しろのたつみ



卓球について考えたこと、
気づいたこと(レベル低いです)
を中心に中級者の視点から綴っていきます。




2017年01月

当ブログでは皆様からの寄稿を募集しております。卓球について意味のある主張を発表したい方はshirono.tatsumi◯gmail.comまで原稿をお寄せください。

コメントについて:
コメント欄は他の読者が読んで意味のある情報交換の場としてご利用ください。当ブログの方針(察してください)に沿ったご意見は公開します。返信しにくい場合は公開のみとさせていただきます。指導者ではないので、技術的な質問には答えられません。中傷等は論外です。なお、メールアドレスは公開されません。

魂に動揺がないこと――女子中学生の卓球をみて

それゆえ快楽が人生の目的であるとわれわれが言う場合、その快楽とは、我々の説に無知な一部の者たちが誤解して考えているような性的・肉体的な快楽のことではなく、体に苦痛のないことと、魂に動揺がないことに他ならないのである。
エピクロス『メノイケイウスへの手紙』

子供を育てるというのは、もう一度人生を経験することでもある。幼児期、児童期、少年少女期をもう一度やり直せと言われたら、私は躊躇するが、大人の視点で子供の人生に自分を重ねて疑似的に追体験するというのは楽しそうだ。同じように初心者・初級者に指導するというのは、卓球人生の歩みを中級者・上級者の視点から追体験するという楽しさがあるのかもしれない。

日曜は特に予定がなかったので、知り合いの中学生の女の子が出る京都市の一番下の試合(個人予選)を観に行った。
京都市は中学校が多いので、学年ごとに8つぐらいのブロック(10校程度ずつ割り当て)に分かれ、 そのブロックでベスト8に入ったら、本選(京都市全体の試合)に進めるという仕組みらしい。知り合いの女の子は残念ながら予選敗退だったが、女子中学生の試合をじっくり見たのは初めてだったので、いろいろ勉強になった。自分が中学生の頃の卓球というのは、こんな感じだったのだろうか。当事者のときは自分の卓球がどうなのかよく分からないものだ

女子中学生の試合というと、ショートサービスからのツッツキ合戦というイメージがある。女の子は生物学的に?冒険はせず、慎重に行動しがちなので、強打よりも、安定性重視のストラテジーをとりがちだという解釈ができる。

が、実際に見た女子中学生のプレーは、必ずしもそうではなかった。サービスの構えは、石川佳純か、平野美宇か、というぐらいの本格的である。

佳純サーブ

そこからかなり切れた横回転ロングサービスを出していたし、第1球目としては問題らしい問題がないように見えた。ただ、サービスはほとんどが台から出ていてメリハリがなく、コースも単調だったのが残念である。たいていのサーブがバック側に長く来るので、回り込んでフォアドライブを打てば、かなり有利に試合を進められるはずだが、回り込みという「危険な賭け」に出る女子はほとんどいなかった。

また、全力のスマッシュをバンバン打つ子もいれば、バックハンドドライブを振るような子も珍しくなかった。しかも、そんな子はみんなきれいなフォームである。惜しむらくは、そのきれいなフォームから放たれるスピードのあるボールが決まることはそれほど多くなかったことである。これが本選の上位のほうにいけば、見た目と安定性のバランスが取れてくるのだと思うが、このレベルではフォームの美しさほどには安定性がないことが分かる。フォームだけを見たら、入りそうな感じなのである。ということは、練習の時は入っているのだと思われる。が、試合では入らない。
知り合いの子の試合も見たが、普段の練習の時の力が半分も出せていなかった。ふだんはもっと器用にボールを打っているのに…。

女子中学生の卓球を観て、おじさん卓球の問題点と重なる部分も多いと感じた。えらそうに上から目線になってしまったが、彼女たちの問題の半分は私たちの問題でもある。傍目八目、自分のことは分からないが、人のことだと欠点がよく見える。

