「ご注文は?」
「じゃあ、いつもの。」
ドラマやマンガでしかみたことがないが、喫茶店でよくあるシチュエーションである。こういうやりとりをやってみたいと常々思っていた。
フォアとバックの基本打ちを5分ずつぐらいやり、相手に「5分ずつぐらいでお互いに課題練習しましょう。そちらの課題練習からでいいですよ」と言われて、「じゃあ、こちらはフォアでドライブするので、バックでブロックしてもらって、こちらのバック側2/3に返してもらえますか」と最近は答えることにしている。親しい相手なら「じゃあ、いつもの。」となる。これが私のいつもの練習である。
社会人なので、自分の練習ができる時間は限られている。初心者のような人とも打たなければならないし、同レベルの相手と打てたとしても、課題練習などを交互にしなければならないので、完全に自分だけの練習ができるのは1回2時間の練習で正味2~30分だろう。相手の課題の練習相手をするのが自分の練習にならないというわけではないが、やはり相手の練習のときは相手の求めるボールを返すのが最優先なので(前記事「こういう人、結構いるよね」)、自分が今、最も必要とする練習ができるわけではない。2~30分でできる練習となると、このフットワーク練習が最も達成感がある。
2~3年前は「そちらの好きな練習をどうぞ」と言われてよく困ったものだ。
一体私はどんな練習をすればいいのだろう?自分の課題といわれても、ほぼすべてが課題といっても過言ではないし、私の弱点に特に有効な練習というのも思いつかなかった。
「じゃあ、ショートサービスを出すので、バック側に長くつっついてください。3球目をバックにドライブしますから、そこからフリーで。」
などと、以前はとりあえず自分が気持ちよく強打できる練習をリクエストしてしまっていたのだ(前記事「3球目攻撃の難しさ」)。しかし、実際の試合でこちらのショートサービスを「どうぞ打ってください」とばかりにゆっくりバック側に長くつっついてくれる親切な対戦相手は稀だ。今、振り返って考えてみると、この3球目練習はあまり効果があったとは思えない。
最近私はとにかくフォアドライブを安定させたいと思っている。未熟な技術はいろいろあるけれど、それらをまんべんなく練習するよりも、一つでも自信のある技術を身に付けたいと思ったからだ。
以前は
「今日は調子が良い!フォアドライブがよく入る。」
などと思っていたが、フォアドライブに限らず、基本的な技術が入るかどうかは調子の波に左右されてはいけないはずである。
フォアドライブを安定させるというのは、どんなボールに対しても一定のボールを返せるようになるということである。相手が一般的な裏ソフトの場合と、表ソフトや粒高の場合ではブロックの球質が全く異なってくるし、ブロックが上手な人なら一定の場所に返球されてくるが、ブロックが下手な人なら荒れたボールが返ってくる。ふつうに当てるだけの打ちやすいブロックをする人もいれば、プッシュしてくる人もいる(初めのうちはこれにずいぶん悩まされた)。こちらが速いボールを打てば速く返ってくるし、遅く打てば遅く返ってくる。
体に近いボール/体から遠いボール
浅いボール/深いボール
下回転が強いボール/弱いボール
速いボール/遅いボール
等々。
この練習を通して、どんなボールが来てもこちらで調整して一定のボールを返せるようになるというのは私が思っていたよりもずっと難しいことだと分かった。
ワンコースであっても200本連続でドライブを成功させるのは私には至難の業だ
以前「今日はフォアドライブがよく入る!」といっていたのは、ようするに相手のボールがたまたま打ちやすい位置に、打ちやすいスピードと回転で返球されてきただけだったのかもしれない。翌週には全く入らなくなっていたということも珍しくなかったからである。相手のブロックに対してフォアドライブを連打するぐらい、大したことはないと思っていたが、実際に10~20本ほど連続して打ってみると、それほど単純な練習ではないと感じるようになってきた。
上で例に上げた4つの要素の組み合わせをおおざっぱに考えてみると
・体からの距離(左右):遠・中・近
・深さ(前後):浅・中・深
・回転の質:上・ナックル・下
・ボールのスピード:遅・中・速
3の4乗で81通りのボールが来ることになる(他にも様々な要素があるとは思うが)。
