しろのたつみ



卓球について考えたこと、
気づいたこと(レベル低いです)
を中心に中級者の視点から綴っていきます。




2015年02月

基本練習が一通り済み、ゲーム形式の「オール」。
しかし、なんとなく調子が出ない…。ミスが多い。練習に飽きてくる。

こんなとき、どうすればいいのか。打球の感覚が狂っているからシステム練習なんてどうだろう? システム練習をして打球感覚を取り戻すのである。

たとえば相手にバックでブロックしてもらって、

フォア側でフォアドライブ、ミドルでフォアドライブ、バック側でバックブロック 

みたいな規則的な練習をしたらいいかもしれない。

しかし、せっかくだから下回転サービスから実践的にシステム練習をしたほうが、もっと練習になるかもしれない。

…といろいろ考えているうちにモノマネをやってみたらおもしろいかもしれないと思いついた。

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ぴんぽん氏の石川佳純選手のものまね。丹羽孝希選手にも似ている?

といっても、別にかくし芸の練習をするわけではない。好きな選手の試合の好ラリーをマネてみるのである。

たとえば、王皓選手の以下の動画の冒頭のラリー。



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1球目:ガルドスがフォアサーブで王皓のミドルへ

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2球目:それを裏面ドライブでバック側へ

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3球目:カウンターバックドライブでバックへ

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4球目:それをカウンターバックハンドドライブでミドルへ

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5球目:苦しい姿勢でやっとバックハンドでブロック

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6球目:フォアドライブでバックへ

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7球目:なんとかブロック

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8球目:フォアハンドドライブでサイドを切るクロスへ

こうやって1球ずつ確認していくと、勉強になる。
王皓選手は2球目のバックハンドドライブで決めに行っていない。私のようなヘタクソなプレーヤーは2~3球目に打てそうなボールがくると、やや苦しいボールでも無我夢中で渾身の力で決めに行ってしまう。その結果、ミスが多くなったり、あるいはブロックされて返ってきたボールが取れなかったりする。

攻撃選手同士の中級者の試合は
3球目あるいは5球目攻撃(ドライブ)が入ったか入らないかで
点数が行き来しています。

ボクシングに例えると
こういう入ったか入らなかったで
卓球をしている選手は

一撃必殺の『ハードパンチャータイプ』といえるでしょう。
あたれば勝てる、あたらなければ負ける、そういう卓球です。

それに対して上級者は
ブロックされても連続ドライブできる範囲で
ブロックされたときのスピードを考えながら
プレーをしています。
WRM 「King-Pro」紹介記事より


そうなのだ。王皓選手の2球目バックドライブは決めに行くボールよりもややスピードが抑えてある。がっついていない。その結果、次の4球目で相手のガルドス選手のバックハンドを万全の体勢で強打、しかもミドルを狙っているので、ガルドス選手はブロックしかできない。それをフォアハンドドライブでバックへ。そのフォアハンドも回転を重視したループドライブで、ゆっくり目のボールになっている。ジワジワと相手を守勢に追い込んで、最後に決め球のフォアドライブをサイドを切る厳しいコースへ。

なるほど。プロはこんなコースどりをするのか。この「ジワジワ」というのがプロフェッショナルな気がする。2球目と6球目はややスピードを抑えて次のボールに繋がるように工夫しているのだ。

このラリーを実際に真似してみるのである。たとえば上のラリーだったら、相手にガルドス選手役、自分が王皓選手役になって、サービスから何からすべて同じ展開にするのである。もちろんボールのスピードや威力は素人のそれになってしまうが、雰囲気は味わえるだろう。何度もこのラリーをまねしてみると、かなり忠実なコピーができるようになり、その結果いろいろ気づくことも多いかもしれない。傍観者として観ているのと、自分で実際にその立場に立ってみるのとではずいぶん見え方が違うはずである。

日本の学校には芸術科目として音楽と美術というのが一般的だが、欧米の学校にはドラマという科目があるという。名作映画の有名なシーンを再現するのか、あるいは古代ギリシアの悲劇等を演じるのか詳細は分からないが、そういうことを日本の学校でもやってみたら、人格形成にいいと思われる。

今まではドラマといえば、評価する側だった生徒が評価される側に立った時、どのように感じるだろう。

「セリフがぎこちないし、声が小さくて聞こえない」
「変に感情がこもりすぎて、空回りしている」

といった容赦のない同級生の評価にさらされて、演じている生徒たちはどう感じるのだろうか。立場が変わることによって学べることは多い。

人格形成はさておき、ドラマの授業を通じて生徒たちは、どうすればこのシーンを効果的に演じることができるのか、自分なりの個性的な解釈をどう加えるか、そんなことを自分で考えることができるだろう。

