しろのたつみ



卓球について考えたこと、
気づいたこと(レベル低いです)
を中心に中級者の視点から綴っていきます。




2018年03月

当ブログでは皆様からの寄稿を募集しております。卓球について意味のある主張を発表したい方はshirono.tatsumi◯gmail.comまで原稿をお寄せください。

コメントについて:
コメント欄は他の読者が読んで意味のある情報交換の場としてご利用ください。当ブログの方針(察してください)に沿ったご意見は公開します。返信しにくい場合は公開のみとさせていただきます。指導者ではないので、技術的な質問には答えられません。中傷等は論外です。なお、メールアドレスは公開されません。

卓球の質問【受付終了】

これまでの経緯の詳細は前記事「オルタナティブ指導」参照。

読者のみなさんの知恵をお貸しください。

質問のある人はコメント欄に以下のような書式で質問してください。それに対して同じような悩みを経験した人の経験談をコメントするという形式です。あくまでも「経験談」なので、専門的で、正しい説明である必要はありません。
モットーは「間違ってもいいじゃない、にんげんだもの」です。

※決まり
1.「名無し」とか「あ」とか、そういうテキトーな名前は書かないこと。
2.人のコメントを批判・否定しないこと。人は人。自分は自分です。
3.回答する側もあまり熱を入れず、淡白にお願いします。君子の交わりは淡きこと水の如し。
4.用具の質問はできれば他でおねがいします。
5.


上の決まりに反するようなコメントは公開しません。それから
・回答に対するお礼は義務ではありません。回答する方はあまり期待しないほうがいいです。しかし、きちんとお礼をしたほうが次に質問するときに回答がつきやすいと思います。
・メールアドレス欄に何かを書いてもらった
(公開されません)ほうがなりすましを防げます。
---------
質問の書式

【質問】質問をまず簡潔に書く。

【状況説明】回答がつきやすいように説明は具体的に。

※質問は2018年3月末をもって原則として質問の受付を終了する。

あわせ技――ツッツキのつかいどころ

将棋の駒で最も強い駒は飛車だろう。
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誰もが飛車を大切にしてできるだけ取らせないように気をつかう。一方、歩は取られたところでさして痛くもない。
将棋の駒を卓球の打法に喩えるならば、飛車はさしずめフォアドライブだろうか。ペン表の人なら飛車はフォアスマッシュかもしれない。バックが得意な人なら、バックドライブが飛車の位置づけかもしれない。

一般的にいうと、バックドライブは角といったところか。ペンならバックプッシュだろうか。
私の中ではフリックやチキータは銀で、ブロックは金というイメージである。
サービスは桂馬で、ストップは香車かな。
では、歩はなんだろうか。
人によってイメージは違うだろうが、私の中ではツッツキである。

友人とツッツキは試合で使う機会がほとんどないという話をしたことがある。たとえばショートサーブに対してツッツキを使ったら、相手に両ハンドで待たれてドライブ強打をくらってしまう。ツッツキを使うぐらいなら、ストップとかフリックを使ったほうが主導権を取りやすい。ツッツキというのは地味だし、相手にとっては絶好球になってしまうし、使いどころがない。

真下回転サーブはチキータされにくいのだそうだ。


 
https://youtu.be/m9-lKZiXIiw?t=1473

といっても、上級者は来る場所さえ分かっていれば、いくら切れていて低い下回転ショートサーブでも、簡単にチキータできるのだという。そこで下回転サーブを同じモーションからフォア側に出したり、バック側に出したりする。といってもスピードの遅い下回転サーブをコースを散らして出したところで限界がある。同じところに出すよりはマシだが、慣れられてしまったら、やはり簡単にチキータされてしまうだろう。そこでスピードの速いロングサーブを同じモーションから出すようにすると、下回転ショートサーブが生きる。一つの技では効果は薄いが、二つの技を組み合わせて使うと効果が倍増する。逆にずっと速いロングサーブを出していたら、いくら切れた速いロングサーブでも効果は薄いだろう。短いサーブと組み合わせることによってこそロングサーブが生きるのである。

ツッツキで考えると、ツッツキの質を単独で高めるだけではなく、ツッツキとストップを併用することでツッツキの価値は倍増する。つまり、ツッツキをすると見せかけて、同じ体勢からストップをしてみたり、ストップと見せかけて深いツッツキをしてみると、単独では非力なツッツキといえども相手にとっては脅威になりうるのである。

以上は一つの場面でどの技術を選択するかという範列的な関係で考えてみたのだが、今度は統語的な関係で考えてみる。

初中級者はフォアドライブ等の「強い」打法を単独で磨けば試合に勝てると思いがちだが、試合ではだいたいそのようなおいしいシチュエーションはめぐってこない。いくら威力のあるフォアドライブを持っていても、それを試合では全く打たせてもらえないことも珍しくない。そこでツッツキが生きる。相手のショートサーブに対して低くて速いツッツキでガツンと相手のミドルを突くと、相手は詰まって甘い返球をすることが多い。それを待ち受けて4球目でフォアドライブが強打できるのである。



