しろのたつみ



卓球について考えたこと、
気づいたこと(レベル低いです)
を中心に中級者の視点から綴っていきます。




2014年01月

テニスのサービスは時速200キロに達するのだという。
自コートのプレイヤー付近に到達するまでに0.5秒しかかからない。反応して、サービスがどういう軌道を描くか判断するのに0.25秒かかるというので、移動に残された時間は0.25秒しかない。この限られた時間で移動できるのはせいぜい1歩らしいので、ボールが外側を通った場合、その位置まで移動するのは物理的に不可能なのだという。

「アスリート解体新書」03 テニス



プロの選手はどうやってそのボールに反応しているかというと、相手の打球と同時に軽くジャンプし、上体を沈ませ、その反動を利用して大きく移動するのだという。これをスプリット・ステップ と呼ぶらしい。
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この技術は卓球にも応用できるのではないだろうか。相手のサービスのトスと自分のジャンプのタイミングを合わせ、着地の反動を利用して大きく移動すれば、回りこみや飛びつきのスピードが上がる。

そういえばレシーブ時にジャンプしている卓球選手を見たことがあるような。
テニスのテクニックを確認してみると、いろいろ発見が多い。 

【追記】 140202
足を踏み出す前に予め筋肉に負荷をかけておき、 瞬間的に移動できる状態にすることをバドミントンでは「プレローディング」と呼ぶらしい。スプリットステップとは微妙にずれるかもしれないが、かなり近い概念のようだ。どの競技でも同じような工夫がなされているのだと興味深く感じた。

テニスの技術記事をみていると、ときどき「振り子」という言葉に出会う。
振り子のようなスイングか、水平なスイングか」 
上級者はあまり振り子のようなスイングをしないらしいが、初中級者には振り子スイングがオススメらしい。しかし、上のサイトを見ると、上級者のスイングでも「ほぼ水平」とあるので、多少は振り子スイングをしているようだ。

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前提の技術 テイクバックと面の作り方


前提としてフォア面を外側に向けておき、始点のテイクバックでは、ラケットを高い位置におく。そこからフォア面を下に向けて振り下ろすようにスイングの底を通り振り上げ、そこでインパクトというものらしい。上から下に振り下ろすモーションが入るので、腕力のない人でもスイングスピードが上がりやすいのかもしれない。
では、面を下に向けるというのはどういうわけだろうか。

単純に考えれば、テイクバックでもインパクト時と同様に地面に対して垂直な面を用意すれば良さそうなものだが、【中略】実際にはそう単純ではない。腕の自然な動き方を考えれば、面を下に向けた状態で用意するのが理にかなっているのだ。

「理にかなっている」というのは聞き捨てならない。インパクトの前に面を下に向ける合理的な理由とはなんだろうか。

面を垂直にしてテイクバックすると、スウィングが始動して加速度がかかったときに面が上を向いてしまう。したがってインパクトまで面を垂直に保つためには、腕の操作(面をかぶせていく動き)が必要になり、スウィングが速くなるほど操作がシビアになって、面が不安定になってしまうのだ。

つまり、ブレードを立ててスイングした場合、スイングスピードが速いと、面が上を向きやすいということだ。
卓球の場合はテニスほどラケットが重くないので、こんな懸念はないのかもしれない。しかし、面を下に向けてスイングの進展につれて面を起こしていくというのは、卓球にも有効なのではないだろうか(前記事「リトラクタブル・ライトのイメージでドライブを打つ」)。スイングの角度を見誤って、スイング中に「腕の操作(面をかぶせていく動き)が必要にな」るというのは、卓球でもしばしばみられることである。たとえば、3球目で下回転を持ち上げたあと、5球目は面をもっとかぶせて打たなければならないが、その5球目の角度がとっさに出せず、誤った角度でスイングをスタートしてしまうことがある。その点、面を下に向けて徐々に起こしていくというスイングは安定しそうな気がする。

ただ、卓球で振り子のようなスイングはデメリットが多そうだ。
まず、バックスイングが大きくなってしまい、スイングのスタートが遅れる。さらにラケットを高いところから振り下ろすのは、スイングスピードが上がるかもしれないが、打点が低くなってしまいそうだ。

完全にテニスのスイングを取り入れるわけにはいかないが、面を下に向けてスイングするという部分は、卓球にも応用できるかもしれない。その際、手首の使い方にも注意したい。

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上の「角度をつけるタイプ」というのは、卓球用語で言う「面を開く」ということだ。リトラクタブル・ドライブでは、「角度をつけ」て、面を開いて打つのが有効だと思われる。