私が感じた女子中学生(低レベル)の問題点は以下の通りである。

1.自分の打ったボールに自分で驚いている

相手のサービスの回転が読めていない。だからレシーブの時、びくびくしながら恭しくそーっとレシーブに入る。

bibiri
レシーブでゆっくり当てにいくと、回転の影響をもろに受ける

その結果、回転の影響を思い切り受けて、思い通りに返せない。低く短く返すつもりが高くエンドギリギリに浮かしてしまったり、バック側を狙ったつもりがミドルに行ってしまったりと、レシーブがあらぬ方向に行き、打った本人のほうがびっくりしてしまうのである(ちなみに相手もびっくりして、浮いたボールを強打し、ミス)。その「恭しくそーっとレシーブに入る」ために時間を0.3秒ぐらいロスし、次に自分の想定外のボールにびっくりして、また0.2秒ぐらいロスし、合計0.5秒ぐらい遅れてしまう。
相手サーブに対するレシーブだけでなく、ラリー中のボールでも、思った以上に自分のボールが深くなってしまって、「入るかな?」とボールの行方を追ってしまい、時間をロスする。もし想定内のボールが打てて、スムースに次の動作に移れたら、0.5秒も時間を節約でき、余裕をもって次のボールに対する心の準備ができていたはずである。

2.フットワークをほとんど使わない

ほとんどの打球で1の問題が起こることから、「あっ!」と驚いて、身体の動きが完全に停止してしまう。それで時間的な余裕がなくなってしまい、まず、目の前のボールをなんとか返球しなければという意識が先に立ってしまう。その結果フットワークに意識が向かわなくなる。本来、相手からボールが返球されたら(というか、その直前に)、まずフットワークでポジショニングをして、その後、打球という順に意識が向かわなければならないのに、余裕がないためにそれが逆転して、まず打球のほうから意識してしまうために、足が動かない。

3.つなぐボールが少ない
昔「男の子と違う女の子って 好きとキライだけで 普通がないの」という歌詞があったが、彼女たちの卓球は慎重にツッツキで行くか、強打で決めに行くかの二択で、つなぐボールが少ないと感じた。深く鋭いツッツキが来て、「もうツッツキで返せない!」と思ったら、ついイチかバチかの強打に走ってしまう。苦しいボールを打点を落としてとりあえず上にこすりあげて急場をしのぐ「つなぎ」という選択肢があれば、体勢も立て直せるし、もっと安全に次のボールに対してそなえることができると思うのだが。

彼女たちの卓球の問題点を一言でいえば、意識がボールに追いついていないということだと思う。
動揺するは、時間はないはで、次に返ってくるボールのことを考えるどころではない。

今度知り合いの女の子に会った時に試合のコメントなどをしてやろうと思う。あまり細かいことをしつこく言うと嫌がられるから、簡単に2つぐらいのポイントを指摘するにとどめよう。

「もっと自分の時間を作らないといけないよ」
「打ったらすぐ次のボールにそなえなきゃ」

それはそうなのだが、言われたとおりに時間のロスなく、打ってすぐ次のボールにそなえられるものなら、苦労はない。彼女たちは友達のちょっとした言動に深く傷つく多感な年ごろなのである。低く返したつもりなのにボールが浮いてしまったら、どうしても動揺するだろう。動揺するなというのが無理な話なのである。「自分の時間を作れ」というのは正論だが、そのためにはまずプレー中の心の動揺を取り除かなければならない。

1の、レシーブであらぬ方向にボールが行って動揺するというのは、どうすればいいだろう?
やはりいろいろな人のサーブを受けて回転がある程度読めるようになるしかない。これには長い時間がかかりそうである。

2の、フットワークをほとんど使わないというのは1球1球入るかどうか自信がないから下半身にまで意識が行かないということである。1球1球自信をもって打つためにはフットワーク練習が効果的だと思われる。

私は最近フットワークを使ってフォアドライブを打つ練習ばかりしているので、フォアドライブが安定してきた。打つときに「どのぐらい面をかぶせたらいいだろうか?」などと迷わずに無心でフォアドライブを打っている。フォアドライブにある程度自信がついたので、打つ前に考える時間のロスが減った。そしてフットワークは遅いものの、打つ前にまず足に意識が行くようになってきた。この経験が彼女たちにも役立つのではないかと思う。

ただ…これも長い時間がかかる地道な練習だろう。

たとえば、相手にブロックしてもらって、台の半面に返球してもらい、それをすべてフォアドライブで打球するという練習である。相手のボールは時には浅く、時には深かったりするし、高かったりも低かったりもするが、それらすべてに対応できるようにポジショニングを最優先で練習すれば、本番でも足が動くようになると思われる。そしてその過程でおのずと3のつなぐボールも打てるようになってくると思われる。

