しろのたつみ



卓球について考えたこと、
気づいたこと(レベル低いです)
を中心に中級者の視点から綴っていきます。




2018年01月

当ブログでは皆様からの寄稿を募集しております。卓球について意味のある主張を発表したい方はshirono.tatsumi◯gmail.comまで原稿をお寄せください。

コメントについて:
コメント欄は他の読者が読んで意味のある情報交換の場としてご利用ください。当ブログの方針(察してください)に沿ったご意見は公開します。返信しにくい場合は公開のみとさせていただきます。指導者ではないので、技術的な質問には答えられません。中傷等は論外です。なお、メールアドレスは公開されません。

楽しいのが一番最初――卓球関連テレビ番組を観た感想など

最近、卓球を取り上げた番組をいくつか見たので、感想などを書いてみたい。

お正月の番組、「消えた天才」で卓球選手の宇土弘恵氏と坂本竜介氏が取り上げられていて、興味深く視聴した。


宇土弘恵氏はなんともおおらかで愛嬌のある人のようだ(仕事の時は別の顔かもしれないが)。今は半ば忘れらてしまった彼女だが、現在の人生を存分に楽しんでいるのがよく分かる。選手としては一区切りついたが、彼女の選んだ道はもしかしたら正解だったのかもしれない。宇土氏の人生に幸あれ。

それから坂本竜介氏の現在の活動に驚いた。卓球教室を経営しているのは知っていたが、なんとイベントディレクターという仕事をしているのだという。

卓球イベントディレクター

そういえば、最近、イオン・モールで有名選手による卓球イベントがよく行われているが、あれは坂本氏の手に成るものだったのか。テレビで卓球のプレーが放送されることが増えたとはいえ、やはり生で見るプレーには遠く及ばない。ショッピングモールで無料で一流のプレーを見ることが卓球普及にどれだけ貢献するかは言を俟たない。モール側としても、安価?で満足度の高いイベントが開けるなら、ありがたいはずだ。ちょっと客寄せにイベントを開きたい企業あって、その会社の人が坂本氏に依頼すれば、坂本氏の顔でいろいろな有名選手が集まってくる。坂本氏の能力をいかんなく発揮できる天職ではないだろうか。こんな仕事があったとは。坂本氏のさらなる活躍に期待したい。

この番組はバラエティー番組らしい脚色もあったが、取り上げた人物と、まとめ方がうまかった。


NHKの「TOKYO アスリート」という番組で伊藤美誠選手が取り上げられていた。
伊藤選手は才気あふれるユニークなプレーで国際大会でも活躍していたが、活躍するにつれて研究され、背の低い伊藤選手は広角に振られると弱いという弱点を見つけられてしまう。そこを攻められ、2017年の戦績は思わしいものではなかった。そこで身長のハンデをフットワークで補うために伊藤選手は科学的なトレーニングによって下半身の強化をするという内容である。

その中で印象に残ったセリフがある。

「しんどい。きついけど楽しい。楽しくないと強くなれない。楽しいのが一番最初。…結局楽しいってなれたら勝手に強くなれるから。」

まさにその通りである。楽しくないことを無理してやって、それでも楽しくならなかったら、上手になれるわけがない。勉強だって、仕事だってそうである。楽しいと感じている間は、本当に「勝手に」上手になる。逆に楽しくないと感じるようになったら、いくらがんばっても、成長しない。あぁ、まったくその通りだなぁ(自分のこれまでを振り返って)


テレビ番組ではないが、「卓球王国WEB」の「伝説のプレーヤーたち 高橋浩」が最高におもしろかった。当時の世界チャンピオン荘則棟に勝った人ということだけは知っていたのだが、その人生のなんと波乱に満ちていたことか。

荻村伊智朗の理想主義から学び、氏の理想主義を超えて、日本卓球界の趨勢に抗った高橋氏の独特の思想などがドラマチックに綴られている。未読の方にはぜひ読んでいただきたい。


前人未到の全日本V10――平成29年度全日本卓球男子決勝を観て

フランス革命というと、パリ市民が革命を起こし、王制を打倒して王や貴族を殺し、人民の政府を樹立したとされているが、教科書の歴史の記述は不思議なことにいつもパリ市民の視点である。王や貴族の視点からなされることはない。

水谷選手は前人未到の全日本10回目の優勝を目指して、期待の新人、張本智和選手を決勝で迎え撃つことになった。10回の優勝は、かの斎藤清選手でさえなしえなかった、日本卓球史上かつてない偉業である。水谷選手は日本卓球史に新たな1ページを書き加えることができるだろうか。

この歴史の変わる瞬間を私はお世話になっているNさんとテレビで見ることにした。

思えば、水谷選手は私が卓球を再開したころからずっと日本卓球に君臨してきた絶対的な王者であり、私にとっての「アイドル」である。

autograph
サインだって持っている

全日本では吉村選手に敗れ、丹羽選手に敗れはしたものの、そのたびに自身の卓球を見つめなおし、一回り大きくなって再び王座に帰ってきた。こんな水谷選手は私にとっての卓球のシンボルである(「面を開いてドライブは間違い?」)。

私は水谷選手の勝利を確信してNさんのお宅を訪れた。

「準決勝、観たか?もう張本の優勝は決まったようなもんや」

「張本選手はそんなに強かったですか?」

私は残念ながら準決勝を観そびれてしまったのだが、どうやら張本選手の成長は著しいものらしい。

「もう打ち方からして違うわ。普通、フォアドライブいうたら、下から斜め上にこすって打つやろ?張本はミート打ちみたいに後ろから前にぶっつけた瞬間にこすってるんや。こすらなければそのままミート打ちにもなるんや。打点が水谷よりもずっと早いし、スピードもすごい。水谷の下から上にこすり上げるドライブじゃ張本の新しい卓球には勝てへん。」

だが、水谷選手だってドイツの世界選手権で張本選手に敗れてから手をこまぬいて待っていたわけではないだろう。それにフォアドライブが最新の打ち方だとしても、水谷選手には長年の経験がある。ボールのスピードでは劣るかもしれないが、コース取りや戦術で張本選手に自分の卓球をさせないにちがいない。