テニスのサイトをなんとなく眺めていて、以上のようなことを考えた。振り子スイングというのは、もしかしたら卓球に応用できる部分があるかもしれないので、試してみる価値があると思われる。テニスの技術が卓球にそのまま応用できるとは限らないが、今度練習するとき、ちょっと試してみたいと思っている。

【追記】140216
振り子打法はやはり卓球にもあるらしい。8の字打法と呼ばれているようだ。 

子供「お父さん!『果たして』と『一体』の違いって何?同じ意味?」
父親「え~と、辞書(デジタル大辞泉)によると…

果たして
(下に疑問を表す語を伴って)いったい。「―誰が栄冠を手にするか」
一体
強い疑問や、とがめる意を表す。そもそも。「―君は何者だ」

だから、『果たして』はただの疑問の意味。『一体』は強い疑問の意味だそうだ。『一体』のほうが「分からない」という気持ちが強いんだよ。あと、疑問詞を使うのが『果たして』で、『一体』は『そんなことするな!』って言いたいときにも使うんだよ。それから「果たして」のほうが書き言葉っぽいかな。」

子供「ふ~ん。強いかどうかと、疑問詞があるかどうかと、『やっちゃだめ』って言いたいときに使うかどうか、それから『果たして』は書き言葉か…」

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初級者「コーチ!腰を使って打つってどうすればいいんですか?」

コーチ「右の太ももの付け根のところが奥まるようにして折り曲げ、右足を動かないようにしっかり固定して、バックスイングし、ねじった反動で右腰を回転させながら打てばいいんですよ。そのとき腕に力を入れないで、腰にしたがって腕が自然に回るようにしなければなりません。」

初級者
「なるほど!こうですね、フン!フン!」

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果たしてこの初級者は腰を使って打つことができるようになっただろうか…。

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上で「果たして」と「一体」の違いについて、いろいろな違いが説明されているが、なんだかピンとこない。枝葉末節の詳しい情報を加えれば加えるほど聞き手は混乱する。「群盲象を評す」とか「衆盲象を摸す」といったことわざがあるが、ある概念の外延をどれだけ積み重ねても、その概念の本質には迫れないのではないか。最近はコンピューターによるビッグデータの解析で多くのことが分かるようになってきているようだが、私たち人間にとっては多すぎる情報はかえって毒になる、本質を見失わせる。

「果たして」も「一体」も疑問の気持ちを強調しているのは同じだが、「果たして」は疑問の気持ちが自分のうちに収まっているのに対して、「一体」は疑問の気持ちが自分のうちに収まりきらず、あふれ出ている
だから「果たして」は相手に訴えるような場面では使いにくい。辞書の説明に「とがめる意を表す」とあるのはそういうことだと思われる。

×「果たして君は何者だ!」
〇「一体君は何者だ!」

×「果たしていつまでやってるの?」
〇「一体いつまでやってるの?」

〇「果たして誰が優勝するかな?」(独り言っぽい?)
〇「一体誰が優勝するかな?」(独り言としても、相手への間接的な質問ともとれる)

△「(番狂わせが起こり)果たして誰が優勝するんだよ!」
〇「(番狂わせが起こり)一体誰が優勝するんだよ!」

これは「は」と「って」の違いにも通じるものがあると思われる。

〇「水谷選手の強さは圧倒的じゃない?」
〇「水谷選手の強さって圧倒的じゃない?」(こちらのほうが自然?)
〇「丹羽選手は学生です。」
×「丹羽選手って学生です。」→〇「丹羽選手って学生なんです。」

同様に「腰を使って打つ」について私はいろいろな説明を受けたが、いまいちピンとこなかった。その中で最もしっくりきた説明は重心移動である。

腰を回そう、回そうと思っても、あまり腰は回らない。そうではなくて、フォアハンドを振るとき、重心を左足から右足、右足から左足に移すことを意識してスイングすると、腰が回りやすい。腕を素早く回すには腰を回さねばならず、腰を回すには足の重心移動をしなければならない。つまり力は下から上に順番に入れなければならず、中間の腰だけに力を入れようとしても入らないのだ(前記事「ロケット理論」)。また、バックスイングの際、重心を右足に預け、腰を右にひねりきったときには右のおしりに力を込めるようにするのがいいようだ(前記事「右尻に力を込めて」)。

さらに戻りも同様に腕や腰を戻すのではなく、重心を素早く左から右に移せば自然に腰が戻り、つられて上半身および腕も戻る。前記事「新卓球サイト「シェークハンズ」」のコメント欄でぷにさんが藤井氏の言葉として「戻りを早くしたいならまず脚を戻せ、腕を戻すのはその後でいいよ」というのを紹介してくれたが、これですべてが符合する。