上の動画で「3球目でチキータを打つにはどうするか」という視聴者の質問に村田コーチはしばらく、考え込んで次のように答えた。
https://youtu.be/yuUwCIU9src?t=812

曰く、ふつうは3球目をチキータで待つシチュエーションはほとんどなく、長いボールを待っていたところでストップが来て、急遽方向転換して3球目でチキータを打つというのなら、ありうるシチュエーションだというのだ。

質問者はおそらく1球目のサーブとの関連をあまり考えず、単独でのチキータで主導権を握るためのコツを知りたかったのではないかと思う。しかし、上級者以上になると、単独での技をあまり考えることができず、常に他の技との統語的な連続で考えてしまう。それでチキータを3球目で待つことはほとんどないというような答えが出てくるのだと思う。

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将棋では飛車が眼の前の歩をとれずに退散させられたり、むざむざと飛車を歩にとらせたりするといったことが起こる。同様に卓球でもタイムリーなツッツキの前に強烈なフォアドライブが不発に終わるといったこともありうる。ツッツキ単独では簡単にフォアドライブの餌食となってしまうが、そのツッツキの前にストップを噛ませたりすれば、ツッツキが豹変して決定打となることもありうる。

前記事「要素構成主義を超えて」で単独の打法だけをひたすら学んでもあまり効果はないと主張したが、地味な打法でも合わせ技で、効果的なつかいどころを見い出せれば、相手にとって脅威になりうるだろう。


【付記】
今週末を利用して小旅行に行ってくるので、コメントなどをいただいても対応できないことを予め申し上げておく。





メンタルタフネス――卓球ドイツオープン2018 U-21でのドラマ

前記事「卓球は人なり」があまりにも中途半端な内容だったので、後味が悪い。口直しにもう1本、記事を書いてみた。

ドイツオープンが開催中だが、スウェーデンのモアガルド選手の試合に注目している。昨年末の世界ジュニアで中国の若手二人を破り、優勝まであと一歩のところまで行った才能が今大会でどう開花するか興味があったのである。

U21の準決勝 安宰賢(AN Jaehyun)選手との試合で、モアガルド選手の個性的なプレーの数々に唸らされた。



打点の早いすごいピッチのラリーを展開していく一方で、ミスが少なく随所に独創的なプレーを繰り出してくる。バックハンドのブロックでコースを巧みに打ち分けるのだが、それを拾いまくる安選手も大したものだ。

モアガルド選手はやっとのことで安選手を下し、決勝へ。

決勝の相手はフランスのSEYFRIED Joe(読みはセイフリード? シーフリード?)選手。聞いたことがない選手だ。
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たぶん十代だと思うのだが、日本人の感覚からすると、20代後半に見える。

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フェンスを軽々とまたぐ足の長さ。


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176センチの方博選手が子供に見えるほどの長身。190センチ近くありそうだ。



モアガルド選手との決勝戦。しょっぱなのサーブでフォルトをとられる。

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インパクトが顔で隠れていたようだ。
気を取り直してもう一度サーブを出すも、またもやフォールト。

SEYFRIED
フランス語が分からないので、雰囲気から察すると、
「オウオウ、オッサン、俺のサーブのどこがフォールトやねん!」
のようなことを言っているのではないかと想像される。こんな大男に詰め寄られたら、さぞ怖いことだろう。しかし審判は一切抗議を受け付けない。

そして試合は大幅に中断。やがてSEYFRIED選手が引き下がり、試合再開されるも、その後もしばしばフォールトをとられ、SEYFRIED選手はどうしても納得が行かない様子。また審判のところへ抗議に行く。一般的な日本人なら「私のせいであんまり中断したらみんなに迷惑だし…」のように考えてしまうだろうが、SEYFRIED選手は一向に気にしていないようだ。ずっと審判と交渉している。

いつまで経っても再開しないので、うんざりしたモアガルド選手が「ほら!バックサーブなら絶対フォールトにならないよ」と、たぶんスウェーデン語で提案し、

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「これなら大丈夫! ね?審判さん。」

SEYFRIED選手もその提案を受け入れ、バックサーブで試合を再開することになったようだ。

SEYFRIED選手は気も強いが、卓球も強かった。バックサーブからの展開にあまり慣れていなかったようで、ちょっとミスも多かったが、フォアドライブがすさまじく速く、威力がありそうだ。そりゃあ190センチの大男が全力でフォアドライブを打ったら、とんでもないボールが出るだろう。バックサーブからの展開はモアガルド選手のほうもあまり慣れていなかったようで、準決勝の生き生きとしたプレーはすっかり影を潜めてしまった。

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自分が提案したことに責任を感じたからか、モアガルド選手も義理でバックサーブをしばらく出し続けた。モアガルド選手も自分のバックサーブからの展開はやりにくそうだ。

モアガルド選手は結局最後まで調子が出ずに敗れてしまう。

この試合を観て、モアガルド選手のフェアプレーに喝采を送りたい一方で、付き合いで自分までバックサーブを出すという甘さに15歳という年齢を感じないわけにはいかなかった。

