しろのたつみ



卓球について考えたこと、
気づいたこと(レベル低いです)
を中心に中級者の視点から綴っていきます。




2017年11月

丹羽選手の写真を見ると、よくこんなふうに腕を頭上で直角に近く曲げている。

niwa

niwa02

期待の若手、宇田選手も同じようなフォームだ。
uda

あんなフォームでよくボールが前に飛ぶなぁ。下回転を持ち上げているところだろうか?それとも身長の関係で腕が上に回るのだろうか。このスイングを仮にAタイプと呼んでおこう。

ただし、上級者はみんながみんなこんなフォームというわけではない。
たとえば、水谷選手はもっと目の前にラケットを持ってくる写真が多い気がする。

mizutani

これをBタイプと呼んでおこう。
仮にだいたい同じ球質(例えば下回転)のボールを打っているとして、Aタイプのフォアハンドはボールを顔ぐらいの高さで打っているということだろうか。それに対してBタイプはボールを胸あたりの高さで打っているということになろうか。Aタイプはボールを身体の側面近くで打っていて、Bタイプは身体の前方で打つ打法となるだろう。おそらくAタイプは低いボールを打つのに適していて、Bタイプはある程度高いボールを打つのに適しているのだろう。

Aタイプはあまりスピードが出なさそう(相手のボールが速ければスピードは出るかもしれない)であるが、安定性は高そうである。一方Bタイプはスピードは出そうだが、安定性が低そうである。Aタイプは姿勢・背が低い人に適していて、Bタイプは姿勢・背が高い人に適していると言える(たぶん)。ノッポのサムソノフ選手がAタイプの打ち方をしているイメージがない。もしかしたら、前陣の人はAタイプのフォアハンドで、中陣の人はBタイプが合っているのかもしれない。総合的に言うと、Aタイプのほうが使い勝手が良さそうである。ただ、後ろに下がって大きなラリーをしているときは、Bタイプのほうが合いそうだ。
xu xin
この人もこんな打ち方をするんだ…。

振り返って自分のフォームはどうだろうか。
私は身長175センチほどで、ペンホルダーだが、一般的にペンホルダーのフォアハンドはラケットが下から出て、前方に向かいやすいので、Bタイプになりやすいと思う。そうすると、低い下回転のボールをフォアハンドで持ち上げるのが苦手そうである。そういうボールをついBタイプのフォームで打ってしまいがちだが、思ったより面が下を向いているときが多いかもしれない。気をつけてできるだけAタイプに近い形にしたほうがいいと思う。

最近、気づいたのだが、ペンホルダーのフォアハンドはラケットの面が真正面を向きにくい。構造上ボールの真後ろを触りにくいので、ボールのやや右側を触ってしまいがちである(右利き)。その結果ふつうにドライブを打つと、カーブドライブになりやすく、狙ったところよりも左側(クロス側)のほうへ打ってしまう。横下のロングサーブを持ち上げるときなど、ボールの真後ろを触りたいのに、ボールの右のほうに触れてしまう。さらにボールを身体の前方でとらえがちなので、側面でとらえる場合と比べて、面が下を向きやすい。

シェークハンドのフォアハンドの特徴:
・ブレード面が真正面を向きやすい
・身体の側面で打ちやすい
・ラケットが上から出やすい

ペンホルダーのフォアハンドの特徴
・ブレード面が左を向きやすい
・身体の前方で打ちやすい
・ラケットが下から出やすい

自分ではまっすぐに打っているつもりでも、ペンホルダーの上記の特徴から、自分が思っているよりも歪んでボールを打っていると思われる。下回転のボールをフォアハンドでドライブするときに、身体をかなり開いて(右を向いて)、身体の側面に近いところでインパクトし、スイングを上前方ではなく、上右方向に振ると、ツッツキ打ちが安定したように感じた。おそらく右方向にドライブを振ってやっとラケットが真正面を向くのだと思う。ペンホルダーのフォアドライブで下回転打ちが安定しない場合、身体の向きを右方向へ向けたり、スイング方向を右方向にしたほうがいいと思う。
自分のフォームを鏡でよく観察し、自分がボールをどんな状態で打っているか確認しておかないと、無駄に安定性が落ちるように思う。

最近、WRMの動画を観て、とても参考になった動画を2つ紹介したい。
一つは「ラケットの持ち方から覚える裏面打法の基礎」という動画で、KOTO卓球スタジオの大西コーチという人が教えてくれる。



非常に分かりやすい説明で、裏面が安定せずに悩んでいる人は必見の動画である。
まずラケットの角度を出すというところから始める。相手のボールに軽く合わせて落ちない角度を作らないと、どうしても回転で擦って入れる不安定な裏面になってしまうので、こすらなくても入る角度を作るのだが、従来の日ペンのグリップでは裏面の角度が出ない。そこで人差し指をひっかけず、かなり浅く握る。
ちなみに私のグリップはこうである(表面ショートは捨てている)。

グリップ

参考までに宋恵佳選手のグリップである。

宋恵佳

そしてヘッドの向きは横か、やや下向き。
私も一時はシェークのように斜め上向きの裏面を試したことがあるのだが、あまり安定しなかった(大きなラリーなら上向きでも安定するかもしれない)

最後に肘ではなく、腕で回すように打つというスイング。
最近、私もこれをうすうす感じていて、前腕(肘支点)で裏面を振ると、ときどき力が入らず、心もとない感じがしていたのだ。この動画を観て意識的に肘を固定して腕全体を回すように振ってみたら、非常に安定した。
そして私の現在の考え方は、バックハンドを振るときは、体の中心に近い部分から振れば振るほど安定するというものである。手首だけでこねる裏面バックハンドは論外で、前腕だけの裏面もときどき不安定になる。上腕を回すように振ってみると安定する。腕の根本よりもさらに中心に近い肩甲骨を引っ張るようにバックハンドを振ると、より安定する気がする。もしかしたら、これが肩甲骨打法というものではないだろうか。

おまけに「悪い例」というのも秀逸である。「裏面あるある」である。大西コーチに裏面を教われば、最短距離で裏面が安定するようになると思われる。

そしてもう一つの動画はぐっちぃ氏の「最強のサーブドライブ戦術50選」である。



非常にさりげない戦術なので、指摘されないと気づかないものばかりだが、言われてみれば、なるほどと納得させられる。
例えばわざと切らないサーブを出すというのは、「サーブというのは切れていればいるほどいい」と考えがちな多くの初中級者にはなかなか思いつかない戦術である。また、「大きなラリーでバックに回転量の多いループを送ると有利になる」。私がもし偶然そんなプレーをして、得点したとしても、そのプレーの有効性に気づかずに「ラッキー」としか思わないだろう。