体に近いフォアミドルのボールを打つときと、体から遠いボールをフォア側に移動して打つ場合は、体の使い方や打ち方を少なからず変えなければならない。思ったよりボールが浅く、打点を落としてしまった場合はスイング方向を上にして、ゆるいボールでなければ安定して返球できないし、逆に深いボールのときは当てを薄くして、ラケットを上の方から出さなければならない。
一見同じようなボールに見えても、その内実は多種多様である。私は以前はこのような多様なボールに対して3~5種類程度の打ち方で対応しようとしていたと思う。それでその3~5種類程度の打ち方にうまく当てはまらないボールはミスしてしまっていたのだろう。今は球質をもっと細やかに見分けることができるようになり、より精度の高い打ち分けができるようになってきたので、かなりフォアドライブが安定してきた。
というか、そのように1球1球細かく打ち方を変えるよりも、フットワークを使って同じポジションで打つようにすれば、5種類ぐらいの打ち方で大抵のボールに対応できるようになると思われる。
このようにフォアハンドでの単純?なフットワーク練習を半年ほど続けているが、私は今、ようやくフォアハンドドライブが打てるようになってきたと感じている。今までは打ちやすい限られたボールに対してしか打てなかったフォアドライブが、今はどんなボールでも6~7割がた安定してフォアドライブが入るようになってきたのだ。そうすると、不思議なことに試合などの実戦のボールに対してもかなり安定してフォアドライブが入るようになってきた。ツッツキ打ちの練習などほとんどしていないのに、このブロック対フォアドライブの練習だけで、足が動くようになり、3球目のフォアドライブが安定してきた。「いつもの練習」を続けることにより、今まで気づかなかった球質の違いを見分けられるようになり、「このボールを前方向にスイングしたら、絶対オーバーするから、上方向に山なりのドライブを打たなければ」のようにボールに対する判断がより精密になってきたためである。
今のフォアドライブの練習が一段落したら、今度は切り替えの練習にも挑戦したいと思っている。フォア・バックの切り替えもやってみると、いろいろな発見があることだろう。このように単純な練習でも、長期間取り組むことは多くの初中級者にとってゲーム形式の練習よりも有益なのではないだろうか。
「じゃあ、いつもの。」
ドラマやマンガでしかみたことがないが、喫茶店でよくあるシチュエーションである。こういうやりとりをやってみたいと常々思っていた。
フォアとバックの基本打ちを5分ずつぐらいやり、相手に「5分ずつぐらいでお互いに課題練習しましょう。そちらの課題練習からでいいですよ」と言われて、「じゃあ、こちらはフォアでドライブするので、バックでブロックしてもらって、こちらのバック側2/3に返してもらえますか」と最近は答えることにしている。親しい相手なら「じゃあ、いつもの。」となる。これが私のいつもの練習である。
社会人なので、自分の練習ができる時間は限られている。初心者のような人とも打たなければならないし、同レベルの相手と打てたとしても、課題練習などを交互にしなければならないので、完全に自分だけの練習ができるのは1回2時間の練習で正味2~30分だろう。相手の課題の練習相手をするのが自分の練習にならないというわけではないが、やはり相手の練習のときは相手の求めるボールを返すのが最優先なので(前記事「こういう人、結構いるよね」)、自分が今、最も必要とする練習ができるわけではない。2~30分でできる練習となると、このフットワーク練習が最も達成感がある。
2~3年前は「そちらの好きな練習をどうぞ」と言われてよく困ったものだ。
一体私はどんな練習をすればいいのだろう?自分の課題といわれても、ほぼすべてが課題といっても過言ではないし、私の弱点に特に有効な練習というのも思いつかなかった。
「じゃあ、ショートサービスを出すので、バック側に長くつっついてください。3球目をバックにドライブしますから、そこからフリーで。」
などと、以前はとりあえず自分が気持ちよく強打できる練習をリクエストしてしまっていたのだ(前記事「3球目攻撃の難しさ」)。しかし、実際の試合でこちらのショートサービスを「どうぞ打ってください」とばかりにゆっくりバック側に長くつっついてくれる親切な対戦相手は稀だ。今、振り返って考えてみると、この3球目練習はあまり効果があったとは思えない。
最近私はとにかくフォアドライブを安定させたいと思っている。未熟な技術はいろいろあるけれど、それらをまんべんなく練習するよりも、一つでも自信のある技術を身に付けたいと思ったからだ。
