しろのたつみ



卓球について考えたこと、
気づいたこと(レベル低いです)
を中心に中級者の視点から綴っていきます。




2016年06月

いまさらながら、ジャパンオープンのビデオを観ている。最近ゆっくりビデオを観るゆとりがなかったのである。
日本選手は最終日には残れなかったが、それでもいい試合を見せてくれたのではないだろうか。

xia氏の「ジャパンオープン観戦記」に以下のような記述がある。

生で観ていて「おっ」と思った部分は馬龍選手にスタートを遅らせて、バック前を普通にツッツキレシーブさせることが出来た時。
このレシーブをさせることが出来たら水谷選手が先に攻める機会が出来、勝つチャンスが生まれてきそうな気がしました。

この動画の中で言うと1:20~と3:26~のプレーが挙げられます。
馬龍選手が普通にツッツキをしてくれると水谷選手が先にドライブを打てます。先にドライブを打てるとやはり得点確率が高いです。


なるほど。上級者は目の付け所が違う。先にドライブをかけて先手を取れば、主導権を握ることになり、ひいてはそのポイントを得ることができるというわけである。

ITTFのダイジェスト版ではカットされてしまった部分にも参考になるプレーが多いというので、完全版を観て、水谷選手、馬龍選手のどちらが先手を取っているか確認してみた。我ながら、あまりおもしろい考察ではないと思うので、よほど暇な人でなければ、読まないほうがいいかもしれない。

「先にドライブをかける」というのにはフリックやチキータも含めている。

参考にしたのは以下の動画である。


【ジャパンオープン2016】男子シングルス準々決勝 水谷隼 vs 馬龍(完全版)

以下、画像が大量にあるのでご注意。






第一ゲーム
00
水0 馬1

次の1ポイントはレシーブミスだったので、ドライブをかけるシーンがなかった。

02
水1 馬1

03
水2 馬1

13
水3 馬1

14
水4 馬1

15
水5 馬1

26
水5 馬2

36
水5 馬3

37
水6 馬3

38
水6 馬4

49
水6 馬5

410
水7 馬5

510
水7 馬6(ちなみにこのバックドライブはミス)

610
水7 馬7

これで第一ゲームが終わりである。
ドライブを先にかけた回数は7対7で五分であった。このゲームは顕著だったが、全体的に派手な打ち合いに発展することは少なく、台から出るボールをしっかりとドライブできるチャンスは少なかった。両者ともに台上から小さくストップの応酬だったり、台上のフリックやチキータから先手を取るケースが多かった。そして馬龍選手が水谷選手を圧倒していたという印象はない。これは水谷選手が先手を取る回数が五分だったからということになりそうである。

第二ゲーム
10
水0 馬1

11
水1 馬1

21
水1 馬2

32
水2 馬2 点数が飛んでいるのはどちらかがレシーブミス等でドライブをかけるチャンスがなかったからである。

42
水2 馬3

52
水2 馬4

53
水2 馬5

54
水3 馬5

64
水4 馬5

74
水4 馬6

75
水4 馬7

85
水5 馬8

86
水6 馬8

87
水6 馬9

88
水7 馬9

89
水8 馬9

810
水9 馬9

なんと、このゲームも先手を取った回数は五分であった。その結果、点数的にも競っており、印象的にも馬龍選手に一方的に押されていたという感じではなかった。


第三ゲーム
00
水1 馬0

10
水1 馬1(このバックドライブは上に高く持ちあげるだけの攻撃力の低いドライブだった。)

20
水1 馬2

21
水1 馬3

31
水1 馬4(馬龍選手のバックドライブはフリーハンドが独特である。)

32
水1 馬5

43
水1 馬6

53
水1 馬7

54
水2 馬7

64
水3 馬7

65
水3 馬8

75
水3 馬9

76
水4 馬9

77
水4 馬10

ここで馬龍側からのタイムアウト。
水谷選手からすると、追いつかれて流れが悪い中でのタイムアウトだったので、ラッキー。
先手の回数は馬龍選手が倍以上だが、点数は五分である。
とにかくドライブをかければいいというわけではなく、水谷選手がわざとフォア側に長いレシーブをして、馬龍選手にドライブを打たせる場面もあった。宮崎氏の解説によると、相手に先に打たせる場合は心の準備ができているから、ドライブを打たれても、しっかりブロックでコースを突ける(実際には「大丈夫」という言葉だった)のだという。というわけで