ぐっちぃ氏の何気ないプレーはこんなにも計算されていたのかと、驚かされる。

ただ、このぐっちぃ氏の動画は返ってきたレシーブを安定して返球できることが前提となっている。だが、初中級者はそもそも返ってくるボールを安定して返球できない人がほとんどなのではないだろうか。こちらが相手の意表を突くサーブを出して、相手があたふたして変な返球をしてきたら、こちらもいつもと違うボールにあたふたしてムチャ打ちをしてしまったりする。

裏面の動画と戦術の動画は、前提と目的が異なっている。

裏面の動画は、技術が安定しないという前提があって、それを安定させるという目的の動画である。
戦術の動画は、技術が安定しているという前提があって、それをいかに有効に使うかという目的の動画である。

前者は初中級者向け、後者は中上級者向けと言えるだろうか。

それがどうした?と読者は思われるだろう。

私は今までこの二つをはっきり分けずに練習してしまっていた。
安定しない技術を安定させる練習(例えば裏面)の中に、それをどんなコースに打ち、どうやってスピードと回転量を両立させれば有効かという練習を混ぜてしまっていたことに気づいた。安定しない段階で質の高いボールを打とうとすれば、ミスを連発するに決まっている。しかし、どうせ裏面の練習をするなら、ついでにボールの質も高めてしまおうというスケベ心が働いて、どっちつかずの中途半端な練習になってしまっていたのではないか。安定させる練習なら、安定性を最優先し、コースを打ち分けたり、強い回転をかけたりするよりも、バック半面にゆるいボールを送ってもらい、それを小さく動きながらほぼミスなく打てるようになったところで、次の段階――ボールの質を向上させるというステップを踏むというやり方のほうが練習効率がいいと思われる。50%ぐらいミスなく打てるようになったところで、つい強いボールを打って練習したくなるが、そうすると、安定性がいつまで経っても身につかない。安定性とボールの質を一つの練習でいっしょにやってしまうのはやめたほうがいいと私の経験が告げている。

練習の前提と目的を理解し、安定しない技術でボールの質を高めようとするのは練習効率が悪い。私なりの練習に対する態度である。

平成がついに終わる。
ニュースによると、平成は30年までで、再来年に皇太子が天皇に即位するのだという。
昭和の人間としては感慨深い。
今まで昭和生まれということで、今の若い人とは価値観や考え方が違うと言われてきたが、今の若者もいずれ「平成の人間だから」などと言われるようになるのだろうか。

先週、京都新聞で田阪一族の記事を目にする機会があった。
田阪(京都新聞)

田阪常雄氏は桂(西大路御池という話もある。詳細は不明)で卓球場を営み、日本代表の監督を務めたこともある人だという。その四男の田阪登紀夫氏は69年の世界選手権でシングルスで3位に入賞している。
田阪氏

60年~70年代は(も?)男子は中国が圧倒的に強かった時代だが、それでも日本は健闘し、中国が文化大革命で不参加だった67年、69年の世界選手権では個人・団体ともに優勝している。この時代の卓球というのはどういうものだったのか。古老に聞いてみた。

私は前々から大関行江選手に興味があった(前記事「ツッツキ主戦型」)ので、この選手がどういう戦い方をするのか尋ねてみた。

それによると、大関選手は四天王寺高校で頭角を現し、チームメイトの小野(前陣速攻)、大村(ドライブ型)両選手とともに非常に強かったのだという。小野選手は当時は珍しい、中国的なスタイルで、前陣でバンバン打っていくタイプ。大村選手も女子としては珍しくドライブで攻撃するスタイル。ドライブで攻撃なんて当たり前だと思われるかもしれないが、当時はマークVなどの性能のいい裏ソフトはまだ発売されておらず、ふつうの非力な女子選手はループで持ち上げるドライブしかできなかったのだという。

大関選手はツッツキ主戦型と言われるだけあって、ツッツキが優れていた。もちろんツッツキだけで勝てるわけはないから、ツッツキとスマッシュの組み合わせで勝つというスタイルだったのだという。

大関選手のツッツキは、頂点を振り下ろすように切る、今のカットマンのようなツッツキで、バックのツッツキはフリスビーを投げるように腕を折りたたんで手首を利かせてガツンと切るためにとんでもなく切れている。もし、こんな低くて速い、切れたツッツキを相手に打たれたら、どうすればいいだろうか。ドライブで持ち上げるしかない。といっても当時のラバーは低性能だったため、なかなか持ち上がらず、ネットにかけてしまう。がんばってループドライブで持ち上げてきたところを待ち構えていて、上からスマッシュをお見舞いするというスタイルだったらしい。

「そういう持ち上げてきたドライブをスマッシュする練習ばっかりやってたんやろな」

スマッシュの精度は非常に高かったのだという。

「でも、そんなにツッツキが上手いなら、ツッツキさせないように相手は横回転ロングサーブとかナックルとかを出したらいいんじゃないですか?あるいはツッツキに対してフリックしたりとか。」

「いや、それがロング戦も上手なんや。バックのブロックが固くて、相手が打ってきても全部止めよる。チャンスがあれば、フォアでバシンや。」

「じゃあ、鋭いツッツキを打たれたら、持ち上げずにツッツキで返したらいいんじゃないですか?」

「大関さんはツッツキが武器なんや。ツッツキ合戦になったらジリ貧やで。」

なるほど。隙がない戦型だったんだなぁ。4回も全日本で優勝するわけだ。

「ツッツキといえば、長谷川さんのツッツキも切れとったでぇ。ドライブやロビングが有名やけど、ガツンと切るツッツキはなかなか持ち上がらんかった。」

「ストップは鍵本(肇)さんが抜群にうまかったなぁ。鍵本さんと河野さんは他の人とは別格やった。伊藤さんとか長谷川さんとかとやるときは、ちょっとは卓球の形になるんやけど、鍵本さんと河野さんとやると、もう、卓球をさせてもらえんかった。コースは全部ストレート。速いナックルで返ってくる。」

ガツンとツッツキを打つスタイルというのは現代ではあまり聞いたことがない。もちろん、全国レベルの卓球ではなく、草の根レベルの話である。こういうツッツキを身につけたら、私ももっと試合で勝てるようになるかもしれない。ストップが上手いという人も私の周りでは聞いたことがない。ドライブが速いとか、サーブが切れているとか、そういう人はよくいるが、実はツッツキとかストップといった守備技術を磨くのが上達の早道なのではなかろうか。

