しろのたつみ



卓球について考えたこと、
気づいたこと(レベル低いです)
を中心に中級者の視点から綴っていきます。




2016年10月

読者のぴーろんさんからヤサカの卓球マシン「Y-M-40α」のレビューをご投稿いただいた。
ぴーろんさんは以前「アイポン・プロ」の詳細なレビューもご投稿いただいている。

このアイポン・プロは十分に役目を果たし、使用不能となったため、このたび、新たにY-M-40αを購入なさって、その2時間×3回の使用感を送っていただいたわけである。




robot_ym40a

ヤサカのサイト
によると、以下のスペックである。ダブルローラーで収集ネット付きで実売5万前後である。私にとっては大きな買い物だが、このスペックを考えれば、リーズナブルである。家庭に卓球台がある方や、基本的な技術を習得中の方には特に有益だと思われる。

  • ●サイズ:31×31×39(cm)

●本体重量:3kg
●ダブルローラー搭載
●固定モード(1コースに固定)
●切替モード(フォア・バック切替)
●3 コースへのランダム送球機能
●5 段階ずつ上下回転量
●8 段階のピッチ調整
●ボール収集ネット

卓球王国の動画でも紹介されていた。


しかし、この動画で使われているのは前モデルのY-M-40では?

『卓球王国』で渡辺貴史氏の「マシン練習法のトリセツ」という連載が現在、連載中であり、卓球マシンを使った練習に注目が集まっている。また、値段もこなれてきており、今まで公共物というイメージの強かった卓球マシンが個人の手の届くものになりつつある。

以下、ぴーろんさんのレビューである。

--------------- 

アイポン・プロの顛末は「【寄稿】アイポン・プロ レビュー」に掲載していただいておりますので割愛させていただきます。

 

卓球マシンの価格、性能、予算などを比較検討した結果、ヤサカの「Y-M-40α」をジャスポにて約5万円で購入しました。購入の目的は自分一人での練習がメインです。3回使用した感想や気が付いた点を紹介します。

アイポンとの比較が多くなりますが、私はアイポンしか使ったことがありませんし、ターゲットとされる購入者の重なりも大きいかと思い、適宜比較してみました。



◎購入に至った動機

他の同価格帯のマシンと比べると横回転が出せない、価格が高い、ふり幅が一定などのマイナス面がありましたが、設置が簡単という集球ネットが付属していることや本機を使用した練習動画があったことで、より理解が深まったこともあり、本機Y-M-40αの購入を決定しました。アイポンと同じくツーローラーだからできるはず、との思い込みがあったため、ナックルが出せないのは使用してみてわかりました。


 

◎できること、できないこと

1)上回転、下回転それぞれ1から5段階の強弱が\選択可能(作動中でも変更可能)。横回転はできません。
 

2)ナックルはできないようです(アイポンは上、下回転は独立して無段階で設定可能でしたが、本機は上下回転同時設定はできないようです)。
 

3)フォア(F)、ミドル(M)、バック(B)のどこか1コース固定で送球可能(作動中でも変更可能)。
 

4FBに一本ずつ送球可能(FBへ二本ずつや、FMBMFはできない。FBの一種類だけ)。送球ピッチに連動して首振りも行います。
 

5FMB3コースにランダム送球可能(アイポンは首ふりの速さと送球ピッチによりランダム送球となりますが、本機は3コースに固定してランダムとなります)。送球ピッチに連動して首振りも行います。
 

6)サービス(相手コートに第一バウンドさせ、自分コートに第二バウンドさせる)はできません。アイポンは本体を傾けることでできましたが、本機でも試したところ、ランダム送球(首ふり)はできましたが、第一バウンド後のボールがネットを越えませんでした。今後、試行を継続してみます。
 

7)一分間に3570球送球選択可能(取説より引用)
 