「バックショートも普通のショートと違う。前陣でラケットを上から下に落とすように弾くんや。水谷も最近は威力のあるバックハンドが振れるけど、ああいう前陣での弾くようなショートはもっとらへんと思うで」

いや、だから、打法で劣っていても、水谷選手には経験があるのである。あるいは「奥の手」があるに違いない。決勝までの対戦では追い詰められるようなこともなかったので、まだそれを出していないが、世界選手権での挫折から、水谷選手はさらに大きくなって帰ってきているはずなのである。世界選手権の対張本戦のような一方的な展開になるはずがない。

「おそらく、4-0か4-1で張本の勝ちやで」

「私は水谷選手が勝つと思いますよ。なんなら、ビールを1本賭けましょうか?」

さて、歴史はどのように動くのか。

まずは女子決勝である。

平野美宇選手対伊藤美誠選手。

これは伊藤選手に分があると、試合前から思っていた。平野選手はこれまで何度もフルゲームにもつれこみ、調子がイマイチのようである。リオ・オリンピックの屈辱の後、全日本優勝、アジア選手権優勝、世界選手権3位という輝かしい戦績を残し、スウェーデンでの世界選手権の日本代表にも内定している。リオの雪辱は成り、精神的に満足している。一方、伊藤選手は去年は調子が上がらず、さんざんの結果だったのが、最近ようやく安定して勝てるようになり、平野選手に差をつけられてしまったという意識から、巻き返しを図りたいと精神的に高い状態にある。さらにイケメンのコーチに成長した姿を見せたいという気持ちもあるといったら穿ちすぎか。

試合前の試し打ちの段階から、平野選手は凡ミスをしていた。試合が始まっても、サービスミスを連発し、いつもの平野選手の目の覚めるような連打はほとんど見られなかった。果たして、伊藤選手はほぼ一方的に平野選手に勝利した。圧倒していた。

おめでとう、伊藤選手。今度は平野選手が再び雪辱に燃える番である。

いよいよ、男子決勝が始まる。

1ゲーム目、張本選手が先手を取ってガンガン攻撃し、水谷選手は一方的に受けに回るという展開。これは去年のドイツでの世界選手権のときと同じ形である。何をしているんだ!水谷選手。ドイツの時から進歩がないぞ!まったく手も足も出ないまま、水谷選手は1ゲーム目を取られてしまった。しかし、1ゲーム目は相手の出方を見るためにいろいろなことを試していたのかもしれない。老獪な水谷選手ならありうる。

2ゲーム目。まさかの同じ展開。張本選手がまず先に攻撃し、水谷選手はやりたい放題やられてしまう。どうして張本選手はいつも先に攻撃できるんだろう。水谷選手は台上のボールから先に攻撃していかないと、張本選手を止められそうもない。水谷選手は張本選手のミドルを執拗に攻めるが、張本選手はそれを苦にせず攻撃し続ける。逆に水谷選手はバックハンドを攻められると、そこから攻撃に転じることができず、受け身一辺倒である。2ゲーム目も張本選手に取られてしまう。

3ゲーム目、水谷選手もジリ貧だと思ったのか、積極的に攻める。なんだ、やればできるじゃないか。もっと早い段階から、もっとリスキーに攻めてくれ!そして3ゲーム目は水谷選手がとる。

4ゲーム目、張本選手のペースでとられてしまう。どうして3ゲーム目のようにならないのか。このへんから、水谷選手の敗色が濃厚になってきた。張本選手の弱点なり、攻略法を水谷選手は1年間考えて、準備してきたはずである。しかし、張本選手はそれを上回る成長を見せたということなのだろうか。

5ゲーム目、しりに火が付いた水谷選手は、今まで見せたことのないすばらしいサーブを連発し、そこから張本選手を圧倒する。だが、ラリーになると、どうにも張本選手には敵わない。

「みっともない試合はできんと思うて、必死でがんばってるんやろな」

このゲームを取ってなんとか2ゲームを返したが、ひいき目に見ても、ここから逆転できるとは思えなかった。結果はみなさんご存じの通りである。

このとき、思い出したのは昔の作曲家が交響曲を9番目までしか完成させられなかったというジンクスである。ベートヴェンが「第九」を完成させた後、10番目の交響曲を残せず亡くなってしまう。ブルックナーやマーラーも同様に9番目までしか完成させられなかった。斎藤清選手の優勝も9回までだった(追記:8回のまちがいだった)。水谷選手ももしかして…。

いや、水谷選手はきっとこの敗戦を糧にさらに大きくなって戻ってくるはずだ。張本選手と切磋琢磨しながら、自身を進化させ、なんとか10回目の全日本優勝を成し遂げて、日本卓球史に新たなページを書き加えてほしい。私はその日をファンとして心待ちにしている。






卓球の日――全日本卓球選手権を聞く

今週は忙しかった。やっと週末でほっとしている。

卓球の日は国際的には4/6ということだけれど、日本における卓球の日は1月中旬、全日本の期間だと個人的には思っている。

全日本へ行きたしと思へども
 全日本はあまりに遠し
  せめてはラジオを出して
   会場の雰囲気を味わう旅にいでてみん

ゆっくりテレビで見たいけれど、あいにく出先なのでテレビは見られない。全日本の実況がFMラジオで聞けるらしいのでそれに期待したい。何を隠そう、この日のためにわざわざラジオを買っておいたのだ。映像はないけれど、ネットの速報と実況で雰囲気が伝わってくるかもしれない。

76.1MHZにチューニングしてっと。

あれ?入らない…。

会場内でしか聞けないらしい…orz

我ながら、なんと間の抜けたことよ。気を取り直して、youtubeで聞くことができるらしいから、それを聞いてみよう。

なに!来年から全日本は大阪で開催される?

大阪なら近い。電車で1時間強で行ける。

卓球人なのに、全日本は私には縁のない試合だと思っていたが、とうとう私にも全日本を生で観戦できる日が来るのか。全日本っていくらぐらいで見られるんだろう?調べてみたところ、アリーナ席が2900円。
area2018
アリーナ席ってこんなに近いのか!それがたったの2900円!安い!
これは速攻で買わないと、手に入らないだろう。来年はなんとしてもアリーナ席で観戦するぞ!