「私もガツンとツッツキを切りたいんですが、そういう鋭いツッツキは、ネットにかけたり、オーバーしたりで、難しいですよね。どうやれば安定するんでしょうか? 私は頂点前でツッツキすると安定すると思うんですが、鋭いツッツキは頂点前では打てませんよね?」

「当たり前や。頂点前でインパクトして、深い鋭いツッツキが打てるかいな。頂点か、頂点を少し過ぎたぐらいや。」

「じゃあ、頂点でインパクトするとして、どうやったら深くて鋭いツッツキが安定するんでしょうか?」

「そら、練習の積み重ねやろな。」

ツッツキ技術は一朝一夕に身につくものではないらしい。

本当は観に行くつもりじゃなかった。

会場で知っている人にバッタリ会ったりしたら、

「ホンマ卓球が大好きやねんなぁ」
「他にやることがないんやろなぁ」

などと思われてしまうからである。
土曜は朝は雨も降っていたし、どうしても観たい試合があったわけでもない。私にだってしなければならないことがたくさんあるのだ…。ただ、せっかく日本リーグが京都に来てくれたのに、盛り上げないでどうする!それでも卓球人か!という義の心が私を会場へと運んだのだった。当日券は1600円。前売りなら、コンビニで買えば1100円ほど。

さて、どんな準備をしたらいいのだろうか。ビデオカメラやお弁当を持っていくのは当然として、そうだ!飲み物を持っていかなくては。ブンデスリーガなどではビール片手に観戦などと聞いたことがあるが、ビール(っぽい飲み物)を買って飲みながら観戦するというのはいいかもしれない。でも、日本でそんなスタイルが許されるのだろうか…。もしビール(っぽい飲み物)を飲んで観戦していたら、私の前後左右3席分ぐらいは誰も座ろうとしないのではないだろうか。やっぱり麦茶にしよう(なお、会場でビールが売っていたので、ビールを飲みながらの観戦は問題ないようだ。1本400円だったが)。それから選手への差し入れというのもいいかもしれない。京都銘菓「阿闍梨餅」なんかを買っていったら喜ばれるかな。でも、「阿闍梨餅」は買える場所が限られている(本店かデパート)ので、10時にならないと買えない。それに選手たちはお菓子などの余分な糖分は禁止されているかもしれない。そもそも選手と接するチャンスがあるかどうかも分からない。ジャパンオープンのように選手席が観客席と別になっていて、差し入れなんかできる雰囲気じゃないかもしれない。まぁ、そういう条件の全てがクリアされたとしても、一体誰に差し入れを渡すのか?私は選手の誰かの熱心なファンというわけでもない。行き当たりばったりで、すれちがった選手に渡すというのも味気ない…差し入れはやめておこう(最終日の「ファンサービス」というイベントで選手にサインをもらえたりするチャンスがあるらしいと後で知った)

以前、神戸で行われたジャパンオープンで松平賢二選手が熱心な女性ファンからプレゼントをもらっているのを目撃した。私もひいきの選手を作らなければならないのだろうか。

よく野球やサッカーのファンはひいきの選手の背番号の入ったシャツを着たりしているが、卓球の場合はそういう熱狂的なファンというのは想像しにくい。もちろん好きな選手がいる人は少なくないだろう。しかし、用具はその選手と同じものを使い、その選手の試合をすべてチェックしているようなファンはあまりいないのではないか。私は国際試合なら、勝敗を気にするが、日本リーグでどのチームが勝つかということにはあまり興味がない。有名選手同士の対戦が観られたら、どちらが勝とうと、それで満足である。卓球のような「やる」スポーツと野球、バスケ、フィギュアスケートのような「観る」スポーツは、観客の求めるものが違うと思う。選手グッズなどよりも、用具やアパレルのバーゲンセールのほうが会場では人気があるのではないだろうか。

会場は京都市にあるハンナリーズアリーナ。昔は京都市体育館と呼んでいた。会場ではニッタクやジュウイック、ヤサカなどがシャツなどを売っていた。会場に着くと、2部の試合が行われていた。台は15台ほどあった。客の入りは400~500人といったところだろうか。なかなかの盛況である。これが午後になると、1部の試合がはじまり、500~700人ほど入っていただろうか。寂しい感じでは全然なかった。

2部といえど、当たり前だが、みんなメチャクチャ上手い。ほとんどがシェークで、大半がドライブ主戦型である。どの試合を観たらいいか分からない。男子は台から離れてすごいスピードのドライブを打ち合ったり、カウンターで鋭く攻めたりしている。目の前でMACHIDA BEATSという卓球教室の先生たちの女子チームの試合が行われていた。同じメチャクチャレベルの高い試合でも、男子の試合よりも、こちらのほうがとっつきやすい。観ていて少しは参考になりそうだ。男子の試合は私たち一般人のプレーとかけ離れていてあまり参考にならない。

それから次にどの試合を観よう?知らない選手ばかりである。

その中で目に止まったのがボッシュの藤岡選手である。
藤岡選手は非常にコンパクトなスイングで速いボールを打っていた。どうやったらあんなに小さなスイングで速いボールが出せるのだろう。男子選手のドライブは全身で跳び上がりながらフォアドライブを打つ選手も多く、打球後はバタンと足が鳴る人が多い。その中にあって藤岡選手は非常に静かに速いボールを打っていた。中高年は身体を大きく使ったドライブではなく、藤岡選手のようにコンパクトなスイングがいいに違いない。

このボッシュというチームはおもしろい。多くのチームがシェーク裏裏ドライブ型ばかりなのに対して、ボッシュは右ペン、左ペン、粒高(あるいは半粒)の選手もいて、バリエーションに富んでいる。がんばってほしいものである。

その後、ボッシュの右ペンの選手が藤ミレニアムの左ペンの選手と対戦していた。日ペン同士の対決である(後で確認したら、一方は中ペンだった)
藤ミレニアムの選手はあからさまにテキトーに試合をしている感じだった。チャンスボールが来ても、3~4割の力でフワッとしたドライブを打ってみたり、すぐに下がってロビングしてみたり。サーブはボールを受け取るそばから出していた。たぶんちゃんと身体を静止させず、相手も見ずにテキトーにサーブを出していたと思う。

が、ボッシュの選手を軽くあしらっていた。誰だ、あの選手は。名前は…李選手か。そういえば!

leejungwoo
元韓国代表のイ・ジョンウ選手だった。

日本リーグに参戦すると耳にしたことがあるが、2部だったとは。
それにしても元韓国代表と日本リーグ2部の選手というのはこれほどまでに差があるのかと驚いた。

この藤ミレニアムというチームもおもしろい。監督は中国人だし、いろいろなバックグラウンドの選手が集まっているようだ。

卓球エリートばかりではないチームというのは個人的に応援したい。

今回は日本リーグのレギュラーチームではないが、京都選抜という京都の大学生を中心にした今回限りのチームが2部に参戦していた。京都人としては、彼らの試合は見逃せない。

なんなんだ!あの美人は。
PB150008

マネージャーかもしれない。本当に選手だろうか?