8)電池では動作しません。
 

9)本体はリモコン(赤外線通信?)で操作します。リモコンは電池式(単3 2本 付属)です。
 

10)ボールは約90球貯留(計数していません。この情報はネットの広告から引用)

  

◎気が付いたことなど

11)簡単に組立、設置できる集球ネットが付属しています。落ち口をあけておいてもスムーズにボールは落ちません。アイポン用に購入したものがありましたが、粗悪品で部品点数も多く、重たいものでした。集球ネットの更新も本機購入の動機の一つでした。
 

12)アイポンには無かった、本体内部にボールが詰まったときなどの取出し口が設けられています。
 

133回使用しましたが球詰まりや重送はありませんでした。空送球もほとんど無く、貯留しているボールも最後の1個まで送球してくれます。発射までの球送り機構などはアイポンと同じですが、アイポンにはない、使いやすさへの追求心が見て取れました。
 

14)アイポンと同じように、ボール貯留用と本体下部用に漏斗状の部品があり、本体に取り付けて使用します。見た目ではあまり違いがなく、どちらでも取付けできますが、下部用には滑り止めがついているのでわかります。4つの爪で取り付けますが、アイポンでは1つの爪が取れてしまったので同じようにならないか心配です。
 

15)交換用のヒューズや工具、板厚の薄い台に集球ネットを取付けるためのアタッチメント(ゴム板)も付属しています。このあたり、日本メーカーの気遣いを感じますがヒューズの位置や交換方法については説明書に記載がありません。残念!ちなみに本体ラベルにはmade in Chinaとあります。
 

16)リモコン操作は簡単です。本体には操作盤やスイッチなどはありません。よってリモコンは必須なので、替えの電池もあった方がよいでしょう。だが、リモコン自体の電源入切のスイッチ等はないようです。入切の方法や電池での使用可能時間をメールでメーカー(ヤサカ)に問い合わせしましたが回答をいただいていませんので、電池の抜差しで対応しています。面倒です。裏にリセットボタンがついています。このことも説明書には説明がありません。残念!
 

17Y-M-40時代の名残りなのか、本体には棒状の足を差すところが残っています。ジオ○グを思い出しました。残念!というかよくそのまま商品として出荷を決断したなという感じです。使用にあたっては問題ないですが。
 

18)購入から1年間のメーカー無料修理保証がついています。
 

19)電池を入れた時のリモコン初期値はM固定モードです。貯留部、下部を本体に取り付け台の中央に置き、本体スタートをするとまず、なにやら動作状況を自己判定し、その後、送球が始まります。送球が自コート中央(M)となるように本体の角度を調整します。その後、固定のコース指定、ランダム、プログラム(FB切替)などを選択すると、ちょうどよい振り幅となります。相手(ヤサカを置く)側のフォア寄り、バック寄りに置く場合もほぼ同様の調整で簡単に行えます。

 

 

◎使用した感想

モーター性能やローラーの材質の違いなのか、アイポンに比べボールの回転量は上限が低く感じますし、上下回転の同時設定ができないからなのかは判りませんが、ボールの質というか打感も軽い感じがしました。

基本中の基本であるFBへの切り替え練習ができるのがうれしいです。また、ランダム機能はアイポンにはなかった機能です。より実戦に近く、試合でも使える技術や意識の習得に有用となるものと感じました。

アイポンとは見た目が同じことやツーローラーであること以外は別物だと感じました。

 

◎まとめ

アイポンが劣っているのではなく、それぞれに長所、短所があります。使用する人の意識や練習方法次第では有用にも無用にもなるのはアイポンも本機も他のどのマシンでも同じでしょう。世間には20万円もする高級マシンもありますが、個人で20万円のマシンを買うのであれば時給1000円で大学生にコーチを依頼した方がいいかもしれません。教室に入るのも手でしょう。5万円が高いか安いか、これからの練習時の意識次第という気持ちを持って頑張ろうと思います。

