をそのまま止めることなく順方向に向けることができれば、反動によって強い力が生み出せるということになる。今までバックスイングというのはスイングの前の「助走」程度にしか考えていなかったのだが、バックスイングのスピードはスイングスピードに比例する。常にそうとは言えないかもしれないが、私が最近試した感じでは、バックスイングスピードを上げることによってスイングスピードも上がるのである。

バックスイングを思い切り振り切った反動でスイングしたときの、力のみなぎるような感覚…これなら中年でも自信を持って若い人の相手ができる。肝心なときのパワー不足に悩んでいる中高年は、バックスイングに注目してみてはどうだろうか。

【付記】
今朝は朝から大きな地震があって驚いた。
JRをはじめ、通勤時間帯の電車が軒並み運休だった(おかげで今日は仕事が休みになった)。電車に乗り込んでしまってトイレにも行けず、2時間も車内に閉じ込められ、途中の、駅でもないところで下ろされることになった同僚もいた。JRが動かず、しかたなく新幹線で神戸まで帰った同僚もいた。
震源は北大阪だったが、京都でも本棚の本が落ちたり、皿が割れたりといった家が珍しくなかったようだ。大阪に住んでいる友人も、停電したり、ガスが止まったり、部屋の中がめちゃくちゃになったりしたようだ。

災害にあった方々にお見舞い申し上げる。




現役

近藤欽司『新しい卓球の教科書』を読んで

新しい卓球の教科書

著者の近藤欽司氏は女子日本代表監督も務めた名指導者。
御年76歳。
昨今の出版事情を鑑みると、これが最後の著作になるかもしれない。

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雑誌の技術記事と比べると、卓球書というのは退屈なイメージがある。
どの本も
「卓球は楽しい」
「卓球のルール」
「ラケットとラバーの種類」
「サービス、レシーブ、ドライブ、ブロック等の各打法」
「練習メニュー」
といった章段によって構成されており、目新しい発見に乏しい。雑誌記事のほうが詳しく具体的で読みがいがあるものが多い。

しかし、本当にそうだろうか。
雑誌記事というのは過去の記事が顧みられることは少ないが、著作というのは図書館などに蔵書され、数十年後まで人々に顧みられることになるし、著者の「作品」として自身のプロフィール欄に記載されるのだから、書く側としてはそれなりに力を入れて書くものである。雑誌記事の執筆よりも著作の執筆の方が多くの時間を費やし、力を入れることになるのは当然のことと言えよう。

ただ、この「力を入れる」というのは卓球でも執筆でもマイナスに働くことがままある。
処女出版のときは、自分の持つ知識の限りをあれもこれもと詰め込んでしまった結果、情報量が多すぎて主張がぼやけてしまい、読みにくくなりがちである。それが二作目以降となると、情報量と読みやすさのバランスを考えるようになり、まとまりもよくなる(前記事「卓球警句」)。そして最後の出版となると、おそらく「これだけは!」という必要最低限の厳選された情報だけに絞って書くようになるのではないかと想像される。

実際『新しい卓球の教科書』も情報量は決して多くはない。そして同じ主張が繰り返し現れる。これは著者の50年にわたる指導経験から確立された、ぶれない指導姿勢と言えるだろう。

『新しい卓球の教科書』という書名にも意気込みが感じられる。流行に左右されない、数十年の参照にも堪える、卓球の本質が書かれているという自負の現れなのかもしれない。教科書というのは参考書などと違い、やたらと詳しく書かれているわけではない。枝葉の情報は削ぎ、必要最低限の骨組みだけが書かれているものである。この本は近藤氏の考える、卓球で最も大切な核心の部分を厳選して綴ったものと言えるだろう。

前置きが長くなったが、この本を読んだ感想を記してみよう。

この本は表紙に「試合に勝てる!」とうたっているように試合で勝つことを目的とした卓球書である。

内容は非常にシンプルな主張から展開されている。
「卓球のラリーの7~8割はせいぜい6球目で終わってしまう。だからその6球目までで得点できる展開を考えましょう」ということである。こういうデータがあるのは知っている。たしか卓球部の大学生の試合を分析したものだったと思う。6球目というと、あっという間である。交互に打つわけだから、得点までに自分がボールを打てるチャンスはわずか3球である。最後に自分が強打を打とうと思ったら、残りの2球をなんとなく返球するのではなく、その2球で確実に仕掛けを入れていかなければならない。無駄な「球目」は一つもないと言ってもいいだろう。自分にサーブ権があるときは、サーブから仕掛けていかなければならない。