日本リーグ女子

選手だった。

なんなら、彼女主演で卓球映画が1本撮れそうなかわいさである。あんなに美人だと、変なオジサンに声をかけられたり、しつこく付きまとわれたりしないだろうか。心配である。名前はあえて伏せておくことにしよう。

なんやかやで2部の試合もけっこう楽しめた。みんなレベルが高いので、強さという側面よりも、選手の個性や試合のバラエティーで楽しめた気がする。


詞書きを忘れていた…
卓球を再開して10年ほどになった。【中略】そうなる前に私がこの10年ほどで経験したことを記しておこうと思った。

-----------

卓球を再開したころ、私はフォア打ちやバック打ちといった単純な練習が好きな一方、試合形式の練習はきらいだった。
フォア打ちやバック打ちは比較的ミスが少なくて、長い間ラリーが続く。イレギュラーなボールが来てもちょっと動いて返球できたし、早いピッチで打ったかと思ったら、緩いボールを打ったりして、自在にラリーをコントロールできた。その自在さが楽しかった。

しかし、ある程度基礎的な練習が終わり、回転やコースの自由なオール形式の練習となると、とたんにラリーが続かなくなった。こちらからサーブを出して、相手がレシーブし、それを3球目で強打しようとしてミス。たまに私の待ち構えているところにドンピシャのボールが来たときは3球目で気持ちよく強打できたのだが、そんなおいしい話はそうそうなく、たいていは自分がなんとなく待っているところではないところにボールが来るので、私の3球目が台に入ることは少なかった。もし3球目をドライブ強打ではなく、ツッツキで待っていたとしたら、ラリーが続いたのかもしれないが、3球目や5球目をツッツキで対応し、チャンスボールが来るのをジッと待つなんてできなかった。そんな初心者みたいなラリーを続けるぐらいなら、豪快に打ってミスしたほうがマシだぐらいに思っていた。

そんな3~4球目でラリーが終わってしまう練習よりも、フォアドライブ対ブロックといったワンコースの練習のほうがずっと楽しかった。フォアドライブがだんだん安定してきて、いくらかラリーが続くようになってきたし、威力も増してきた。わずかながら上達を感じることもできた。しかし、オール練習になると、相変わらずミスばかりでちっともおもしろくなかった。

卓球教室で上手な中学生たちや先生などはどこにどんなボールが来てもミスせず返球でき、台から離れて大きなラリーになることもしばしばだった。楽しそうだった。どうして私はああいうプレーができないのだろう?先生に聞いてみた。

「しろのさんは、何も考えずに3球目を待ってるでしょ?」

え?何も考えていないということはない。私だってちゃんと考えている。3球目はどこにどんなボールが来るだろうと集中して考えているけれど、いつも私の想定の外のボールが来てしまうのだ。

「さっき、相手のバック側に下回転サーブを出しましたよね。どうしてですか?」

どうして…? どうしてかな。フォア側にサーブを出したら、相手がドライブ強打を打ってくるかもしれない。バック側なら、相手もバックドライブ強打を打つのは怖いだろうから、安全かなと思ってそこに出したのだが。

「いや、そうじゃなくて、どんなレシーブを期待してバック側に短いサーブを出したんですか?」

期待? 強打してほしくないなぁという期待はあったが…。

「短いサーブを出せば、短いレシーブが返ってきやすいですし、長いサーブを出せば、長いレシーブが返ってきやすいです。バッククロスにサーブを出せば、こちらのバッククロスにサーブが返ってきやすいです。そういう狙いがあってバック側にショートサーブを出したんじゃないんですか?」

そんなバカな。バッククロスにサーブを出したら、相手はこちらのバック側にレシーブしようがフォア側にレシーブしようが自由なはずだ。こちらのサービスに対して相手がこちらに都合よくレシーブを返してくれるはずがない。

「たしかに100%じゃないですよ。でも人間の心理としてバッククロスに来たボールは無意識にバッククロスにレシーブしたくなるんです。サーブのボールのスピードが速かったり、バックサイドを切るサーブだったり、ギリギリまでどこに来るか分からなかったりして、そのサーブに対する相手の準備が不十分ならなおさらバッククロスに返ってきますよ。ストレートよりもクロスのほうが台の距離も長いので、ミスしにくいですし。」

台の距離…今まで気にしたこともなかった。たしかにストレートよりもクロスのほうが距離が長い。ということはクロスのほうがオーバーミスしにくいということか。

「何の目算もなく、どこに返球されるか見当もつかないレシーブを3球目で強打するなんて至難の業です。サーブで相手のレシーブをある程度誘導して、だいたいバック側に7割、フォア側に3割の確率で返球されるだろうと期待しながら3球目を待つものですよ。」

サーブで相手のレシーブを誘導する? そんなこと、考えたこともなかった。みんなそんなことを考えながらサーブを出していたのか。しかし本当にそんなことが可能だろうか。

そういえば、昔、パチプロだった人に話をきいたことがある、パチンコで勝つかどうかは運だけではないと。

その人は勝負する台を雑誌で徹底的に調べ上げ、同志数人とチームを組み、ある一定額以上打ってダメならあきらめ、同志で情報を共有し、勝てるときは徹底的に勝つのだと。

「何も対策を講じずになんとなく打ってたら、負けるようにできているんですよ。あっちも商売ですから。」

その人はパチンコで家を買ったんだそうだ。現在はどんなにがんばっても利益が出ないので、廃業したらしいが。

私の卓球は無為無策の行き当たりばったりだった。なんとなく「台のミドルあたりに長いボールが来たら、フォアドライブをガツンと打ってやろう」程度の考えしかなかった。ということは、私がいつも勝てない人は、そんなことを考えながらサーブを出しているということだろうか。サーブに限らず、レシーブやすべての打球を計算しながら返しているということだろうか。私がミドルあたりのボールを待っていることを見越して、わざとそこを外して返球していたとしたら…3球目強打なんかできるわけがない。

