しろのたつみ



卓球について考えたこと、
気づいたこと(レベル低いです)
を中心に中級者の視点から綴っていきます。




2015年07月

読者のぴーろんさんからアイポン・プロのレビューを投稿していただいたので、以下に掲載させていただく。

以前からアイポン・プロの実際の使い勝手などが知りたいと思っており、前記事のコメント欄でその旨をリクエストさせていただいたのだが、快く詳細なレビューを引き受けていただいた。

お礼申し上げます。

最近、TSPのモバイルロボや、ヤサカの Y-M-40といった4万円台の安価なマシンが登場しているが、耐久性などの情報がほとんどないことを考えると、まだ手が出ない。その点、アイポンプロは2万円以下という価格なので、そこそこの耐久性があれば、十分使用に耐えるだろう。

実戦を想定した複雑な練習ではなく、基本打法をしっかり身につけるという目的であれば、アイポン・プロは選択肢の一つとなりうると感じた。



以下、レビュー本文である。
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Ipong Pro レビュー

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かなり安価な卓球マシンであるがため、皆さんは多分、「安かろう悪かろう」「機能がいまいちなのでは」「耐久性に難があるのでは」と考えてしまい、購入をためらわれているのではないかと思います。確かに思われていることは事実とあまり違ってはいません!(笑)
 

【基本仕様とできること、できないこと】

・ツーローラー搭載(独立操作可能(無段階)、上回転用と下回転用)

・AC電源で動作(電池には対応していない)

・左右首振り機能有(首振りの早さ調節可能(無段階)

・縦方向、首振り角度(幅)設定、左右に一本ずつ送球等の設定はできない)

・横回転はだせない、上部にボールを貯留し連続送球可能(70個程度か)

・送球ピッチ可変(無段階)

・卓球台の相手側に本体を置いて使用することが基本。2つの漏斗状の部品(片方が本体上部のボール貯留用として、片方が本体下部の土台として使用するが両方同形状で同一のもの)と本体とACアダプタ(コンセント)で構成されており組み立てや取り外しは簡単。

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・ローラーの回転の強弱(上、下別)と首振りの早さと送球のピッチ(送球ピッチは電源のオン、オフを兼ねる)はコントローラー(有線)で行う、大きさや重さなどはメーカー(JOOLA)ホームページなどでご確認ください。


お察しの通り、下回転をフォアに⇒下回転をフォア前に⇒上回転をバック深くに⇒チャンスボールをフォアに、などのランダム送球なんてものはまず不可能です。一人が打球し、一人がコントローラーを操作すれば、それらしいことにはなりますが、お勧めできません。(理由は、打球者は、アイポンの外見からはボールの回転の方向が判断つかないし、操作する者も球速や強さ、送球方向を思った通りに設定しづらいからです。) 


購入価格 Amazonで18,000円だったと思います。


【機能がいまいちなのでは?】

アイポンプロは上、下回転用に2つのローラーがあり、それぞれ独立して回転量を決定できます。よって、上回転を強めると強上回転のドライブが、下回転を強めると超人的なカットマンが放つ強烈な下回転ボールが出せます。ナックルも可能。

ただし、

(1)他のマシンでも同じだと思いますが、ローラーの回転で飛ばす以上、ラケットがボールを打ち出す、弾き返すという球種ではないので、人間相手と比べると違和感を覚えるかもしれません。もっとも、相手のラケット角度や目線、表情などはありませんから、そちらのほうが違和感を覚える要因かもしれません。

(2)横回転は出せません。本体の下に板でもおいて傾けると多少は(本当に多少です)横回転系が出せますが、倒しすぎるとボールがこぼれてしまうため無理があります。第1バウンドの位置にラケット等を置いておくと横回転がだせるとの情報を見た記憶があります。

(3)相手コートにバウンドさせてネットを越えて自分コートに落ちる「サービス」を出すのは難しいです。が、できないことはありません。(注1)

(4)よくボールが詰まります。詳しくは書きませんが、工夫すればかなりの部分で解消は可能です。詰まりの原因はボール貯留部から発射装置までのボール送り板による不具合と発射装置のローラーまでのボール送り経路の不具合が原因のほとんどです。玉詰まりしても簡単に取り出しできます。