上の王皓選手のラリーを何度も繰り返し、完全にモノにすることができたなら、今度は自分なりのアレンジを加えてみるのもいいかもしれない。そうすると、トップ選手のプレーがいかに無駄のない、理にかなったものかを学べるに違いない。

トップ選手の打法やフォームを真似るというのはよくあるが、ラリーを「演じてみる」のも、得るものが多いのではないだろうか。

【追記】150224
「王皓選手の3球目は …」などと書いてしまったが、2球目の間違いだった。そのあとの球数も間違っていたので訂正しました。

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それは「下回転サーブが出せない病」に苦しんでいるときだった。

卓球のサービスで最も基本的な下回転ショートサービス。台上で2バウンドさせるサービスは意外に難しい。回転量を増やそうとすると、台上で2バウンドせず、台から出てしまう。がんばって台上に収めようすると、今度は回転がかからない。ボールの斜め下をとらえる横下回転サービスなら、前に押す力を横に逃がせるので台上に収めやすいが、真後ろからラケットを押し出す純下回転サービスは、上手にボールの下部を捉えないと、ボールを押してしまい、台上に収まらない。あるいはネットにかけてしまったりしてミスしてしまう。ボールを切る感覚をつかみ、ようやく安定して下回転サービスが出せると思っていたら、ある日突然下回転サービスが全く入らなくなる。こうなると、いくらがんばってもその日は下回転サービスが入らない…。

これが私が頻繁に見舞われる「下回転サーブが出せない病」である。

この病気にかかると、プレー全体が狂ってくる。サービスはその後のプレーのすべてを左右するからだ。

「試合を決めるのは結局サービス。今日は岸川さんのサービスがぼくよりもよかった。」
『卓球王国』2015・4 松平健太選手の全日本準々決勝の試合に対するコメント

「…サービスが変わればその後の戦術も違う。」
『卓球王国』2015・4 水谷隼選手の「チャンピオンインタビュー」より

自分だけの調子が悪いなら構わないが、この病気に罹ってサービスミスを連発すると、相手にまで非常に迷惑をかけてしまう。

「切れていなくてもいい、無難にミスなく下回転サービスを入れなければ」

と焦れば焦るほど下回転サービスはネットにかかってしまう…。

何かが根本的に間違っている。こんなにがんばって安定性最優先でシンプルな下回転サービスを出しているのにどうして入らないんだろう?

そこで思い至ったのが、ボールの打球点の高さである。

高い打点2図1
上の図1のように高い打点から斜めに切っているからサービスが長くなってしまうのだろう。
ほぼ水平で切ってみたらどうだろうか。

しかし、図2のように高い打点で水平に切ると、たしかにサービスが短くなり、安定するのだが、スピードがなく、ポテンポテンという相手に打ちやすいボールになってしまう。
高い打点図2


下の図3のように低い打点で水平に近い角度で打てば、低くて速い下回転にならないだろうか。こうすれば、タタンという低くて速いサービスが打てる。


低い打点図3


そこで低い打点で打とうとするのだが、私の身長の関係で、低い打点で水平に切りづらい。いろいろ試行錯誤していると、

「あれ?奥まで入る?」

なんと、サービス時に膝をグッと曲げて打つと、膝が台の下にスッポリ入るのだ(「前傾姿勢のスクワット運動」というラベルは無視していただきたい)!私のフォアサービスは横を向いてバックスイングを取り、インパクトしながら前を向くのだが、その時に膝を軽く曲げただけでは台に太ももの辺りが引っかかってしまい、台から少し距離をとらなければならなかった。といってもわずか20センチほどである。それが膝をしっかり曲げて、姿勢を低くすると、膝が台の下に限界まで入り、下腹部の辺りに台のエンドがハマる。

膝の位置図4

図4の↑が膝の位置だが、左の曲げ方では台の浅い位置で引っかかってしまうが、右の曲げ方にすると、下腹部深くに台が入り込んでいる。

この姿勢でサービスを出すと、下回転サービスが安定したのだ!