1301
カイジを初めて読んだとき、このモブキャラの気持ちが痛いほどわかった。

私は自分のナイーブさがおそろしくなった。

今では多少は考えながら卓球をするようにしているのだが、いまだに自分の思ったところに返球を誘導できているとは思えない。しかし、卓球を再開したばかりのころのように何も考えず卓球をすることはなくなった。

卓球を再開して10年ほどになった。【中略】あと数年すれば、こういう当たり前のことを発見した感動や喜びを忘れてしまうかもしれない。そうなる前に私がこの10年ほどで経験したことを記しておこうと思った。

------------

相手のツッツキを3球目で上手くドライブした後、相手はそれをブロックで返球し、私が5球目でオーバーミス。

こんなことがよくあった。

その原因に気づいたのは卓球を再開してからだった。中学生のころはその原因に気づかず、フィーリングで3球目や5球目をドライブしていた。

当たり前のことだが、3球目は下回転に対するドライブなので、ボールの後ろを上方向にこすり上げなければならない。しかし5球目は相手にブロックされたボールなので、上回転になっている。3球目と同じスイング方向でこすり上げればオーバーミスになってしまうのは当然である。5球目はボールの上の方をこすって前方向にスイングしなければならない。3球目と5球目はスイングの方向を変えなければならない。

上の例は3球目と5球目の回転の方向が逆なので分かりやすいが、同じ回転のボールをドライブするときでも、上方向と前方向のスイングを区別しなければならない。

たとえば相手の横回転ロングサービスをドライブでレシーブすると想定してみよう。

そのような下回転要素の少ないボールは、ボールが頂点に達するまでは前方向にドライブしても落ちない。逆に頂点を過ぎた後は上方向にドライブしないと落ちてしまう。頂点に達するまではボールに上方向(と前方向)に向かう力が働いているので、スイングを前方向(さすがに水平ではないが)に振っても、ボールはラバーに押し付けられ、しっかりグリップする。逆に頂点を過ぎてボールに下方向の力が働いているときは、下回転がほとんどかかっていなくても、予想以上にボールが落ちる。上方向(さすがに垂直ではないが)に持ち上げなければならない。

上回転のボールでもたぶん同じである。台から離れてドライブの引き合いなどをしているときは、ボールは頂点を過ぎて下方向への力が働いている場合が多い。その場合はかなり上方向にスイングしないとボールがネットを越えない。

daten
上の図でA打点は、バウンド直後のストップやツッツキを打つときの打点である。低すぎてドライブは打てない。

B打点からC打点にかけてのボールはスイングを前方向ぎみに振らなければオーバーミスになる。
D打点からE打点にかけてのボールはスイングを上方向ぎみに振らなければネットミスになる。
同じ回転のボールでも打点によってスイング方向を変えなければならない。

ボールの打点に応じてスイング方向を変えるというのは、逆に言えば、スイング方向に合わせて打点を変えればいいとも言える。というか、後者の方がむしろ有利かもしれない。

相手がツッツキをしてきた。

「よし、上方向に持ち上げるぞ!」

ではなくて、

「よし、頂点前で前方向にドライブだ!」

のほうがラリーを有利に進められるような気がする。
ドライブが安定するかどうかはボールの回転を読むだけでは足りない。ボールのアスペクト――ボールが跳ね上がってこちらに向かっている途中なのか、はたまた力を失い落ちていく相なのか――を考慮に入れなければならない。

なお、カウンタードライブは早い打点のB打点で打つが、上方向に小さくスイングするといいと言われる。あいにく私はそういう高度なレベルのことは分からない。また、スイングの方向は上方向のまま、5球目はガバッと後ろに下がって、DやEの頂点を過ぎた打点で打つという方法もあるかもしれない。

以上は現時点での私の理解にすぎないので、間違いも多々あると思われる。

今週、京都市に日本リーグがやってくる。

日本リーグ_ページ_1

阪急電車の烏丸駅(地下鉄なら四条駅)から西京極駅下車。190円。歩く時間も含めて20~30分ほど。
京都駅からなら、市バス「西京極運動公園前」下車。230円。歩く時間も含めて40~50分ほど。

11/15(水)~17(金)までは無料。
11/18(土)と最終日19(日)は有料。コンビニのチケットで前日まで前売り券が購入可能らしい。当日券は1600円。コンビニで前売り券を購入すれば、1000円+手数料100円ほどだと思う(実際に買ってはいないので、間違っているかもしれない)
平日に行きたいが、17時ぐらいで終わってしまうとなると、学校や仕事のない人しか行けない。21時ぐらいまでやってくれればありがたいのだが。

タイムテーブルをみると、以下のようになっている。
(水)16:00~17:30ごろ?
(木)10:00~17:30ごろ?
(金)9:30~18:00ごろ?
(土)9:30~18:00ごろ?
(日)10:00~11:00ごろ? 13:30から30分ほど「ファンサービス」というのがあるようだ。

終わる時間はあいまいである。試合の進行状況によって早く終わったり、遅くなったりするのだろう。
有料にもかかわらず、日曜の試合が1時間ほどで終わってしまうのは残念である。

大阪にはよく来ているのだが、京都市に日本リーグが来たという話は聞いたことがない。以前に来ていたとしても、おそらく何年も前のことだろう。アクセスは悪くない。料金もリーズナブルだ。しかしなかなか私の都合と合わない。

最近、ネットでワールドツアーやT2などの多くの国際大会を観ることができる。卓球の試合は、もうおなかいっぱいだという人も少なくないだろう。しかし、画面越しに見るのと、生で見るのではやはり違うと思う。生でないと気づかないこともたくさんあるはずだ。

ちなみに他競技の料金と比較してみる(全て前売り)と、

【バスケ】京都ハンナリーズ対島根スサノオマジック 2017-18 B1リーグ戦
2017/12/9(土)
18:05 開演 ( 14:30 開場 )
会場:ハンナリーズアリーナ (京都府)
2000円~4500円

【バレーボール】
2017/18 V・プレミアリーグ女子 尼崎大会
〈久光製薬スプリングス-トヨタ車体クインシーズ 〉/〈JTマーヴェラス-上尾メディックス 〉
2017/12/3(日)
13:00 開演 ( 11:00 開場 )
会場:ベイコム総合体育館(尼崎市記念公園) (兵庫県)
1800円~3500円

【サッカー】ヴィッセル神戸対サンフレッチェ広島 明治安田生命J1リーグ
2017/11/18(土)
14:00 開演 ( 12:00 開場 )
会場:神戸総合運動公園ユニバー記念競技場 (兵庫県)
2200円~6300円