(5)首振りにより、左右への送球が可能です。ただし、フォアに1本、ミドルに1本、バックに1本というような決まった場所への送球は、まず無理です。首振りの早さは調節できますが、送球ピッチも首振りとは独立して調節が可能。言い換えればそれぞれ勝手に動きます。よって、首振りの早さと送球ピッチの絶妙な調節次第ではフォア、ミドル、バック、ミドルということも可能でしょうが、できた例しがありません。

(6)使用できるボールに制限があります。いわゆるホームセンターの玩具売り場にあるような「おもちゃピン球」では、送球にかなりのムラがでます。(注2)

(7)ランダム送球はできません(理由は前述のとおり)。

(8)集球ネットは付属していません。アイポン購入当時、集球ネットなし、ボールは120球ほどでやっていましたが、練習になりません。集球ネットは必需品だと思います。

(9)ACアダプタ(コンセント)は2メートル程度です。体育館などで使用するには延長コードが必要でしょう。電気使用料も必要かもしれません。使用する施設に確認をお願いします。ACアダプターの元は本体に差し込むようになっています。コントローラーのコードも本体に取り付けられています。どちらかが張った状態では、首振りがうまくできないことがあります。


【耐久性について】

2013年の秋ごろに購入したので2年近く使用しています。月に3度程度で、1回2時間程度使用しています。使用場所は近所の公営体育館です。送られてきた時に本体が入っていた箱に入れて持ち運び、体育館で組み立てて使用します。一緒に集球ネットも持ち込んでいます。職場の卓球部で(同じ体育館で練習しています)、参加人数が奇数の時に基礎練習兼時間つぶしのため使用するときもありますが、基本、一人で使用します。2時間ほとんど稼働しています。70球ほどしか貯留できないので、球切れの度に、ボールを補充しなければならないため、いったん停止させ、補充後、作動させるという操作を行います。その際、上回転や下回転、首振りについても調節します。

で、故障といえば、上下ローラーが摩耗していることと、昨秋ぐらいに下回転ローラーがモーター軸より外れたことぐらいです。替えのローラーは、メーカーも販売しておらず、修理も受け付けていないようですので、ビニルテープを貼ってみたり、輪ゴムを数本かけてみたりしましたが、芳しくありません。使用にはあまり、影響がない(すごい回転のボールを打てる練習をする必要があるのかと疑問に思ったため)ので、いずれは何か対策を施してみようとは思いますが、はずれたローラーはローラー側の軸受用の穴にボンドを流し込んで止めました。今は問題なく使用できています。

耐久性については、コントローラーは精密そうだから少し不安ですが、結構単純な機械だから丈夫という印象です。今のところ大丈夫です。


【安かろう悪かろう】

機能面や耐久性は以上のとおりです。できないことが多いように思われたかと思います。しかし、

(1)1コースに1球種のボールを送ることができ、

さらに

(2)上回転、下回転、ナックルまで回転の強弱も調整可能。

(3)ランダムだが首振りにより左右に送球もでき、そこそこ耐久性はあるのです。


アイポンの購入は、日ペン裏ソフトを表ソフトに変えたことがきっかけでした。表ソフトの打法は、裏ソフトの打法と全く違うので驚きました。で、そのころ中学2年生の息子(中学で卓球をはじめた)が、なかなか練習につきあってくれなかったので、自分の練習のためにアイポンを購入したのです。ええ、自分のために。で、一人で練習することで、表ソフト独特の弾く打法というものを感覚的に習得することができた(ことにします)と思います。それには①②の機能で十分です。また、裏面打法にも興味があったので、中国式ペンを購入して挑戦した裏面打法の習得にも大いに役立ちました。③首振り機能も左右の切り替え練習やフットワークの基礎練習には良いものと思います。初心者にしても、相手に気兼ねなく、何度でも、気のすむまで、同じ球種やスピードの球を打つことができ、納得するまで練習することができます。惜しむらくは、ランダム要素がないため、試合を想定した練習には不向きな点です。この点、今後の練習の課題でもあり、もっと、高性能なマシンが欲しくなる理由の一つです。現在は、表ソフトの特性を活かしたフリックや角度打ちの精度を高めるべく、アイポン相手に練習をしています。2時間はあっという間です。それだけ、集中してやっているのだと思います。もう、元は十分取ったと思います。