「ドライブを先にかけている=先手を取っている」

と単純に言い切ることはできない。先手のドライブを打とうとしてフリックやチキータでミスする場合もあるからだ。より正確に言うなら

「先手を取っている=ドライブを先にかけている」

というのがよさそうだ。


coach egao
「よくやっている」と言わんばかりの邱建新コーチのこの笑顔

egao
2ゲーム連取され、せっかくリードしていた第三ゲームも追いつかれてしまったにもかかわらず、水谷選手も笑顔。


sekkyou
劉国梁監督は相変わらず険しい表情。

水谷選手は1ゲームもとっていないにもかかわらず、なんだか達成感がにじみ出ている。おそらく後ろに下がらず、前陣を維持し、カウンターを狙っていくという対中国対策に手応えを感じているのだろう。それに対して中国側は水谷選手のプレースタイルを非常に警戒しているようにみえる。今までの水谷選手とは一味違うと感じているのかもしれない。

78
水4 馬11

79
水4 馬12

89
水4 馬13

99
水4 馬14

910
水5 馬14
このゲームは馬龍選手が三倍近くドライブで先手を取っているにもかかわらず、点数は序盤で水谷選手にリードを許し、ぎりぎり11-9でゲームを取っている。


第四ゲーム
00
水1 馬0

01
水1 馬1


02
水2 馬1

12
水3 馬1

23
水3 馬2

24
水3 馬3

34
水3 馬4

35
水3 馬5

45
水3 馬6

55
水4 馬6

65
水5 馬6


57
水6 馬6

58
水6 馬7

59
水7 馬7

69
水8 馬7

79
水8 馬8

89
水8 馬9

810
水9 馬9

水谷選手は0-4で馬龍選手に敗れるという結果に終わった。
しかし、点数は7,8,9,8と、あと一歩というところまで来ている。去年まで中国選手の一軍と当たった場合は全く勝てる気がしなかったが、今年の水谷選手をみると、3回やれば1回ぐらい勝てるのではないかと思わせる内容だった(素人目には)。このまま行けば、中国と渡り合える日も近いのではないだろうか。なにせ相手は今、最強と言われる馬龍選手なのである。

長かった…。今まで押しても引いてもびくともしなかった中国の鋼鉄の扉がちょっと持ち上げて横にスライドさせたら動きそうなのだ。この調子でいけば、水谷選手がリオ・オリンピックでとんでもない結果を残してくれるかもしれない(楽観的すぎるか?)。

ともあれ、「先にドライブを打てるとやはり得点確率が高い」ということは以上の調査から概ね首肯できそうだ。ただし、あくまで「確率が高い」ということである。第三ゲームのように先にドライブをかける回数の少ない水谷選手が五分の戦いをすることも十分可能である。先にドライブをかけるというのは相手の意表を突くという要素が多少なりともなければ効果が薄いと思われる。相手に先に打たせてカウンターやブロックで待ち構えている場合もあるからである。


【おまけ】
docchiga docchida
下がってしのぐ馬龍選手。役柄があべこべだ。


人生というのをひとことで言うと、緊張と弛緩の繰り返しなのではあるまいか。
緊張ばかりでは身体を壊してしまうし、弛緩ばかりでは生きている充実感を味わえない。両者が糾える縄の如く繰り返されてこそまっとうな人生ではあるまいか。

最近、緊張ばかりの毎日だったので、今日は一日ゆっくり弛緩してみた。何もせずに過ごす一日というのもなかなか味わい深い。

卓球について考えてみると、先日の練習では、湿気でボールが引っかかりにくかった気がする。

そんなに質の高いボールを受けたり、打ったりしているわけではないので、世間の上級者が「湿気でボールが落ちる」というのとは違うのかもしれない。上級者が打っているボールというのは、自分のラケットの角度やインパクト時の力がほんの少し狂ってもミスというもので、湿気に対して対策のとりようがない、いわば不可抗力かと想像される。それに対して、私のようなオジサン卓球の場合はそんなシビアなタイミングではないので、湿気があっても対策次第で十分安定するに違いない。