【相撲】
平成二十九年冬巡業 大相撲北九州場所
2017/12/11(月)
08:00 開演 
会場:北九州市立総合体育館 (福岡県)
2000円~14000円

コンサート等と比較してみると、
【ロック】
 会場:ワールド記念ホール(神戸ポートアイランドホール) (兵庫県)
BUMP OF CHICKEN 
立見ブロック指定 8,640円
スタンド座席指定 8,640円

2017/12/9(土)
18:00 開演 ( 16:00 開場 )
会場:東京ドーム (東京都)
THE YELLOW MONKEY
指定席 9,720円

【クラシック】
2018/2/10(土)
18:00 開演 ( 17:00 開場 )
会場:NHKホール (東京都)
マーラー(交響曲第7番ホ短調「夜の歌」) [指揮]パーヴォ・ヤルヴィ 1500円~8,800円

【演劇】
地球ゴージャスプロデュース公演Vol.15
「ZEROTOPIA」【東京公演】
2018年4月9日 (月) ~ 5月22日 (火)
TBS赤坂ACTシアター
チケット料金:S席 ¥12,000 / A席 ¥9,500 / B席 ¥8,500(全席指定・税込)

「近松心中物語」
2018/1/10(水)
18:30 開演 ( 18:00 開場 )
会場:新国立劇場 中劇場 (東京都)
[作]秋元松代 [演出]いのうえひでのり [出演]堤真一 / 宮沢りえ / 池田成志 / 小池栄子 / 市川猿弥 / 立石涼子 / 小野武彦 / 銀粉蝶 / 他
SS席 10,500円
S席 9,500円
A席 7,000円
B席 5,500円

一流の文化を生で楽しむのはお金がかかるものだ。その中にあって卓球のお得さは際立っている。


卓球を再開して10年ほどになった。再開したばかりのときは、いろいろ疑問があり、驚きや発見があったのだが、今、振り返ってみると、当たり前のことばかりである。このような経験の記憶がどんどん薄れてきていることは惜しむべきことと感じる。初心者や初級者はこういう当たり前の情報がほしいのに、当たり前のことなので、なかなか取り上げられることがないし、上達すれば気にも留めなくなってくる。私もあと数年すれば、こういう当たり前のことを発見した感動や喜びを忘れてしまうかもしれない。そうなる前に私がこの10年ほどで経験したことを記しておこうと思った。

-----------

私の仕事が多忙を極め、残念ながらCさんの卓球教室には行く余裕がなくなってしまった。
その後、仕事の余裕ができるたびにあちこちの卓球教室に通ってはやめ、ということを何回かやった。仕事が忙しくなってくると、通えなくなり、申し訳ないが、数ヶ月でやめさせていただいた。

それで分かったことは、卓球が我流でうまくなることは非常に困難だということだった。

最近はWRMの動画をはじめ、数多くの指導動画が手軽に観られるので、指導者につかずとも、独学で卓球が上達する道も拓けたが、指導者なり、指導動画なりの上級者の知見を知らずに完全に我流で上達するのは相当難しいのではないかと思う。

卓球教室の指導者というのは、だてに卓球で飯を食っているわけではない。一般愛好家が自力で気づくのがかなり難しい卓球のコツを数多く知っているのだ。もちろん全ての指導者というわけではなかったが、意識の高い指導者はそういうコツを知っている。そして上級者と呼ばれる人はそういうコツをもれなく身につけている。

ある卓球教室に初めて行ったとき、指導者にドライブを打ってみるように言われ、私は指導者にブロックしてもらって自慢のフォアドライブを連打してみた。そのころの私はフォアドライブの威力だけには自信があったのだ。何本か全力のフォアドライブを打ち込んだ後に言われたことは、意外な言葉だった。

「それはドライブというより、スマッシュに近いですね。」

どういうことだ。スマッシュというのはバチンと叩く打法で、ドライブはこする打法だ。私はボールをこすっているではないか。

「厚く当てすぎていますよ。」

厚く当てる?厚いってなんだ?厚いがあるということは薄く当てるということもあるのか?

つまり、こういうことだった。私はドライブでボールを落とさないように、できるだけ強い力でボールをラバーに押し付けて、引っかけようとしていたのだが、打球の衝撃がラバーのスポンジを完全に押しつぶし、その衝撃はスポンジを通り越してラケットの木にもろに達していたため、ラバーでボールを引っかけている途中で木がボールを弾き出してしまっていたというわけなのだ。

sponge

下回転をドライブしたときにボールがネットに引っかかってしまった。

そんなとき私はいつも考えていた、

「ラケットをボールにぶつける力が足りなかったのだ、もっと思い切りラケットをボールにぶつけて、グッと押し付ければ落ちないはずだ」

と。

ボールを落とさないようにしっかりとラケットをボールに押し付けようとすればするほどボールはラバーに引っかかる前に飛び出してしまう。私は押し付けが足りないとばかりにもっと強い力でボールにラケットをぶち当てようとする。すると、ラケットの木材の部分がもっと早くボールを弾いてしまう。たしかに最適のタイミングと渾身の力でラケットをぶち当てれば、すごいスピードのボールが突き刺さるように相手コートに入ることもある。が、厚く当てれば当てるほどボールのスピードはどんどん速くなり、タイミングもどんどんシビアになってくる。安定しない。ドライブというのはある程度スピードを犠牲にして弧線を描くことによって安定性を高める打法である。ガツンと当ててほんの少ししか回転のかかっていない直線的なボールはスマッシュと択ぶところがないのだ。

一般的なドライブは、当てを薄めにしなければならない。それが厚すぎると、「スマッシュっぽいドライブ」や「ドライブっぽいスマッシュ」になってしまう。こういう打ち方は我流の卓球をしてきた人に少なからず見受けられる。こういう人は軽くドライブすることができない。ドライブはガツンとぶつけながらドライブしないと落ちると思っているからだ。

上手な人はできるだけインパクトの衝撃をラケットの木で受け止めず、ラバーの層(表面のシートおよびスポンジ)でボールを引っかけながら飛ばしているのだ(ただ、威力のある、決め球としてのドライブなら、ある程度ラケットに当てなければスピードがでないかもしれない)。

この経験から私は自分の卓球が安定しない要因の一つを理解すると同時にボールが入るかどうかは感覚ではないと知った。ミスが少なく、安定している人は、針の穴を通すようなシビアなタイミングを機械のような正確さで打球しているからではない。安定させるコツを知っているのだ。