プロの試合というのは、相手の弱みにつけこむぐらいの非情さが必要である。水泳で金メダルをとった北島康介選手は「相手をぶっ殺してやる」というぐらいの気持ちでオリンピックに臨んだとインタビューで答えている(前記事「水谷隼選手の面魂」)。

松本薫
オリンピックの柔道で金メダルを取った松本薫選手も、入場のときは鬼気迫る表情だった。口のなかで何かブツブツ言っているのをテレビで見ていたのだが、おそらく「この野郎…絶対にぶっ殺してやる」といったことをつぶやいていたのだと思われる。こういうメンタルにならないとオリンピックで金メダルなんてとれっこない(たぶん)

モアガルド選手も試合中は「このフランス野郎!てめぇがどんなサーブ出そうが結局俺に喰われる運命なんだよ!絶望の淵に突き落としてやる」ぐらいの気持ちで相手を完膚なきまでに叩きのめしてほしかった。紳士に戻るのは試合後で十分である。

その点、SEYFRIED選手の試合にかける意気込みはプロだった。自分のせいで相手にも迷惑をかけたなどという遠慮や萎縮を全く感じさせず、堂々と戦い、勝利を勝ち取った。このドイツオープンのU21では木造選手や及川選手が出場していたが、上位進出はならなかった。彼らだって相当高いポテンシャルを持っていると思うのだが、いい結果が出せないのは、もしかしたらメンタルのタフさが足りないのではないか(根拠のない推測に過ぎないが)

モアガルド選手は非情に徹しきれずに勝てる(はずの)試合を落としてしまった。残念というほかはない。

ただ、私はこれまでの試合を観て、モアガルド選手の振る舞いや態度にそれほど好感を持っていなかったのだが、この試合を観て、モアガルド選手のことがちょっと好きになってしまった。

卓球は人なり――卓球の個性について

「文は人なり」

という言葉がある。
文章を読めば、書いた人の考え方や性格が分かるという意味である。
フランスの数学者・博物学者ビュフォンの言葉なのだという。辞書では次のように説明されている。

文章を見れば書き手の人となりがわかる。
[補説]フランスの博物学者ビュフォンの言葉から。(『デジタル大辞泉』より)

直感的に「怪しい」と感じた。前後の文脈が全くなく、意味もぼんやりしている。フランスのバリバリの理系の学者がこんな文学者のようなことを言うものだろうか。
ネットで調べて見ると、案の定、上の辞書の定義は原文のビュフォンの演説からかなり飛躍した通俗的な理解だということが分かった(「文体というわかりそうで…」)。

他のページでも同じようなことを述べている。

文章のすぐれた著作だけが後世に残ることでしょう。知識の量や事実の特異さ、発見の新しささえ不滅を保証いたしません。これらの要素はそなえていても、些細な物事ばかりを対象とし、趣味も気品も天才もない文章で書かれていれば、やがて著作は滅びます。なぜなら知識や事実や発見は、簡単に取り除かれ、運び去られ、もっと巧みな手で活用されて価値を増しさえするからです。これらは人間外のものですが、文体は人間そのものです。(And your bird can sing

この太字部分が「文は人なり」のフランス語原文の翻訳ということなのだが、演説全体の翻訳はネット上では見つからなかった。この翻訳は申し訳ないが、下手だと言わざるをえない(学術的翻訳はあえて逐語訳にするという方針なのかもしれないが)。この文章を読んでも、意味が頭にスッと入ってこない。分かるような、分からないような、もどかしい気分になる。

知識とか事実とか新発見とかは、容易に整理し、変形し、たくみな手腕で、作品にまとめることが出来る。それらが人間の外にあるからだ。しかし文体は人間そのものである le style est l'homme même.、だから文体は、持ち上げ、運び、変質させることは出来ない。(『現代小説作法』)

こちらの大岡昇平の翻訳のほうが分かりやすい(こちらも大岡の原文に当たっていない孫引きなのはご容赦いただきたい)

ビュフォンの言ったことは「文章を見ればその人の人柄が分かる」という世間一般で行われている解釈ではなく、学術論文において、事実や真理はそれだけを切り取って利用することもできるが、文章の個性やセンスというものは書いた人から切り離すことはできないということである。おそらくビュフォンの言いたいことは、「だから自分の書いた論文が忘れられないようにするために、論文に新発見を記すだけでなく、文章も磨きましょう」という主張につながると思われる。我々が一般的に使っている「文は人なり」という言葉はどうやら高山樗牛が広めた理解らしい。

それはそうと、ビュフォン的な意味での「文は人なり」を卓球で考えるとどうなるだろうか。
チキータという技術は開発者(あるいは普及者)とされるコルベルから切り離して「整理し、変形」され、進化を続けている。チキータという技術はみんな知っているし、よく目にする技術になってしまったので、今やコルベルの個性とは言えないだろう。このように個々の技術というものは「人間の外」にあるので、簡単に盗まれてしまう。プレイヤーから切り離せないものがそのプレイヤーの本当の個性と言える。

