しろのたつみ



卓球について考えたこと、
気づいたこと(レベル低いです)
を中心に中級者の視点から綴っていきます。




2015年09月

当ブログでは皆様からの寄稿を募集しております。卓球について意味のある主張を発表したい方はshirono.tatsumi◯gmail.comまで原稿をお寄せください。

コメントについて:
コメント欄は他の読者が読んで意味のある情報交換の場としてご利用ください。当ブログの方針(察してください)に沿ったご意見は公開します。返信しにくい場合は公開のみとさせていただきます。指導者ではないので、技術的な質問には答えられません。中傷等は論外です。なお、メールアドレスは公開されません。

「擦る」感覚の習得――初心者の指導から

私ごときの腕前でも、初心者なら指導できるだろうと思い、本当の初心者の指導に数ヶ月来携わっているのだが、なかなかうまくいかない。
初めは初心者には基礎が大切だと思い、打ち方云々よりも、身体の使い方というのを重視していた。

「むやみに腕を使ってはいけません。腕はほぼ固定で胸を中心に上半身を回転させて打ちましょう」 
「うちにくいボールは身体を歪めて打つのではなく、まずフットワークを使って移動してから打ちましょう」

などと言っても、全く効果はない。言われた時は手打ちにならないように気をつけて、フットワークを使おうとしてくれるのだが、それ以降はボールを打つのに夢中になって、私のアドバイスなど頭からすっかり消え去ってしまい、初心者丸出しの手打ち、ムチャ打ちになってしまう。

しっかりした指導者が高い目標を持って子供を週3~4回指導するというのならともかく、私のようにレクリエーションとして社会人を週に1回指導するぐらいなら、根気よく基礎を習得させようなどと言っていられない。身体や足の使い方などは後回しで、とにかく気持ちよくラリーしてもらえることを優先するという方針に転換した。

初心者がラリーを楽しめない要因は2つあると思っている。
一つは「ラリーを続けよう」という意識の有無。もう一つは当てるとこするというタッチの区別である。

とりわけ男性は相手のことなどお構いなしにむやみに強打してラリーを中断してしまう傾向がある。相手が苦しい姿勢でなんとか返球してきたボールをチャンスとばかりにスマッシュするのである。そこはスマッシュじゃなくて、逆に相手に体勢を立て直す余裕を与えるようなゆっくりした打ちやすいボールであるはずなのに。そういう人には続けることを優先するように注意して、強打をうたないようにたしなめる。

02_201506111617571eas

「そういう打ち方をしていると、みんなに敬遠されてしまいますよ。」

しかし、どうしても強く打ちたがる人がいるので、次のように説得する。

「軽く打って確実に入れることができれば、強く打つのは簡単です。逆に軽く打って入らないなら、強く打っても入りませんよ。まずどんなボールでも力を抜いて軽く打てるようにしてください。」(前記事「小は大を兼ねる」)

そしてもう一つのタッチについてだが、初心者はこするということが分からない。だから難しいボールも当てて打ってしまい、ミスしてしまう。安定性を高めるためにはどうしても擦るタッチを身につけなければならない。しかしどうやってこするタッチを教えたらいいのか。私が試したのは次の方法である。

台にボールを落として、弾んだボールが頂点を過ぎて落ちてくるところを真上に擦り上げて打つように一人練習をさせてみたのである。

「打ったボールの弧線の頂点がネットの真上に来るように、できるだけ高く擦り上げてください。」

そうやってこする練習をさせると、意に反して低く、当てこすり半々のようなボールを打つので、

「もっと高く、ボールを押さないで、ラケットを真上に擦り上げてください。」

と指導した。

よく台からボールを手前に転がして、台から落ちるところをこすりあげるという指導を見るが、



あれは本当の初心者にはハードルが高いと思ったので、台の上でバウンドさせてこすらせてみたのである。

すると、今度は高い弧線で打てるようになるけれど、まだ当てが強く、台をオーバーしてしまう。

「台に入るようにできるだけ高く擦り上げてください。ボールを押さないで、ラバーに引っ掛けるように。」

と言って、一人で10分ほど練習させておいた。
すると次第にボールをこするタッチが分かってきたようなので、その打ち方でラリーをさせてみると、初心者の顔つきが変わった。

「ボールが軽く感じます!」

「打っていて気持ちいいでしょう?横殴りにバシッと叩くと、安定しない上に、(スイートエリアを外しているので)打球感も悪いです。こすればどんな打点でも、安定して入るし、相手も取りやすいボールになるから、ラリーが続いて楽しいですよ。」