子供叱るな来た道だもの 年寄り笑うな行く道だもの
来た道行く道二人旅 これから通る今日の道
通り直しのできぬ道


卓球を再開して10年近くになろうか。
中学時代まで卓球部に所属していたが、なにぶん田舎だったもので、環境がひどかった。指導者がいないのはもちろん、上手な人もいない。せいぜいシングルで県大会に出場して2回戦に進めるかどうかという先輩が4~5年前にいたという程度だった。大きな大会が開かれることもないから、全国レベルの選手のプレーを目の当たりにすることもなかった。卓球用具を買うためには自転車で40分もかかる道をからっ風の中の走らなければならなかったし、そういう店でしか『卓球レポート』は売っていなかった。情報は皆無に近かった。

Appelgren

当然の帰結として我流の卓球にならざるをえない。ロングサーブとショートサーブの違い(台上で2バウンドするかどうかなど気にしたことがなかった)も知らず、ボールの質の違いなどお構いなしで、腕力だけでがむしゃらに両ハンドを振るだけの卓球。とにかくスピードのあるボールを打つことしか考えていなかった。行き当たりばったりで、イチかバチかの感覚勝負。これじゃ上達するはずがない。
安定性とも無縁だった。調子がいいとき(数か月に1度しかない)は何でも入るし、調子が悪い時は何も入らない。

どうして調子が悪いのか自分で分からないので、原因帰属はいつも「外的」。

「ラバーが悪いのかな?」
「相手が変なボールばかり打ってくるから調子が狂う」
「今日は入らない日だ…」

そんな山猿のような卓球をしていた自分が二十数年ぶりに卓球を再開し、現代の最新の卓球に触れた時の驚きと言ったらなかった。

「卓球ってこんなに深く、繊細なものだったのか!」

それからもう10年近い歳月が流れ、あのころの感動や記憶が薄れつつある。その記憶が残っているうちに私の覚えた感動や発見を少しでも記しておきたい。今から考えるとなんてことのない、当たり前のことばかりなのだが、初心者や情報のない卓球人のためにこういう私の経験は記すに値するのではないか。

----------

久しぶりに卓球と再会したのは、義理からだった。

知り合いのCさんが卓球のコーチをしていて、「よかったら、教室に来てみませんか?」と誘われたことがきっかけだった。卓球には全く興味を失っていた私だが、Cさんは定職がなく、生活も不安定だったので、私が卓球教室の生徒になって月謝を払い、少しでも助けてあげられたらと思ったのだった。また当時私は仕事のストレスや運動不足、不規則な生活から体調が悪く、人間ドックで内臓脂肪がついていると言われたので、運動でもしてみようと思っていたのだった。

用具はその知り合いからいただいた。

もちろん聞いたこともないラバーが貼ってあった。

「狂…このラバー、なんていうラバーなんですか?」

「キョウヒョウです。中国の粘着ラバーですよ。」

あぁ、そういえば中学の時の先輩がチョコレート色の中国粘着ラバーを貼っていたなぁ。中国のラバーはみんなこういう感じなのかな。マークVやスレイバー、タキネスで中学時代を過ごした私にはキョウヒョウがとりたてて弾まないとは感じなかった。しかし、なんだか日本のラバーとは違った感じだった。何が違うんだろう…。なんとなく、ゴム(シート)が汚くて硬い感じがする。日本のラバーは黒でももっと透明感のある黒だった感じがする。裏にはモリストというラバーが貼ってあった。ニッタクのラバーだが聞いたことがない。というか、ニッタクのラバーってあまり印象にないなぁ。中国ラバーはニッタクからしか発売されていなかったと思うが、ラバーといえば、ヤサカかバタフライ。表ソフトならTSP。他はあまり見たことがなかった。ニッタクはボールぐらいしかイメージがなかった。

「ラケットは5枚合板だから扱いやすいですよ。」

え?板が何枚かとか気にしたことがなかった。5枚合板だと扱いやすいのか。

それから何度か教室に通っているうちにまた驚くべき事実を知った。同じラケットでも個体差があって、10グラムぐらい重さが変わるらしい。よく考えれば天然の素材を使っているのだからそういうこともあるだろうと思いいたったのだが、それを見越して重量の重いラケットや軽いラケットを卓球ショップで選んで買うことができるというのを聞いて驚いた。今の卓球ショップにはそんなサービスがあるのか!いや、昔からあったのかもしれないが、私が田舎にいたころは聞いたことがなかった。というか、そんな10グラム程度のラケットの重さを気にする人がいることにも驚いた。そんなの誤差の範囲でしょ?どんだけ神経質なんだ!

それからラバーに硬度があるというのにも驚いた。私が昔卓球をやっていたころは、「スレイバーはなんとなく硬い感じがする。マークVのほうが打っていて気持ちいいなぁ」ぐらいしか気にしていなかったのに。38度だの、42度だの、そんな数値を聞いても硬さがさっぱりイメージできない(今でもよく分からない)。かつての私がラバーを選ぶときは、値段、厚さ、弾みだけで選んでいたが、現代ではそれに硬度とか、テンション加工の有無という要素が入ってくるようだ。スポンジの厚さというのは私の中では特厚、厚、中、薄ぐらいの区別はあったが、2.1ミリとか2.2ミリとか、中とか中厚とかゴクウスとか、現代ではもっと細分化されているようだ。私の周りでは「特厚」というのはちょっと弾みすぎなので、厚ぐらいを選ぶ人が多かったのだが、現代では男子の攻撃型の人はほとんどが特厚というか2.2ミリを選んでいるようだった。テンションって何だ?よく分からないが、これがあることによってよく弾むらしい(それだけではないというのは後で知る)。しかし、弾みすぎてもよくないんじゃないだろうか…。私はテンションラバーとか特厚にはあまり興味を引かれなかった(今ではテンション+特厚である)。ラバーで驚いたことの極めつけは、ラバーの重さを気にする人さえいることだ。ラクザ7よりもラクザ9のほうが重いから、7を選ぶといった会話を聞いたときはたまげた。ラケットの10グラムの重さよりもさらに微々たるものではないか。そんな違いがプレーに影響するものだろうか。上級者になると、同じラクザ7でも、個体差があるので、より自分に合う重さのものを選ぶのだという。

ボールのサイズが38ミリから40ミリ超となり、あれだけ隆盛を誇ったペンホルダーは今や少数派となり、アンチラバーは絶滅寸前。粒高ラバーにとってかわられた。接着剤は木工用ボンドのような貼りにくいものに変わっていた。