私たち一般レベルの卓球でも、やはり個性のある卓球をする人というのはかっこいいと思う。私もできることなら卓球で自分の個性を表現したい。だが卓球において他の人がまねのできない個性というと、どのようなものかよく分からない。

よく言われるのがワルドナーのプレーは個性的でマネができないという意見である。ワルドナーの卓球を見て、卓球の個性がどういうものなのか考察してみたいと思う。

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卓球 天才ワルドナー


1999 WTTC (45th) MS-QF: Jan-Ove WALDNER Vs KONG Linghui


The Greatest Grand Slam Champion-Jan Ove Waldner

なるほど。たとえビデオの画質が悪く、顔が判別できなかったとしても、ワルドナーがプレーしていたら、それと分かる気がする。ふつうのプレイヤーとはかなり違ったスタイルに見える。上の動画で見たワルドナーの印象を思いつくままに挙げてみると、

・いつも力が抜けており、ガツガツしていない。自分から先手を取るのではなく、先に相手に打たせてから反撃するようなポイントが多い。
・緩急がある。打点を落としてゆっくりしたやわらかいショットを打った後に早い打点で鋭いショットを放つ。
・台上が多彩。
・ミスが少ない(リスキーなショットを打たない)。
・ブロックが固い。
・コース取りが厳しい(ボールコントロールがうまい)。
・サービスエースが多い。

といったところだろうか。

ウィキペディアによると

「ワルドナータイム」と呼ばれる的確でゆったりとしたワルドナーのプレーは、しばしば「天才的」と評される。

らしい。

おそらく上に挙げたワルドナーの特徴は体系をなしており、切り離せないものである。
柔らかいタッチが得意だからこそミスが少なく、相手に先に打たせても確実にブロックできるのは、その前のボールで相手に全力で打たせない場所にボールを送っているからであり、それを多彩な台上技術が支えており、厳しいコース取りや逆モーションなどで相手を崩しているため、相手の連続攻撃を防ぎ、次にこちらが攻撃に転じることができるのだろう。その前提として相手の位置や姿勢を細かく確かめながら打球しているのではないかと想像される。

これだけいくつも特徴が挙げられるというのはたしかに天才なのかもしれない。

ワルドナーはどのようにしてこのプレースタイルを獲得したのだろうか。
生い立ちに秘密があるに違いない。『卓球王国』で公開されている『ワルドナー伝説』を読むと、子供のころから「きかん坊」で、試合で負けて泣くことが多かったという。また、みんな一緒に規則正しく練習をするのが嫌いで、コーチの指示に従わず、ゲーム練習や遊びっぽい卓球(逆手卓球とか)を好んだのだという。やはり天才は子供のころから人と違っているようだ。このようなワルドナーの人間的な個性がワルドナーの卓球の個性を形成したと言えるだろう。

あれ?なんだかおかしな方向になってきたぞ。

「文は人なり」は本来「文章の個性は盗まれない」という意味で、「文章を見れば人柄が分かる」というのは通俗的な意味だった。それで「卓球は人なり」は「卓球の個性は盗まれない」という意味で理解しようしていたのだが、一周回って(?)いつの間にか「卓球を見れば人柄が分かる」という意味に近づいてきてはいないだろうか。結局、「文(卓球)は人なり」をつきつめていくと「文章(卓球)から人柄が分かる」という意味になるということなのだろうか。なんだか訳がわからなくなってきた。

ここまでがんばって書いてきたのだが、この先、文章がグダグダになるのが目に見えているので、今回はこのへんで終わりにしたい。この文章から私の人となりが見透かされそうで心配である。

上の語釈が、私がたどってきたような流れを見越して書かれたものだとしたら…『大辞泉』畏るべし。

用具インプレッション ヤサカの新作ラバー「ライガン」

ヤサカの新製品「ライガン 」(RIGAN)というラバーを購入した。

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たまには用具のインプレッションなどをしてみようと思うのだが、どういうことを書いたらいいか分からない。「よく弾む」とか「柔らかい」ぐらいしか書くことがない。考えてみたら、世間には食レポなどというものがたくさんあり、名店の味を豊かに表現している。私だったら「柔らかくてうまい肉だ」ぐらいしか言えないところを「とろりとしていて、まろやかさの中にもキレがあり…」とか「上品な味付けで、幅のある味わいだ」とか、なんだか分からないが、「柔らかくてうまい肉だ」よりはずっとおいしそうな料理に感じられる。きっと何とかしてこのおいしさを表現したいという感動がそうさせるんだろうなぁ。

世間には用具レビューというものもたくさんある。どんなことを書いているのか調べてみたところ、非常に細かいところまでしっかり説明されているのに驚いた。食レポ並みの豊かな表現である。