私の場合で言えば、試合の時は、相手のボールを返すのがやっとで、どうやって5~6球目で決めればいいのかまで考えが及ばないことが多い。ついなんとなくダラダラと行き当たりばったりでラリーを続けてしまう。しかし、名指導者にこういう現実を示されると、1~2球目に臨んだ時点で、次の展開と、さらに次の次の展開まで考えておかなければならない、一球も無駄にはできないと襟が正される思いである。

そして近藤氏は言う、「卓球は守りが難しい競技」であると。
したがって相手よりも先に攻撃することが試合を有利に進める上でのポイントになる。

では、練習はどうすれば良いかというと、点を取る部分を高める練習は当然必要です。自分のサーブから3球目、5球目で先手を取って連続攻撃をしていく。これは基本的な「得点力」ですね。それから、いくら点を取っても、それ以上に点を取られては勝てないわけですから、取られる部分を少なくする「対応力」の練習も必要です。相手も得点力がありますから、それをいかに防ぐか、失点を減らす部分ですね。

攻撃が大切だといっても、何が何でも先手をとらなければならないというわけではない。相手も先手を取ろうとしているのだから、どうしても先手を取れない場合もある。そういう場合は無理して攻撃するのではなく、「対応力」(相手に先手を取られた場合にしのぐ守備力のことか)を高めて次の攻撃のチャンスをうかがうのである。

だから、練習の基本は「得点力」を高めるか、「対応力」を高めるか、これが大きな柱になります。
単純なミスを減らして、粘り強くするというのも必要ですが、甘いコースに打って相手に打たれたらいけませんから、コースをついたり、強くは返さないけれども、安定して低く深く返すという部分も練習のテーマとして必要です。この3つが、練習の大きなテーマになります。


さらにできるだけ相手に強く攻めさせない能力――低く厳しく返球する能力も大切だと述べる。この第三の能力には名前がないが、相手の一発強打を未然に防ぐという意味で「防御力」とでも呼べようか。

以上が競技卓球に対する近藤氏の基本的な思想だと思われる。

それに4つの戦型(A~D型)、7つの「技の感覚」(こする、はじく、うけとめる、相手のボールを利用する、流す、切る、切らない)、4つの「技」(決める、守る、つなぐ、仕掛ける)、を組み合わせて卓球を論じているのである。

打点と打法

戦型について少し補足すると、A型は一発強打で勝負するタイプ。B型はラリーを続けて点を取るタイプ。C型は異質ラバーで相手を惑わすタイプ。D型はカット型である。

私の取り柄はフォアドライブなので、A型になるだろうか。

A型は3球目で強打をするため、サーブのレベルを上げることが重要で、たとえばボールの下側をこする下回転のサーブを出し相手にツッツキのレシーブをさせ強打していくわけです。

なるほど。質の高い下回転サーブを磨くことが必要なのか。

A型は一発で決めに行くわけですから、長いラリーを続けてしまうと、良さが消えてしまいます。…フォアハンドの強打を出すためには足の動きが重要になってきます。フットワークが重要視される戦型なので、「自分は動きや反応が少し遅い」という選手には向かない戦型になります。

う~ん。私はフットワークに難があるので、A型には向かないようだ。初心者はとりあえずB型を目指すべきだとある。

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この本は、即効性のあるコツや詳しい知識といったものはそれほど多くない、地味な本に見える。しかし何度も読み返すことによって基本に立ち返ることができ、いろいろな発見もあるかもしれない(私は通読しただけなので、見落としも多いことだろう)

 

台との距離――ボールを待つときの注意点

横下ロングサーブが上手い人(Bさん)がいて、その人に私はいつも苦戦させられる。
ペンホルダーで、フォアの横下ロングサーブを出すのだが、ボールを思い切り台にぶつけてすごいスピードのロングサーブが刺さるようにこちらのバック側に飛んでくる。

たぶん、回転も相当かかっているのだろう。普通にバックハンドドライブで返球しようとしても、よくネットにかけてしまい、持ち上がらない。

ループドライブにして、思い切り上にこすり上げたらどうだろうか。

そう思ってできるだけ上方向にこすり上げてみるのだが、なにしろ低くて勢いがあるので、なかなか持ち上がらない。おそらくつい厚く当ててしまっていて、十分回転をかけられていないのだろう。

打点を早くしてみたらどうか。

私は頂点でこすっているつもりだが、実際のインパクトは頂点から落ちたところで当てているかもしれない(前記事「僕らはみんな振り遅れ」)。ボール2つ分ぐらい早く当てるつもりで早めの打球点でこすってみたが、ネット直撃だった。残念ながらレシーブ成功率がさらに下がってしまった…。

ボールの真後ろではなく、横気味に触ってみたらどうか。あるいはスイング方向を真上ではなく、斜めにこすってみたら?