そして『卓球王国』のニッタクの広告にあった「馬龍の下横回転サービス」をみると、


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馬龍選手もトス時の状態(右上)では比較的腰の位置が高いが、インパクト直前(左上)で腰の位置を低くして、インパクト時(右下)では膝をしっかり曲げて、下腹部に台がハマるように腰の高さを調整している。

もしかしたら、この下腹部に台の端をハメるというがサービスを安定させるコツなのかもしれない。

さらにこの「ハメる」はレシーブやツッツキにも威力を発揮する。
よく雑誌などで「ツッツキの時にはしっかり台の下に右足を入れて」などと書かれていて、私もそれは注意してきたつもりだったのだが、実際にはあまり台の下に右足を入れていなかったと言わざるをえない。おそらく雑誌の技術解説で筆者が意図しているのは、この「ハメる」ことに違いない。ハメれば自然と姿勢が低くなり、短いボールに身体を近づけて打球できるので、ツッツキ等が安定する。上から見下ろしてツッツくのと、ボールに近い低い視線からツッツくのとでは安定度が格段に違ってくる。

【まとめ】
卓球では低い姿勢が推奨されている。高い姿勢は素早いフットワークや台上処理等の妨げとなる。
しかし、その「低い」というのがどういう基準なのかよく分からなかった。低ければ低いほどいいというわけでもないだろう。私は軽く膝を曲げて自分なりに低い姿勢でプレーしていたのだが、そのような姿勢では不十分で、もっと膝をしっかり曲げて、台のエンドを自分の下腹部に入れ込めるような位置が最も適当な高さなのではないかと考えている。私にとってこの高さはサービスやツッツキが最も安定する高さなのである。


前記事「死角が減らせるかも」で自分の死角がどこにあるかを可視化してみた。

hanni01 図2 バック寄りに構えた場合



hanni02図3 バック深くに構えた場合

その結果、斜めを向いて構えている場合、図2では台からこんなに左に寄っているのにバック側には広大な死角が広がっていたことがわかった。前陣で斜めを向いて構えるなら、図3のようにバック深くに構えたほうがよさそうだ。

さらに相手の向きや、台からの距離によってボールの捕捉範囲が大きく異なってくることも分かった。
たとえば台を正面にして構えていたら、Cの死角は小さくなるが、Aの死角が狙いやすくなり、フォア側も大きく空く。Aの面積自体が大きくなるわけではないが、正面を向くとAが台に近づく。それことによって、それほど深くないボールでもAに飛び込んでいくことになる。

hanni03
図4 正面を向いて構えた場合


一方、台から離れていれば、AやBが狙いにくくなるものの、Cやフォアが大きく空くことになる。さらにネット際にも新たに死角Eが生まれることになる。

hanni04図5 台から離れている場合


おそらく上手な人はラリー中に相手の向きや台との距離をよく観察していて、瞬時に狙うべきコースを変えているのだろう。

下の写真は先日のクウェートオープン決勝の一コマ。

どっち?00
スマッシュを打つ、ギリギリまでどちらに来るか分からない。

どっち?01
右側(許選手のフォア側)だった


 この動画の最後のラリーより。


これを対戦相手にも適用すると、相手の死角がよくわかり、より厳しいコースが狙えるようになるだろう。
今まではぼんやりとフォアミドルを狙っていた(前記事「レシーブで狙う場所」)が、これからは相手の前方に赤と紫の捕捉範囲をイメージして、そこを避けるようにボールを送れば、相手に一発で抜かれる可能性が低くなりそうだ。

フォアハンドフリックというのは、なんだかあまり強そうじゃない。

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バックハンドのように回転もかからないし、スピードも遅い。そんなボール、ちっとも怖くない。
しかし、先日、練習していた時、相手に台上でフォアフリックをされて、とれなかった。そのフォアフリックは高くてスピードも遅く、 なんてことないボールに思えたのだが、完全に死角に入ってきて、対応できなかった。フォアフリックというのは、スピードがなくても狙い所がよければかなり効果があるのかもしれない。

というか、そもそも相手に打たれて返球しにくいところというのはどこなのか。私はぼんやりとしか意識していないと思う。フォアミドルが打ちにくいというのは知られているが、他にも打ちにくいところはあるのだろうか。そんなことを考えてみた。

仮に台の中央に前陣で立ったとすると、打球出来る範囲はどうなるか。

hanni00図1


赤い弧線がフォアアンド、紫の弧線がバックハンドの打球できる範囲だと考えてほしい。
しかしフォアハンドとバックハンドは同じ範囲をカバーしているわけではないので、打球範囲は図1のように左右対称にはならない。フォアハンドのほうがカバーできる範囲が広く、バックハンドのそれは狭い。