腰を使ったスイングは足の重心移動が基礎となってなされるのだ。

【まとめ】
説明が詳細になればなるほど理解が進むというものではない。核心的な部分の説明がなく、枝葉末節の説明をいくら詳しくしても意味がない。腰を使ったスイングの核心的な部分は足の重心移動だった。逆に言うと、ここさえ押さえておけば、細かい説明は必要ないのではないかとさえ思える。

しっくりくる説明というのは人によって違うと思われる。だから私の説明が多くの人に共感してもらえるか分からないし、上のコーチの説明の方が分かりやすいという人もいるかもしれない。あるいは重心移動を使うというのは当たり前すぎて言わずもがなのことなのかもしれないが、私にとっては上の事実は大きな発見だった。腰ばかりを使おうとがんばっていた私の頭からは重心移動のことがすっぽりと抜け落ちており、文字通り空回りしていたのだった。

【付記】
本文中の画像には特に意味がない。イラスト等が何もないとさびしいと思って貼り付けたに過ぎない。
画像は山田美妙の小説「胡蝶」1889の挿絵。小説の挿絵としては初めて女性の胸があらわになった絵を使ったとして雑誌が発禁処分になったりして、当時ずいぶん騒がれたらしい。
しかし、考えてみれば、当時は、売春はOKなくせに、こんな艶かしさのかけらもないような絵1枚に目くじらを立てていたというのがおもしろい。時代が変われば価値観も変わるという実例として興味深い。

【追記】140128
腰の動かし方は以下の動画が分かりやすかったので記しておく。

「下回転打ちのフォーム」

今月号(3月号)の『卓球王国』は読みどころが多く、隅から隅まで熟読してしまった。

高島規郎氏の「新・戦術ノート」 「戦型づくりの考え方」を読んでいて、心を留めた。気になる言葉があったのである。

最近の小中学生はおしなべて速攻型のスタイルであり、速い打球点ばかり追求していることを批判して高島氏は以下のように述べている。

卓球には時間との戦いという側面があり、タイミングが間に合わない時に大振りするのは良くないが、時間に間に合う範囲でなるべく大きなフォームを作って打球することが重要なのである。

卓球と時間との関係で言うと、私たちはいつも戻りの早さにばかり目が行ってしまう。次の打球に間に合うように振りを小さくしたり、腰の回転に気をつけたりと、あたかも締め切りに追われる筆耕の徒であるかのごとく次の打球のことばかり考えてしまう。しかし次の打球よりも今の打球のほうが大切なのは自明のことである。次の打球のために今の打球を犠牲にしてしまっては本末転倒である。

高島氏が批判するようにピッチの早さは金科玉条のごとく私たちの脳裏を支配している。私は卓球の最中、常に「間に合わないぞ!」とか「遅い!」などと自らを叱咤しているが、そんな窮屈な卓球ではなく、前陣にいたかと思ったら、中陣に下がり、また前陣に戻るといった、緩急をつけたのびのびとした卓球のほうが精神衛生にもいいし、楽しい。また、相手のタイミングを外すことにもなれば、試合でも有効なラリー展開なのかもしれない。このような「遊び」(前記事「かつてない才能」)を随所に取り入れることが長時間卓球を楽しむ秘訣なのではなかろうか。

次の打球のことも考えつつ、今、与えられた時間を最大限に活かした打球を心がけたいものである。


股関節についての前記事(「フォアハンドドライブのフォーム」)のコメント欄で、ぷにさんという方からコメントをいただいた。ただ以下のようにリンクが示してあっただけなので、どんな怪しいページが出てくるか心配しながらリンクを開いてみた。

膝と股関節の関係は、
http://www.shands.jp/archives/704


しかし私の杞憂とは裏腹に、非常に有益なページだったので、紹介したい。
「シェークハンズ」という平岡義博氏と藤井貴文氏が運営している、動画を使った卓球講座をメインコンテンツとしたサイトなのだが、非常に内容が濃い。というか、私が疑問に感じていたこと――初中級者の問題点を分かりやすく解説してくれているのだ。このサイトの記事のうち、私が興味深く感じた部分をいくつか紹介したい。

・「サーブマジック
ボールの真下を擦る真下回転サーブは力むと上に飛んでいってしまいます。

言われてみたらそのとおりだ!私も真下回転のサービスを出すとき、うまくいくと、低く短いサービスが出せるが、失敗してよく台から出てしまったり、高くなったりしてしまうことがある。だから横下のほうが安定するのだという。なるほど。

・「張怡寧VS劉詩文
両選手共に打球した瞬間、足が1回コートから離れているのがわかります。
そして、次の相手が打球する前後でもう1回足がコートから離れているのも見られます。