解説は梅村礼氏。四天王寺高校の梅村優香選手の親戚か何かだろうか。梅村優香選手と塩見真希選手のダブルスの決勝になっても梅村氏は何も語らない。単なる同姓なのだろう。

音楽が大音量で流れて会場を大いに盛り上げているようだ。台にもマイクが設置してあり、ボールがラケットに当たる音などもよく聞こえるらしい。

ブラジルのタカハシ選手や石垣優香選手がゲストで来たりして、放送席もにぎやかだ。

耳を凝らして実況を聞いてみたが…やはり、映像がないとどんなプレーをしているか全く分からない。よく野球をラジオで聞く人がいる(いた?)が、卓球ではラジオだけの中継は無理なのだろうか。

それでも聞いていて、いろいろおもしろいこともある。

「彼女(伊藤選手)の持ち味は相手が引っかけてきたボールを上から叩くということなんですけど、それがまだ合っていなかった…」
「早田選手のチキータは本当に世界トップレベルだと思います。」
「伊藤選手の足が動いていたので、早田選手もそれに引っ張られていいプレーができたと思います」

国際レベルの選手が各選手の特徴をどのように見ているかが分かって興味深い。

「いまのは中途半端なレシーブでしたね」
「あそこがシェークの選手にとって一番取りにくいですからね。」

あ~やっぱり音声だけでは何も分からない…。

解説者と実況のなにげないおしゃべりも楽しい。梅村氏と石垣選手がどのような人柄か少しだけ分かるような気がする。

「(試合のことを考えすぎて)今、フタ開けずに飲もうとしたよね」

どのようなプレーをしているかは映像がないと全く分からないが、休日にのんびり料理でもしながら聞くのなら、とても楽しい放送だろう。というか、そもそもラジオの一般的な使い方というのはそういうものだろう。何か別の作業をしながら、流して聞く。非常に心地よい。もしかしたら、私のブログもこういうおしゃべりのような文章をもっと書くべきなのかもしれないなどと思ったりして。

今回は女子ダブルスの決勝だけを聞いたのだが、youtubeで後から聞けるのなら、時間のある時にゆっくり作業をしながら全部聞いてみたい。ただ、私のように映像が見られない人も多いと思うので、できればどういうボールを打ったかも言葉で説明してもらえたらなぁ。

ストレッチ・チューニング

最近、ぐっちぃ氏のブログで興味深い記事を読んだ。

宮崎義仁さんの貴重な話

元日本代表監督の宮崎氏から聞いた、張本智和選手の練習についての話である。
その中で張本選手は毎日30分かけてストレッチをするという話が印象的だった。

私なら、ストレッチなど、せいぜい2~3分しかしないだろう。それどころかストレッチもせずにいきなりボールを打ち始めることすらある。中年なので、さすがにストレッチなしで全開というわけにはいかないが、

「軽く10分ぐらい打っていれば、それが準備運動になり、ストレッチを兼ねる」

などと考えていた。若い張本選手でさえこれだけストレッチに時間をかけなければ故障を防げないのだから、私などは、もっと入念にストレッチをしなければ大変なことになるだろう(前記事「足りない分はきっとどこかに足されている」)。

ストレッチ

だが、ストレッチの効用は故障を防ぐということだけだろうか。もしかしたらプレーにも大きく影響するのではないだろうか。

私はスポーツ医学など、全く知らない。私の感覚的な印象にすぎないのだが、例えば体中のスジというのは2時間卓球をすれば、すべて伸びきるものなのだろうか。もしかしたら、2時間卓球をしても完全に伸びきらないスジというのも部分的にあるのではないだろうか。そうすると、その伸びきらないスジがあることによって身体のパフォーマンスが十分発揮できないということも起こってくるのではないか。

スジが伸びきった状態と、全く伸びていない状態を比べると、2センチぐらいの差があると仮定してみる。その2センチがスイングするときの回転半径を1度狭くしてしまうとする。そのわずか1度の違いが、スイングの末端、ラケットの移動距離にして、5センチほどの違いが生まれるとしたら?

完全に根拠のない数字で恐縮なのだが、ストレッチを十分した状態と全くしていない状態でラケットの移動距離に5センチ程度の差が生まれるとすると、卓球においてはそれはかなりの差と言えるだろう。卓球というのはほんの10センチの距離の差が命取りになるスポーツだからだ。

もしかしたら、私も卓球をする前に、30分とは言わないまでも、10分間入念にストレッチをしたら、体中のスジが十分に伸び、その結果フットワークもよくなり、スイングスピードも速くなるとは考えられないだろうか。昔、オーディオ雑誌でアンプやスピーカーをグレードアップするのではなく、耳掃除をしたら、音質が向上したという記事を読んだことがある。卓球でもラケットの重さや接着剤の塗り方、ラバーウォーマーの使用などでボールの質が微妙に変化するというのだから、スジを伸ばすことが卓球のパフォーマンスに影響しても不思議ではない。

こんなことを考えたのは、先日の練習でストレッチも何もせず、いきなり試合形式の練習をしたら、非常に調子が悪かったからなのだ。フットワークが悪い…いや、身体全体の反応が遅い。上半身の動きもなんだかこじんまりしていて、大きく動かなかった。その結果、普段なら入るボールがあまり入らない、下回転をしょっちゅうネットに掛ける…。ストレッチの有無だけが原因だとは思わない。集中力を欠き、ダラダラ試合をしていたというのもあったかもしれない。しかし、どうもストレッチがあやしい…。



0と1の間――読者のコメントから

前記事「ボールが落ちるのはラバーのせい?」でドライブを打つときにボールが落ちるのは打つ瞬間に足元を安定させていないからではないかと、ぼんやりと感じていたことを独り言のように書いてみた。

いつもと違って肩の力を抜き、結論もあいまいなまま書いてみたのだが、このトピックが多くの人にとって関心があるからなのか、その中途半端な書きぶりが読者を刺激したのか、いろいろコメントをいただき、たいへん参考になった。私が独りよがりに下手な論理を一方的に振り回すよりも、今回のような問題提起のような記事のほうが実りの多い議論になるのかもしれない。