たとえば、「卓球ラバーレビュー」というサイトでくろかみ氏のマントラMのレビューをみてみると、次のような項目が挙げられていた。

・レビューする商品名
・使用環境
・はじめに
・攻撃技術全般
・守備技術全般
・サーブ・レシーブ・台上技術
・おすすめな方
・まとめ

非常に詳しい。同様にゲンマ氏のマントラMのレビューを見てみると…あれ?項目が同じだ。
どうやらこのサイトに投稿するには上記の項目がテンプレートとして事前に用意されており、それに従って記入するようになっているようだ。私もこれに倣って書いてみたら、一般的なレビューになるのだろうか。しかし、こんな詳細な項目をしっかり埋めるとなると、2~3時間の試打では足りない。週に1回2時間の練習があるとして、きちんとしたレビューを書こうと思ったら、少なくとも1か月ぐらいはかかりそうだ。新製品だから、みんなどんな感じかできるだけ早く知りたいことだろう。巧遅より拙速が求められているはずだ。というわけで、2時間程度しか打っていないが、簡単にインプレッションを記すことにしよう。

・レビューする商品名
ライガン(厚さ:マックス)

・使用環境
和の極み 蒼
F:ファクティブ マックス
B:ライガン マックス

・はじめに
実売価格が3000円を割っており、手を出しやすい。昔からラバーはヤサカが好きだったので、もし無難な性能なら、バック面の定番にしようと思い、購入した。
押したり、触ったりしてみた感触は、ファクティブやファスタークS1に比べて柔らかく感じた。同じカテゴリーのラバーよりも低反発に感じられた。つまり押したときにグイグイ押し返される力が弱い(あるいは復元が遅い)ように感じた。
シートはヴェガヨーロッパほどモチモチしていない。ふつう(?)のシートである。
スポンジはザラザラしていて気泡が大きい。このスポンジはどこかで見たことがある…ヨーラのリズム425に似ている。リズムは私の大のお気に入りなので、期待大である。
接着はファインジップで行った。気泡が大きいので、接着剤がスポンジ内に塗り込まれる。もし、接着シートで接着した場合は気泡が空気で満たされているだけだが、液体の接着剤なら気泡内に接着剤が入り込むことになる。ファインジップのようなドロドロしたものよりも、フリーチャックなどのシャバシャバした接着剤のほうが、より気泡に入り込むと思われる。そうすると、気泡の中に空気だけが入っている場合と、接着剤が浸透している場合では打球感に変化があるのではないだろうか。比較していないのでよく分からない。
ちなみに「ライガン」という語の意味を調べてみたのだが、意味がよく分からない。検索したところ、柔術家の名前でヒットするだけである。

・攻撃技術全般
ドライブ:ファクティブとの比較だが、特にこれといった印象はなかった。ファクティブよりしっかり引っかかるように感じたが、それはライガンが新品だからかもしれない。あと、ファクティブよりもカチッとした打球感に感じた。ファクティブよりも柔らかく、食い込みがいいのかもしれない。
ミート:特にこれといった印象はない。使いやすい。


・守備技術全般
ブロックは…違和感がなかった。

・サーブ・レシーブ・台上技術
ツッツキとかストップも特に印象はない。ファクティブと大差ない。

・おすすめな方
裏面に柔らかめのラバーが欲しい人。
節約したい人。

・まとめ
突出した性能というのはないが、ファクティブよりもカチッとした打球感に感じた。
といっても大差ないと思う。
ライガンの特徴は何かと聞かれると、よく分からない。
打球感も引っかかりも弾みも問題ない。

2時間の練習ではこれ以上書くことがない。申し訳ない。
もう少し打ってみて、改めてレビューをしたいと思う。

レビューを書くのは難しい。

【追記】180319
「カチッとした打球感」というわけの分からない表現を使ったが、よく考えてみたら、これは「球持ちがいい」ということかもしれない。

【追記】180321
今日、もう一度ライガンを打ってみたが…やっぱり特徴と言えるほどのものは分からなかった。
フォア面でドライブを打ってみたが、十分使える。ラクザ7と比べると全力で打ったときの威力は劣るが、ぜんぜんボールが走らないというわけでもない。バック面で、裏面ドライブやブロック、ツッツキ、フリックなどを試してみたが、問題なく使える。このカテゴリーのラバーはマントラとか、フライアットスピンとか、ヴェガヨーロッパとか、ファクティブになるかと思うが、私が今、手元に持っていて比較できるラバーがファクティブだけなので、ファクティブと比べてみると、ライガンはファクティブよりやや柔らかい感じがする。他にも多少の違いはあるかと思うが、私にとっては誤差の範囲内である。用具に詳しい人はいろいろな細かい違いが分かるのかもしれないが、私はどうやらラバー音痴らしい。違いがほとんど分からない。