私が試してみたのは以下の対策である。

従来はボールを薄く捉えて、直線的にドライブをかけていた。

saitan

しかし、これだとボールが湿気で滑って落ちやすい。もう少ししっかり当てたほうが安定する。
そこで前記事「正面衝突させないための工夫」で考察したようにグルンとラケットを回し、スイングの軌道に膨らみを持たせて、後ろから前に当てながらこすると、湿気が多少あってもしっかりとボールが引っかかるような気がする。


ukai


ただ、後ろから前に押しすぎると、当然引っかからず、ボールを弾いてしまい、コントロールできない。
そこで正面衝突しないよう、そして瞬間的に力を込めてドライブをかけるといいと思われる。当てる瞬間にお腹に力を入れ、お腹を緊張させた状態にし、その緊張がラケットまでつながっているような状態――ラケットと腹部を一体化させるように打つと、湿気に負けず、ボールをしっかりとラバーに引っ掛けることができた。この経験からお腹に力を入れるというのは非常に大切なことだと気づかされた。よくインパクト時に手をギュッと握るということが推奨されているが、その前提としてお腹を緊張させなければならないような気がする。お腹が弛緩していたら、手に瞬間的に力を入れても効果が薄れるのではないだろうか。

なんだかまとまりのない文章で申し訳ないが、これ以上考える集中力がないので、これでひとまず終わりたいと思う。このトピックに詳しい方がいらっしゃれば、ぜひ補足していただけるとありがたい。

5番のジルベライゼン選手は完璧な試合運びでしたね。あの試合は戦術というよりも、勢いに押された。ヨーロッパ選手はそういう「バーン」と打ってくる怖さがある。私もアジアよりヨーロッパの卓球のほうが苦手です。アジア選手はボールがきれいなのでやりやすい。
(『卓球王国』2016年6月号伊藤美誠選手のインタビューより)

57-1
あぁ、あの選手か。たしかにループドライブとかをカウンタースマッシュしそうな印象がある。

「アジア選手はボールがきれい」というのはどういう意味だろうか。文脈からすると、「バーン」と打ってこないで、ドライブをかけて弧線を描くようなボールを打つことを指して「きれい」と言っているように聞こえる。日本代表レベルの言う「ボールがきれい」がどのようなものかは見当もつかないが、私も相手のボールを受けて「きれい」とか「きれいじゃない」と感じることがある。

地域の卓球クラブなどに行くと、リタイアした年配の方が健康増進のために卓球をしていることが多い。そういう人たちは試合に出たり、上達したりということよりも、ボールを打ち合う楽しみを味わいながら、軽く身体を動かすために卓球をやっている人が多いように見受けられる。中学や高校時代にちょっと卓球をやっていたという人もいるが、社会人になってから卓球を始め、我流のスタイルでやってきた人も少なくない。そういう人たちとラリーを交わすと、学生時代の卓球経験者と、「非経験者」(以下、独自のスタイルの人を指す)では、ボールの質が異なることが多い気がする。経験者(裏・裏の人)はほとんどのボールにドライブをかけてボールが弧線を描くのでとりやすい。一方、「非経験者」はあまりドライブをかけず、シビアなタイミングでスマッシュ気味の直線的なボールを打つ人が多い。このような直線的なボールは台のエンドライン近くの深いところに入ってくることが多く、しかも速い。両者を比べると、私は経験者のボールのほうが「きれい」だと感じる。