用具についての驚きもさることながら、当時の私にとっての驚きは、自分が下手だったということである。

地元ではけっこう強いと他校からマークされる存在で、1年生からレギュラーだった。ブランクは長かったが、今再開しても、卓球を始めて1~2年の中学生には負けないだろうと思っていたのだが、教室の女子中学生に負けてしまったorz。
コーチからははっきりとは言われなかったが、どうやら私の卓球は典型的なムチャ打ち卓球、ぶちかまし卓球で、相当矯正しなければ上達は難しいということらしかった。

【追記】171112
よく「何年も使っていると、湿気がラケットの内部深くに入り込み、弾みが悪くなる」と言われるが、本当だろうか。
もしかしたら、長年の打球による衝撃で板の繊維がつぶれ、弾力がなくなるのではないだろうか。「雨垂れ石を穿つ」というではないか。あるいはラバーの張替えなどによる表面の板へのダメージなどから板の繊維が寸断されて弾みが悪くなるのかもしれない…などとなんとなく思ってみたりする。




松平健太

https://youtu.be/RrQ55sZ6b4s?t=80

matuken01

matuken02

matuken03

説明はいらない。




切り替えの練習をしているとき、こんなことがあった。

フォアはしっかりと力を入れて打たないと、速いボールが打てないのに対して、バックは軽く振るだけで鋭くて速いボールが行く。
言い方を変えれば、入れる力に対する打球のパフォーマンスは、バックのほうが高いということである。絶対的な打球の威力はフォアハンドのほうがあるのだが、バックのほうが効率よく力が加えられるのだ。

フォアハンドは力がいろいろなところに逃げてしまっているのに対し、バックハンドは少ない力を一点に集中できるから効率がいいのではないだろうか。だとすると、力を逃さない秘密がバックハンドにはあるのではないだろうか。

両ハンドで軽くドライブをかけながら、その秘密がどこにあるのかを探ってみた。

一つは打点である。

フォアハンドは自分の身体の側面近くで打球することから、打点が遅くなりがちである。私の場合、切り替え練習の時などは頂点を少し過ぎてしまう。それに対してバックハンド(裏面)は自分の前方で打球することから、打点は頂点前、というより、バウンド直後になりやすい。

二つ目はラケットの面の角度とスイング方向である。

フォアハンドドライブは私の場合、斜め45度ぐらいにボールをこすり上げているのに対してバックハンドドライブはかなり面を寝かせて20度?ぐらいの角度でボールの上の方を前方にスイングしている。ボールがバウンドして上に上がろうとするときに台上でラケットを真上からかぶせているような感じである。

バウンド直後のボールが上に上がろうとする力はあなどれない。

41eAXJ+DtGL

台の足のこういう隙間にボールがバウンドして挟まった時、ものすごい勢いで上下移動を繰り返す。

ピンボールでボールがバンパーに弾き飛ばされているような感じである。
pinball
この部分

この上に上がろうとする力をうまく利用すれば軽い力で速いボールが打てるのだろうか。

とすると、フォアハンドも早い打点をとらえて、台上で上からかぶせるように打てば、速いボールが打てるということだろうか。

結論は出ていないが、以上である。


今日は文化の日。

文化といえば、芸術。芸術といえば絵画(たぶん)

世間では有名な画家の展覧会ともなると、会場に入場制限がかかるぐらいの行列ができるようだ。私はお金を払ってまで絵を見ようという熱意はないが、見る人が見れば、きっと多くの発見があるに違いない。

エドゥアール・マネは日本で言えば明治時代ぐらいのフランスの画家で、「オランピア」という娼婦を題材にした作品を発表し、不道徳だということで社会の不評を買い、

300px-Edouard_Manet_038

スペインに逃亡していたときに描いた絵が「笛を吹く少年」なのだという。

200px-Manet,_Edouard_-_Young_Flautist,_or_The_Fifer,_1866_(2)

ウィキペディアの上述の説明がよくわからない。絵のモチーフがなんだろうが、現代の私たちにとっては大した問題ではないだろう。画家がISの戦闘員を描こうと、安倍首相の変顔を描こうと、私たち(の多く)は、別に大して関心を持たないのではないか。それが、娼婦を描いたからといって、フランスに居づらくなり、スペインに逃げてほとぼりが冷めるのを待った…のように読めるのは、それだけ当時の絵画が社会に与える影響力の強さを物語っている。現代でいえば、当時の絵画は人気ドラマや映画のような位置づけだったのだろう。たとえば宮崎駿監督が性欲を描いたどぎついアニメを作ったら、ちょっとした論争が起こるだろう。おそらくそういう位置づけだったのだ。

まぁ、それはそうと、この「笛を吹く少年」は立体的な絵画が支配的なヨーロッパで、平面的な浮世絵の手法を試してみた絵なんだそうな。

卓球にも平面的な卓球と、立体的な卓球があるように思う。

ペン表の前陣の人なら、平面的で、カットマンなら立体的だろうか。しかしそれは私のもつステレオタイプで、実際は前陣速攻の人でも前後の動きをプレーにたくさん取り入れているかもしれない。

自分の中で整理できていないのだが、ポジションに前後の移動が多い卓球は立体的な卓球だと思われる。

それだけでなく、打ち方にも平面的な打ち方と、立体的な打ち方があるように感じる。

ブロックをするとき、完全にラケットを静止させて打球する場合は少ないと思う。たいてい腕を軽く前に伸ばしながら打っている。それを今度は上体を前後に揺すりながら同じようにブロックしてみると、ボールの威力と精度が増す気がする。上体を揺するといっても、はた目にはほとんど違いが分からないぐらいわずかに揺するだけである。それでも打った感じはずいぶん違う。威力だけでなく、リズムも出てくるので、このようなブロックは有効だと思う。

もしかしたら、上手な人は打つときにわずかに体を揺すっているのではないか?こういう観点は今までの私のプレーにはなかったので、新鮮だった。

フォアドライブではどうだろうか。今までは身体の軸を中心に円を描くように打っていたが、それを楕円を描くように身体を揺すりながらスイングしてみたら?腕の軌道が楕円を描くのではなく、身体ごと楕円を描く感じである。先日の練習で、この揺すり打ちを少し試してみたのだが、効果があったように感じた。上体を前後に揺らしながら打つと、体重移動ができ、動きにリズムが生まれ、足が動きやすくなり、威力も出るのではないかと見当をつけている。

また、いつもの気のせいかもしれないが、週末の練習で検証してみたい。

このページのトップヘ