結論として
価格を考えれば、現時点で裏面のラバーとして理想的な選択肢の一つと言えるだろう。

【追記】180401
久しぶりにライガンを打ってみたら、打ちやすさは変わらないものの、ファクティブよりも少し硬く感じた。自分の感覚がますます信用できなくなった。





女心の言語学―――「インスタ映え」という語をめぐって

「インスタ映え」という言葉が流行っているらしい。
私もときどきこの言葉を耳にする。

「あの店、すごい人気だね」
「やっぱ、インスタ映えするしね」

なんだろうとは思うものの、しょせん流行語にすぎないのだから、どういう使い方をするのか詳しく調べてみようという気さえ起こらない。
たぶん、「インスタグラム」という写真をアップロードしてみんなに閲覧させるサービスがあるのだと思うが、そのときにみんなの興味を惹きつけるような写真が撮れるのを「インスタ映えする」というのだろう。

先日、女友達Mさんが京都に来ることになって、1年ぶりぐらいに会ったのだが、そのとき、どこで会うか私なりに調べてみた。

京都の繁華街、四条通あたりで会おうかということになったのだが、めったに会う機会がないのだから、ドトール・コーヒーとか、サンマルク・カフェというのも味気なかろう。もう少し特徴のある店のほうが喜ぶに違いない。私はおしゃれなカフェとかいうのはすごく苦手である。どんな店があるか全く知らない。ネットで調べてみると、

「エンガワカフェ」

というのがよさそうだ。
https://retty.me/area/PRE26/ARE108/SUB10901/100000697399/map/

古い町家(伝統的な京都の家屋)を改装した店で、麩を使ったスイーツが売りなんだとか。
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烏丸駅でMさんを迎え、どこに行くか相談したところ、ドトールかスタバのほうが安くていいということだったので、ドトールで小2時間ほど雑談に興じた。

そのときに「インスタ映え」という言葉の意味を詳しく教わったのだ。

M「ふつうの女性は友達と会うときにドトールだの、マクドだの、そういう店に行くのはいやがるのよ」

し「やっぱり女性は舌が肥えているから、おいしいものを食べたいんですよね?」

M「そういうのもあるけど、やっぱり安い店に行くと、自分がみじめになるっていうのが大きいと思う。」

し「ドトールに行くと、みじめな気分になるんですか!?」

M「そうねぇ…。やっぱりどうせ喫茶店に行くなら、一流ホテルの喫茶店とか、話題のおしゃれな店に行った方が『インスタ映え』するじゃない?」

し「その『インスタ映え』ってどういう意味なんですか?つまり、美しい夕日をバックに自分を写した写真を撮るとか、トリックアートの写真を撮るとか、そういうことですか?」

M「そうじゃなくて、高級店に行って『私ってこんなぜいたくなことをふだんからしてるのよ』って見せびらかすことよ。女はそういうことを友達に見せつけたいっていう気持ちがあるのよ。そうすることによって友達の間での自分の地位が守れるのよ。」

し「とすると、外食はガストとか吉野家が多いなんて友達に言うと、仲間内であなどられるってことですか?」

M「うん。そんな感じ。『かわいそ~』って目で見られて、一段下だと思われる。夫は医者とか大学教授で、自分は有閑マダムで生活に余裕があって、夏は毎年ハワイに行って…とかいう自分を演じるのが女は好きなのよ。私はそういうのはどうでもいいけどね。」

なるほど。「インスタ映え」というのはそういう意味だったのか。
ちなみにMさんは代々医者の家系である。

女性の考え方というのはおもしろいなぁ。私ならスタバは高いから、コンビニのイートイン・コーナーでおしゃべりしたらどうかなどと提案しそうなのに、「スタバではぜいたくさが足りないから、高級ホテルの喫茶店にしよう」だなんて発想はなかった。

どうでもいいことだが、京都の一流ホテルというと、市役所の隣の京都ホテルオークラと、蹴上のウェスティン都ホテルが有名だが、京都ホテルの喫茶室で一度コーヒーを飲んだことがある。1杯800円だった。コーヒーが800円!昼ごはんが食べられるじゃないか!でも、お代わりが自由で、長居ができるので、使いようによってはお得だと思う。

こういう観点からすると、女性にとって卓球はどういう位置づけなのだろうか。
「卓球が趣味なんて貧乏くさ~」とか言われないだろうか。
おそらく卓球よりもテニスとかサーフィンをやっていると言ったほうが「インスタ映え」するのだろう。しかし、サーフィンは言うに及ばず、テニスというのも練習場所が限られているから、手軽にとりくみにくい趣味である。用具も卓球より高めだ。そこでジョギングとかヨガという趣味が女性に人気なのだろう。ジョギングなんて20~30年前はほとんど人気がない趣味だったと思う。体重を気にしている女性が鉢巻をして必死に走っている姿が目に浮かぶ。ヨガにいたっては「ちょっと変わった人の趣味」と思われていたと思う。しかし、今はどちらも「インスタ映え」する趣味になっている。なぜか?アメリカのセレブの間で流行っているからである。それなら卓球にも希望がある。アメリカのスポーツ選手や金持ちの間で卓球の人気が上がっているからだ(前記事「アメニティー卓球」)。日本で卓球が「インスタ映え」する趣味になるにはどうしてもアメリカ卓球にがんばってもらわなければならない。日本卓球協会も卓球の普及にがんばっているが、アメリカ卓球に働きかけるという戦略も、普及には効果的にちがいない。