多くの方も、実際には2回ステップは出来ているのですが、2回目のステップが遅れているのです。

ぴょんぴょん」の秘密はこれだったのか!
「コートから離れる」とあったので、足元に注目しながら動画を見ていたのだが、あまりよく分からなかった。離れるといっても非常に微妙な距離なのと、広角のラリーが多くて、離れ具合がはっきりとは分からない。だが、ひとつ気づいたのは、私は打球すると少し前に行く癖がある(前記事「あやまちは安き所に成りて必ず仕る事に候ふ」)のだが、両選手ともラリーが続くにつれて少しずつ台から離れているように見えることだ。これはつまり打球時に重心をあまり前に移動させないということなのかもしれない。繰り返し見て、検証したい。
「戻りが遅い」というのは多くの人が悩んでいる点である。もちろん最終的には腕の振りの戻りが遅いわけなのだが、元凶はそこではない気がする。体の複雑な動きのうちのどこで時間をロスしているのかは初中級者は自分では把握できない。その問題の所在をズバリ指摘してくれたのは非常にありがたかった。

今までこのような卓球技術を教えてくれるサイトはWRM卓球知恵袋の独擅場だった。まだ本格的には始動していないとはいえ「シェークハンズ」は初中級者にWRM以外のもう一つの選択肢を提供してくれる有益なサイトになりそうだと期待させられる。

全日本を観て、多くの人が感想を述べている。
だいたいの意見は一致しており、「大混戦」「若い選手のレベルが上がった」といったものである。

「優勝できる力を持った選手が何人もいる」
「日本の卓球は全体的にレベルが上がっている」 

ちゃんと觀たのは決勝戦だけだが、私も例に漏れず、そのようなことを感じた。
今大会のようなレベルの高い大会を維持できれば、観戦スポーツとしての卓球が根付いてくるかもしれないと期待させられる。

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私ごときが全日本の卓球を評するのはおこがましいが、私なりの感想も記しておきたい。

決勝戦の相手、町飛鳥選手と森さくら選手は、おそらく決勝進出の時点ですでに結果に満足していたのではないだろうか。両選手がくぐり抜けてきた死闘とくらべると、決勝ではあっけなく負けてしまった感がある。あるいはそれ以上に水谷・石川両選手の力量が優っていたということなのかもしれない。

男女シングルスの優勝者、水谷隼選手と石川佳純選手の卓球を観て、去年、一昨年と比べて劇的に進歩したと感じた。水谷選手に関して言うと、バックハンドの強打の決定力が上がった(2ゲーム目最後のバックハンド!)点、石川選手に関して言うと、3球目のフォアハンドの決定力が上がった点(あるいは森選手にあまりフォアで強打させなかった戦術?)である。

水谷選手は2008年のオリンピックあたりから、「後ろに下がりすぎる」「バックハンドで抜けない」などと言われ続けてきており、その弱点を本人も痛感していたとは思うのだが、それを克服するのに約5年の歳月を費やしている。石川選手も前回の2011年の世界選手権あたりから?3球目攻撃を得点源にしたいといったことを述べていた。それが今大会ではみごとに結実していたように見えた。新しいスタイルの獲得というのは、かくも長い期間を必要とするのかとその努力には感服させられる。

若くて自分のスタイルが固まっていない時期は自身のスタイルが年々変化していくものだとは思うが、一度身につけてしまったスタイルを捨てて新たなスタイルを獲得するのはさぞかし大変なことだろう。そのスタイルの獲得までにどのようなドラマや葛藤があったのか非常に興味を惹かれる。そのような苦心を経て一皮むけた両選手には今年の世界卓球でも大いに活躍してほしい。
 

速いボールと、遅いボールとを比べると…

速いボールは返しにくく、遅いボールは返しやすい、

というのが一般的な考え方だが、よく考えてみると、そうとも言えないのではないだろうか。
また、低いボールと、高いボールを比べると、高いボールのほうが打ちやすいというイメージがあるが、本当にそうだろうか。高いボールのほうがかえって打ちにくいということもある。

たとえばバックハンドで打つ場合である。フォアハンドなら胸ぐらいの高さにバウンドするボールでもさほど難しくはないが、バックハンドの場合、胸の高さのボールはとっさに一歩下がらないと非常に打ちづらい。

また、相手がストップするつもりで、レシーブミスをしてしまい、やや下回転のかかった浮いたボール返してきた時、チャンスとばかりにそれをフォアハンドで強打しようとしてネットに引っ掛けてしまう光景を見たことがないだろうか。上級者はないと思うが、私ぐらいのレベルのプレーヤーなら、ときどきそんなことをしてしまう。

