ミスにもいろいろあるが、いちばん大きな原因はインパクト時のラケット角度が不適切なことだ…と思っていた。
練習の時にコースを決めてドライブを打つときは気持ちよく打てるのだが、実戦ではたいてい気持ちよく打てない。それを喩えていえば、切れ味の悪い包丁でニンジンやゴボウのような固い野菜を切っているような感じである。サクッと気持ちよくドライブできない。それで力をこめると、かえってネットに引っ掛けてしまう。練習のときのドライブはあんなに切れ味が鋭いのに…なぜだ。
最近、私がよくする練習はバック対全面のラリーである。
本当はふつうの切り替え練習がしたいのだが、フォア2本、バック2本とか指定すると、相手がブロックの上手い人でないと続かず、あまり効率的な練習ができない。それで私はずっと相手のバックにボールを送り、相手はランダムでこちらの全面に返球するという切り替え練習である。もちろん順回転のボールである。下の動画を見たことの影響もあるかもしれない。
https://youtu.be/w_Hxa3-08UQ?t=22
「昔からやってるのは、バック対オールですね。向こうはバック、僕は切り替えでオール」
この練習は「動きの練習」である。だから速いボールで4~5往復打つよりも、「ミスしないように6~8割の力で打つ」ことによって数10往復、延々と続けるのがいいようだ。そしてこの練習の優れた点は
「試合中のあらゆる動きが含まれている」
「その場面に最も適した(前後等の)位置を知ることができる」
ということである。
しかし、本当にこの練習にはそんなに効果があるのだろうか。たしかに中級者には効果があると思うのだが、数々のタイトルをものにしてきた日本卓球の革命児、岸川星也選手が今でも続ける価値がある練習だというのが信じられない。
岸川選手とは全く意識のレベルが違うが、私もこの練習を続ければ、私なりに上達するのではないか。そんな思いから私もバック対オールに挑戦することにした。
見た目よりも難しい練習だろうということは取り組む前から想像がついていた。そこで初めは軽いフォア打ちのようなゆっくりしたスピードから試してみたのだが…全く続かない。フォア・バックとゆるいボールを送ってもらうと3~4往復ぐらいはいけるのだが、そこにミドルが混じってくると「あっ」と一瞬判断が遅れ、体勢が崩れて詰まってしまう。そうすると体勢をリカバーできないまま、次のボールも変な姿勢で打ってしまい、ボールに振り回されているといった感じになり、ミス。ゆっくりやってもせいぜい5~6往復ぐらいしか続かない。なんという難易度の高さ。
どうしてこんなに続かないのか。その原因が振り遅れにあることは明らかだった。ハエが止まるほどのゆっくりしたボールでも私はボールが自分のコート?に入って初めてバックスイングをとっているのだから、振り遅れるのは当たり前である。もっと早い段階でバックスイングをとらなければならない。
とはいえ、行うは難しである。どこにくるか分からないボールを一瞬で判断し、反射神経の早さでバックスイングをとろうとしても間に合わない。卓球は反射神経の早さが勝敗を左右するイメージがあるが、実際には反射神経がいかに無力かということを思い知らされた。
想像してほしい、相手が多球練習で全面にスマッシュを打ち、それをこちらが前陣で拾うというムチャな練習を。
バック対オールというのはスマッシュほどボールスピードは速くはないが、いわばそんな感じの練習である。相手はフォアからバックまでどこでも自由に打っていいが、それをこちらが拾う練習なんてそうそう続くわけがない。
だが、上手な人はみんなこんな練習ができるのだから、工夫すればもっと早く反応できるに違いない。どうすれば間に合うのか。バックスイングをできるだけ小さくすればいいのではないか。強く打つ練習ではないのだから、最低限の力で打てば十分である。バックハンドは軽く押すだけ、フォアのバックスイングは体側(自分の体の横)まで持ってこないで、体側よりも前方で終わるようにしなければならない。腕をほとんど使わず、ほぼ体幹のひねりだけを使ったおそろしく小さなスイング…やってみたが、全く効果がなかった。