ここ数ヶ月の「指導」ではじめて「教えた」という実感を得られた瞬間だった。彼の方でも卓球の楽しさをはじめて感じたようだった(前記事「卓球の楽しさの原点」)。

【まとめ】
私の「指導」は順序が間違っていたようだ。レクリエーションの卓球に難しい指導は効果が薄い。手打ちでもなんでもいいから、まず「こするタッチ」を教えるべきだったのだ。そしてラリーが続くようになり、卓球の楽しさを知れば、おのずから自分に足りないことを身につけようと熱心にもなるだろう。

われわれ中級者だって、よく考えてみれば初心者と変わらないのかもしれない。

ラリーに夢中になると、下回転がかかったボールをこすっているつもりで当ててしまい、ネットに引っ掛けている(前記事「止まってから打つ、止まらないで打つ」)し、足を使えと言われても、試合中はついボディーワークでなんとかしようとしてしまう。試合に夢中になっていくると、練習してきたことがすっかり頭から抜けてしまい、基本的なことさえ満足にできなくなってしまう。中級者もやっていることは基本的に初心者と変わらないのかもしれない。

最近は私もこする感覚をしっかり意識できるよう、当てを最小限にしたループドライブの練習でもしてみようかと考えている。



 

小は大を兼ねる

最近、礼武卓球道場のビデオを観て思うところがあったので述べてみたい。



原田隆雅氏がフリックについて解説しているビデオだが、原田氏はフリックを成功させる上でラケットを「動かさないこと」が重要だと語っている。

【相手の順回転ショートサーブをラケットを止めて返球しながら】
「今、何やってますか?」

(当ててます)

「そう!当てるだけっていうのがみんなできないんですよ」
「動いちゃうんですよ、反射的に」
「これが大事ですよ!まず動かさない」

たしかにフリックやチキータを成功させようと気負っているときは、ラケットを止めてじっとしているのは難しいかもしれない。ついバックスイングをとってみたりして、何か準備をしていないと落ち着かない。こうやっていろいろラケットを動かしてしまうためにかえって失敗してしまうのだという。下手な考え休むに似たりということか。しかし、原田氏はラケットを静止しておくということに無駄な動きを省くという以上の積極的な意味を見出している。

「動かさないっていうことができるから、動かすことができる」
「動かさないっていう技術」


おぉ!なんだか深いことを言っている気がする。動かさないからこそ動かせる。したがって動かしているときは…動かせない?

【ラケットを止めて、ボールを十分ひきつけて、軽く振る】
「当たるときに動かす」
「当たる前に動くと…(ミス)」

「まず、当てるときに動かさない」
「当たるときに動かす」
「当たる前に動かさない」


フリックというと、成功率が低そうなので、私はあまり使わない。やるとしたら、渾身の力でフンっと上に擦り上げたりする。にもかかわらず、ボールは無情にもネットを越えなかったりする。
一方、原田氏のフリックは本当にやる気なさそうに力を抜いて軽く振っているだけなのだが、安定してネットを越えている。

ラケットを動かさないで待ち、当たる時にだけ動かす。

これなら私にもできそうだ。

ニューマン

写真がないとさびしいので意味なく芸能人の写真を挿入



そして私はこうも思った。

世のヘタッピはむやみやたらにラケットを動かし、渾身の力で大きくスイングしたりする。
私の場合がまさにそうだ。
しかし、上手な人は、たとえばツッツキでもほんのちょっとしかラケットを動かさないし、バックハンドで小さく鋭くパシっと払ったそのボールが私の大振りのバックハンドのスピードを凌駕する。

もしかしたら、小さく動かす技術というのが重要なのかもしれない。小さく軽くラケットを動かしただけで、ボールが入るなら、それは角度やらタイミングやらが適正だから、大きく動かしても、もちろん入る。小さく動かすことの延長が大きく動かすことなのだから、力に比例して強いボールが打てる。

小さく軽く打って入らないなら、大きな力を加えても、やはり入らないのではないだろうか。それを「スイングスピードが足りない」だの、「腰が入っていない」だの言って、間違った方向にどんどんエスカレートさせてはミスを連発する。ある程度の力で打って入らないのは、何かが根本的に間違っているわけで、別に力が足りないからではない。そこに力やスピードをいくら加えても、ミスは減らないのではないだろうか。

【まとめ】
まず、小さく軽く打って入るように自分の卓球を調整しなければならない。それで安定して入るようになって初めて力を加えて打つようにすれば、正しい打ち方のまま、威力を増すことができるのではないか。

【付記】
どうでもいいことだが、卓球のかっこいいイラストというのがあまりにも少なすぎると感じている。
ブログの飾りとして卓球の写真やイラストを挿入したいのだが、画像検索で検索しても「これだ!」というのがない。電柱棒さんという人が良質の卓球のイラストを描いてくれている唯一のイラストレーターのようだ。もっと卓球の絵を描いてくれる人が増えてほしいものである。