右利きのペンホルダー(裏面あり)ならどうなるだろうか。自分で実際に打ちやすいところ、打ちにくいところを調べてみた。下回転ではなく、順回転のロングボールを打つと想定して確認してみたところ、私なら以下のようになりそうだ(図2)。

hanni01図2

台の左寄りの前陣に立って台の対角線上を向くと、フォアミドル(A)に死角ができる。それからバックミドル(B)、そしてバックサイドを切るボール(C)。私が先日の練習でフォアフリックを打たれたのは、BやCのコースだった。これが非常に打ちにくい。私の構え方・向きでは、バックハンドは台に対して垂直の角度までしかカバーできない。
Aの死角を狙うとすると、台の深く、右の矢印の先端あたりにバウンドさせればいいだろう。そこから打球に適した高さまで上がってくると、ちょうどAの死角を突くことができる。中の矢印の先端でバウンドさせると、ちょうど打ちごろの高さになるのがBである。中の矢印よりもさらにバック寄りに打てばCの死角を狙える。今の私の構えでは、自分のバック側に広い死角ができている。

hanni02図3

もう少しバック寄りで構えてみたらどうだろうか。
上の図3ではBの死角がなくなる。もしBのバックミドルを狙おうとすれば、台の外でバウンドさせなければならない。つまり不可能である。そしてCの死角も、半歩動けば手が届く距離になる(というか、自分が左寄りに構えると、Cを狙うのが非常に困難)。その代わり、フォア側が大きく空き、Dの死角ができることになる。

図2と図3を比べると、図3のほうが死角が減りそうだ。というのは、相手にとってバック側からこちらのフォア側、すなわちストレートのDに打つのは難しいから、Dにボールは集まりにくい。そして右利きの私にとって、フォア側である右方向には動きやすいが、バック側の左方向には動きにくいからだ。

【まとめ】
自分が基本的に構えている位置にはどこに死角ができるのか。ぼんやりとは分かっていたのだが、それを視覚化してみるとことで、どのへんに構えれば、どのへんに死角ができるかがよく分かった。また、相手の戦型や利き腕によって、待ち構える位置を変えれば、死角が減らせるかもしれない。
なお、上の図はあくまでもペン両面の私の戦型がカバーする範囲なので、シェークのプレーヤーならAのフォアミドルがもっと大きく狙われやすくなるだろうし、Cは若干狭くなるかもしれない。

この材料から、もっといろいろ考えれば、おもしろいことが分かるかもしれないが、今回は図を描くのに手間がかかってしまい、気力が尽きてしまった。ここまでとしたい。
 

もう20年も昔になるが、友人がゲームセンターの店長のような仕事をしていた。
その頃、大流行だったのが、バーチャファイター2である。

無題

対戦格闘ゲームブームというのがあって、ゲーセンで見知らぬ人がプレーしているのに乱入して、ゲーム上で勝負を挑むのである。

そのゲーセンに友人を訪ねて、ゲームに興じる若者たちを観察していたのだが、みんな先を争って100円玉を投入していた。当時としては、生身の人間を欺くばかりのリアルな動きにびっくりしたが、その友人の話にもビックリした。1台あたりの一ヶ月のインカム(稼ぎだす金額)が、100万ほどになるんだとか。繰り返すが、1台あたりである。1プレイが1~3分なので、ひっきりなしに客が乱入していくとすると、1時間2000~6000円。フル稼働の状態で毎日10時間ほど営業したとして20000~60000円。それが30日続くと、60万~180万!!1年で…ベンツ?フェラーリ?

当時、東京の繁華街には池袋なんちゃらとか、ブンブン丸だとか、そんな有名プレーヤーが常駐していて、地方の腕自慢たちがそういうセミプロのような人たち挑戦するために行列をなしていたのだから、繁華街にあるゲームセンターでは毎月の1台あたりのインカムが100万どころじゃなかっただろう(おそらくそういう店には10台ぐらいが稼働していたのではないか)

私は1回3分ほどのゲームに100円をつぎ込むのは惜しいが、卓球なら話は別だ。

もし全日本に出場するような上級者が卓球場に常駐していて、1ゲーム200円(つまり、5ゲームマッチなら1000円)で相手をしてくれるとしたら、私は時間の許す限り、通ってしまうだろう。ぐっちぃ氏のような、強くて人柄もゆかしい人が相手をしてくれる卓球場があれば、バーチャファイターどころじゃないインカムになるのではないだろうか。