あるいは松平健太選手の得意技、バックハンドの変化ブロック(ワイパーショット)である。

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健太選手のあの横下回転のかかった、スピードの遅い、フワッと浮いたボールというのは、世界レベルの選手を以てしても、ミスする場合が少なくない。


5:45ぐらいから始まる変化ブロック(横下サイドスピン)を見ていただきたい。2球目はかなり高くボールが浮いているが、返しづらそうだ。ただ、このブロックはどちらもわりとスピードがある。あまりフワッとしていない。

どうして高いボールや遅いボールは打ちにくいのだろうか。それはおそらくボールの向かってくる力が弱まっているためだと考えられる。このボールが自分の方に向かってくる力を「向此力(こうしりょく)」と呼ぼう。「彼岸・此岸」からの連想である。

向此力というのは、卓球では重力のように当たり前のものなので、あまり意識していないが、この力があるおかげで、ボールをしっかりとラバーにくいこませることができる。すなわち相手の回転を上書きして自分のボールとして返球することができる。それに対して向此力が弱く、きつい回転のかかったボールはラバーにしっかり食い込ませてドライブ等で打ちにくい。そのため、上方に向かう力が強いボール―向此力が弱いボールを打つには、こちらもボールを前ではなく、上に擦り上げなければならない。

ボールを台上に落とし、バウンドしたボールを打つ独り練習――「一本打ち」――というのがあるが、あのボールをドライブで打っても、あまり回転がかけられない。向此力がゼロであり、ボールのベクトルは完全に上だからだ。卓球では十分な向此力と自分のストロークの強さが相俟ってはじめて十分なインパクトができる。もし向此力がゼロの場合は、その分よけいにストロークを強くしなければならない。これは意外に大変だ。逆に向此力が非常に強いボールなら、こちらのストロークはほとんど力を入れずとも速い、威力のあるボールが返球できる。

【まとめ】
世間ではドライブの打ち方を教えるときに以下の要素を考慮に入れて打球するよう指導されるのが一般的ではないだろうか。

・相手のボールの回転(回転量や回転の質)
・打球点
・こするタッチ(厚いか薄いか)
・こちらのストロークの角度

しかし、これだけでは、ゆるい山なりの下回転をミスしがちである。いくら強いドライブを打てるプレーヤーでも、垂直に近いバウンドのドロップショットに対して強烈な回転をかけることはできない。相手のボールがこちらに向かってくる力―「向此力」を利用しなければ威力のあるドライブを打つことができないのである。

当たり前と言われればそれまでだが、卓球というのは自分の力だけでボールを打っているわけではない。相手の力を利用しなければ、打球の威力は半減する。この向かってくる力というのは空気のような存在なので、今まであまり意識していなかった。もちろん上手な人は意識しているのかもしれないが、私はぼんやり気づいてはいても、意識化はできなかった。こうして概念化し、「向此力」と名前を与えることによって、この要素を意識化し、上のドライブを打つ際の指導項目に加えれば、初中級者のドライブミスを減らすことにつながるのではないだろうか。

【付記】
2014年(平成25年度)の全日本卓球選手権大会もいよいよ大詰めを迎える。
本日は女子シングルス決勝がテレビで放送されるとのことなので、楽しみにしている。
youtubeに少し動画が上がっていたので、観てみたのだが、石川佳純選手のパンツがまるで「罰ゲーム」のような残念なデザインだったので気の毒だった。
全日本という晴れの舞台なのだから、選手の技術や気迫、かけひきだけでなく、ファッションやパフォーマンスなどでも観客を惹きつける工夫がほしいものだ。

罰ゲーム



 

中学生の時、音楽の授業をほとんどまともに受けていなかったことを今になって後悔している。
音楽だけではない。保健体育とか、公民とか、政経とか、中高で受験に関係のない科目は気晴らし(あるいは苦痛)としか考えておらず、きちんと勉強した記憶がない。

しかし、社会人になって自分の人生を自分で貧しくしてしまったことに気づいた。

教科書というのは日本で最も頭のいい人たちが編纂に携わっている(巻末の奥付を見てみるといい、錚々たるメンバーが編纂者に名を連ねている)わけであり、そこにムダなことが書いてあるはずがない。いわば将来の日本を背負う若者に対する日本で最も頭のいい人たちからの贈り物なのである。そこに記されていることには必ず何らかの意味がある。社会人になってから何度もそういうことに気づかされた。
「こんなこと、何の役に立つんだ!」などと数学の勉強をしながら文句を言っていた覚えがあるが、数学も抽象概念(今なら情報科学)を学ぶ上で大いに役に立つと思う。

最近になってドライブのタッチに2種類の別があることに気づいた。いや、今までもボンヤリと気づいてはいたのだが、はっきり意識するようになった。厚く当てる、薄く当てるとは別のタッチである。