-----------------------

以上が、ぴーろんさんのレビューである。
本体での操作ができないというのがちょっと不安である。リモコンの電池が切れたら、せっかく練習場にマシンを持っていっても動かないということになるのだろうか?
個人的に最も気になるのは耐久性である。10年も20年も持つとは思えないが、5年は故障なしでもってほしい。小さな故障でメーカーに送ったり、修理代が万単位になったりするのでは、この機種のコストパフォーマンスの高さが解消されてしまう。ぴーろんさんの追跡レビューを期待している。

拙ブログでは読者に広く有益な情報・意見を求めている。
用具レビュー以外にも、技術論、戦術論など、多くの読者に有益な投稿をお待ちしている。
技術論というと、身構えてしまう人もいるかもしれないが、拙ブログの想定読者は全国レベルのプレーヤーではなく、市井の万年中級者である。 「私は高校生の時に関東大会に出て一回戦負けのレベルだから…」などと遠慮なさる方もいるかもしれないが、地方大会に出場経験があるというのは、私から見れば立派な上級者である。このブログをご覧になる方の大半は、おそらく学生時代に県大会に出られなかったというレベルだと思われる。そういう読者にとって有益な技術論・戦術論も、用具レビューと合わせてご投稿いただけたらさいわいである。

【追記】 161105
Y-M-40αの集球ネットの使い具合についてぴーろんさんに問い合わせたところ、アイポンのものよりもずっとよく、使いやすいが、アイポンのネット同様、ボールの流れが悪く、穴に落ちにくいとの回答を得た。

 

私はワンコースでドライブを打つのなら人並みにできるつもりだが、切り替えとなると、からきしダメである。ワンコースなら8割がたのボールを安定してドライブできるが、フォア・バックの切り替えとなるとその成功率が5割ほどに低下する。おそらく何かが間違っているのだろう。

しかし、そもそも切り替えというのはそんなに簡単なものだろうか。私に問題があるのではなく、切り替えという技術のほうに問題があるのではないだろうか…などと逆切れに近い発想の転換を試みてみる。

相手のドライブをブロックで厳しいコースに返したら、相手がボールを入れてきた。チャンスとばかりにこちらから攻撃を仕掛けてミス。こんなことが私の卓球にはよくある。守備の最中に急に攻撃に転じるというのは、「そのぐらいできるでしょ?」と思いがちだが、案外難しい。上手な人によると、このような攻守が転換するときは細心の注意を払わなければミスしてしまうのだという。

言われてみれば、思い当たることがたくさんある。

カットマンと対戦しているとき、こちらがドライブを打って攻勢を続けているとする。

table-tennis-footwork

しかし、厳しいボールが来たので、ちょっと攻撃の手を緩め、ツッツキを送ったら、それが思ったよりも浮いてしまった。カットマンはチャンスとばかり前に出て、反撃に転じる。

こんなとき私は「あわわわ…」となってしまう。カットマンの攻撃だから、それほど鋭いボールは来ないのだが、それでも慌ててブロックをミスしてしまうことが多い。

相手に攻撃されているときに、そこからいっそう強く攻撃されるよりも(強→より強い)、こちらが攻撃しているときに攻守が逆転して守備に転じた場合(攻→守)のほうが防御はより難しいと思われる。逆もまたしかり。

考えてみれば、ツッツキ等の台上のラリーから、急にドライブを打つ、あるいは打たれるというのも相当難しいことだ。長年やっているのでツッツキ打ちには慣れてきてはいるが、それでもツッツキをするつもりでいたのに相手が下回転をほとんどかけずに深いボールを送ってきたときなど、やはり「あわわわ…」となってしまう。つまり、ツッツキという守備的技術で対応しようとしていたのに、急に攻撃のチャンスが訪れたので、焦って打ちにいってミスということである。