力を「逃がす」――ブロックについて

世の中ではブレードの角度なんて問題じゃない、問題なのは身体の使い方だという意見があるが、私の卓球にとってはやはりブレードの角度が大切じゃないかと思う。高いレベルのラリーでボールを打つときは、ブレードの角度はあまり問題にならないのかもしれない。しかし、私のレベルではブレードの角度が安定性を大きく左右する気がする。

-----------

強烈なドライブをどうやってブロックすればいいのか。
最近、こんなことをずっと考えて、いろいろ試行錯誤しているのだが、うまくいかない。
通常のドライブならふつうにブロックできるのだが、強打者の渾身のパワードライブを受けると、オーバーミス、あるいはネットミスをしてしまう。ネットミスしてしまうのは、もちろん回転量が少ないからではない。ものすごい回転量である。そのような強烈なドライブを受けると、オーバーミスだけでなく、ネットミスしてしまうこともままあるのだ。
「通常」のドライブというのに説明が必要だが、これは中高年のレベルの低い試合などで一般的に使われているドライブである(あまり説明になっていないか…)。それに対してドライブに自信のあるような若い人の強烈なドライブというのは、「通常」のドライブとは別物だと感じる。完全な体勢でその強烈なドライブを打たれたら、まともにブロックできないのだ。ワンコースでドライブ対ブロックという基本練習をすると、私はせいぜい1球しか返球できない、それも不安定にギリギリコートに入るような返球である。同じドライブとはいうものの、その破壊力は拳銃とバズーカ砲ほども違うのではないだろうか。

ブロックが上手な人というのは頼りになる。かっこいい。練習するなら、ブロックが上手な人とがいい。私もそんなブロック上手になりたい。ではどうすれば強烈なドライブも平然と返球できるようになるのだろうか。

「柳に雪折れなし」

「柔よく剛を制す」

強いボールに対しては、柔らかさ、しなやかさこそが有効なのではないだろうか。

パワードライブの強烈な威力を殺すために、しっかり受け止めるよりも、むしろグリップを柔らかくして、グラグラの状態でブロックすればいいのではないか。 そう考えたのが大きな間違いだった。
力を抜いて、ボールの威力を減殺するようにブロックをしてみたのだが、一向に安定しない。ブレードの先端に当てれば威力を殺せるのではないか(前記事「ブレードのふち活用法」)と思ったりしたのだが、強烈なスピードドライブを受けると、オーバーしたり、ネットに突き刺さったり。

そこで思い出した。

以前、エバンホルツに両面テナジー特厚というラケットを試打させてもらったことがある。
ズッシリと重量感があり、振動がグリップに伝わってこない。そして、ブロックが驚くほど安定した。重量感があって、相手のドライブに全く押されないのである。 

強いボールには真正面から正々堂々と当てる、ゆるぎない壁のようなブロックのほうが有効なのは自明のことではないか。どうして私は奇をてらって変な方向に考えようとするのか。

前記事「スイートエリアはどこに」でブロックのときはブレードのグリップ寄りに当てればいいのではないかと考えた。また、前記事「ブレードのふち活用法」のコメント欄でもグリップ寄りがブロックに適しているというコメントをいただいたので、グリップ寄りの、より安定した部分でしっかり止めてみた。すると、安定してしっかり返球することができた。ボールの威力をラケットで吸収しようなどと考えたために多くの時間を無駄にし、練習相手に迷惑をかけてしまった。

しかし、それとは別のやり方で安定するブロックもあった。それはボールの威力を殺すのではなく、逃がすという方法である。

大雑把な図だが、真正面からボールが飛んで来ると仮定して、それを真正面から受けると、力を100%受け止めて、それをそのまま返球するということになる。

01

実際には卓球ではボールは台にバウンドして上がってくるので、このような当て方は現実的ではない。
ボールの威力を半分ずつに分散させて返球するのが通常だろう。
02

だが、上の図2では強烈なドライブが止めにくい。そこでもう少しブレードをかぶせてみて、ボールの威力を後方に少し逃がすというのを試してみた。

03

図3は私のイメージである。物理学で力の合成とか分解とかそういう難しいことが法則化されているが、私の上の図はイメージなので、正確なものではない。あしからず。

このように後方(上の図では左向きの矢印)に力を逃がすイメージでブロックすると、返球したボールのスピードが遅くなり、驚くほど短く止まる。ちょうどボールの頭をこするようなイメージで、威力を板に届かせないようにブロックするのである。ペンの表面だとこれがやりやすい。