一つは弾くようなドライブ(A)である。速いスイングで淡白にこするというものである。
もう一つはグリっと押し付けるようなドライブ(B)である。スイングスピードは控えめで、厚く当ててねじ込むようにこするというものである。

下回転のボールをAでドライブするとよくネットにかかる。おそらくAのドライブはスポンジにあまり食い込んでいないものと考えられる。一方Bはしっかりとスポンジに押し付けてできるだけ接地時間を長くしながらこするので下回転のボールが安定して持ち上がる。

このような感覚を何に喩えればいいのか数日考えていて、今日閃いた。
Aのタッチは音楽で言うスタッカートのような感覚なのだ。

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鍵盤をはじくように、軽やかなタッチで、弾く。もちろんピアノだけでなく、弦楽器や金管楽器にもある奏法である。「タン」というのが通常の弾き方だとすれば、スタッカートは「タ」である。

スタッカートの例

では、スタッカートに対立する概念は何か。レガートという滑らかに弾く奏法も対義語になるらしいが、私はむしろテヌートに近いのではないかと思った。

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Bのタッチは「タンー」と通常よりも濃厚な打ち方なのである。

テヌートの例

下のブログを見ると、テヌートは単に音が長いだけでなく、がんばって持続させるようなニュアンスなのだという。
テヌートは辛抱

世間でよく「スポンジに食い込ませて打つ」などと言われていたことが今更ながら実感できた。そして下回転を打つときにテヌートで打つと非常に安定する。スタッカートで打ってミスした時はどうして入らなかったのかよくわからないのだが、テヌートで打ってミスした時はそれがよく分かる。「あぁ、今のは押し付けが足りなかった」とか「むやみに速いスイングで打ちすぎた」などとミスした原因が自分で分かるのだ。これは安定性を高める上で非常に重要だと思われる。

もし私が音楽の知識を身につけていたなら、このようなタッチの違いはすぐに気づいたはずである。だが、この歳になるまでドライブのタッチの違いを意識化できなかった…。

ともあれこの2つのタッチの使い分けが私の卓球に安定感をもたらすことは疑いない。 

WRM卓球知恵袋に「対下回転のフォアハンドドライブの基礎~基本のフォーム~」という動画が上がっていた。


【卓球知恵袋】ドライブの基礎を覚える!フォームを綺麗にしよう!!

下回転をドライブで上げられない初心者を対象とした動画とのことだが、初心者に限らず、初中級者にとってもこのトピックは非常に大きな需要があると思われる。

「自分のフォームは美しくないのではないか」
「基本ができていないのかもしれない」
「効率の悪い振り方をしているのではないだろうか」

といった不安を抱かない初中級者はほとんどいないだろう。このトピックを取り上げてくれたやっすん氏には感謝したい。

早速動画を見てみたのだが、簡単に言うと3つのポイントがある。

1.スタンスを肩幅よりもやや広く
2.股関節を入れ込んでバックスイングをとり、ラケットは膝の高さぐらいまで
3.股関節を元に戻すと同時にオデコあたりまでスイング

というものだ。
これをみて2の「股関節(あるいは腰)を入れ込む」という言葉が気になった。「股関節を入れる」というのは野球やゴルフ等、いろいろなスポーツで使われる言葉だが、一体股関節をどこに入れるのだろうか?
そもそも腰の使い方の説明は理解するのが難しい。だいたいのところは理解できたとは思うのだが(前記事「腰の使い方をめぐって」「ロケット理論」)、細かい部分の厳密な理解はまだまだだと思う。

本稿もまた私の積年の疑問「腰を使う」をめぐる考察になってしまった。

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動画を観ると、「股関節を入れる」というのは下の写真に近い動きだと思われる。

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ヤフー知恵袋にも同様の質問(ゴルフにおける)があった。
「アドレス時に「股関節を入れる」って言いますが、いまいち意味がわかりません。」

言葉でその状態を説明すると、次のようになるらしい。
「ジャンプするでしょ 軽く足開いて着地・・ズン・・・・すとっぷ~」
「骨盤に背骨をより深く挿入した状態」
「相撲のシコを踏む動作」
「誰かをおんぶして軽く足踏み、はーいストップ」
「猪木の『なんだコノヤロー』の時の感じ」


私はスポーツ用語に疎いので、「股関節を入れる」に対する私の理解が本当に正しいかどうか、おぼつかなく感じる。スポーツの種目によって同じ術語を微妙に違った意味で使っている場合もあるからである。