切り替えという技術もずっとフォアハンドで打つのではなく、フォアを打ったらすぐにバックを打つという転換がある。これは考えてみたらとんでもなく難しいことである。上に挙げた例は不意に攻守の転換が訪れる場合だが、切り替え練習の時は、フォアを打った次のボールはバックに来ると分かっている。それでもミスをする。どういうことなのだろうか。

単に打ち方なりフォームなりがおかしいという以前に意識が転換できていないような気がする。

そのように考えていたら、ちょうどこのトピックを扱ったページがあった(「ニュートラルに戻るということ」)。

なるほど。切り替え時にフォアからバックに寄り道なしで転換するのではなく、ニュートラルを経由(意識的に)しなければならないということらしい。

フォアからバックへ
守備から攻撃へ
台上からラリーへ

このように正反対ともいうべき行動に移るときにはミスしがちなものである。そして実際にミスを連発しているにもかかわらず、その自覚がうすい人も少なくない。「フォアからバックへの切り替えなんて簡単でしょ?」「台上からラリーっていうのは試合でいつもやってることでしょ?」という人もいるかもしれないが、私にはこのような真逆の動きをつなげる「転換」の技術は世間で思われている以上に難しいと思うのである。

 

鳥が今まさに、死のうとするとき、その鳴き声はいっそう哀しい。
人も、死につつあるときには、すばらしい言葉を残す。

死の直前にある人というのはつまり、人生に別れを告げる間際であり、それだけ人生に対して真摯な態度で向かい合っているということである。だからこそ、その言葉は重い。

『卓球王国』2016年10月号の「私の戦型、私の個性」で松平健太選手、森園政崇選手、阿部恵選手が取り上げられ、その何気ない言葉が心に染みた。

「試合になったら、派手なことはいらない。卓球は11点先取の7ゲームズマッチ。台から出たボールは打って、相手に打たれても回転をしっかりかけて対応し、チャンスボールは絶対に逃さない。中国選手のようにやれることを確実にやる選手が勝てるんです」(森園選手の言葉)

森園選手は4歳から卓球を始めたというから卓球歴が17年ほどだろうか。といってもその17年は我々のような一般愛好家の17年ではなく、おそらくその倍、いや3倍以上の密度のはずである。一般の卓球人の卓球歴50年ほどに相当するのではないか。そのような選手が何気なくいった上の言葉は非常に重い。

masa
そういえば、カシオ EXILIMデジカメの広告動画というのはどうなったんだろう?

私は試合をするときは、相手にコースや回転を読まれないように、相手の意表を突くような速いボールやコースを狙わなければと考えてしまうが、森園選手は

「台から出たら打つ(台から出ないボールは無理して打たない)」
「打たれたら回転をかけて返球(当てるだけの棒球は打たない)」
「チャンスが来たらミスしない(チャンスボールにしっかり備えておく)」

とこの三つの基本で卓球は事足りるとするのである。

美食家が世界中の美味・珍味を味わい尽くした末にたどり着いた料理が冷ややっこだった、というような話にどこか似ている。当たり前のことを当たり前にする。これこそが数々の勝敗を経験してきたトップ選手のたどり着いた結論なのである。この言葉が重くないわけがない。

「練習量が多ければ、少なくとも弱くなることはない。ただ、同じ練習量でも人によって伸びるスピードは違います。」(松平健太選手)

健太選手はふだんの練習で一球ごとに「なぜこのボールはミスしたのか」と考える人は伸びるというのだ。

この言葉も非常に心に染みた。当たり前のことといえば当たり前のことだが、その当たり前のことが実践できないのが我々凡夫である。同じようなことを何度も聞いたことがあるが、健太選手のすごいところは、それを本当に言葉の意味通り、掛値なく実践してきた(たぶん)点である。その当たり前のことが当たり前にできるところが天才なのである。