アニメ「ピンポン」でやっていたように賭け卓球というのなら、穏やかではないが、これはギャンブルではない。ゲームセンターのように相手の時間を数百円で売ってもらうのだから、法律的にも問題はなかろう。

ゲーム機と違って生身の人間なので10時間休みなし、ぶっ続けで試合という訳にはいかないだろうが、現役を引退した元実業団選手とかが、3セットゲーム1000円とかで相手をしてくれるなら、ぜひお願いしたい(個人レッスンの1時間6000円とかは高すぎる)。そんなサービスがある卓球場があればなぁ(別に店員さんじゃなくても、「乱入台」というのを用意しておいて、客が誰でも自由に乱入できたら盛り上がるのに)


「どんなサービスが来るか分からないけど、とりあえず攻める気持ちで行こう」


などと、レシーブ時に漠然と考えながら試合をすることが私は多いのだが、そんな漠然とした意識で本当にこちらから先手を取れるのだろうか。
レシーブのときは、たしかに相手がどんなサービスを出してくるか分からないから、しかたないにしても、サービスのときはこちらからポイント(サービスから得点までの流れ)を始められるので、ある程度、こちらに主導権があるのだから、もっと具体的に流れをイメージしてからポイントを始めるべきではないか。

たとえばパーティーの司会をすることになって、


「臨機応変に場の雰囲気をみて、進行していけば、なんとかなるでしょ。」


という態度では、目論見通りにパーティーを盛り上げることができないかもしれない。やはり、


「今日の参加者はお上品な女性が多いから、控えめなトーンの中にもユーモアを交えて…」


などと、おおまかなイメージを持ってからパーティーに入るものではないか。
卓球の上級者というのも、おそらくサービス時にかなり具体的なイメージを持ってから、サービスに入っているのだと思われる。


「相手はあまり回りこまないタイプだから、まず、バックハンドでミドルを攻めて、それが入ったら、回りこんでサイドを切るフォアドライブで決めよう」


ぐらいのことは考えているだろう。

前記事「上善如水」で村上監督の指導論を紹介したが、それによると、まず具体的な目標を設定し、そこから逆算してロードマップ(前記事「軸と体重移動」)――具体的な小さな目標を作成し、それを一つ一つこなしていき、目標を達成するのだという。初めに具体的なゴールが決まっていれば、そこから逆算して、どの順番で何が必要かがはっきり決まってくる。

「サイドを切るフォアドライブで決めよう」というゴールが決まったら、そこから何が必要かも決まってくる。

…ということは、これまで何度か考察したが、今回は上述のように考えている相手に対してどう対応するか、という話である。

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ふきだしのレトリック」より

【つづく】

相手が低くて短い下回転サービスを出してきたら、多くの人は、とりあえずこちらも低くて短いツッツキ・ストップなどで返球するのではないだろうか。しかし、そうすると、相手の想定の範囲内のレシーブになってしまうので、相手の好きな展開になりがちだ。相手の書いた筋書きを外さなければ、こちらが主導権を握りにくい。なんとかして相手の想定外のレシーブをしなければならない。

斎藤孝『コメント力』という本に次のようなエピソードがある。

蔵間という力士が次のような質問をされた。

「どうしてお相撲さんは頭にマゲを乗せているのか」

ふつうの人なら、「このマゲには相撲の歴史が関係していて…」とか「対戦の時にジャマにならないように結ってある」とか、そのように答えるだろう。このような想定内の返答では聞く人の印象に全く残らないだろう。

もし、相手の問いに対して機転の効いた上手な受け答えができれば、その人は周りに一目置かれ、知的な人として記憶される。斎藤氏はこのような「コメント力」というのが社会でもっとも重要な3つの能力(段取る力、マネる力、コメントする力)のうちの一つだと考えている。件の力士の答えはふるっている。

「さぁ?あれがないと、ただのデブと見分けがつかないからじゃないですか?」

なるほど、おもしろい!こういう力が抜けていて、かつユーモアを感じさせる返答はなかなかできるものではない。
斎藤氏はコメントを4つに分類している。

1.意味があっておもしろいコメント
2.意味はないがおもしろいコメント
3.意味はあるが、おもしろくないコメント
4.意味もないし、おもしろくもないコメント

上の力士のコメントは2になるだろうか。「意味があるコメント」というのは、ウンチクに富んだ、お得感のあるコメントのことである。たとえば、相撲の専門家がマゲの歴史やエピソードなどをこれでもかとばかりに堰を切ったように滔々と話し始めると、たしかに「意味がある」のだが、途中で飽きてしまう。切れ味が悪い。有意義な知識ながらも簡潔で、かつちょっと考えさせるようなコメントこそが望ましい。