とりあえず、「股関節を深く(陥没するように)折り曲げる」という理解で考えてみよう。

自分で実際に「股関節を入れて」バックスイングしてみると、困ったことが起こる。上半身を右にねじると、右膝もいっしょに右を向いてしまうのだ。これはおそらく私がしっかり腰を使って打つフォームが身についていないので、腰まわりが硬く、回転させにくいのだと思われる。
「股関節を入れる」場合、右膝もいっしょに右を向いてしまっていいのだろうか?やっすん氏の動画では右膝は右を向いていない。膝が右を向くのも許容範囲だろうか?膝の動きがあろうがなかろうが、「股関節を入れる」ことには変わりない、そんな可能性も考えられる。

しかし、もし、膝が右を向いてしまったら、そのスイングは、もはや「股関節を入れる」と呼べないとしたら?
私は体が硬いので、上半身が右に旋回しているときに右膝を動かさないようにするためには、同時に下半身を左に旋回させなければならなくなる。つまり腰を使ったスイングをするには上半身と下半身をそれぞれ逆方向に回転させなければならないということなのだ。

本当にこのやり方でいいのだろうか。しかし私には正解はこれしかないような気がする。

【追記】140401
「腰を入れる」についてのわかりやすい説明を発見した。
 http://youtu.be/dbJw98-aB60

卓球の基本中の基本というと、グリップではないだろうか。
以前にもグリップについて触れた(前記事「指使い」「クナイ持ち」)が、本稿で改めて触れてみたい。
なぜグリップについて触れるかというと、多少打てる初中級者でも「間違った」グリップの人が多いと感じるからである。初中級者は安定しない原因をストロークやフォームに求めがちだが、グリップを改善することによって案外簡単に安定性が増すこともあるのではないだろうか。



中村氏(ペンホルダーのコーチ)の説明によると、どんなクセのあるストロークであってもインパクト時に面の角度さえ正しければ、ボールは入る。言い換えればストロークの美しさよりも面の角度が優先されるということである。たしかに日本のトップ選手でも大矢英俊選手や高木和卓選手のようにクセのあるフォームでも強い選手がいる(個人的にはクセのあるフォームで強い選手のほうがかっこいいとさえ思う)。逆に効率の悪いグリップでラケットを握っていると、面の角度がうまく「出ない」。したがって卓球においてはラケットをオデコの前で止めるとか、腰を使って打つとか以前に「うまく面が出せるかどうか」が問題になってくる。

中級者なら効率の悪いグリップの人はあまりいないと思うが、初級者には効率の悪いグリップで握っているがためにミスが多い人が結構いるのではないだろうか。フォア面での威力や安定性を重視するあまり、シェークで人差し指を立て気味にしてしまう女性に数人出会ったことがある。「この人はどうしてバックが安定しないのだろうか」と思っていたら、そういうグリップだったのだ。

効率の悪いグリップは面の出し方に直接影響してくる。

シェークのグリップは浅いか深いかだけであまりバリエーションがないと思っていたのだが、施氏によると、テニスやバドミントンで言う「ウエスタングリップ」は効率が悪いらしい。卓球で言うと「一本差し」(あるいは、それに近い、人差し指を斜めに立てたグリップ)がそれに近いだろう。

そうではなく、人差し指と親指に力を入れて、下の図の「コンチネンタルグリップ」のように握ると効率がいいらしい。

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一方、ペンホルダー(中ペン)のグリップはかなりバリエーションがある。
大きく分けると親指・人差し指の握りの部分(人差し指を深く入れるか、人差し指と親指を浅く握る「わしづかみ」等)と、残り三本の支えの部分(まっすぐ伸ばすか、軽く斜めに曲げるか、かつての中国選手のようにクルッと丸めるか)という要素をどう組み合わせるかで面の出しやすさが変わってくる。

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ペンホルダーの「一本差し」。こんなグリップもあるのか

そのような組み合わせの中で、中村氏(中ペンのコーチ)が初中級者に勧めるのは親指と中指でブレードを挟む握り方である。ポイントは人差し指を浅くして、力を入れないことである。日ペンのグリップに慣れている人は人差し指をしっかり握ってしまうためにフォアハンドでは面を伏せにくくなり、面が起きてしまう。そうすると、フォアでのオーバーミスが増える。ペンホルダーはフォア面を上に向けて水平にすることはたやすいが、裏面を上にして水平にするのは難しい。つまり、上の図で言うと、「イースタングリップ」がデフォルトであり、人指し指に力を入れてしまうと、さらに裏面を使いにくい「ウエスタングリップ」になってしまうのだ。「ウエスタングリップ」になると、裏面バックハンドでは面をまっすぐ縦にしにくくなり、裏面ブロックが安定せず(裏面が寝てしまう)、裏面バックハンドのコースはストレートに打ちにくくなる(クロス側に向きがち)