以前は
「今日は調子が良い!フォアドライブがよく入る。」
などと思っていたが、フォアドライブに限らず、基本的な技術が入るかどうかは調子の波に左右されてはいけないはずである。
フォアドライブを安定させるというのは、どんなボールに対しても一定のボールを返せるようになるということである。相手が一般的な裏ソフトの場合と、表ソフトや粒高の場合ではブロックの球質が全く異なってくるし、ブロックが上手な人なら一定の場所に返球されてくるが、ブロックが下手な人なら荒れたボールが返ってくる。ふつうに当てるだけの打ちやすいブロックをする人もいれば、プッシュしてくる人もいる(初めのうちはこれにずいぶん悩まされた)。こちらが速いボールを打てば速く返ってくるし、遅く打てば遅く返ってくる。
体に近いボール/体から遠いボール
浅いボール/深いボール
下回転が強いボール/弱いボール
速いボール/遅いボール
等々。
この練習を通して、どんなボールが来てもこちらで調整して一定のボールを返せるようになるというのは私が思っていたよりもずっと難しいことだと分かった。
ワンコースであっても200本連続でドライブを成功させるのは私には至難の業だ
以前「今日はフォアドライブがよく入る!」といっていたのは、ようするに相手のボールがたまたま打ちやすい位置に、打ちやすいスピードと回転で返球されてきただけだったのかもしれない。翌週には全く入らなくなっていたということも珍しくなかったからである。相手のブロックに対してフォアドライブを連打するぐらい、大したことはないと思っていたが、実際に10~20本ほど連続して打ってみると、それほど単純な練習ではないと感じるようになってきた。
上で例に上げた4つの要素の組み合わせをおおざっぱに考えてみると
・体からの距離(左右):遠・中・近
・深さ(前後):浅・中・深
・回転の質:上・ナックル・下
・ボールのスピード:遅・中・速
3の4乗で81通りのボールが来ることになる(他にも様々な要素があるとは思うが)。
体に近いフォアミドルのボールを打つときと、体から遠いボールをフォア側に移動して打つ場合は、体の使い方や打ち方を少なからず変えなければならない。思ったよりボールが浅く、打点を落としてしまった場合はスイング方向を上にして、ゆるいボールでなければ安定して返球できないし、逆に深いボールのときは当てを薄くして、ラケットを上の方から出さなければならない。
一見同じようなボールに見えても、その内実は多種多様である。私は以前はこのような多様なボールに対して3~5種類程度の打ち方で対応しようとしていたと思う。それでその3~5種類程度の打ち方にうまく当てはまらないボールはミスしてしまっていたのだろう。今は球質をもっと細やかに見分けることができるようになり、より精度の高い打ち分けができるようになってきたので、かなりフォアドライブが安定してきた。
というか、そのように1球1球細かく打ち方を変えるよりも、フットワークを使って同じポジションで打つようにすれば、5種類ぐらいの打ち方で大抵のボールに対応できるようになると思われる。
このようにフォアハンドでの単純?なフットワーク練習を半年ほど続けているが、私は今、ようやくフォアハンドドライブが打てるようになってきたと感じている。今までは打ちやすい限られたボールに対してしか打てなかったフォアドライブが、今はどんなボールでも6~7割がた安定してフォアドライブが入るようになってきたのだ。そうすると、不思議なことに試合などの実戦のボールに対してもかなり安定してフォアドライブが入るようになってきた。ツッツキ打ちの練習などほとんどしていないのに、このブロック対フォアドライブの練習だけで、足が動くようになり、3球目のフォアドライブが安定してきた。「いつもの練習」を続けることにより、今まで気づかなかった球質の違いを見分けられるようになり、「このボールを前方向にスイングしたら、絶対オーバーするから、上方向に山なりのドライブを打たなければ」のようにボールに対する判断がより精密になってきたためである。
今のフォアドライブの練習が一段落したら、今度は切り替えの練習にも挑戦したいと思っている。フォア・バックの切り替えもやってみると、いろいろな発見があることだろう。このように単純な練習でも、長期間取り組むことは多くの初中級者にとってゲーム形式の練習よりも有益なのではないだろうか。