この記事を書くことによって私もやっと「インスタ映え」という単語が正しく使えるようになったと感じた。

難しいサービス――卓球の選択能力

最近、猛烈に切れた逆振り子サーブが出せるようになった。短いのと長いのを自在に出すと、相手は非常に返しづらそうだ。横と横下を出し分けると、相手はさらにレシーブが困難になり、サービスだけで得点できることが増えた。

だが、このサーブを試合でメインに使うことはやめようと思う。返ってきたボールの処理が難しすぎるのだ。

横下回転の逆振り子サーブを出した場合、長ければ相手がバックハンドドライブで全力で返球してくる場合がある。サーブの回転がきついだけに、返球されたボールのスピードと回転もきつくなり、速く鋭いドライブで返球されることが多い。さらにこちらのコートでバウンドしてから急に曲がったりもする。こうなると、こちらが3球目で対応するのがかなり難しくなる。
バックハンドドライブがあまり振れない人(たとえば片面ペン)なら、長いツッツキのような返球をしてくる人もいる。このツッツキもこちらの回転のせいで速くて深くて切れている場合が多い。これを待ち構えて全力で3球目ドライブができればいいが、サーブの横回転がきついので、レシーブがあらぬ方向に鋭く返ってくる。例えばバックで長いレシーブを待ち構えていたのに、フォアミドルに深いレシーブが返ってきたりする。しかも回転がどの程度残っているかよく分からない。
あるいはわざと回転を残したまま止めるだけのレシーブをして、フワッと胸の高さまで浮いたボールが浅く、あるいは深く返ってくることもある。そのボールは猛烈な回転がかかっているので、下手に強打するとネットにかけてしまう。それでそのフワッと浮いたボールをこわごわとツッツキで返したりすると、横回転が残っているのでとんでもない方向にふっ飛んで行ってしまったりする。コントロールが難しい。

すなおな下回転ショートサーブを出して、相手にレシーブされた場合なら、コースや深さにだけ気をつければ、あまり回転を気にせずに3球目の処理ができるが、この「ブチ切れ」逆振り子サーブは相手がそっと触っただけでポーンと深く飛んでいき、しかも強烈な回転が残っているためこちらも3球目の扱いに困ってしまう。相手にとっても脅威となるサーブだが、返球されたときは自分にとっても脅威になってしまうのである。
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こちらから長短さまざまな逆振り子サーブを出して、相手に返球してもらい、どんなレシーブがきても対応できるように練習をしてみたのだが、どうにもうまくいかない。まず、相手のミスが多い。そして返球もきれいな返球ではなく、荒れたレシーブが多いので、こちらも3球目をきれいに返せない。こちらのミスも多い。この練習をすると2~3球目で不完全燃焼のままラリーが終わってしまい、私も相手もちっとも楽しくない。

3球目を上手に処理するためには選択肢ができるだけ少ないほうがいい。例えば相手のレシーブが深いツッツキ、浅いストップの2択なら、私のレベルでも3球目を上手に処理できるが、いろいろなボールが返ってくるとなると、こちらの処理能力を超えてしまい、うまく処理できない。

卓球の能力として選択能力ということを考えてみる。
さきほどの深いツッツキと浅いストップの2択ならレベルの高くない人でも集中していれば瞬間的に適切な対応ができるだろう。しかし、これが3択になると、ちょっと判断が遅れる。甘いボールやミスが増える。5択や6択となると、満足に対応できなくなる。レベルの高い人なら5択や6択でも瞬間的に対応できるのかもしれないが、中級レベルならおそらく2~3択で精いっぱいなのではないだろうか。どんなボールが返ってきても素早くミスなく返球できるというのは選択能力の高い人だと言える。

世間ではいろいろなサーブ動画が公開されているが、自分の選択能力を超えるレシーブが返ってくる難しいサーブは、短期的には効果が出るかもしれないが、長期的に見ると、上達の妨げになるように思う。


ラケットの保管

子供の頃、近所においしい焼きそば屋さんがあった。あの味が忘れられない。

親には「あそこのやきそばはラードをたっぷり使っているから体に悪いし、不衛生だ」とか言われてあまり食べさせてもらえなかったのだが、今でも絶品だったと思っている。

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こんな感じの焼きそばだった。

今、食べるやきそばはどれも麺が細く、淡白な味わいだが、子供の頃に食べた焼きそばはもっと麺が太く柔らかくてテカテカしていて、ソースもドロッとしていた。肉入りと肉なしと、大と小の4つのバリエーションしかなかったが、飽きが来なかった。

「不衛生だ」というのは、持ち帰りのときは新聞紙に包まれていたからなのかもしれない。

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ふつうはプラスチックのパックのようなものに入っているものだろうが、その店では紙だけだった。新聞紙で直接くるんでいるのではなく、「下着」のような紙でまず包まれているのだ。