【まとめ】
ある程度以上の威力のあるドライブは「通常」のブロックでは止められない。これを受けるには方法が二つあると思われる。

一つはブレードのグリップ寄りの、スイートエリアを外した位置でボールを捉え、しっかりと返球する方法。もう一つはボールの威力を後方に逃す方法。前者がオーソドックスな方法で、さまざまなボールに対応できるが、後者は特に回転量の多いドライブを返球するのに適していると思われる。この方法はまだ習得中なのであまり語れないのだが、安定したブロックに大きく寄与するだろう。

ブレードの角度を調整するというのは上級者にとってはレベルの低い技術かもしれないが、私にはまだまだ必要な技術なのである。


o0800058813334406376
角度次第ではダイヤも砕ける

【付記】
先日の鬼怒川決壊のニュースは記憶に新しいが、どうやら読者のまなきゃんさんのご実家でも甚大な被害があったらしい(「俺のプラグが被り気味」)。まなきゃんさんのお宅は常総市よりも上流だったので、大きな問題はないかと思っていたのだが、ご実家が常総市にあり、日常生活にも支障が出ているらしい。まったくお気の毒である。心よりお見舞い申し上げる。

踵を接して――早いピッチに対応するために

先日、ペンの前陣速攻タイプの人と対戦した時のこと。

私の馴染んでいる対戦というのは、ゆっくりしたサービスから始まって、レシーブ、おもむろに安定性を重視したループ気味のドライブで起こし、それをブロック、相手が連続攻撃できず、合わせてきたら、今度はこちらからドライブで押していくといった展開が多い。

しかし、その前陣の人はいきなり速い切れたロングサービスで始まって、それを合わせるように打つと、3球目でほとんど打たれてしまう。

「うわっロングサーブが来た。しかも、切れてそう。とりあえず相手のバック側に返しとこう」

プッシュで「パン!」
images

「ピッチ早っ!〈ブロック〉 」

回りこんで間髪をいれず「パシン!」

「えっ!まだ心の準備が…ちょっと待っ」

「パシン!」

o0300022513581546547



なんなんだ、これは。これじゃこちらから攻撃する余地が無いじゃないか。一方的に攻撃されるばかりで、とりつくシマもない。どうすればいいのだろう。あっちに攻撃される前に先にこちらが攻撃してみるか。

2球目、あるいは3球目の早い段階でこちらから攻撃を仕掛けてみるのだが、私のヘナチョコドライブではキチッと止められてしまい、それを連続攻撃せずに繋いでしまうとまた「心の準備が…ちょっと待っ」「パシン!」なのだ。

相手にフォアで思い切り打たれたのなら諦めもつくが、バックでブロックやプッシュされたボールもピッチが早くてこちらからは十分な体勢で打てない。早過ぎるピッチには、ついていくのがやっとで、こちらから積極的に攻撃するのは難しい。

手も足も出ず、ストレート負けだった。

試合後、相手に「あなたのボールは適度にスピードがあったので、打ちやすかったです。もっと遅いボール、あるいは浅いドライブを混ぜられたら、こちらもあんなに気持ちよく打てなかったと思いますよ」と教えられた。相手のスピードに必死でついていこうとして、思い切り相手の土俵で戦ってしまったらしい。緩急、深浅をおりまぜて相手のペースに乗らないというのが大切だと思い知らされた。

ところで、今回の対戦で一つ発見があった。それは相手のボールにタイミングを合わせるコツである。
初めはまったく間に合わなかった打球タイミングが対戦を通じて少しずつ間に合うようになってきたのだ。そのコツは、相手のラケットのスイングにこちらのラケットをシンクロさせるということである。

前記事「シンクロ打法」で向かってくるボールのスピードに合わせてバックスイングをとることについて書いたが、ピッチの早いラリーでは向かってくるボールに合わせてバックスイングをとろうとしても、間に合わない。ボールに注目していたら、どうしても振り遅れ気味になってしまう。そこで、相手のラケットに注目するのである。相手がラケットを振るスピードに合わせてこちらがバックスイングをとれば、振り遅れはかなりの割合で改善される。

なお、題名の「踵を接する」は物事が連続して起こる意だが、「踵」は「かかと」ではなく、「きびす」と訓む。「くびす」という訓みもあるらしい。

【まとめ】
ピッチの早いラリーではボールではなく、相手のスイングとこちらのスイングを同期させればいいと思われる。



脱兎のごとく――レシーブ時の意識

高校3年生の夏休みを目前に控えた7月のある日。こんな会話を聞いた。

「オレさぁ、そろそろ受験勉強始めようと思うんだ。もうすぐ夏休みだし、そろそろやらなきゃヤバイよな」
「そうだなぁ。そろそろやったほうがいいかなぁ。」

目指している学部にもよるし、東大入学者をたくさん輩出している有名校では、そもそも「受験勉強」などというものがないのかもしれない。また、最近は18歳人口が最盛期の半分ほどということで、大学に入りやすくなっており、事情が違うのかもしれないが、私が大学受験の頃は高3から受験勉強を始めたのでは、そこそこの大学に入るのは無理だと言われていた。高2の夏休みぐらいから予備校の夏期講習などに通ってシコシコ勉強しないと、遅かったのである。しかし、田舎ではこんな会話が未だに交わされているような気がする。彼らのお勉強能力は決して低いわけではない。ただ、周りの環境が受験に向かう雰囲気ではないだけなのだ。彼らが都会のやる気のある高校に投げ込まれたら、そこそこの大学には合格していたと思われる。