そして阿部恵選手。
megu

バック変化表(カールP3)で左利き。

「常に練習相手に選ばれない選手でした」
「打球タイミングが一緒にならないよう、同じ回転のボールを送らないよう気を付けていたからです。」


相手としては気持ちよくラリーが続かず、やりにくいから、低いレベルの選手が阿部選手と打っても練習にならない。それで練習相手として敬遠されたということだろう。

「『やりにくい』は私のとって誉め言葉。でも、やりにくさが自分の長所だと思えるまでには、やっぱり時間がかかりましたね。」

いまだから、さらっと口に出せるだろうが、中高生のころは、「やりにくい」という言葉やチームメイトの態度が彼女の心をさいなんでいたことだろう。みんなが楽しそうに練習している中、一人ぽつんとその輪に入れないつらさというのは、多感な少女にとっては相当なものだったと思う。気丈に「誉め言葉」などと言っているが、その一言には多くの思いが詰まっているはずである。

おもしろかったのは、阿部選手がピアノを習っていたことによって絶対音感が身につき、それが卓球にも有利に働いていること。打球音によって「ファの音で打っちゃった」などと、インパクトが成功したか失敗したかが分かるのだという。

最後がまとまらなくなってしまったが、トップ選手のさりげない一言には多くの意味が詰まっており、重いということを紹介したかった次第である。
 

「速いロングサービスは、そこに来ると分かっていても、とれないものでなければならない」

こんな言葉を何年も前に聞いて、それがずっと頭の隅に残っていたのだと思う。
この言葉に囚われて、私のロングサーブは台の端から端を最大限に使うようなサービスになっていた。
順回転ロングサービスというのは、相手に全力で強打されてしまうおそれがある。それでギリギリまで相手にバレないように、しかもタターンと速いサービスでなければならない。ワルドナーのストレートサービスのように。

waldner1

バックサイドから対角線上の相手のバック側にフォアサービスを出し、ときどき相手のフォア側に低い高速サービスを出すわけだが、これをよくミスしてしまう。台から出たり、フォア側すぎて、台がないところに打ってしまったり。

しかし、先日指導者の方に「実際の試合では、相手に強打されなければそれで十分です」と言われ、目が覚めた。そんなに厳しいサービスを狙わなくとも、オジサン卓球なら、相手がとりあえず返球できる程度のスピードのロングサービスで十分に用を足しているのである。たとえほとんど切れていない、ゆっくりしたサービスでも、そこそこの低さと短さ――ネット際に落とすようなサービスや、台から出るか出ないかのハーフロングサービスなら、強打される心配はない。なにも樊振東選手と対戦するわけではないのだから、一発で抜かれる台上バックハンドドライブなどは来ないのである。

樊振東BD

そんなにサービスのスピードにこだわるよりも、サービス後の戻りと、3球目に意識を集中したほうがずっといいプレーができる。

レシーブも同様である。ロングサービスが来たら、決定打のようなボールを打たなければという強迫観念にも似た意識が私にはあり、フォア側にロングサービスが来たら、大きくバックスイングをとって、速いドライブで迎撃するし、バック側に切れたロングサービスが来た時も、バックハンドドライブで厳しい返球をするのが、ロングサービスに対する今までの私の対処法だったが、 これも速いサービスの場合は振り遅れてしまい、よく切れたサービスの場合はネットにかけたりしてミスが多い。そこでバックスイングをほぼゼロにして、インパクトの瞬間だけ力を入れて、やや山なりでレシーブするようにしてみると、ミスがずいぶん減った。

「試合ではその程度のスピードのボールでも十分すぎるほどですよ。なじみの相手とコースの決まった練習をするときは、スーパープレーのようなボールでラリーができますが、慣れていない相手のボールに対しては、そうそう厳しいボールは打てませんよ。ちょっと回転をかけて、山なりのボールで入れていくのがふつうです。相手にしても、こちらのボールに慣れていないので、それほど厳しいボールじゃなくても、とるのが精いっぱいなんです。」