また、台上のボールなども違う気がする。
こちらがサービスを出すと、経験者はこちらが簡単に強打できないような、そこそこのスピードと高さのボールをふつうに返球してくる。しかし、「非経験者」はボールを浮かせてしまい、目線の高さほどの分かりにくい回転の掛かったボールを返球してきたりすることもある。高いボールだから、チャンスボールといえばチャンスボールなのだが、経験者のような想定内の回転ではなく、微妙な回転が掛かっている。しかも台の端ギリギリに入ってきたり、ネット際の極めて浅い位置に入ってきたりするので、無理に打つとミスしてしまい、非常に打ちにくい。あるいはこちらのサービスをイチかバチかで無理やりプッシュで押し込んできたりする人もいる。これは入る確率は低いのだが、入ったら取れないことが多い。
このような「非経験者」のボールは通常のセオリーが通用せず、とても打ちにくいボールが多いため、私はできるだけ「非経験者」と打つことを避けてきた。
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先日、久しぶりに出た試合も惨憺たる結果だった。その中で印象的だったのはカットマンのCさんとの対戦である。Cさんはなんだかやる気のなさそうな人で、攻撃がすごいとか、カットが分かりにくいとか、そういう際立った特徴のない人だった。今まであまりカットマンと対戦する機会はなかったが、たぶん勝てるだろうと思っていた。しかし、Cさんのボールは私がふだん受けているボールとは全然違っていた。ひとことで言うと、伸びてこない。私の周りにいる練習相手というのはほとんどが裏・裏の攻撃型で、ときどきペン表の人がいるぐらいである。カットマンとかペンツブといった少数派の戦型とはあまり練習したことがない。それでCさんの球質に驚いたわけである。Cさんのカットは勢いがない。普通のカットマンよりもやや下がり気味の場所からカットしてくるのかもしれないが、ふわ~っとした高いカットを打ってくる。そしてボールの落下点が浅めである。私はドライブで打ち抜こうとするのだが、打ち抜けない。私がカット打ちが下手というのもあるのだが、Cさんは鋭いカットを打たない代わりにミスが少ない。うまくカット打ちができなくて気が焦ってしまい、こちらのミスが増えてくる。カットを落とすまいと非常に力のこもったドライブを打とうとするのだが、なんだかその力がボールにうまく伝わらない。フォームもおかしくなってきて、結局負けてしまった。

対戦前に知人に「Cさんはそんなに厳しいボールを打ってこないから、勝てるよ」などと言われていただけにショックだった。この敗戦には大いに反省させられた。

どうして負けたのだろうか。たまたま負けたわけでは決してない。Cさんが強かったというよりも、私のプレーに問題があったからに違いない。その問題を私なりに分析してみた。

おそらくこういうことなのだ。
私がCさんのカットを打てなかった原因は、私のポジショニングが正しくなかったからである。あと10センチほど前に出てドライブを打っていれば、力がボールに十分に伝わったのに、Cさんのボールがふつうの人よりも勢いがなく、伸びてこなかったためにうまく打てなかったのだ。わずか10センチでも、ポジショニングが間違っていたら、フォームが崩れてしまう。

中国の卓球用語には「碎歩」という言葉があります。この言葉を日本語に直訳すると「足を細く動かす」という意味になり、卓球では「小さく動くフットワーク」のことを指します。【中略】試合では、体から遠いところに来たボールに対して大きく動くフットワークに加え、体の近くに来たボールに対して小さく動くフットワークも必要になります。【中略】体の位置やボールを打つタイミングを正確に合わせることにより、打球の安定性や威力が増すからです。 「邱建新の強くなるシステム練習」16より

takurepo
浜本由惟選手の特集号である。

私は相手のカットがネットを越える前からポジショニングを完了してしまい、そのまま動かずにドライブを打っていた。しかし、上手な人はそこからさらに細かいフットワークでギリギリまで微調整をしながら最適のポジションで打球するに違いない。Cさんのボールは私の想定していたボールよりも浅く、勢いがなかったために、10センチほど後ろから打球することになり、うまく打てなかったものだと思われる。わずか10センチの狂いでも、打球はおかしくなってくる。そのような細かいフットワークを磨いてこなかったために私は負けてしまったのだろう。