次にスイングを止めずに円を描くようにスムースにすればいいのではないかと考え実践してみた。これもほとんど効果はなかった。というのは、スイングを止めずにスムースに素早くやろうとすると、早すぎて今度は相手が打球する前にこちらがバックスイングを完了してしまうことになってしまうのだ。そうすると、こちらが急いでフォア側にバックスイングを引いたにもかかわらず、相手にバック側に打球されてしまい、完全に逆を突かれることになる。この方法もダメだ。
むしろ、スイングの後、すぐにラケットを戻すのではなく、少し身体の前方でラケットを待機させておいたほうがいい気がする。早くフォアなりバックなりに引ききってしまうより、身体の前方にラケットがあったほうが、フォア・バックどちらに打たれても素早く引ける。逆を突かれることがない。打球した後、体の前方でラケットを静止させておけば…いや、しかしこれでは振り出しにもどったようなものだ。これで間に合うとも思えない。
いろいろ試行錯誤して到達した結論は、相手のラケットを見続けるというやり方だった。相手のラケットから目を離さず、相手が打球するときの面の角度からフォアに来るかバックに来るかを判断し、素早くバックスイングをとるというものである。もちろん一瞬たりとも目を離さないというのは難しい。こちらがインパクトする50センチほど前でボールの位置をチラッと確認しないと、うまく打てないので、一瞬だけ目を離すが、それ以外はずっと相手のラケットの面の角度を見続けるのだ。
そうすると、今まで平均して3~4往復しか続かなかったラリーが5~6往復以上続くようになった。体の動きが止まらず滑らかにフォア/バックの切り替えができるようになってきた。さらに練習を続け、慣れてくると平均10往復ぐらいラリーが続くようになった。これはいける!だんだん余裕が出てきたので、ゆるい、初心者のような打球ではなく、ある程度速い(5割ぐらいの力で)ボールでラリーを続けてもなんとか対応できるようになってきた。そしてこの練習を続けるうちに私の中で何かが変わった。
もしかしたら、私のミスの原因の大半は微妙に振り遅れているから…なのか?
練習の時にコースを決めてドライブを打つときは気持ちよく打てるのだが、実戦ではたいてい気持ちよく打てない。それを喩えていえば、切れ味の悪い包丁でニンジンやゴボウのような固い野菜を切っているような感じである。サクッと気持ちよくドライブできない。それで力をこめると、かえってネットに引っ掛けてしまう。練習のときのドライブはあんなに切れ味が鋭いのに…なぜだ。
最近、私がよくする練習はバック対全面のラリーである。
本当はふつうの切り替え練習がしたいのだが、フォア2本、バック2本とか指定すると、相手がブロックの上手い人でないと続かず、あまり効率的な練習ができない。それで私はずっと相手のバックにボールを送り、相手はランダムでこちらの全面に返球するという切り替え練習である。もちろん順回転のボールである。下の動画を見たことの影響もあるかもしれない。
https://youtu.be/w_Hxa3-08UQ?t=22
「昔からやってるのは、バック対オールですね。向こうはバック、僕は切り替えでオール」
この練習は「動きの練習」である。だから速いボールで4~5往復打つよりも、「ミスしないように6~8割の力で打つ」ことによって数10往復、延々と続けるのがいいようだ。そしてこの練習の優れた点は
「試合中のあらゆる動きが含まれている」
「その場面に最も適した(前後等の)位置を知ることができる」
ということである。
しかし、本当にこの練習にはそんなに効果があるのだろうか。たしかに中級者には効果があると思うのだが、数々のタイトルをものにしてきた日本卓球の革命児、岸川星也選手が今でも続ける価値がある練習だというのが信じられない。
岸川選手とは全く意識のレベルが違うが、私もこの練習を続ければ、私なりに上達するのではないか。そんな思いから私もバック対オールに挑戦することにした。