…などと、いろいろ試行錯誤していたのだが、最近になってようやくBさんのロングサーブに苦手意識がなくなった。なんてことはない。台との距離がまちがっていたのだ。私がふだん受けているサーブよりも、Bさんのサーブは10~15センチほど深く入ってくる。台のエンドラインぎりぎりである。そうすると、ボールが勢いを保ったままラケットに衝突してしまうし、自分では気づかなかったが、微妙に詰まってしまい、力もうまくボールに伝わらなかったのだ。ふだんよりも10~15センチほど台から離れて待っていたら、Bさんのサーブに対するレシーブ成功率がかなり向上した。

end line

こういう目でみると、私のいろいろなミスの原因がボールを待つ位置に起因していたことが分かってきた。

相手が深いツッツキを打ってきたとき、うまくボールが持ち上がらないのもそうだし、相手のドライブをブロックしようとしてオーバーさせてしまうのも、この距離を誤っているからである。私は台上で急に深いツッツキがきたら、詰まってしまい、ドライブで持ち上げることはおろか、ツッツキで返すのさえままならない。一方、上手な人は深いツッツキが来ても慌てず平然と返しているし、私がよくやるようにドライブの回転量に負けまいとボールを抑えようとして必死になることもない。

コツは簡単なのである。

相手が打つボールがいつもエンドラインの白線上に落ちると仮定して台との距離を決めるだけのことである。想定よりも浅くボールが入った時は、フットワークで割と楽に距離感を調整できる。人間は前に歩くようにできているからである。しかし、逆に想定よりも深くボールが入った時は、一瞬動きが止まってしまう。人間は後ろに歩くようにはできていないからである。つまり、エンドラインにボールが落ちると常に意識していれば、想定よりも深くボールが来ることはない。ただ、いくら前への動きが楽だと言っても、相手が絶妙のストップでネット際にボールを落としてきた場合はさすがに足元をすくわれてしまう。

上手な人にとっては言わずもがなのことかもしれないが、私はこういうことに最近やっと気づいた。

レベルが高い人ほど、エンドラインぎりぎりの深いボールを多用してくる。相手のボールは常にエンドラインギリギリまで入って来るのだと警戒することによって詰まったり、最適の打点を逸してしまうことが減り、ショットの安定性が高まることだろう。

以上である。

みどりのラバー ――ゴムの劣化をめぐって

私はよくセール品のラバーを買うのだが、中には数年前に廃盤になった商品もある。

たとえば2013年に廃盤になったラバーが半額で売られていたとすると、少なくとも5年前に製造されたラバーということになる。もしかしたら製造されたのはさらに前ということもありうる。こんなに長い期間が経つと、ラバーは劣化しないのだろうか。

おそらく製造後5年は経っているであろう新品ラバーを買って使ってみたことがあるが、性能的に特に気になることはなかった。作り立てのラバーと比較したわけではないので、経年劣化が全くないとは言い切れないが、製造後かなり経っていても違和感なく使えるようだ(耐久性はどうなのだろう?)。そういえば、うちに10年近く前に使っていたキョウヒョウ3があるが、ひっかかりがしっかりあって、今でも使えそうである。

気になってネットで調べてみたところ、ゴムは主に空気に触れることによって酸化が進むらしい。通常のラバーはパッケージのビニールにパンチで小さな穴が開けてあるから、開封しなくてもわずかに劣化が進んでいるはずである。

劣化するとどうなるのか。たとえば硬化である。しなやかで柔らかいラバーが硬くなる?ということはテナジー64を5年寝かせたら、テナジー05みたいになるということだろうか(粒形状とかは置いといて)?新しいラバーに手を出してみたものの、柔らかすぎて気に入らなかった場合には、数年寝かせるといい?のかもしれない。
緑雨のあと
画像がないとさびしいので。