どうして細かいフットワークを磨いてこなかったかというと、私は「きれいなボール」ばかり受けていたからなのだ。「きれいなボール」はどこに落ちるか、どのぐらいの回転かが予測しやすいために、ポジショニングは早い段階で決まり、それ以上動かなくてもミスせず打つことができる。細かいフットワークで微調整する必要がない。もし私が多様なタイプの相手と練習し、セオリー通りではないボールにも免疫ができていたら――どんなボールにも細かいフットワークで微調整することを怠らなかったなら、Cさんのカットにも対応できたはずだ。

私は後日の練習で、相手のツッツキに対して細かいフットワークで微調整を心がけ、ポジショニングを正確にしようという、それだけに集中して打球したところ、以前よりもミスが減り、打球が安定した。ミスしたり、調子が悪かったりしたときに、私のようなヘタクソはつい「フォームを修正しなければ」と思ってしまうのだが、最適の位置から10センチ後ろにいて、つんのめりながら強打が打てるものだろうか。それ以前にポジショニングに気を遣ったほうが安定性が高まるのかもしれない。

ボールが合わない人と練習するのは気が進まないものである。ボールが合わない人と練習すると、ラリーが続かず、練習しているという充実感が感じにくい。だから自然とボールの合う人とばかり練習することになるのだが、そうすると試合ではなかなか勝てない。どんなボールを打つ人に対してもこちらの攻撃が存分に発揮できるよう細かいフットワークを鍛えなければならない。ふだん打っている人とは異質なボールを打つ人と練習することは細かいフットワークを磨く得難いチャンスなのである。
例えば、初心者と試合形式の練習をしてみたとすると、どんなボールが返球されるか予測できないことが多い。そういうボールを「やりにくい」の一言で片付けてしまっていいものだろうか。私は台上で相手から不意にポーンと高いボールを繰り出された時、どうしていいか分からず、ただ当てるだけの返球をしてしまいがちだ。予測を外されたボールでも細かいフットワークを使って常に攻撃態勢に持ち込むというのは私にとってそれほど容易いことではない。たとえ格下でも、やりにくい相手と打つことはいい練習になると思われる。


最近、私のまわりでもようやくプラボールで打つようになってきて、その違いが気になるようになってきた。
初めてプラボールを打った時(ニッタクとTSPのスリースター)は、セルボールとの違いがほとんど気にならなかったのだが、ボディーブローのように、ジワジワと効いてきた。
前陣でのラリーではあまり違いが感じられない(鈍感すぎるか?)のだが、台から少し離れてドライブを打つと、ネットを越えないケースが増えてきた。私の場合、基礎ができていないというのか、ちょっとした変化にも敏感に反応して一気に調子が悪くなってしまう。このままではいけないと危機感を持って、いろいろ模索した顛末をお話ししたい。

中陣からのフォアドライブを打つと、なんだか力が伝わっておらず、スカっとラケットだけが上滑りして、ボールが飛ばない印象である。バックハンドドライブは前陣でもボールがよく落ちる。原因を考えてみた結果、薄くこすりすぎているのではないかと疑っている。

私は厚く当てるのが好きではない。インパクトの衝撃を木まで伝えてしまうと、ホームランだったり、ボトっと落としたりしてコントロールできない。そこでできるだけ薄く当て、こすりの割合を高めることでボールに安定感を出していたわけだが、プラボールではもう少し当てを強くしなければ、ボールが飛んでいかないような気がするのだ(私の見立てなので、間違っているかもしれないが)。しかし、ボールをラケットに正面衝突させない程度に、ほどほどに当ての割合を増やすことが私には難しい。

世の上級者はどのようにして正面衝突を回避しつつ、当ての割合を高めているのだろう?