そのコメントの中に、深く考えさせられるものがあり、これは読者に伝えなければと思い、勝手に紹介させていただく。

その具眼の士の名はMr.Smith氏。おそらく長年真剣に指導に携わっている方だと思われる。
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イメージです
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Mr.Smith
以前コメント投稿させていただいた者です。 以前のコメントにも書きましたが、教える側、教わる側でそもそも持ち合わせている「感覚」に違いがあるというのが、私の持論でして、 「突っ張る」という感覚、「踏ん張らない」の感覚というのが、私たちの持っている(考えている)度合いと、卓球Youtuberたちの度合いが違うのではないかと思うのです。 例えば、全ての感覚の「力み具合」を10段階に区分したとき、 私たちの「踏ん張らない」感覚は、0とか1のフラフラしてる状態を思い浮かべるかもしれませんが、Xiaさんからしたら「10ほどは踏ん張らない。」という意味合いで、本人の感覚では3とか4は力を入れているかもしれません。 「突っ張る」という感覚も、教えてくれた方の感覚では5の具合のつもりだったけど、受け取り側が10も突っ張っていれば、教える側からしたら「それは突っ張りすぎだよ(笑)」となると思うのです。 「~する」「~しない」という抽象的な言葉を、1か0だけで判断してしまうのは、とても危ないことなのかなと。

 少し話が逸れますが、人間の身体というのは、とある一部分が力むだけでも他のところも影響を受けてしまう性質があります。 下半身をがっつりと力ませたら、ゆっくり腕を上げようとしてもスムーズにいかない…など。 下半身を突っ張ることで、そこで生まれた力が「上半身→ラケット」と上手く伝われば、良いボールが打てるかもしれませんが、 下半身の突っ張り具合が強すぎると今度は腕の動きがぎこちなくなるために、下半身の力が全く伝わらないことが起きているかもしれません。 逆に、突っ張らなすぎたら「下半身の力」そのものが生まれないかもしれませんし。 そのバランス感覚というのも、技術を実行するために必要なものだと私は考えます。 しろのさんの「突っ張る」というのがどの程度のものなのか?Xiaさんの「踏み込まない」というのはどのくらいの加減なのか?というのを見直してみると、新しい発見が生まれるかもしれません。 古武術学んで感じることは、「何をするにも、1 or 0では無いな!」ということです。小数点以下の感覚があって、動作は成り立ってるんだなと感じるようになりました。(出来ているかは定かではありませんが…)



【以前のコメント】(前記事「安定性とボールの質」)
(前略)私たちのような輩には、シェークハンズの平岡さんのように「肩甲骨使ってスイングしましょう」というアプローチ方法が最適であり、バックハンドを振るための本質として肩甲骨を使う感覚を養うことが正しいと私は思っていますが、
超人さんたちは肩甲骨を使っている意識がないために、ラケットの角度だったり、スイングの軌道だったりと、肩甲骨とかけ離れた説明をします。卓球レポートでは「肘から先を支点に…」という説明もありました。
(肩甲骨で引っ張った後に、腕のしなりで打球するという意味合いでは間違いないのですが。。。)

このように、凡人と超人で「身体操作の感覚」に隔たりがあるために、超人の説明の通りやれば上手くなれるわけではないんだなぁと思いました。(後略)


言葉だけによる指導、あるいは技術解説は誤解を生みやすい。
私が「足を突っ張って」という言葉でイメージしたのは、一瞬だけグッと、たぶん2~3割の力で踏ん張ることだったのだが、7~8割の力で踏ん張ると理解した読者もいることだろう。しかし、言葉で簡単に説明すると、「する」か「しない」かだけになってしまう。
この事実は多くの指導者にとっての戒めになるのではないだろうか。

また、身体各部は有機的につながっており、どこかに力を入れると、他の部分も影響を受けるという指摘も示唆に富むものだった。それは卑近な例で言えば、初中級者が腕に力を入れすぎることによって、他の部分の動きが妨げられてしまうといった事実に如実に現れている。力を入れること自体は悪いことではないと思うが、その力を下半身から上半身に伝えず、初めから終わりまでずっと腕だけに力が入ったままというのが問題になるのだと思う。

気の利いた指導者なら、レベルの低い私のブログなど、まず読まないだろう。Mr.Smith 氏のようなレベルの高い指導者が拙ブログを読んでくださるというのは非常にありがたいことなのである。これまで何度も書いているが、読者はこのブログに書いてあることよりも、むしろコメント欄の鋭い指摘のほうに注目してほしいと思う。

地域卓球振興を考える――関西卓球情報誌『TAMA』を読んで

『TAMA』という雑誌はおそらく関西以外では流通していないだろう。

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最新号はまだ読んでいない

一言でいうと、関西で開催される大会情報が載っている雑誌である。
申し込み締め切り、開催日、開催場所などの情報が細かく載っている。イメージとしてはかつてあったアルバイト情報誌『From A』のような雑誌である。定価は500円。年4回発行。本屋さんではなく、卓球場やネットショップで買える。

こういう雑誌は個人ではふつう買わないだろう。試合に出る人が多い卓球クラブなどで購入するのではないだろうか。私も卓球場などでちょっと目にする程度で、あまり手に取って読もうとは思っていなかった。

先日、時間があったので、この雑誌をはじめてきちんと読んでみた。予想外に楽しめた。

情報誌なので、大会の応募要領などしか載っていないと思っていたのだが、卓球業界の有名人へのロングインタビュー、関西の大会のハイライト、卓球メーカーのお勧め用具の紹介、関西の卓球場紹介、関西の学校の卓球部紹介、技術記事など、大会情報以外にもいろいろなコンテンツがあった(情報量はほどほどであるが、むしろそれがいい)。大会情報も関西だけでなく、日本全国の大会情報(ローカルな小さな大会も含む)が紹介されていた。

注目すべきは関西の大会のハイライトだった。インターハイやインカレ、全日本の結果は『卓球王国』などで大きく取り上げられているが、関西学生(関西学生卓球選手権)、高校や中学の近畿大会の結果がデカデカとカラー写真で紹介されているのはTAMAならではだろう。