同様に100m走で、スタートの合図とともに周りの選手たちが脱兎のごとく飛び出したのをぼんやり眺めていて、

「あぁ、スタートだ。走らなきゃ。」

などといっていたら、いくら足が速くても、とうてい一着にはなれないだろう。

---------

3球目を回り込もうと思ったら、相手のツッツキが深くバック寄りに返ってきた。がんばってボディーワークでフォアドライブを試みるものの、ギリギリ間に合わず、フォアハンドが不発。いわゆる「詰まる」という状況である。


tumaru
 
こういう事態を防ぐにはどうしたらいいのだろうか。私のフットワークが悪いからなのか。スイングに無駄が多いからなのか。いや、少なくとも肉体的な問題ではないだろう。なぜなら、体力的に優る若い人でも、3球目で詰まって打てないという場面を目にすることが多いからだ。

問題の所在は意識の置き所にあるのではないだろうか。さきの100m走のスタートの場面のように私はレシーブや3球目の時にぼんやりと

「どんなボールが返ってくるかなぁ。打ちやすいボールだったらいいなぁ。あっ来た。えーと、回りこんだほうがいいかな?ちょっと回りこんでみよう。あれ?間に合わない…」

となることが多い。しかし、そんなのんびりした意識では、間に合うものも間に合わないのではないだろうか。レシーブ時には、100m走のスタートを待っているような意識で、「まだか、まだか」と、いつでも全力で走り出す準備ができていなければならないのではないだろうか。上級者のプレーを見ていると、レシーブ時にも鷹揚に構えているように見えるが、あれは経験豊富な上級者だから、ボールの飛び出しを見た瞬間、「あっショートサービスだな」などと直観的に分かるのであって、私のようなレベルの低いプレーヤーはそんな余裕を持ってレシーブに臨んではいけないのではないか、と最近思うようになってきた。

根拠のない、私の推測にすぎないが、レシーブ時、あるいは3球目で素早く回り込めるプレーヤーは「回りこんだほうがいいかな?」などと眠たいことを考えず、もっと差し迫った意識で「回り込めるか?回り込めるか?あっ!イケる!」と回り込んでいるのではないだろうか。

そのように考えるようになってから、私はレシーブ時の意識を大幅に変えた。前よりは素早く動けるようになった気がする。私が考えたことが当を得ているかどうかはなはだ自信がないが、とりあえず書いてみようと思う。

まず、意識を一点に集中することが大切である。漠然と相手のプレー全体を意識する、あるいはボールの軌道全体を意識するのではなく、一点に集中することですばやく次のアクションに移ることができると思う(前記事「反射スピードの話」)。

私の場合、相手のボールの自陣における落下位置に集中することにしている。自陣のどこに落ちるのか、それだけに集中しておくのである。そして落下点が予想できたら、そこからボールと自分との最適な距離――フォアで打つべきか、バックで打つべきか、下がるべきか、踏み込むべきか等、が決まり、すばやく移動する。

落下点予測→自分との最適な距離を判断→移動

しかし、それはボールのスピードが比較的遅い、序盤の台上のプレーに限られるだろう。ツッツキやフリックなどの遅いボールなら、「どこに落ちるんだ?」と落下点に集中しながら待つことができるが、台上が終わり、相手のドライブやスマッシュなどの速いボールが飛び交う状況では、落下点が予測できた時点で動いても間に合わない。「なんだ、有効なのは台上の段階だけか」と思われるかもしれないが、初中級者の試合なら、3~4球目ですばやく動けるというのは、試合の結果を大きく左右する要素なのだから、この点が改善されれば勝率がずいぶん変わってくる。

次に自分が打つ前にどこにどんなボールを打つかを決めておかなければならない。前記事「ワリヤゴナドゥ」で述べたが、打っている最中に打球に意識を集中しているのでは遅すぎる。どんなボールを打つかは、打球直前に予め決めておき、打球中は次のこと――相手がどこに返球してくるか、その場合どうやって対処するかのほうに意識を移さなければならない。

今のところ、私の意識改革はこれだけである。
「落下点と自分との距離を意識する」「打球前にどんな打球をするか頭の整理をしておく」という2つのことを実践しているのだが、劇的にフットワークが改善したというわけではない。しかし、多少は手応えを感じている。もう少しこの意識の持ちようを試していきたいと思う。