結局、簡単ですぐに効き目があるアドバイスはできそうにないが、今度彼女に会ったら、

「いろいろな人のサービスを受ける」
「フォアで動きながら打つ練習をする」

というアドバイスをしてみようと思う。


卓球場めぐり――天王山卓球スクール(北山店)

今回の卓球場めぐりは、北山に新しくできた天王山卓球スクール(北山店)である(2016年5月オープン)。
この卓球場はこれからかなり流行るのではないかという印象を持った。

天王山卓球場
このビルの2階にある。辺りは閑静な住宅地。

京都の中心にあった便利で手軽な卓球場、京都産業会館の卓球場がなくなってから、卓球をするために郊外に出なければならなくなった。天王山卓球スクールは大徳寺の近くにあるので、街中にあるとは言えないが、地下鉄北大路駅から徒歩12分、堀川通りを通る市バス9系統(非常に本数が多い)の東高縄町バス停から徒歩2分という好立地である。京都の街中から最もアクセスの良い卓球場の一つと言えよう。

室内はこんな感じである。しゃれた内装で、床も十分な弾力があり、お金がかかっている印象である。

天王山室内

以下、2017年1月現在の情報である。

まだできたばかりで利用者が少ないからか、卓球台が4台、かなり余裕をもって置かれている。これから利用者の増加に伴ってもう1台追加されてもおかしくない広さである。

電話:075-366-8334
アクセス:地下鉄烏丸線「北大路」駅 1番出口 徒歩約12分 京都市バス9系統「東高縄町」停留所下車 徒歩約2分
料金:一人、一時間500円(会員割引あり)。夏季はエアコン台100円。
営業日:毎日10時~21時。ただし日曜日は不定休(利用に際しては電話で要確認)
ラケット・シューズ・ピン球貸出:あり。各200円(ピン球は無料)。
予約:可
台数:4台
更衣室:あり

マシン:あり。30分400円(会員割引あり)。高級そうなマシンだった。
駐車場:提携駐車場があるとのことだが、詳細は分からない。

卓球マシン
 
用具販売:あり
ドリンク自販機:あり
その他:近くに大国屋というスーパーがあるので、そこで食べ物などを買うこともできる。 

代表の方は客にいろいろ話しかけてくださる、気さくで社交的な方だった。
立地といい、設備といい、申し分ないすばらしい卓球場だと思う。


チラシは以下の通り。
チラシ


開き直る――動きながら打つために

フットワークの大切さを悟ってからは、1打にかける時間をいかに短くするかを考えるようになった。
手軽にフットワークが鍛えられる練習として私がよくするのがこちらのバック側にワンコースでずっとブロックしてもらい、それをこちらが動いてフォア・バックと切り替えて打つ練習である。これなら相手にあまり負担をかけずに済む。いずれは相手のバック対こちらの全面という練習に進みたいものである。しかし、こんな単純な練習でもなかなか早く動けず、1本ごとにフォア・バックと打つのは難しい。たいていこちらはフォア2本、バック2本といった練習になってしまう。どうやら私の打法にはどこか時間のロスがあるらしい。これをどうやったら1本ごとに回せるようになるかが目下の課題である。

できるだけ早く1打を終えて、次の動きにつなげるためには威力のある大きなスイングのショットではなく、威力はほどほどだが、コンパクトなスイングで動きながらの連打が可能なショットにしなければならない。
今まで私のスイングの終点は頭を越えて、左のこめかみの辺りまで来ていたが、先日の練習で試してみたところ、おでこまでで十分だということがわかった(ペンの場合)。脇をしめて、小さくスイングするのである。

フットワーク練習で役に立ちそうな動画があったので紹介したい。ラブオールという卓球教室の動画である。



ピッチが早く、スイングがコンパクトで女性らしい卓球である。この女性のプレーの印象を一言でいうと、真正面を向いている時間が長い。
hiraku
フォアハンドでは、体を開きはするのだが、短時間でバックスイングも小さい。

tojiru
そして打球後はしっかりと真正面を向く。

ボールをネットにひっかけてしまいがちな初中級者の多くは、打球時に横を向いたまま打球してしまうため、力がボールに伝わらないからだと思われる。開くのは最小限にして、すぐに台に対して真正面を向くように気をつければ、小さいスイングでしっかりしたボールが打て、体がぶれない。
そして動画ではバックハンドは真正面を向いたまま体をほとんど使わず、前腕か手首だけで打っているように見える。
フットワークを使いながら、両ハンドのコンパクトなスイングで連打するためには、このように真正面を向く時間をできるだけ長くすればいいのではないだろうか。その際、下半身の使い方も重要になってくるだろうが、今回はそこは考えないこととする。