そういえば、関西の大学生でどんな選手が活躍しているか全然知らなかった。「関西学生」の結果を見ると、今、男子は関学の高橋和也選手が強いらしい。京都では誰が強いんだ?男子では龍谷大学の留学生、張博良選手がベスト8だ。男子の京都勢は元気がないなぁ。女子はどうだろう?やっぱり関学の向山佳那選手が強いようだ。おっ!同志社の塩見紗希選手が準優勝だ。三位には同志社の橋田菜津子選手、立命館の笹岡柾美選手が入っている。ベスト8には同志社の政本ひかり選手、朝田茉依選手が入っている。女子は京都勢ががんばっているなぁ。そういえば、同志社の成本綾海選手が去年の全日学で優勝したんだっけ。同志社女子卓球部、頼もしいぞ。

高校生はどうだろう?
近畿大会の結果は、男子は大阪桐蔭の菅沼湧輝選手が強いらしい。2位は竹内佑選手、東山だ!3位は大阪桐蔭と上宮の選手か。東山は大阪勢に押され気味だなぁ。女子はどうだ?…四天王寺にベスト4を独占されているし、ベスト8も昇陽が一人入っているだけで、他は四天王寺だ。女子は四天王寺がいるので、京都勢の上位進出は難しいだろうなぁ。
しかし、団体戦は東山が優勝。龍谷大平安が3位。女子は華頂が準優勝。団体では京都勢がなかなかがんばっている。。

中学はどうだ?
ああ、やっぱり大阪勢が強いなぁ。京都の芝優人選手が3位に入っているが、シングルは男女ともに大阪が強いようだ。団体戦は女子で黄檗中学が3位に入っている。なんとか大阪優位の関西卓球界を変えたいものだ。

あれ?なんだか楽しいぞ。
レベル的に見ると、関東の大学や名電、野田学園などの高校のほうが関西の大学、高校よりもレベルが高いが、私は明治大学や専修大学の対決よりも、京都の大学と大阪・兵庫の大学の結果のほうが気になる。もし自転車で行ける範囲で近畿大会が行われていたら、観に行ってしまうかもしれない。全国レベルのようなレベルの高い大会があっても、それほど見に行きたいという気持ちは湧かないだろう。それよりも地元の学生の試合のほうを観戦したい気持ちが強くなってきた。ブレイクする前の歌手を応援する人の気持がわかる。

新体連の近畿大会の結果も載っている。あれ?この人知ってるぞ。へぇ、近畿大会で年代別で3位に入った人だったんだ。道理で強いはずだ。

卓球ショップや卓球場の紹介も、行ったことがあったり、よく耳にするところだったりする。

昔、AKB48が「会いに行けるアイドル」ということで売り出していたが、こういう地元密着型の雑誌を読むと、関西トップ選手の顔と名前が分かり、そうすると、その選手がどのぐらい強いのか、ちょっと試合会場に足を運びたくなってくる。Tリーグプレミアが世間の注目を集めているが、遠い世界の話のような気がする。逆に関西のトップ選手なら、現実世界の試合という気がする。関学の向山佳那選手と同志社の塩見紗希選手の再戦が実現するなら、それを見に関西の大学生の試合を見てみたいという気がする。塩見選手、次はリベンジだ!

そして特筆すべきは「基礎の鬼」という技術指導ページである。
「全日本で光った技術」とか「世界の技」とかではなく、初中級者向けの非常に役に立つ情報が書いてあった。白黒の記事で、一つの技術につき、1ページで簡潔にまとめてある。書いているのは卓球教室の指導者で、とても分かりやすい。おお!ペン表のストップの指導記事にKotoの大西コーチが…。ストップは大西コーチの得意技なのかもしれない。

以上、TAMAをじっくり読んでみた感想である。すべてにおいて地に足がついている気がする。全日本選手権ともなると、さすがに結果が気になるが、それ以外の中学や高校の全国大会の結果というのは私にとっては「ベラルーシの年間降雨量」のような話かもしれない。

セトウツミ

TAMAのような地域密着の雑誌が全国的に増えれば、草の根レベルで卓球が盛り上がり、卓球観戦も盛んになるのではないだろうか。

【付記】京都の卓球事情
地域によって社会人が参加できる大会が違い、他地域の人は京都の卓球事情を知りたいかもしれない。もし京都に引っ越してくる卓球人がいれば、参考になるかと思い、京都で社会人が出場できる一般的な大会を紹介したい。

京都には協会(京都卓球協会)と新体連(新日本スポーツ連盟 )という二つの大きな団体があり、数多くの大会を開催している。私の周りの人は月に1~2回はどちらかの団体の試合に出ている人が多い。試合が好きでたまらない人は大阪や神戸、あるいは滋賀まで遠征に行って毎週末試合をしている。

「協会」開催の大会は本格派の若い選手が参加する大会が多く(全中とかインターハイの予選を行っている)、「新体連」の大会は社会人の趣味の大会が多い。京都の社会人のレベルはそれほど高くなく、大阪や神戸のほうが高いようだ。また、京都市内ではラージボールがほとんど行われていない。ラージが盛んなのは京都南部の城陽市や宇治市である。

私のような社会人に身近な試合には「協会」開催の社会人リーグと「新体連」開催の年齢別、クラス別の大会がある。

社会人リーグ
は「協会」開催で、年に4回開催される4S1Wの団体戦。大きく3つのレベルに分かれている(女子のほうはよく知らないので男子の紹介のみ)。1部につき8チームぐらいいて、リーグ戦を行い、上位2チームが昇格。下位2チームが降格。昇格や降格がかかっているので、真剣勝負。チームでユニフォームを揃えないと失格→自動的に降格。厳しい。

・トップリーグ(1~5部) 一番上の1部や2部は東山高校や平安高校の卒業生などが混じっているので、非常にレベルが高い。私のようなオジサンには場違いのリーグ。
・レギュラーリーグ(1~5部) ふつうじゃないほど卓球好きのオジサンたちがいるリーグ。
・チャレンジリーグ(1~10部) ふつうの卓球好きのオジサンたちのリーグ。


年齢別
は新体連開催で、一般、40代、50代…と年代に分かれている個人戦。実力がまちまちの人を年齢でくくっているので、とんでもなく強い人や弱い人と当たる可能性がある。年に1~2回?、近畿大会や全国大会に進める大会もある。そのときだけ出場者のレベルがグッと上がる。

クラス別
は新体連開催で、レベルによってA~Eに分かれて行われる個人リーグ戦。Eは初心者、Aは昔、近畿大会や全国大会に出場したようなかなり上手なオジサンのレベル。自分のレベルに合わせて出場できるので人気がある。そのレベルで優勝した人は、一つ上のレベルに上がらなければならない。

他にも協会が開催する個人戦や、市や府が開催するオープン戦がいくつもあるが、私はよく知らない。


ボールが落ちるのはラバーのせい?