上級者からみたら、おかしなことを考えていると思われるかもしれないが、その場合はよろしくご批正を願いたい。

【付記】
明日から数日間、PCのない環境ですごさねばならないので、コメントなどには返信ができない。あしからず。 

安定性を高める打法――バックハンドドライブ

ヘタクソな人間が人様に技術を指南しようなどとはおこがましいとは思うが…(略)

試合でバック側に速い下回転気味のロングサービスを集められて難儀した。

私はフォア側ならドライブで強打が打てるのだが、バックハンドは怖くて振れない。その結果速くて勢いのあるロングサービスに対してツッツキとか、角度レシーブといった守備的な2球目を送ってしまい、3球目を強打されてしまうのだ。スピードの遅いサービスなら回りこんでフォアハンドでドライブするのだが、速いサービスなので、私の足では間に合う自信がない。よしんば間に合ったところで、詰まってしまい、強いボールが打てないだろう。

バックハンドさえ打てれば…。バックハンドを自信を持って振れるようになりたい。

以下にロングサービスを2球目でバックハンドで迎撃するにはどうすればいいのかといろいろ試行錯誤した結果を報告したい。言うまでもないことだが、私の低いレベルの話である。それに私のやり方が多くの人に当てはまるとは限らないので、参考程度に読んでいただきたい。質問などはご遠慮いただきたい。

バックハンドといえば、スパーンとまっすぐにラケットを振り抜くイメージがある。
bd

10542

上回転や横回転、下回転かによって角度を変えて、回転に負けないように速いスイングスピードでスパーンと振ると、ストーンとボールが落ちてネットにまっしぐらである(私の場合は)。

そこでスイングを横に振ってみたらどうかと試してみた。
bd

これはなかなか安定するのだが、下回転のまじったロングサービスは落としてしまうことも多かった。

打球点が遅いのかもしれない。ボールのライジングをうまく捉えればいいのかと思ったのだが、速いロングサービスにはタイミングがシビアで安定しない。

ラケットを真上に振ってみたらどうか。

uramen
ほぼ真上に振り上げる馬琳の裏面バックドライブ

残念ながら、これも私はうまくいかなかった。打点に気をつけないと、入っても遅いドライブになってしまい、そのボールを狙われてしまう。ちなみにジャスポ解体新書で馬琳選手の動画が見られる。

いったいどうすればいいのだろう?
そういえば、上手な大学生がこんなことを言っていた。

「ラケットの面を閉じる(巻く)と、ボールは落ちる傾向があります。だから、高いボールをドライブするときは、面を閉じたほうがいいです。逆に低い下回転を持ち上げるときは、面を開けば、ボールは上に上がりやすいです」

なんと!さらっとすごいことを言ってくれるじゃないか。ではこのアドバイスをバックハンドドライブにどうやって応用するかというと、ボールの内側――右利きならボールの右側をバックハンドで捉えて、シュート気味にドライブをかければいいということじゃないか!

これを試してみたところ、かなり安定した。ボールを真後ろからこすりあげると、ボールを押しすぎてしまうが、右側をこすってみると、かなり安定する。

さらにこんなことも最近教えてもらった。

私「バックハンドはヒジを支点にしてワイパーみたいにまっすぐ振ればいいんですよね。速いボールの場合、身体をひねったりしている時間的余裕はないですから、ヒジだけで振るものですよね?」

大学生「ヒジを支点にして振るのはいいんですが、まっすぐ振るんじゃなくて、グルグル回して振ったほうがいいんじゃないですか。」

「グルグル回す」というのは、トンボの目を回す時のあの指の動きである。あれをヒジでやればいいというのだ。

akatombo



bh

MSワードで「グルグル」のイメージを描いてみたが、下手すぎる上に1時間近くかかってしまった…

ここまでをまとめると、

バック側に下回転系の速いロングサービスを出された場合、バックハンドでボールの内側を捉えてシュートドライブ。それも直線的に振るのではなく、ヒジを支点にグルグル、円を描くように振るといいらしい。それを実際に試してみたところ…たしかに安定した!さらにお好みで手首を使ってみるのもいいだろう。やはり卓球は角度とタイミングだけでは安定しない。身体の上手な使い方というのが必要なのだ。

このやり方でバックハンドドライブを打つと、相手に3球目強打をされにくい、ほどほどのスピードのあるドライブが打てるので、初中級者でバックハンドが安定しないという人は試してみるのもいいかもしれない。ただし、万人にうまくいく保証はない。


 

コンキン・メソッドって何だ?