ロングサービスは7~8割のスピードで、レシーブはバックスイングをとらず山なりで。これからはこの方針で試合に臨むことにした。練習で慣れた相手に対して積極的なプレーをしているので、それが試合でもできるとうっかり思い込んでいた。練習と試合とは違う。そんな単純なことにいまさらながら気づかされた。

 

早い攻めを実現するためには打点を早くしなければならないと思う。打点を早くするためには早い段階でスイングをスタートさせなければならない。早い段階でスイングをスタートさせるためには、早い段階でバックスイングをスタート(あるいはバックスイングを小さく)しなければならないだろう。私は相手のボールがネットを越えるかどうかぐらいでバックスイングを始めることが多いが、これでは間に合わず、つまってしまうことが多い。もっと早い段階でバックスイングを始めなければならないと感じている。相手のスイングとシンクロさせてバックスイングをとるぐらいがちょうどいいと思う(前記事「踵を接して」)。

先日のジャパン・オープンの松平健太選手のプレーを観て、健太選手のうまさはどこから来るか考えてみた。


健太選手は中国選手を相手に一方的に負けることは少なく、1~2ゲームは確実にとっている気がする。上の張継科選手との試合を見ると、張選手が強く打ってくるボールを臆せず強打する展開が目立つ。相手に強く打たれても、こちらはブロックで止めるといった消極的なプレーに出ない。このへんに健太選手の強さの秘密があるのかもしれない(私の見立てなので、非常に自信がないが)

先日、試合に出て感じたことは、練習のボールと実戦のボールは違うということである。
試合で返ってくるボールは練習の時とスピードが違い、練習のような感覚で打とうとすると、振り遅れてしまう。
練習では――切り替えや、台のフォア側半面(から2/3)ぐらいをオールフォアでフットワーク練習をするとき相手はブロックするのがふつうだ。そこで受けるほうがブロックを延ばしたり、プッシュしたりすると、打つほうが続かなくなるので、単に当てるだけというボールを返球してもらい、それをこちらはドライブで返す練習をするのだが、この練習のボールはいわゆる生きていないボールなのではないだろうか。

生きているボールや死んでいるボールというのはどのようなボールなのか。

野球ではスピンがかかっていてバッターの手元でグンと伸びるボールが「生きているボール」らしい。

卓球でも同様のとらえ方をする人がいる。
http://takkyuu.info/middle/takyuu02.html

テニスではスピンがかかっているボールや勢いのあるボールが生きたボールといわれるようだ。
4986549865165312

「生きているボール」についてxia氏が言及している
http://xia.diary.to/archives/48852858.html
 
氏は人によって考え方が違うので厳密な定義はできないと前置きした上で、試合で打たれるようなボール、相手の意思(得点してやろうという)を感じられるボールを生きたボールと考えているようだ。つまり受け取る側次第で「試合で打たれそうなボール」と受け手が考えれば「生きた球」になるし、受け手が「こんなボール、実戦ではありえない」と考えれば「死んだ球」となるわけである。

他のスポーツも含めて、物理的に「生きているボール」(スピンや勢いがある)と、心理的に「生きているボール」(意思が感じられるボール)というのがあるようだ。

私がここで考えたいのは物理的なほうの「生きたボール」である。

練習ではきれいに続けてボールが打てる人でも、試合になると、1球も続かなくなるというのは、基本練習で返球してもらうボールが生きておらず、単に当てるだけのボールで練習しているから、実戦ではほとんど入らず、入ったとしても1球だけで、あとが続かないという結果になるのではないだろうか。

だからといって試合とまったく同じようなスピードと回転で返球されたら、とても続かない。だから2~3球続いたら、相手に強くて打ちにくいボールを返球してもらうとか、あるいは試合の半分ほどの強さのボールを返球してもらうとかすれば、基本練習の成果が実戦で生きるのではないかと思う。

実戦のボールスピードに慣れるために生きたボールを打たないとなぁと試合に出て考えさせられた。

このページのトップヘ