素朴な疑問。

同じ打ち方のはずなのに、下回転をドライブで持ち上げようとしたとき、入るときと入らないときがある。そういうとき、どんな原因が考えられるだろう。

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イメージです

・湿気
・ブレードの弾きの強さ(ラケットが飛びすぎる)
・ラバーの劣化(ひっかかりが足りない)
・ブレード/スイングの角度
・当ての厚さ
・打点
・力の入れ具合

深いツッツキをバックドライブしようとして、ミス。そんなとき、よくこう考えたものだ。

「今日は湿気が多いなぁ。ラバーが滑る滑る。」

それが原因の一つという可能性もないとはいえない。しかし、主要な原因ではないのではないか。私以外の人――上手な人はコンディションが悪くても下回転をちゃんとドライブできているのだから。

打点などのタイミングが合っていない可能性もある。しかし、同じようなタイミングで打って、入る時と入らない時がある場合はどう考えればいいのだろう?

腰が入っていない?

それもありうる。が、もしかしたら、足元の影響も大きいのではないかと最近考えている。

ボールが落ちる原因がラケットと最も離れた足元に原因があるというのはにわかには信じがたいかもしれない。しかし前記事「足元を見直す」でシューズのグリップ力がドライブに影響すると書いたように、足のツッパリが打球に影響を及ぼすことは想像に難くない。なにげないバックハンドドライブも、左足をグッと突っ張らせて打つのと、足に力を入れずに上半身だけで打つのではかなり安定性が変わってくるのではないか…。私の場合は左足を突っ張らせてバックハンドドライブを打つと、安定性が高まるように感じるのだが、最近のxia氏の動画で「踏ん張ってはいけない」と言っているしなぁ…(追記:ちゃんとをビデオを見たら、「打つときは踏ん張ってもいいかもしれない」と言っていたので、私の勘違い)。どっちがいいんだろうか。

指導者ではないので、私はこれ以上のことは分からない。


ストップを早くする――上級者っぽい台上技術

卓球の動画を観ていて、台上技術で発見があったので紹介したい。


裏面打法を更に覚える、オススメ練習法
以前も紹介したKoto卓球スタジオの大西コーチの動画である(私は別にKoto卓球スタジオの回し者ではない)

4:20から始まる「ストップ⇒バックドライブ」の練習を見て、思わずうなってしまった。
https://youtu.be/PqIUUSDTr20?t=266

ストップが滑らかすぎる!

まるでボールとラケットが示し合わせたかのように連繋バッチリである(あ、サーブを出す場所は決めてあるか…)。とにかく、ボールとストップが阿吽の呼吸なのである。そういえば、上手な人はみんなこんなストップをする。

ストップの時、私はボールがバウンドする頂点前を狙って軽くラケットを合わせるようにしてきたのだが、大西コーチのストップを見ると、大西コーチはバウンドする落下点を狙ってラケットを合わせているように見える。

私は「バウンドした後の頂点前を狙って」。
大西コーチは「バウンドする瞬間の落下点を狙って」。

自分では頂点前を狙ってラケットを差し出したつもりでも、実際は頂点を過ぎてラケットに当たることが多い。これは人生にも言えることだ。県大会優勝を狙って努力した結果は県大会ベスト8であり、全国大会ベスト8を狙ってはじめて県大会で優勝できるのである(「限界突破のススメ」)。

ストップはバウンドの落下点を狙う。

これはすごい発見だ! いや、本当に発見か?どこかで聞いたことがあるぞ…聞いたことがあるどころじゃない、雑誌や指導書のストップ技術の注意点としてどこにでも書いてある、当たり前のことではないか!

何度も耳にした、それらの教えが今やっと腑に落ちた。

人が生きる上で「これだけは」という知恵は中学生までの教科書に書いてある。しかしその価値を中学時代に理解し、消化できて自らの血肉にできた人は稀だろう。ほとんどの人が社会に出てからその価値に気づくにちがいない。私もこの年になって中学生の教科書を目にすると、その豊かさに驚かされる。

卓球でも本当に必要な知恵は至るところにあふれている。「卓球は足が一番大事だ」とか「頭を使え」とか。ただそれを発信者が想定した本当の意味で理解できる人はやはり稀なのではないか。卓球が上達するにつれて「なるほど、そういうことか」と理解できるものなのだ。

ゴールははじめから示されているのにそこになかなかたどり着けないのが卓球、ひいては人生なのではあるまいか。

天道総司
「おばあちゃんが言ってた…」
やはり人生経験の長い人の言葉は重い。

私は新年の打ち初めでこのストップを上手な人との練習で試してみた。その人はミスが少なく、安定性の高い卓球をする人なのだが、この早いストップを送ると、あまり積極的に打てず、あちらもストップで返すぐらいしかできないようだった。さらにこの早いストップをもう少し長くしてみて、ツッツキのように台から少し出るように送ってみたところ、相手はフォアドライブを何本もネットにかけていた。私は何も強い回転をかけたわけでも、速いボールを送ったわけでもない。上の動画にあるように、ただ早く触って、ふわ~っとしたボールを早いタイミングで相手に送っただけなのだ。にもかかわらず、相手はタイミングが合わず、ミスを連発していた。

ストップを早く送る。今までのストップと比べて時間にしたらほんのわずかな違いである。たったこれだけのことだが、効果は意外に大きい。さらに同じ早い打点で台から出るように送ったり、遅い打点でのストップも混ぜればより効果的である。

ちなみにツッツキについてもやっすん氏の有益な動画を見たので、こちらも紹介したい。


あまり知られていない、ツッツキに重要な2つの飛ばし方




私のたどってきた道――卓球の力の抜き方

力を抜いたほうがいいというのは卓球をしている人なら誰でも頭では分かっているはずだが、試合になるとつい力が入ってしまう。私もそれに長い間悩まされていたのだが、最近、はからずも力が抜けてきた。と同時に力が抜けるメカニズムが分かってきたので紹介したい。