ニッタクのカタログをぼんやり見ていたら、「コンキンメソッドテーブル」なるミニ卓球台が載っていた。
幅90×長さ240×高さ76(cm)。長さは国際規格よりも2センチ短いが、さほど問題ではない。高さは国際規格である。
product_main_6546
コンキン・メソッドってなんだろう?相変わらずニッタクは言葉足らずである。何も説明がない。しかし、これはなんだか心惹かれる。卓球台をうちに置くほどスペースがない人にとってミニ卓球台は家庭で実際に球が打てる唯一の選択肢である。

前記事「卓球台のある暮らし」で食卓を卓球台代わりにしてみた。打球感覚や打点の感覚を養うには有益だが、できれば本物の卓球台のようにしっかり打球もしてみたい。それがこのコンキン(略)なら可能なのだ。

product_hosoku_6730

分割できるので、ワンコースでドライブ対ブロックのような練習も可能だ。

しかし、惜しいかな、値段が5万円をこえている。国際規格のちょうど1/4サイズのミニピン台を2台買ったほうがはるかに安い…。

minipin


現在、ミニピン台DXは品切れになっているらしい。おそらくメジャーな問題点を改善したニューモデルがでてくるのだろう。そちらに期待だ。

ネットは伸び縮みする市販のやつがあればいいだろう(前記事「インスタント・ピンポン」)。ボックスティッシュでも構わないが。



緩急・深浅・広角――チェコオープン2015の福原愛選手

チェコオープン2015女子シングルス決勝の福原愛選手と田志希選手の試合を観て、感じたことなどを記そうと思う。オチはない。チェコオープンの結果についていろいろ書いてしまうので、結果を知らない人はご注意。




今回のチェコオープンはオリンピック代表選考に影響するということで、多くの日本人選手が参加していた。
中国選手は不参加だったものの、韓国、香港、台湾の選手が参加しており、なかなかレベルが高い。あれだけ日本人選手が参戦していたのに、準決勝に残った日本人選手は、男子が吉村真晴選手、女子が福原愛選手のみ。
両選手ともに決勝に進出し、吉村選手の相手は香港期待のペンホルダー、黄鎮廷選手。福原選手の相手は田志希選手だった。

男子は吉村選手が準優勝。女子は福原選手が優勝だった。吉村選手はバックハンドのミスが多く、あまりいいプレーが多くなかった。対照的に福原選手はすばらしいプレーで田選手をストレートで破った。

といっても、福原選手の試合はどのゲームも気が抜けず、圧勝というわけでは決してなかった。

そもそも田志希JEON Jihee選手とはどんな選手だろう?私はあまりよく知らなかったのだが、中国出身で2011年に韓国に帰化したらしい。今、23~24歳ぐらいだろうか。現在世界ランク20位前後。子供の頃は中国代表にも選ばれたらしく、実力がある。今年のワールドツアー、スペインオープンで平野早矢香選手を破り、優勝している。最近、ワールドツアーに出場する機会が多いようだが、今年のワールドツアーでは石川選手や若宮三紗子選手、前田美憂選手に破れている。福原選手とはなんと3度も対戦している。


オーストラリア・オープン2015決勝


ブルガリア・オープン2015準決勝


チェコ・オープン決勝

田選手は、フットワークもいいし、ミスが少ない。無駄な動きがなく、体勢があまり崩れない。崩れても戻りが早い。まるで機械のように正確に厳しいボールを打ってくる。対して福原選手は動きが大きく、比較的体勢も崩れることが多かったように思う。両者ともにすごいスピードで長いラリーに対応しているのだが、真っ向からラリーを挑むと、福原選手は分が悪い。しかし、今大会を含めて、今年の対戦結果は福原選手の3勝0敗のようだ(たぶん)。

福原選手はどうして田選手に勝てるのだろうか。

はるかにレベルの高いプロの駆け引きがどうなっているのか、私には知る由もないが、福原選手の緩急が効いていたように見えた。フォアにバックに早いピッチのラリーが続いている最中に福原選手はバックの浅い、ゆっくりしたブロックを混ぜてくる。おそらくナックルなのだろう。こういうボールに田選手のリズムが狂わされてしまう。速くて低いボールの連続攻撃なら、田選手のほうがミスなく続けられそうである。しかし、逆にゆっくりしたボールや切れていないボールには田選手はうまく対応できないようだ。

そしてサービスが効いていた。初めの2ゲームは3メートル以上の高い投げ上げサーブだったが、3、4ゲームは2メートル程度の高さの控えめな投げ上げサーブだった。

また、コースも厳しかった。ダイジェスト版にはあまり映っていないかもしれないが、エッジやネットがふつうの試合よりも多かったと思う。両者ともにラインギリギリの非常に厳しい場所を狙っていたのだろう。