【感想まとめ】

機能や耐久性は値段相応と思います。ですが、練習の目的がはっきりしている人、習得したい技術のための練習に工夫ができる人、一人で機械相手に練習していても恥ずかしいと思わず熱中できる人にとってみれば、アイポンプロの購入は、一考の価値、大いにありで、費用対効果は高いと言えます。私は気に入っていますし、購入してよかったと思います。


(注1)

アイポンは本体から水平方向にしか球を打ち出せません(上下方向への打出し調節の機能はありません)ので、第1バウンドが相手コートになるようにするには、本体の下に板でも置いて傾けることが必要。(2)のように多少の傾斜しかできません。よって、それをカバーするために本体を箱(アイポンが梱包されていた箱がよかったです)の上に置いて尚且つ、自分側に傾斜させる必要があります。また、バウンド後のボールはネットを超えるための高さに到達する必要がありますので、第1バウンドの位置も重要になります。本体は相手側コートのエンドラインに限りなく近くし、下回転の強弱を調節し、高さ、バウンド位置を調整すれば、やっと可能です(このあたりが(1)の弾き出すことができないことの弊害(いいすぎですね)かと思います)。ですので、サービスといっても回転の強弱も選べない、限られた「サービス」しか出せません。この状態でも首振りは一応はできますが、首振り機能は打出し部分の下にあることから、上部のボール重量と打出し部分の重量が首振り機能部分にもろにかかるため、本体を傾けた状態で首振りをするにはパワー不足のようです。よって、ボールがたくさん貯留されていたら動かない、少なくなったら動き出すことになります。今までの「サービス」は、全て下回転のことです。上回転サービスは挑戦しましたが第1バウンドのボールが台上ですべる感じとなり、ネットを越せるだけの高さを出せず、ネットミスとなり、無理でした。卓球台の外に違う台でも設け、そこから送球すればできるかもしれません。


(注2)

ボールの品質によっては、まっすぐ打ち出されないものもあります。アイポンに使用するボールは正規(?)の練習用のボールをお勧めします。ラージボールは無理でしょう。プラ球では試したことはありません(あっ、今、このレビューは本当に有用なのか疑問に思いました)。


【追記】160110
 近頃、プラ球で試したところ、問題なく使用できました。ただ、白色以外ののプラ球がないので、以前、お知らせした黄色と白色のボールを使用してのランダム練習ができないのが残念です。

今週の練習での課題は、レシーブを安定させることだった。
回転の強いショートサービスをレシーブするとき、回転を見誤るとネットミス、あるいはオーバーミスする。私は今までとりあえずボールを入れること優先で、面をやや上ぎみにしてレシーブしていたのだが、そのとき新たな発見があった。インパクト地点をラケットの先端にしてツッツキやストップをすると、かなり短く返るのだ。

文書1

今まで中央の黄色の部分でインパクトしていたのだが、これを先端の緑の部分に当ててチョンと下に切ると、ツッツキがとても短くなる。横回転を下回転と見誤っても、あまり浮かずに相手コートに入る確率が高まる。私の場合はペンホルダーなので、ラケットのヘッドのふちに当てることになるが、シェークの人だったらサイドのふちかもしれない。

この発見から思い合わされることがある。独り練習の球撞きをしているとき、誤ってボールをラケットのふちに当ててしまった時は、とんでもなくバウンドが小さくなるのだ。

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球撞きをする孔文革

ラケットのふちでインパクトした場合、ボールの弾みが通常の半分以下になると思われる。
今までレシーブが飛び過ぎないようにラバーをマークファイブやスレイバーなどのあまり弾まないラバーに変えようと考えたこともあったが、そんなことをしなくても、スイートエリアを外してインパクトすれば、ストップやツッツキが短くなるのだ。今までなんの考えもなしに、ボールはとにかくラケットの中心でインパクトすればいいと思っていたが、上手な人はラケットのどこに当てるかということでボールの弾みをコントロールしているのではないか。

これはツッツキやストップだけでなく、ボールを弾ませない――ボールの勢いを殺すというより大きな問題として考えることができる。サービスは速くて長いサービスを出すときは中心のスイートエリアでインパクトし、短く遅いサービスをするときはラケットのふちに当てればいいのかもしれない。フリックするときも、ふちに当てて、引っ掛けるようにして払うと、ボールが飛びすぎず、かなり安定する。あるいはまだ試していないが、強打をブロックするときも同様だろうか。

これからもラケットの当てる場所を意識しながら精度の高い台上技術を目指したい。




 

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