ただし、この方法は私の経験にすぎないので、他の人には有効ではないかもしれない。
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10年ほど前、もともとレベルの低かった卓球を中年になって再開したばかりのころ、フォアもバックも安定しなかったので、せめてフォアドライブだけでも安定させたいと思い、そればかり練習していた。それから数年たってようやくフォアドライブがそこそこ安定してきたので、今度はバックハンドの安定が課題となった。練習時間の大半を裏面バックハンドでのツッツキ打ちに当てていた。すると裏面ドライブもそこそこ安定してきたので、試合にも出てみたが、なかなか勝てない。自分が相手より先に攻めるという展開になれば勝てるのだが、それがなかなか難しかった。相手もそう簡単にこちらの強打しやすいボールを送ってくれるわけではない。せっかく両ハンドドライブが安定してきたのに、それを使う場面があまりなかった。よく言われるように攻撃の前の準備打が必要だったのだろう。新しい課題が見つかった。こちらの攻撃につなげられるように台上で優位に立つという課題である。しかし、どうすれば台上で優位に立てるのだろうか…。

それからは台上の練習に励んだのだが、台上というのはドライブ練習のように単純ではなく、多種多様なボールに対応しなければならず、複雑でとっつきにくい。ドライブだったら順回転のボールや下回転のボールをフットワークを使いながら身体を使って打つだけでいいのだが、台上ではネット際のボールからエンドギリギリのボール、コースも高さも回転もスピードも様々で、いったい何を練習したらいいのか分からない。しかも、とりえあずツッツキ、ストップ、フリックなどが安定したとして、いったいそれをどうやって自分のドライブ強打につなげたらいいのか。台上の練習はとらえどころがなくて、どうすればいいのかよく分からなかった(今でも分からない)

そのような練習をしていくうちにまた別の問題に直面した。ブロックである。私は攻撃力は人並みにあったのだが、守備はめっぽう苦手だった。相手に打たれる前に打とうというスタイルだったので、守備のほうまで気が回らなかったのだ。それが具体的にどう問題になるかというと、練習相手である。自分より格上の人と練習させてもらうとき、私が攻撃の練習をしているときは問題ないのだが、相手の攻撃をこちらがブロックするというような場面で私はミスばかりしていた。相手にガツンと強打されると、コースを決めていても、せいぜい1~2球しか返球できない。そうすると、上手な人はうんざりして「これじゃ練習にならないよ」とばかりに私との練習を敬遠するようになってしまった。

上手な人と練習しないと、上達しない。でも、上手な人は私と練習すると、練習にならない。

これは困った。バックハンドだの、台上だのと言っている場合ではない。何はともあれ、今はブロック技術を向上させなければ!

そこから私のブロック集中練習がスタートした。

練習では自分の攻撃練習を封印し、「私がブロックで止めますから、好きな練習をしてください」と相手に攻撃してもらい、自分はいかにブロックミスをなくすかに腐心した。その結果、ようやく人並みにブロックができるようになってきたのだ。先日、格上の人と練習試合をしたあと、こんなことを言われた。

「しろのさんは、攻撃は苦手みたいですけど、守備は固いですね。」

うれしかった。私の守備力は向上したのだ(攻撃のほうは評価されなかったが)

ブロックに自信がつくと、プレースタイルもずいぶん変わってくる。今までは「先に攻めなければやられる…」「できるだけ低く鋭いボールを送らなければ」という意味不明な強迫観念があって、台上の難しいボールでも相手より先に無理に攻めたり、あるいは鋭いレシーブを狙ってはミスしていたのだが、最近は台上で「とりあえず、相手に先に軽く打たせてみよう」「高くなって打たれてもいいから、とにかく入れに行こう」という心の余裕が出てきた。厳しいコースに厳しいボールを打たれたらとれないが、厳しくないコースにそこそこのボールなら、なんとかブロックできるだろうという自信がついたのだ。そうすると自然に力が抜けてきた。

先に攻めようとしてガツガツしていたころは相手よりも0.1秒でも早くボールに反応し、先に攻撃してやろうと体全体に力が入っていたのだが、

Federer
イメージです

「とりあえず相手に先に打たせてみよう」と思えるようになってから、身体の緊張が解け、自然体でプレーできるようになったのだ。

別にブロックが上手にならなくても身体の力は抜けると思う。例えば、5ゲームマッチで、自分が2-0でリードしていて、3ゲーム目も8-2ぐらいでリードしていたら、自然に力が抜けたプレーができると思う。あと3点とれば勝利なのである。リラックスしてこちらがミスをしなければ相手が勝手に3点ぐらいミスしてくれるだろうという心の余裕が力を抜いてくれるのである。逆に2-2のデュースという競った場面では、どうしても力が抜けないかもしれない。

以上が私の力を抜くコツである。力が抜けるかどうかは、技術的な面もあるかとは思うが、私の場合は精神的な余裕――ブロックできるから大丈夫という安心感が大きかった。試合中、なかなか力が抜けないという人は、まず守備技術の向上から手を着けてみてはどうだろうか。


卓球のシャツの話――用具の供給過剰について

ヨーラの新製品のTシャツ「コンペティション」。

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国内メーカーにはない、シャレた味わいのあるTシャツで、欲しくなってしまった。国際卓球で3000円強なので、安い店なら3000円弱ぐらいで売っている。

それほど高くはない。が、買うわけにはいかない。

うちのタンスはまだ未開封のユニフォームやらTシャツやらでいっぱいなのである。
なぜこんなにシャツが多いかというと、最近の卓球用具の価格破壊で特価品を買いすぎたことが原因である。

新作ユニフォームの定価は6~8000円ほど。しかし、2~3割引きが普通なので、5000~7000円ぐらいになる。高い。こういうユニフォームをどんな人が買うのだろうか。

ユニクロをはじめとする庶民ブランドの洗練度が上がった今、衣服の低価格化が進んでいる。昔は高級ブランドの5000円ぐらいのTシャツを高くないと感じていた人も、今は「Tシャツに5000円はちょっと…。ユニクロでもいいかな」となるのではないだろうか。