同じラブオールの動画で小学生の女の子の練習も非常に参考になった。
小学生の女の子の卓球と言ってもばかにはできない。おそらくこの女の子は全国大会に出るような選手だと思われるが、下の動画の練習メニューが何十本もミスなくこなせる卓球人がどれだけいるだろうか。大学までがっつり卓球をやってきた人ならともかく、多くの一般卓球人にはこのような練習がまだまだ必要だと思われる。




・ワンコース フォアロング
・フォア半面 フォアロング
・バック半面 フォアロング
・ワンコース バックロング
・3点 バックロング
・フォア・バック切り替え
・フォア2点、バック1点
・バックワンコースで足を使って1本ずつ切り替え
・バック2本、フォア1本(ファルケンべリ)
・ツッツキと戻り
・ツッツキ打ち
・ツッツキ打ちからスマッシュ
・ツッツキ、ドライブ、スマッシュ
・バックドライブでツッツキ打ち、そこからスマッシュ

この女の子の動画を参考にして、とっつきやすいものからクリアしていき、すべてが楽々とこなせるようになれば、どこにボールを打たれても対応できるようになるのではないだろうか。

【追記】170115
より印象に残りやすいと思い、タイトルを「向き直る」から「開き直る」に変更した。
男子の卓球との比較動画は以下の通りである。



原田氏はかなり振りが大きく見えるし、振り終わったときに真正面を向いているようには見えないのだが、速いピッチで移動しながら打っている。不思議だ。

観戦するなら個性的な卓球がいいな――Tリーグに思いをはせる

卓球は観ていて楽しいだろうか。Tリーグが来年からスタートするということで、そんなことを最近よく考える。

一般的に観て楽しめるのはレベルの高い対戦だと思われるが、一概にそうとも言えない。いくらレベルが高くても知らない選手ばかりの大会ではすぐ飽きてしまうような気がする。逆に知りあいが出ていたり、応援したくなるような個性を持った選手がいたら、レベルの低い卓球を観ても楽しみやすい。

インターハイなどのレベルの高い卓球はほとんどの選手がシェーク両面裏ソフトの両ハンド攻撃型で、どの選手もきれいなフォームをしていてあまり区別がつかない。芸能人に疎い私は女性アイドルグループを見ても、みんな美人ではあるが、おんなじ顔に見える。あれと似ている。その中にお世話になっている人の娘さんでも混じっていたら、ずいぶん見る目も変わってくるのだろうが。

ooya
大矢英俊選手ぐらい強烈な個性を持ったフォームだったら観戦も楽しくなる


非常に個性的なグリップの小塩悠菜選手。こういう選手がもっと出てきてほしい。

今は卓球指導理論などが進化しすぎて、もっとも進んだ指導理論で卓球を教わる人が多いのではないだろうか。それで強いことは強いが画一的な選手(細かく見ればいろいろ違うのだろうが、素人目にはどの選手も同じように見える)が増えてきているように思われてならない。たとえ日本代表などにはなれなくても、不利な戦型でも、明らかに他の選手と違う個性を持っている選手の試合を観たいものだ。

たとえばチーム内にシェーク裏裏の選手は一人しか入れてはいけないとなったら、観戦が俄然おもしろくなる気がする。なかなか観られないペン表同士の対戦や、ペン粒対カットマンという異色の対戦が観られるかもしれない。私だったら日本代表レベルのシェーク裏裏の対戦よりも、県大会上位レベルのペン粒対カットマンの対戦のほうが観ていてずっと楽しめると思う。もし全員が片面ペンというチームがあったらどうだろう?ついでにチーム平均年齢が40歳だったりしたら。0勝12敗でダントツの最下位「チーム・オールフォア」なんてチームがあったらきっと、多くの人を惹きつけるに違いない。