私は常々卓球のポイントと、会話には通じるものがあると思っている。

【つづく】

相手の想定外の返答をするだけなら簡単である。「ドライブが安定しないのはどうしてか」と聞かれた時、「ナマナマナマナマなまけもの~!」といえば、相手の想定を完全に外すことはできるだろう。しかしこれこそ4の意味もないし、おもしろくないコメントになってしまうのである。今、何がトピックとなっているのか、という最も基本的な点を踏まえていなければ、ウィットもワンダーもあったもんじゃない。トピックを共有しつつ相手の意表をつく答えをしなければならないからこそ難しいのだ。

卓球の話に戻ると、相手のボールに対して意表をつくレシーブをするだけなら難しいことではない。相手のストップをロビングで返せば、完全に相手の意表を突くことはできる。しかしそれだけである。どうすれば相手の意表を突きつつ効果的なレシーブができるだろうか。
横回転レシーブとか、ミユータとか、そういうイヅナを使えばいいかとも思うが、相当練習しないと安定しないし、付け焼き刃のイヅナは、一発ネタ的には効くかもしれないが、何度か使えば慣れられてしまいそうだ。

もっと奇を衒わずに相手の意表を突くレシーブをするにはどうすればいいのか…。

私のたどり着いた結論は、フットワークである。
相手がこちらのバックをツッツイてきたとき、相手はバックのツッツキか、バックドライブで持ち上げてくると予想するのではないだろうか。そこを回り込んでドライブや、台のサイドまで回り込んでフォアフリックなどをすれば、相手の想定の外に出て、相手の判断を遅らせることができるに違いない。どのボールにも常に動き回るようにすれば、相手は的を絞りづらくなり、次にこちらがどう出てくるか予想しにくくなるのではないだろうか。

クリシェ(常套句)とか、エスプリ(機知)とか、そういうことと絡めて語ろうかとも思ったが、ずいぶん長くなってしまったので、そろそろ終わりにしたい。じっとして相手のボールを返球しようとしても、返球は限られてくるし、相手にこちらの返球を読まれやすい。フットワークを使うことによって一つのボールに対して打てるボールの選択肢が広がり、安定性も向上するのではないかというのが今回考えたことである。


 

世の中にはスマートフォン用アクセサリというものがあって、大きな市場を形成しているらしい。
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これはiphoneの周りを覆うシリコン製バンパー。シンプルながら衝撃に強い。

スマートフォン用アクセサリとは何か。
私もよく知らないのだが、iphone等のケータイ機器は、デリケートな精密機器にもかかわらず、ストラップをつけるフックさえない。ちょっと手を滑らせたら高価な機器を破損させてしまうかもしれない。そこで裸の本体を保護するためにシリコン製のカバー等を別売りで購入するのだが、本体保護という本来の目的から離れて、それぞれのユーザーの趣味を満足させるような様々なアクセサリが発売されているわけだ。

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首からかけるスタンド。いちいち手で持たなくてもよく、楽である。「伊勢海老太郎ブログ」より

こんな使い方をする人が実際どれだけいるか疑問だが、 実用性よりも、おもしろさが優先されているものも多い。

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 キッチンのスポンジ風ケース。衝撃吸収力は相当なものだろう。かさばるが、おもしろい。
 
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これはかさばりすぎて、実用性が低いのではないか。おもしろさ優先の製品。

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栓抜きが付いている。この栓抜きを使う機会が実際どれほどあるか疑問だが。

本来の目的である、本体保護という機能に特化したシンプルなアクセサリと、ユニークなアイディアを優先した発想重視のアクセサリ、さらに、ユニークな発想を活かしつつ、ちょっとだけ実用性のあるアクセサリなどが発売されているようだ。

発想と実用性という二つのベクトルのバランスがとれている製品はおそらく人気がでることだろう。
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充電スタンド。シンプルで実用的。

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竹製?のスピーカー。美しい。

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ちょっとメモしたいときにペンが付いていると重宝するかも。

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激しく動く人なら、ポケットに入れておくよりも、安心。

そういえば、卓球でもこんなラケットホルダーがあった。
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一方、卓球のアクセサリにはどんなものがあるだろうか。

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実用性も発想のおもしろさもない…。私はあまりほしくない。
しかし、中には実用性やおもしろさを備えたものも存在する。

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定番のサイドテープ。デザイン的にはどうかと思うが、衝撃吸収力は抜群だ。