私が田舎の中学生だった頃はよく行ったショップの値引きも1割ほどで、デザインも単色が基本の素朴なものがほとんどだった。せいぜい色で個性を出すしかないという時代だった。

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80年前後のユニフォームはこんな感じが多かった。

そういう時代にユニフォームが4000円弱といっても、高いとは感じなかった。試合という晴れの舞台には卓球専門メーカーのシャツこそふさわしいと思っていた。卓球用のユニフォームなのだから、そのへんのスーパーで売っているTシャツとはちがって、生地も厚く、しっかりした作りだった。

だが、現代はどうだ。型落ちのユニフォームなら、ネットショップで2000円以下でいくらでも売っている。デザイン的に時代遅れという感じでもない。メルカリなどの中古品なら卓球のユニフォームは送料込みで1枚1000円強が相場である。

6000円の新作ユニフォームか、型落ちの2000円以下の新品か(または1000円の古着か)。

よほどそのデザインが気に入っているか、裕福な人でなければ、「型落ちでいいか」となるのではないだろうか。新作だからといってデザイン的に洗練されているというわけではないのである。
スピネードシャツ

ニッタクの新作。
このデザインはヤケクソになって作ったとしか思えない。


こういうわけで我が家のタンスには新品や中古の数多くのシャツが眠っているのである。

おそらく6000円ほどの新作ユニフォームを買う人は、部活などで強制的に買わされる場合が多いのではないだろうか。そういう人が部活を卒業したときに、ほとんど着ていない、状態のいいユニフォームを中古品として処分するので、安価な中古品が市場に数多く出回ることになる。それが新品のシャツの値段を押し下げることになり、新作ユニフォームはますます売れなくなってくる。メーカーにとってさらに都合の悪いことに、シャツは頻繁に着なければ、20年ぐらいは平気でもってしまうことだ。

シャツだけの話ではない。ラケットなども定価は高くなっているが、実売価格はむしろ安くなっているように感じる(最近は特売でラバーが2000円以下も珍しくない)。3割、4割引は当たり前になってきたし、中古品もたくさんある。私は経済には疎いが、こういう状態が続くと、メーカーの経営状態が心配になってくる。今は卓球ブームでメーカーの業績もいいと聞くが、このブームが去ったとき、卓球メーカーの経営は大丈夫だろうか。質のいい中古品が市場にあふれているのだから、新品を買おうという人は減ってこないだろうか。

いいものが高い値段で売られ、消費者がそれを大事に使うという風潮が失われると、時間をかけた丁寧なモノ作りが駆逐され、質より量の、雑な商品ばかりが氾濫するということにならないだろうか(出版業界のように)

私の杞憂ならいいのだが。


卓球のセンス――水谷選手のことばから

別府で行われた水谷隼選手と酒井明日翔選手のエキシビションの動画がアップされたので観てみた。

 
https://www.youtube.com/watch?v=gLnv7JDwhyc
水谷隼&酒井明日翔「エキシビジョンマッチ!Table Tennis LIVE」in 別府


その中で水谷選手の興味深い発言があった。

MC「いつ頃からラリーが得意になったのですか?」
水谷「小学生くらいの時から、センスがいいとよく言われていました。」

sense

卓球のセンス!
そんなものが本当にあるのだろうか?
言われてみればあるような気がする。

中学から部活で卓球を始めて、1年やってもフォアとバックの基本的な打法が安定しない人もいれば、同じように1年しかやっていないのに両ハンドドライブが安定して振れるほどにグンと伸びる人もいる。こういう人は卓球のセンスがあるにちがいない。卓球のセンスというものは天才なら教わらずとも身に付けているのだろうが、凡人でも後天的に身につけられるものと信じたい。とすると、それを身につけることこそ上達の捷径なのではないだろうか。

センスのある卓球というのはどういう卓球なのだろう?

たとえば、頭を使って相手の意表をついたり、相手を自分の思った通りに動かすような卓球は戦術的なセンスのある卓球といえるかもしれない。あるいはボールの性質を知悉していて、難しい回転のかかったボールが来ても、柔らかくいなすことができる卓球かもしれない。思いつくままに例を挙げてみたが、なんだか昔の水谷選手のプレースタイルに近い感じだ。

他にセンスのある卓球をする選手というのはどんな選手だろうか。

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丹羽選手は他の選手よりも独創的な卓球で、センスがありそうだ。天才肌の選手と言える。

天才といえばこの人、スウェーデンのワルドナー選手のようなプレーはセンスがあるということだろうか。
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いろいろどうでもいい寄り道してしまったが、水谷選手の答えは以下のようなものだった。

水谷「ミスが少ないとか、もともと他の選手よりはラリーが多く続く選手でした。」

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ミスが少なく、ラリーが長く続くプレースタイル。これが全てだとは思わないが、卓球のセンスの現れの主要な一つだろう。

センスのある卓球ときいて、すごいスピードの強打を打つ卓球というのは想像しにくい。そういうボールの威力の強さは私にはセンスの対極にあるものに思える。私は小学生時代の水谷選手を知らないが、際立って威力のあるボールを打っていたとは考えにくい。第一、それではラリーが続かない。よく見る凡庸な草の根プレーヤーは自分の限界まで、あるいは限界を超える強打を打ちたがるものだ。それでミスをするか、とんでもなく厳しいボールが出て、相手がとれないかのどちらかになり、どちらにしてもラリーが長く続かない。

一方、水谷選手はおそらく強打は追求せず、それよりもしっかりとボールをコントロールするほうに意識が行っていたのかもしれない。無理をして体勢を崩してまで強打することはなく、丁寧なポジショニングと力の抜けたショットで余裕を持ってしっかりとボールをコントロールしているプレーが目に浮かぶ。強打を打つにしても、そのコントロールできる範囲で強く打っていたのではないか。

もはや実際の水谷選手のプレーがどうなのかという話はどうでもよくなって、単に私の理想の卓球ということになってきたが、センスのある卓球というのは、ボールの性質に応じて適切な位置と強さでどんなボールでも確実にコントロールできる卓球…と勝手に決めつけて、こういう卓球を今年は目指していきたいと思う。

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