あと、個人的には試合よりも一流選手の練習のほうを観てみたい。レベルの高い試合の動画などはyoutubeにいくらでもあるが、練習の動画は少ない。特にマイナーな戦型の選手がどのような練習をしているかはなかなか観るチャンスがない。試合をやっている隣で練習風景も見せてもらえれば、非常に参考になる。もちろん動画撮影OKで。
 

むかしはものをおもはざりけり――卓球のアレンジメント

こういう記事は年末に書くのがふさわしい。ちょっと季節外れだが、去年の自分の卓球を振り返って感じたことなどを記してみたい。
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「職人気質」という語を辞書で調べると次のようになっている。

職人に多い気質。自分の技術に自信をもち、安易に妥協したり、金銭のために節を曲げたりしないで、納得できる仕事だけをするような傾向。(大辞林 第三版)

職人に特有の気質。自分の技能を信じて誇りとし、納得できるまで念入りに仕事をする実直な性質。(デジタル大辞泉)


「金銭のために節を曲げたりしない」とか「納得できるまで念入りに仕事をする」とか、もし周りにいたら気疲れするような人柄が思い浮かぶ。その仕事に対する姿勢はといえば、

誰にも責任を負わず、完全な自己満足。
気が向かなければ仕事にとりかからない。
うまくできなければ、何度も作り直す。
完成しても、不本意な出来ならば、公開しない。

まるで個人のブログのようである。

busshi
イメージです。


まぁ、気が向かないからと言って何か月も仕事に取り掛からないというのでは「自称職人」あるいは芸術家になってしまうので、ある程度のノルマのようなものはあったと思うが、昔の職人というのはそれほどセカセカせず、自分のペースで仕事をしていた人も多かったのかもしれない。しかし、市場経済の枠組みに組み込まれた現代の職人というのは、そのような浮世離れした人ではなく、コストと納期という範囲の中で最高の仕事をするような人ではないだろうか。納期と採算を度外視して納得のいく仕上がりになるまで製品を納入しないというのでは、仕事の依頼が来なくなってしまう。

封建時代の名工が現代の締め切りに追われるような働き方をさせられたら、さぞ面食らうことだろう。今まであまり気にしたことのなかった厳密な納期という視点から仕事の段取りを考えなければならないのだから。いくら細やかな仕事であっても納期に遅れたら意味がない。納期優先で、時には妥協しながら仕事をこなしていかなければならない。今の仕事をこなしながらも締め切りとそこまでのロードマップ――段取りまで考えなければならない。

私は職人の経験がないので、想像するしかないが、納期に追われながら、手際よく、時には妥協しながら仕事をこなしていくというのは…大変だが、案外やりがいがあって、楽しいのではないだろうか。

というのは、フットワークを優先するようになってから、私は卓球が確実に楽しくなったからなのだ。

今まで、あまりフットワークを意識しなかったころ、来たボールを最高のスイングで打球しようとして詰まったり、振り遅れたりしていた。フットワークよりもスイングの「完成度」を優先していたからである。しかし、今はまずボールの打てる位置まで移動することが最優先なので、まず移動することを考えるようになった。

ほとんどのボールは自分のストライクゾーンからやや外れて返球されてくる。以前はそのボールの方向におおざっぱに移動するものの、厳密に打ちやすい位置まで移動するわけではなく、ほどほどで移動を止め、打球のほうに意識を集中しはじめていた。そうすると完全に打ちやすい位置まで移動できるわけではないので、中途半端なポジショニングで体をゆがめて詰まりながら打球したり、手を伸ばして不自然な姿勢で打球したりしてミスしていた。卓球ではわずか10センチの移動距離の差が安定性を大きく左右する。適切なポジションから5センチも10センチもずれていたら、安定性は相当損なわれてしまう。