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ボールをかたどったストラップ。反射板になっていて、夜道で車のライトの光を反射してくれるらしい。

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しゃれた?飾りのついたゼッケンピン。

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そらまめの形で、実用性とおもしろさを兼ね備えている。

iphone用アクセサリと比べると、バリエーションに乏しい。市場規模が違いすぎるというのもあるが、卓球用のアクセサリというのはもっといろいろなものがあってもいいのではないだろうか。実用性があるアクセサリなら、私はほしいかもしれない。

たとえば、ラケットホルダーのようなもの。練習の時、ラケットをいくつか持ってきて、それをフロアにおいておくと、汚れたり、誤って踏んづけられたりするおそれがあるので、できれば台上に置いておきたい。しかし、それだとプレーのジャマになるので、台の縁に引っ掛けられるようなホルダーがあればありがたい。

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形状はこんな筒状のものがいいだろう。

それから、本当に使う機会があるかどうか分からないが、ちょっとした工夫が施されている便利な製品。たとえば、戦術解説用に台を模したホワイトボードが付いているラケットケースとか。

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ラケットを安全に持ち運べるようにストラップを付けてみたいが、グリップに穴を開けたりするのはためらわれる。そんなときにラケットの周囲を覆うバンパー。ストラップなどが付けられるフックがあれば、なお良い。
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iphone用のスタンドというのはいろいろなものが発売されているが

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卓球のラケット用の安価でシンプルなスタンドというのがあれば、ちょっとほしいかもしれない。ラケットをインテリアとして飾っておくのに重宝しそうだ。
しかし、せっかくだから、ただラケットを立てるだけでなく、何かちょっとした機能が付いていたら、なお良い。
タイマーとか、重量計とか。

愛ラケットにステッカーなどを貼って、ステッカーチューンというのも需要がありそうだ。
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立体文字ステッカーとかを愛用のラケットに貼り付けて個性を出せる。

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痛ラケット?

【まとめ】
卓球のアクセサリーは貧弱だと思う。もっといろいろな製品が発売されてほしい。

【追記】
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こういうゴムっぽいものをグリップにかぶせて、STをANにするとか、

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こういうのをグリップにつけて、首から下げられるようにするとか、

いいアイディアだと思うのだが。 

最近、ドライブの威力が落ちてきた気がする。数ヶ月前は相手に褒められるぐらいに威力のあるフォアドライブが打てたのだが、ラバーを変えてみたら、感覚が狂ってしまい、特に回転量が落ちてしまって困っている。なんとかして以前の威力あるドライブを取り戻したい。

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先日のxia氏のブログでベンチコーチと選手の関係をトランプの「大富豪」におけるプレーヤーと手札の関係に喩えていた。「ベンチコーチって…

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この喩えは言い得て妙である。しかし私は「大富豪」をチームでなく、むしろ個々のプレーヤーと技術の関係でイメージしてみたい。

大学までガッツリ卓球をやっていた人は、とんでもなく速いボールを持っている。

いわばKとかAである。

それにひきかえ、私のカードは8とか9とか、せいぜいJぐらい。「大富豪」で9で勝負に行く人はいないだろう。しかし私の一番強いカードはJである。ここぞというときにJで決めに行っても、そんなヘナチョコボールは上手な人から見たら、かえって打ちごろのボールかもしれない。私の渾身のボールをQとかKのカウンターで軽々と返球してくる。手も足も出ない。

全国トップレベルの選手のボールなら、2とかジョーカーだろう。そういうレベルのボールは無理として、私でも必死で練習すれば、KとかAぐらいのボールなら、打てるようになるのではないだろうか…と思って今まで強打の練習ばかりしていたが、そういう方向性は私の卓球にあまりプラスにならないのではないかと思い直した。「大富豪」なら、Aや2を持っている人にも、8や9のペアがたくさんあれば勝てることもある。同様に10以下のショボいカードでも、9が三枚とか、4・5・6というシークェンスなら、使いようによってはAや2を複数枚持っている人に勝つこともある(私の地方ではなかったが、4枚以上のカードを出すと「革命」が起こり、3が最強に、2が最弱のカードになるというルールもあるらしい)