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その上から新聞紙でくるむのである。

しかし、どうして新聞紙だったのだろうか。単に経費削減のためだろうか。
そういえば、野菜が新聞紙にくるんであるのをよく見る。あれはどういう意味があるのだろうか。

ネットで調べたところ、新聞紙は適度に湿気を取ってくれるらしい。やきそばを新聞紙に包むのは、冷めたあとにつく結露を防ぐためなのだろう。それならラケットも新聞紙でくるんだらいいのではないだろうか。

卓球王国のゆう氏のブログでTSPの新製品「活性炭シート」というのを見たのだが、ラバーは湿気が多すぎても、少なすぎてもいけないらしい。

練習した後、グリップが汗でじっとり湿っていることがよくある。新聞紙でくるんでおけば、シリカゲルなどを入れておくよりもずっと効率が良さそうだし、頻繁に替えることもできる。上の活性炭シートとの合わせ技もよさそうだ。



機の感覚――卓球における「受け」

本田秀伸さんは非常にディフェンスの感覚にすぐれたボクサーで、彼の特技は相手のストレートと同じ速度で、相手の拳との「間髪を容れず」にスウェーバックすることであった。
(内田樹ブログ「機の感覚」)

最近、相手に打たれたときにこちらのブロックが一瞬遅れることが多い。かと思ったら、相手が不意に送ってきたチャンスボールに対する反応が遅く、振り遅れてミスすることも多い。打ち慣れた相手なら、「来る!」と察してピッタリのタイミングでブロックしたり、チャンスボールを強打できたりするのだが、ふだん打たない人と練習や試合をするときは相手のリズムと自分のリズムが合わないことが多い。
もちろん誰でもある程度はそうだろう。しかし、上手い人は、たとえば試合なら1ゲーム目が終わったぐらいでだいたい相手のリズムが分かり、調整しているように見える。私の場合は試合の後半になってようやく少し相手のリズムに合わせられるようになったかと思ったら、試合が終わり負けていることが多い。私には「ディフェンス感覚」というのが足りないのではないかと痛感させられる。

内田氏は武道の標準的な身体の動きを「機の感覚」と呼び、「他者の動きと同期する能力」と捉えている。相手の攻撃を見て(入力)から、こちらが防御(出力)に回るのでは遅い。相手の攻撃とこちらの防御が同時に起こらなければならない。つまり「情報入力と運動出力のあいだに時間差がない」ということである。
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「出力即入力」というのは、「なにげなく刀を振り下ろしたら、そこに首を差し出してくる人がいる」ということである。「なにげなく手を差し出したら、そこに顔面を差し出してくる人がいる」ということである。

なにげなくラケットを振ったら、そこにボールがある。なにげなくラケットを差し出したら、相手のドライブがバッチリブロックできる。卓球で言えばこういうことだろうか。

「他者の動きと同期する能力」は総合的に見れば「一発で倒すハードパンチ」や「いくら殴られても倒れないタフネス」よりもはるかに汎用性の高い人間的能力だと私は思う。


卓球でも一発で抜けるドライブや縦横無尽なフットワークよりも、どんな相手の動きにも同期できる能力のほうが汎用性が高く、有益だと思う。練習ではとんでもなく速いドライブが打てる人が試合ではその全力のドライブを1本も打てなかったというのはよくある話だからである。この同期する能力が極まれば、体力的に若者に劣る老人でも若者を圧倒できることは想像に難くない。

「英語でお父さんの一日を説明してみましょう」
という課題が出て、英語で次のように言ってみる。

My father gets up at 7 and eats his breakfast and leave home at 8 and...

「gets」と「eats」まではちゃんと三単現のsをつけられたが、leaveはうっかり落としてしまった。こういう間違いを日本人はよくするが、おそらく英語が母語の人はこういう間違いをしないだろう。どうしてこの場合はsがつくのかとネイティブに聞いてもうまく説明できないかもしれない。このような無意識的な知識を「暗示的知識」と呼び、分析・説明ができる知識は「明示的知識」と呼ぶ。このsはネイティブにとっては暗示的知識だが、外国人である私たちにとっては明示的知識である。このsを深く身につけている人のほうがうまく説明できず、leaveにsを付け忘れてしまう人のほうがかえってうまく説明できるというのは皮肉な話である。

卓球でこの「機の感覚」を身につけることはドライブやスマッシュをミスなく打つことよりも優先されることではないだろうか。上級者はこの「機の感覚」を私たちよりもはるかに高いレベルで身につけているにちがいない。どうすればこの感覚を身につけられるのか。上級者に質問したところでうまく説明できるとは限らない。上級者にとって「機の感覚」は暗示的知識である可能性が高いからだ。

雑誌の技術記事やDVDなどがたくさん発売されているが、「機の感覚」を教えてくれるものを見たことがない。言葉の論理では説明しにくいものなのだろう。

内田氏は「機の感覚」の練磨法として「受けの重要性」に注目しているようだ。私もいろいろな人の攻撃をブロックする練習をたくさん積むことによって「機の感覚」が養われていくのではないかと期待している。

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