しかし、最近は締め切り――ポジショニングの正確さが最優先で、まず打ちやすい位置までの正確な移動を心掛けるようになった。まずどの方向にどの程度移動するべきかを判断してから、全力で移動、打球というプロセスを経るのだ。そのため、打球のために残された時間は当然目減りする。今までは移動に30%ほどの時間しか割かず、打球に70%ほどの時間を割いていたのだが、その割合が最近は逆転した。打球のための時間は半分ほどに減ってしまったのだ。すると従来の打法では間に合わず、打球の無駄を省き、短い時間で最大限の安定性と威力の出る打法を選択しなければなくなった。つまり去年まではフォアで打つか、バックで打つか、そして面の角度、それからスイングの方向ばかりを考えて、移動はなおざりだったのだが、今年は移動が最優先になったので、すべてのアレンジを変更しなければならなくなった。納期に間に合うように職人が経費と労力の削減と時間短縮に進むように私も労力削減と時間短縮を余儀なくされたのだ。これにより1打のためにしなければならないことがいろいろ増えたが、卓球が実に楽しくなった。

「このボールを安定して打つためにはあそこまで移動しなければならないが、そのためには打球にほとんど時間が割けない。こうなったらチョリドラでしのぐしかない」

などと時間に追われながら卓球をするのは、実に達成感がある。

今までだったら

「どういう角度でどういうスイングをしたら入るかな…あっ無理だった」

のように打つことばかりを考えてミスしていたところである。

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今年の私の卓球は低いレベルなりに一段進化するのではないかと思われる。
移動――フットワークを最優先することによって、スイングの大きさ、身体の使い方、打点など、すべてが効率的になり、安定性が向上しそうな予感がする。


記事に関係ないが、無性にARIAの曲が聴きたくなって、ネットで調べたら、
なんと中古で26000円!からだそうである。


一生ものを手に入れる――新年にあたっての抱負

冬は贈与の季節である。
年末に観たEテレの「レヴィ=ストロース 野生の思考」でそんなことを言っていた。
未開社会では、なぜかは分からなかったが、冬は贈り物を贈りあう季節だと考えられていたという。
その思考が現代でもクリスマスという祭りとして世界中に生き残っているのである。

present

私も年末はネットショップで自分への贈り物に勤しんでいた。ラケットやシューズ、ラバーが安いので、いろいろ買ってしまった。シューズやラバーは消耗品だから、あれこれ替えるのはいいとして、ラケットはそろそろ一生ものの高級なものを買ってもいいのではないかと思ったが、どうしても安いほうに目が行ってしまう。

「A店で5000円で買ったものがB店では3500円だった!くやしい!」

などと、わずか1000円や2000円の価格差に一喜一憂している自分のなんと器の小さいことよ。たとえ2万円で買ったラケットが、他の店のセールで1万円で売っていたとしても、その2万で買ったラケットを20年使い込めば、1万円の価格差などどうでもよくなるだろう。
私の場合、今までの経験から、2万のラケットを1万円で買えた場合、浮いた1万円で他のラケットも買ってみて、結局どちらも使い続けず、また新しいラケットを購入してしまい、かえって余計に金をつかってしまうということが多い。割高で買ったとしても、長い目でみれば、それを使い続けるのが最も経済的である。

そういえば、うちにある家具や調度品は一生ものといえるものがほとんどない。IKEAやらニトリやらで買える安価なものばかりだ。数代にわたって使えるような立派な机や本棚といったものがあれば、買い物であれこれ頭を悩ます必要もないだろうに。


hasami

「卓球屋」で使われているという庄三郎 ラシャ切鋏 240mm。一生ものかも。

先日上がっていた「中国卓球」のバックハンド動画に注目させられた。



なにげなく上げられていたこの動画だが、そもそも、このような動画は無料で公開していいものだろうか。

指導者の孟氏はこの打ち方を習得、検証するまでに少なくとも数か月は費やしただろうし、それが本当に教える価値のあるものかどうかは、いまだに検証中かもしれない。そのような手間のかかっている技術を惜しげもなく公開してくれたというのは、なんともありがたいことである。

こういうバックハンドが私も使えたらと年末の打ち収めの練習でちょっと試してみた。また、最近膝を使ったフォアハンド(前記事「3年越しの右脚支点打法」)がいい感じだったので、この打法も定着させたいと試してみた。

が、 どちらも思った通りには使えなかった。頭では分かっているつもりだし、多球練習で落ち着いてやれば、動画の通りに打てないこともない。が、これらの技術がとっさの場面で出てくるほどには身につかなかった。新しい技術を体に身に付けさせるには1回2時間程度の練習ではまったく時間が足りない。おそらく数か月から1年はこの打ち方でひたすら練習を続けて初めて身につく技術なのではないかと思う。ひざと上半身をシンクロさせて身体全体で打たなければならないのに、試合形式の練習では、つい手打ちになってしまい、「中国卓球」のような打ち方ができない。