無理にKとかAとかを持とうとせず、3枚のペアやシークェンスをいくつも持っているほうが私の卓球にはプラスになるような気がする。

英語もろくに話せないくせに一人でカリフォルニアのバークレーに数週間滞在したことがある。

Berkeley_glade_afternoon

冬でも暖かく、湿度の低い快適な彼の地の気候にすっかり魅了されてしまった。

その隣にオークランドという非常に治安が悪い街がある。なんでも白昼に銃声が聞こえるとか、女性は一人では歩けないとか、いろいろな噂を聞いた。しかし、もちろんオークランドはどこもかしこも危ないかというと、そうではないようだ。オークランドでも、バークレーに隣接している地域などは、美しく静かな住宅地だった。地元の人は「このブロックは危ない」とか「この通りの向こうには行かない方がいい」といったことを知っていて、そういう地域を上手に避けて不自由なく暮らしているのだろう(ロスアンジェルスのリトル東京も、通りを一本隔てて恐ろしく治安の悪い地域と隣り合っている)。しかし、異邦人はそんなことは知らないので、自由気ままにウロついて、後から考えてみると、ヒヤッとするような場所にも平気で足を踏み入れてしまったりする。

卓球でも同じような経験をする。
昔はあまり考えずに卓球をしていたので、今から考えると、危なかしくて見ていられないようなことをいろいろしていたと思う(もちろん、今でもいろいろやっているだろうが)。相手のボールの勢いを気にせず、ガツーンと打たれたら、こちらもガツーンと返したり、サービスを打った姿勢のまま、その場で動かず、レシーブが来るのを待っていたり。

卓球の動作にはいちいち細かい制約があって、その制約を冒すと、ミスの可能性が急激に高まるものだ。喩えて言えば、あちこちに地雷の埋まった地雷原の中を歩いて行くようなものである。
しかし上手な人は、そういうミスしやすい行動を無意識に避けて、制約など感じさせない自由さで動き回って打球している。卓球を知らない人が見たら、何の制約もないかのように自由に伸び伸びとプレーしているように見えるだろう。

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【つづく】

 私が今いちばん困っていることは、前後のフットワークである。左右のフットワークと比べて、前後のフットワークは戻りが遅れる。
私が短いサービスやレシーブを急いでとりにいくと、身体全体が前のめりになってしまう。その体勢から急いで後ろに下がろうとしても、1テンポ遅れる。なぜかというと、上半身が重いからである。上半身というのはいわば、水をたっぷり入れた水槽のようなものだ。それが全力で前に移動したら、その慣性には抗いがたい。急いで下半身で後ろに引っ張ろうと思っても、そう簡単にはいかない。上半身が慣性で前方に引っ張られているのに、いくら下半身で後ろに引っ張っても歯がたたない。

逆に下半身はあまり一所懸命、後ろに下がろうとしなくても、上半身が全力で後ろに移動しようとしたらどうなるか。足は引きずられるようにして上半身について来ざるをえない。

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歩きたいわけでもないのに上半身の向かう方向に下半身はついていく

単純に上半身と下半身の体積および重さを考えてみても、上半身が下半身を上回る。上半身の進む方向と反対方向に下半身がいくら仕事しても、それはおそろしく効率が悪いだろう。移動するにはなんとしても上半身を説得した上でないと下半身は仕事ができない。身体の移動の主導権はいつも上半身が握っている。それなのに上半身の意向を無視して、下半身の独断専行で移動しようとしても立ち行かない。

もしかしたら、フットワークというのは上半身あってのものなのではないか。

とすると、前後のフットワークを効率よく行うには、上半身でアクセルを開けたり、逆にブレーキを掛けたりすることができるかもしれない。 前にすばやく移動するときは、前傾姿勢で入り、途中で上半身を起こしてブレーキをかけるようにすれば、楽に素早く下がれるかもしれない。こういうことを意識せずに前傾姿勢のまま、打球しているから、私は台上から下がるときに遅れるのかもしれない。

どこで上半身を起こし、ブレーキをかければいいのか。それはケースによって違うと思うが、ある一線があり、そこまでに上半身でブレーキをかけないと、体勢のバランスが崩れてしまう。私の場合はそのような踏み越えてはならぬ一線を意識していなかったので、前に移動している間、ずっと前傾姿勢だった気がする。

【まとめ】
要するに「体のバランスが崩れる」とか「体が流れてしまう」とはどういうことかを細かく見ていったわけだが、素早く移動して、素早く止まるには、下半身を動かすより先に、まず上半身で姿勢を制御することが大切なのかもしれないと愚考した次第である。
一方で体の軸をずっと垂直のままにして上半身を傾けないというフットワークのほうがもしかしたら、効率がいいのだろうか。その方面に詳しい方のご批正をいただければありがたい。

 

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