また、劣化の一つにシートがとろけたような状態になることがある。自転車のハンドルのゴム部分がベタベタしたりするのがそうだ。中学時代の先輩がスレイバーを1年以上使っていたのだが、表面がサラサラになるどころか、粘着ラバーのようになっていたのを思い出した。表面がやけにテカテカしていて、ベタベタしていた。それを打たせてもらったのだが、いい塩梅でひっかかりがあって、使いやすかった記憶がある。自分でも試したことがある。ラバークリーナーが乾いていないベチャベチャの状態でラバー保護シートを密着しておくのである。そうすると、ときどきラバーが「腐って」ベタベタしてくる。どういう化学変化でこのようなことが起こるのかよく分からない。

ネットで調べてみると、こういう現象は「ブリード」というらしい。ラバーの内部にある油が表面に浮き出してとろけたような状態になり、べたべたしてくる。意図的にこういうことをやってみたいと思うのだが、うまく行くかどうかは運次第である。
さらに調べてみると、溶解パラメータ(SP値)というものがあって、その値が近いものを塗り込んでおくと、「ブリード」が起こりやすいらしい。ここまでくると、素人には理解不能である。

あまりあれこれ気にすると、頭が痛くなってくる。セール品ではなく、商品の回転の早そうな店で通常価格で買うのが無難かなと思う。ラバーも食品のように製造年月日を記載してくれたらいいのに。

仕掛けと予測――受動的な予測と能動的な予測

中学生のころ、部内戦をしたときのことをふと思い出した。

昭和trim
ちょっと昭和っぽい写真

今と違って卓球の情報などほとんどなく、レベルの低いうちの中学では、みな我流の卓球をしていた。その部の中では私は強かったが、もう一人同じぐらいのレベルのAくんがいた。Aくんはペンホルダーだったが、ミスが少なく、攻撃が安定していて、試合をして私とは勝ったり負けたりだった。

その日、Aくんと私は全勝同士で対戦したのだが、私はAくんに終始試合をリードされ、勝てる気がしなかった。私はフォアドライブが入れば勝てるのだが、その日はあいにくほとんど入らなかった。それに対してAくんのフォアドライブはガンガン決まっていた。そこで私はAくんにドライブを打たれないようにツッツキをバック側に徹底的に集めるようにした。

今の感覚ではバック側にツッツキを送ったところで相手のドライブを防ぐことにはならない、と思うかもしれないが、昭和の当時は今とは違い、バックハンドが自在に振れる人は非常に少なかった(県大会で上位にいくようなレベルは知らないが)。バック側に送られた38ミリ時代の低くて速いツッツキをバックハンドドライブで持ち上げようとしてもなかなか持ち上がらない。適切な打点で適切な体の使い方をすれば持ち上がったのかもしれないが、当時はラバーの性能も低かったし、我流卓球の私たちには打点などという概念さえもなかった。しかも完全な手打ちだったので、下回転をバックドライブしようとしても、成功率は3割以下だった。バックに来た下回転はツッツキで返すか回り込んでフォアで打つのが一般的だった。

私がAくんのバック側に早い打点でツッツキを送ると、Aくんも私のバック側につっつき返す。フォア側にツッツキを送ると、一発で決められてしまいかねないので、お互いに「早くミスしてくれ!」とばかりにバックへつっつき合い、ツッツキ合戦の様相を呈していた。そのようなラリーが2~3往復も続くと、やがてAくんは意を決して回り込もうとしては、詰まってミスをしてくれた。私はAくんに回り込ませないように早い打点で、しかもバックサイドを切るようなツッツキを送り続けていたのだ。その試合は結局私の勝利だった。後味の悪い勝利だった…。

もちろんルール上は何も問題ないし、今から考えると、うしろめたいことは何もないのだが、その時の私の認識では、その試合は正々堂々とドライブで勝負に出ずに、とにかく相手に打たせまいとする消極的な態度に徹して勝ったのが卑怯に感じられたのだ。

今から考えると、なんともこっけいな話である。

お互いバックハンドが振れない者同士の対戦で相手が執拗にバックにつっついてくる場合、いくらでもフォアで攻撃する方法があるだろうに。

たとえば深いツッツキを送ったあと、フォア前にストップしてみるかもしれない(当時の私は「ストップ」という言葉を知らなかった)。相手はバックでつっつこうと待ち構えているところへフォア前のストップである。相手は早い打点でボールにさわれず、ラケットに当てるのが精いっぱいで体勢を崩し、打てるショットといえば、せいぜいストップか、ゆるいツッツキになるはずである。それを待ち構えて、ストップならフォアミドルへ思い切り深くつっついて詰まらせるだろうし、ゆるいツッツキ――ミドルかフォア側に来るだろう――ならフォアドライブが打てそうである。