しかし、年末の練習では私なりに成果があった。フットワークが改善したのである。
私は子供の時から落ち着きのない子供と言われていたが、その落ち着きのなさがフットワークでは奏功したのである。打球後、すぐに次の打球に備え相手を観察し、フォアかバックかを判断しながらも、チョコチョコと足を動かし続け、足を止めないことを心掛けた。今までは、ボールがどこに来るかを予測・判断してから足を動かしたが、今回はどこに来るか分からないけれど、とりあえず足を動かし続けた。足を常にアイドル状態にしておくと、無駄も多いが、普段よりも動きがよくなる気がする。普段よりもちょっとだけ早く動けると、ボールに間に合うことが多い。しかし、それは頭で考えるほど簡単なことではない。頭で考える余裕などない。本能で反応しているような感じである。
それで自分が強く打てるポジションまで動けたときにとっさに出てくる打法は、雑誌の記事やネットの動画で見た理想的な打ち方ではなく、長年慣れ親しんできた手打ちなのである。

前記事「ワンポイント・アドバイス」で頭だけの理解などは役に立たないという上級者の意見を紹介したが、この年末に私はこの方の言っていることを体で理解したと感じた。「中国卓球」の動画は非常に価値のある情報である。だが、それを2~3回観て頭で理解しただけでは何の意味もない。これは数年かけて取り組んで、余裕のないときでも、とっさに出てくるほどにまで練習を続けて初めて意味のある技術なのだと。

また、新年になって「中国のフォアドライブで速く動けるコツ」という関連動画も発表され、同様に衝撃を受けた。



一般的な左右に動くフットワークではなく、前後と左右をまぜて、N字で4点に動くフットワークである。

Ngi footwork

常人では対応できないほどの移動距離とピッチである。孟コーチの情け容赦のない球出しにさすがのぐっちぃ氏もきりきり舞いしていた。こんなフットワーク、私にはとても無理である。が、もしこのレベルの多球練習に自分が対応できるようになったらどうなるかと想像してみた。
私のレベルの卓球なら、試合でもこんな厳しいボールはほとんどこない。ということは、このN字フットワークを身に付ければ、ほぼすべてのボールがチャンスボールになるということではないか。もしこの動画のレベルのフットワークを身につけることができたなら、相手が3球目で打ってきたボールをカウンターで仕留められるし、相手が厳しいコースにブロックしたボールでも連続攻撃できるということになる。手打ちだろうがヘンテコなフォームだろうが関係ない。試合中のボールの半分以上を時間的余裕をもって強打できるとなると、打ち方がどうであれ、ラリーを圧倒的に優位に進められるにちがいない、というか、これほどのフットワークを身につける過程で効率の悪いフォームは自然と矯正されていくだろう。大きなバックスイングや手打ちでは次のボールに間に合わなくなるだろうから。

このN字フットワークというのは日ごろお世話になっているNさんからも聞いたことがある。最近新しく開発された練習方法というわけではない。数十年前の東山高校の練習というのは

「試合の前以外は、ほぼ全てフットワークの練習や。昔はバックハンドを使ったらアカン言われとったさかい、ほぼ全部フォアや。」

ということである。このN字フットワークというのは全国レベルの高校生なら実際に身につけている技術らしいのだ。孟コーチによると、このN字フットワーク4点を1セットとし、一般の人は5セット、高校生や大学生は10セット練習するのだという。信じられない…。

このN字球出しに耐えうるフットワークを身につけたなら、それこそまさに一生ものだろう。自分の卓球観を完全に変えてしまうほどのインパクトがあるにちがいない。学生時代に全国大会に出場したような人は何年もブランクがあっても、私たちパンピーよりずっとうまい。それはこのような一生ものの技術を習得しているからだと思われる。私はこれまで打ち方をあれこれ試してはすぐに次の流行の打法に飛びついたりしてきたが、今年は一生ものの技術を何か一つ身につけたいと思っている。それは打法でもサービスでもなんでもいいが、フットワークが最も私に欠けている技術なのでN字フットワークは無理としても、フットワークを中心に練習に励みたいと思う。

 
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