見た目よりも難しい練習だろうということは取り組む前から想像がついていた。そこで初めは軽いフォア打ちのようなゆっくりしたスピードから試してみたのだが…全く続かない。フォア・バックとゆるいボールを送ってもらうと3~4往復ぐらいはいけるのだが、そこにミドルが混じってくると「あっ」と一瞬判断が遅れ、体勢が崩れて詰まってしまう。そうすると体勢をリカバーできないまま、次のボールも変な姿勢で打ってしまい、ボールに振り回されているといった感じになり、ミス。ゆっくりやってもせいぜい5~6往復ぐらいしか続かない。なんという難易度の高さ。
どうしてこんなに続かないのか。その原因が振り遅れにあることは明らかだった。ハエが止まるほどのゆっくりしたボールでも私はボールが自分のコート?に入って初めてバックスイングをとっているのだから、振り遅れるのは当たり前である。もっと早い段階でバックスイングをとらなければならない。
とはいえ、行うは難しである。どこにくるか分からないボールを一瞬で判断し、反射神経の早さでバックスイングをとろうとしても間に合わない。卓球は反射神経の早さが勝敗を左右するイメージがあるが、実際には反射神経がいかに無力かということを思い知らされた。
想像してほしい、相手が多球練習で全面にスマッシュを打ち、それをこちらが前陣で拾うというムチャな練習を。
バック対オールというのはスマッシュほどボールスピードは速くはないが、いわばそんな感じの練習である。相手はフォアからバックまでどこでも自由に打っていいが、それをこちらが拾う練習なんてそうそう続くわけがない。
だが、上手な人はみんなこんな練習ができるのだから、工夫すればもっと早く反応できるに違いない。どうすれば間に合うのか。バックスイングをできるだけ小さくすればいいのではないか。強く打つ練習ではないのだから、最低限の力で打てば十分である。バックハンドは軽く押すだけ、フォアのバックスイングは体側(自分の体の横)まで持ってこないで、体側よりも前方で終わるようにしなければならない。腕をほとんど使わず、ほぼ体幹のひねりだけを使ったおそろしく小さなスイング…やってみたが、全く効果がなかった。
次にスイングを止めずに円を描くようにスムースにすればいいのではないかと考え実践してみた。これもほとんど効果はなかった。というのは、スイングを止めずにスムースに素早くやろうとすると、早すぎて今度は相手が打球する前にこちらがバックスイングを完了してしまうことになってしまうのだ。そうすると、こちらが急いでフォア側にバックスイングを引いたにもかかわらず、相手にバック側に打球されてしまい、完全に逆を突かれることになる。この方法もダメだ。
むしろ、スイングの後、すぐにラケットを戻すのではなく、少し身体の前方でラケットを待機させておいたほうがいい気がする。早くフォアなりバックなりに引ききってしまうより、身体の前方にラケットがあったほうが、フォア・バックどちらに打たれても素早く引ける。逆を突かれることがない。打球した後、体の前方でラケットを静止させておけば…いや、しかしこれでは振り出しにもどったようなものだ。これで間に合うとも思えない。
いろいろ試行錯誤して到達した結論は、相手のラケットを見続けるというやり方だった。相手のラケットから目を離さず、相手が打球するときの面の角度からフォアに来るかバックに来るかを判断し、素早くバックスイングをとるというものである。もちろん一瞬たりとも目を離さないというのは難しい。こちらがインパクトする50センチほど前でボールの位置をチラッと確認しないと、うまく打てないので、一瞬だけ目を離すが、それ以外はずっと相手のラケットの面の角度を見続けるのだ。
そうすると、今まで平均して3~4往復しか続かなかったラリーが5~6往復以上続くようになった。体の動きが止まらず滑らかにフォア/バックの切り替えができるようになってきた。さらに練習を続け、慣れてくると平均10往復ぐらいラリーが続くようになった。これはいける!だんだん余裕が出てきたので、ゆるい、初心者のような打球ではなく、ある程度速い(5割ぐらいの力で)ボールでラリーを続けてもなんとか対応できるようになってきた。そしてこの練習を続けるうちに私の中で何かが変わった。
もしかしたら、私のミスの原因の大半は微妙に振り遅れているから…なのか?
【続く】