あるいはバックに横回転気味のツッツキを送ったり、ナックルのような切れていないツッツキを送るかもしれない。そんなボールが急に来たら、相手は驚いて反応が少し遅れる。そしてボールを浮かしやすい。それを待ち構えて回り込んでドライブやスマッシュが打てそうである。

しかし当時の私は愚直にツッツキをツッツキでひたすら低く返すということしか頭になかった。それがいちばんミスしにくかったのである。そしていつか相手がミスしてくれるだろう、甘いボールを返してくれるだろう、という期待が全てだった。こちらから相手の甘いボールを引き出して、次を強打するという考えがなかった。つまり、「仕掛ける」という概念がなかったのである。

仕掛けのない卓球というのは、なんともすさまじい卓球である。仕掛けをしなければ、次にどんなボールが来るかは、相手に打たれてからのお楽しみなので、こちらは全く時間的な余裕がない。不意に予想もしなかったボールを突きつけられるものだから、ミスを連発することになる。

卓球では予測が大切だなどと言われるが、相手が次にどこにどんなボールを打つかなんて超能力者でもない限り分かるはずがない。たしかに相手のサイドを切るボールを送ったら、ストレートには返しにくく、クロスに返ってくるという程度の予測はできるが、それ以上のことは無理だと思っていた。しかし、最近「仕掛け」という要素を組み込めば、予測の幅が広がるということが分かってきた。というか、予測というのは仕掛けとセットで使うものなのではないだろうか。

私は今まで予測というと、漠然とコースのことを思い浮かべていた。「さっきこのコースに打ったから、次はこう返ってくる可能性が高い」のように返球コースを「受動的」に予測していただけなのだが、最近は「こう仕掛けることによって相手から甘いボールを引き出そう」という「能動的」な予測に変わってきた。

予測は自分の打つコースだけではなく、ボールの深さ(ストップや深いツッツキ)、回転(切れているか切れていないか)、球種(フリックとかドライブとか)、スピード(ゆっくり来るか、すぐ来るか)なども影響する。たとえば最近ぐっちぃ氏のブログで陳衛星選手と対戦した印象が紹介されていたが、その中で次のくだりが目を引いた(読みやすいよう適宜改行した)

衝撃だったのが手前に落としたときやツッツキ戦のツッツキがあり得ないくらい深く差し込んでくる!!
ツッツキがめちゃめちゃ低く鋭く入り込んでくるので陣衛星選手がぐっちぃのドライブを狙ってボコスカにしてましたよね?(笑)

あれは

カウンターすげー、攻撃力やべー

ってなりますが実はその前の陣衛星選手のツッツキ!!これに秘密があったんです。
あれが今まで体験したがないくらいの超爆切れ系ツッツキ!!汗
あんな低く深く滑りこまされたらスピードドライブできません汗
もうループドライブをかけるしかない。しかも全然時間がない。
陣衛星選手のスイングスピードが尋常じゃないのかツッツキの鋭さ、ツッツキの高速時間がすごくてもう考える時間ないままでループドライブをかけないといけない汗




陳選手の深くて速いツッツキは、いわば「仕掛け」のような働きをしている。相手が「あっ!」と思った瞬間には、もう選択の自由を奪われていて、ループドライブでなんとか入れるのが精一杯という鋭さのようだ。陳選手はその返球を予測していて、相手のループドライブを待ち構えてカウンタードライブでフィニッシュということになるようだ。

予測は、どちらにボールが返ってくるかというコースよりも、上の陳選手のようにどんな球種のボールが返ってくるかということに重点を置いたほうが有効なのかもしれない。例えば台上で相手のフォアミドル深くにナックル気味のフリックを送れば、相手は詰まって甘い順回転のボールを返すということを予測して、ナックルフリックを送ったらすぐ回り込んでフォアドライブ強打の準備をすれば、試合が有利に進められる。

中学生のころ、緩急や回転量に差をつけて、相手を崩してから攻撃するという発想は私の周りにはなかった。とにかく全力で切って、全力で打つことしか頭になかった。だが相手が打たれないように固く守っているところをあえて強打で打ち抜こうとするのはリスクが高すぎる。イチかバチかの卓球になってしまう。まず台上で相手を崩すところ――仕掛けから始めなければならないということを知らなかったのだ…。

中学時代にどうしてあんな卓球しかできなかったのだろうと、悔やまれてならない。

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