福原選手のプレーは気持ちだけが前に行って空回りしているという印象を持っていたのだが、最近、無理に打ちに行かず、落ち着きが出て、スマートなプレーをするという印象に変わってきた。これも馬場美香コーチの指導のおかげなのだろうか。

というか、馬場美香コーチというのは不思議な人である。
baba

旧姓、星野美香選手は80年代に日本女子卓球をリードした稀有な選手で、全日本シングルス7度優勝というとんでもない記録を持っている。しかし、解せないのは出身地である。群馬県利根郡片品村の出身なのである。

katasina

そもそも群馬県という卓球のレベルの低い県で、全日本チャンピオンを輩出する環境がない。しかも片品村というのは、群馬の中心からはるかに隔たったところで、尾瀬に接しているところである。wikipediaによると、関東唯一の特別豪雪地帯だそうである。比較的近くに卓球の盛んな沼田市や中之条町があるが、それでも沼田まで約30キロある。高校からは前橋東高校に通っていたので、環境もずいぶん良くなったとは思うが、それまではおそらく全国的な指導者に教えてもらっていたわけでもなく、十分な練習相手もいなかったことだろう。そんな中学生が全国でベスト8に入るなんて、どんな魔法を使ったんだ?

馬場氏は福原選手の専属コーチになる前は特に指導らしい指導はしていなかったと思われる(前記事「福原選手が丁寧選手をやぶった」)が、なんで短期間で福原選手がこんなに強くなったんだろうか。馬場氏は他の指導者にはない何かを持っているのだろうか。

まったくまとめになっていないが、まとめ的なことを記すと、緩急を有効につかって厳しいコースを狙えば、強い選手にも勝てるかもしれない。それにしても馬場美香氏は謎である。

不安定ゆえに我愛す――表ソフトの魅力

オガさんの表ソフトについての投稿を読んで、いろいろな疑問を感じた。

表ソフトは弾みも、引っ掛かりも弱く、裏ソフトのような台から離れての豪快な打球は打ちにくい。タイミングを利用して前陣で早い展開から先手を取るしかないようだ(私の理解なので、間違っているかもしれないが)

私はオガさんに「裏ソフトを使っても前陣で早い攻めはできるのではないか。どうしてわざわざ性能の劣る表ソフトを使うのか。」と尋ねたところ、「他のプレーヤーと違ったスタイルで、表ソフト独特の球質と、弾道が打てる」「対ドライブでカウンタースマッシュが打ちやすい」といった回答を得た。しかし、それでも納得がいかない。裏ソフトなら強力なドライブも打てるし、スマッシュも打てる。前陣でも中陣でも戦える。メリットが圧倒的に多い。それなのにどうして表ソフトにそれほどまでにこだわるのか。

そういえば、表ソフトは球離れが早いので、回転の影響を受けにくいという話を聞いたことがある。相手が切れたロングサービスを出しても、回転を気にせず2球目で強打できる。これは表ソフトのメリットと言えるだろう。しかし、伊藤条太氏によると、実際は表ソフトも裏ソフトも球離れに差はないらしい(「接触時間の話」)。追記:球離れの早さというより、表ソフトはボールとラバーの接地面積の少なさで影響を受けにくいのだろう。

となると、表ソフトのプレーヤーがふつうに裏ソフトのプレーヤーと戦えば圧倒的に不利である。表ソフトを使う人はどういう理由で使っているのだろうか。

裏ソフトでドライブを打つとはこういうことだと思う(「落とさず捕まえろ」)。

 

インパクトしてからスイングを加速し、ボールをラバーに押し付けるようにする。しかし、真正面からボールに衝突させると、押し付ける前にボールが飛び出てしまうので、ボールに対して斜めにスイングして、ボールとラケットを正面衝突させずに、ボールにラケットをこすりつけることになる。そうすると、ボールの回転は一旦止まり、ボールを自分のコントロール下に置くことができる。そして自分の回転にかけ直すことができる。

それに対して表ソフトはしっかりグリップできない。半分すべらせながら(?)ボールを打つことになるので、コントロールが難しい。しかし、その「すべらせながら打つ」というのが、もしかしたら得も言われぬ快感なのかもしれない。

中里毅
アンチドリフト走行の中里毅

ドリフトなんて子供っぽい、グリップ走行が一番速いのだと主張する裏ソフトユーザーに対して、暴れる後輪を滑らせながらのコーナリングは何ものにも代えがたい愉しみだと主張するのが表ソフトユーザーなのではないだろうか(ペン粒の人も同じ心理なのかもしれない)。ボールを完全にコントロールして効率的に相手コートに送ることに多くの人は満足感を覚える。しかし、表ソフトユーザーは、そのコントロールしきれないところにこそ魅力を感じているのかもしれない。


 
最新記事
記事検索
プロフィール

シロノ タツミ

カテゴリ別アーカイブ