冒頭の「今井くん基本打法『ドライブ』」を見ると、今井選手は体全体を使って打球しているが、とりわけ脇を締めて、肘支点で前腕をグルグル回しているのが印象的だ。このように下から上にグルグルと前腕を回して包み込むように打球すると、安定するのかもしれない。以上がフォアハンドドライブについてである。

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海水と奮闘するアクマくん。しっぽをモーターのように回して推進力を得ている。

一方、今井選手のバックハンドは非常に直線的で、あまりグルグル回していない。バック表ソフトだからだろうか。

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松下大星選手のバックハンドはかなり腕をグルグル回して打っている。

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50秒あたりからの「前陣ドライブ」では「スイングは上に振り上げるのではなく、後ろから前へ振る」とある。下から上へのこすり主体のドライブではなく、後ろから前へもっと当てを強くするということと理解した。

松下大星選手はあまりヒジを前に出さないで打っているが、私はかなりヒジを前に突き出して前腕をグルグル回すようにバックハンドを振っている。松下選手のやり方のほうがコンパクトで戻りが早いのかもしれないが、私は安定性重視なので、もっと大きなスイングで打つことにしている。

私のやり方は、こちらのバック側への横下ロングサービスを迎撃する場合の打ち方が基本なのだが、ヒジを前に突き出すと、自然に肩も横から前に向くようになる。

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そうすると、バックスイングで上半身を一度閉じてから、打球時に開くことになり、腕だけでなく、体を大きく使いやすい。以上がバックハンドドライブについてである。

ところで世間でのフォアハンドドライブの基本というのはどのようなものなのだろうか。

それではフォアハンドドライブを打つときの体の使い方をおさらいしましょう。
まず、左足前のスタンスで構え、上体を右にひねってバックスイングを取ります。
このとき、左足を内側にねじりながら、軸足となる右足のつま先に力を込めるイメージで構えます。
両腕の無駄な力を抜いて肩を右側に回しながら、下半身の動きに合わせてバックスイングを取りましょう。
ボールをしっかりとミートポイントまで引きつけて、つま先→ひざ→腰→肩→前腕という順序で体の動きを連係させてスイングします。

このようなポイントは多くの選手が理解していると思いますが、実際にどこに意識を置いてスイングするかをつかめていないのでしょう。
エキスパートに聞こう」(バタフライのサイト)より


「多くの選手が理解している」とあるが、私は「左足を内側にねじりながら」という部分がおろそかになっていたと気づかされた。腕の回し方の問題だけでなく、下半身との連動にも気をつけなければならない。

シェークハンズのサイトにあった記事「腰を入れて打つとは?」にも近い説明があった。この動画は以前、見たことがある。左利きをモデルにして説明しているので、右利きのプレーヤーの場合は「右足」「右膝」などを「左足」「左膝」と読み替えて理解していただきたい。



打球前に、この左利きの選手はおそらく右足の親指の内側に力を入れ、右膝を左側に向けて左股関節を入れています。
簡単に言いますと、右足だけを内股にすることにより、左足が壁になり、左股関節が圧迫された状態になります。
ここで「ため」ができ、ここから打球時にこの股関節の圧迫を緩めようと、右ひざを正面に向け通常の状態に戻そうとする過程で体が回転し、肩から肘・手首と伝わり力強い打球となっていきます。
これで腰が入った打法の完成です。


なるほど。股関節を圧迫させておいて、そのタメの力を開放すればいいわけか。

と、だんだん「当ての割合を高めつつ、正面衝突を回避するには」という本来のテーマから話がずれてきたが、まとめると、私はヒジ支点で前腕を下から上にグルグル回す打ち方がいいと思っている。
その際、フォアハンドなら下半身とも連動させて、タメを作って打つのがよい。バックハンドは私の場合、ヒジを突き出して上半身を閉じ・開く動作とともに前腕をグルグル回すという打ち方に落ち着いている。

また正面衝突を回避するためにはボールの打面をいろいろ工夫するのも忘れていはいけない(前記事「井の中の蛙…」)。

参考までに小島渡選手のフォア打ちを紹介したい。



冒頭のわずか3~4秒ほどのフォア打ちのシーンだが、ラケットを前方ではなく、斜めに押すように振ってボールとの正面衝突を避けている。私もこの打ち方をフォア打ちで試してみたが、このようにボールの外側を捉えて、斜め前方に押すと、相手の強いボールとこちらのラケットが正面衝突せず、安定して返球できる。この打法もどこかで使えそうだ。

 

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