上級者は自分のプレーが安定しない場合、自己修正ができる(前記事「安定性と自己省察の関連について」)が、初中級者には自分の卓球が安定しない原因を自分で突き止めることが難しい。そんなときグリップに目を向けてみると、それをきっかけにプレーが大きく改善することもあるかもしれない。


最近、寒さがきびしく、やるせない気分にさせられる。
寒さは人間から意欲を奪っていくような気がする。体が芯まで温まっていると、「時間を有意義に使わなきゃ。ボヤボヤしていられないぞ!」などという気分にもなるが、部屋が寒いと何をする気も起きなくなる。さらに「どうせやってもうまくいかないさ…」などとネガティブな思考に陥ることさえある。
それを思うにつけても、昔の人は偉かった。あんな木と紙と泥でできた、暖房効率の著しく低い家屋で、しかも火鉢程度の暖房で冬を過ごせたなんて信じられない。 そこからずいぶん時代は下るが、「八甲田山死の彷徨」とか、シベリア抑留とか、想像するだに恐ろしい。

だったら、暖房全開で暖かい部屋にすればいいじゃないかという意見もあろうが、私は環境破壊の深刻化を心から憂えている一人なので、エネルギーはできるだけ使わないようにしたいと思っている。部屋では必要最低限の暖房しか使わないことにしている。このような一人ひとりの地道な努力が環境破壊を少しでも食い止めているのだと自分に言い聞かせて辛抱している。

しかし、寒い部屋で活動の低下した状態のまま、生きているのか死んでいるのか分からないような人生を送るのもおもしろくない。そこで防寒対策を考えてみることにした。環境にやさしい防寒対策はどんなものがあるだろうか。
私が試した中では以下の2つは効果が大きかった。

・ネックウォーマー

・素振り

厚着というのは、それほど体が温まらない。しかし、ネックウォーマーは効果があると思う。100円ショップで売っているもので十分だ。そしてそれをつけての素振りである。手打ちにならないように体を大げさ過ぎるぐらいに動かして素振りをするのだ。体を使って打てば、それほど腕が痛くならない。さらにゆっくりでいいので、軽くフットワークを組み合わせると効果倍増である。体が芯まで温まる。
「衣食住足りて礼節を知る」とはよく言ったものである。体が温まると、ネガティブな考え方が薄れ、体に生気が蘇り、「自分を使いきってやる!」という気分になってくる(たぶん)。

この2つの防寒対策で寒い季節を乗りきってやるぞ!

ステップアップ中学体育』(大修館)という中学生の体育の副読本を読んでみた。
いろいろなスポーツのルールや技術、楽しみ方などがふんだんなイラストとともに紹介してある。
その中の卓球の項目を読んでみた。
そこでおもしろい発見があった。「ショート」という打法についてである。

ショートという打法はロングに対する打法で、ペンのバックハンドの基本的な打法である。スイングはなく、相手の勢いのある上回転のボールをブロックする打法である。飛距離が短いので「ショート」と呼ぶのだと思っていたのだが、そうではなく『ステップアップ中学体育』には「ショートバウンドでラケットにあてる」(P211)と定義してある(担当者は榊原弘晃氏)。つまり飛距離による命名ではなく、打点による命名だったのである。
文書名 _『卓球コーチング教本』-2
上の図でいえば、A(あるいはB)の打球点でボールを打つのが「ショート」なのである。そうすると、「ロング」とはC(あるいはB)で打つ打法のことを指すのだろう(ロングバウンドでラケットに当てることになるから)。

多くの卓球本ではショートとは、ペンにおけるブロックを指すものとされているが、厳密に言うと両者は異なり、ブロックは打球点による命名ではなくて、ストロークによる命名なのではないだろうか。つまりブロックとはラケットを壁のようにして動かさず、ストロークがない打法のことを指しているのだと思われる。打点が遅くなると、ブロックは安定しないから、結果としてはショートとブロックはほとんど同じ打法を指すことになるが、ブロックはたとえC打点でもストロークがなければブロックと呼びうるのに対してショートはC打点ではもはやショートとは呼び得ないことになる。

卓球の打法はこのようにいくつかの異なる基準によって命名されていると思われる。

たとえばプッシュである。これは「押す」あるいは「弾く」というストローク、あるいはタッチによる命名だろう。
こういうことを考えていくうちにフリックの位置づけがわかった。フリックは「乗せるフリック」「こするフリック」「弾くフリック」等、さまざまなタッチで実現される。したがってフリックはタッチによる命名ではない。異なるタッチの3打法をまとめて「フリック」と呼んでいるのだから。この3つに共通するのはバックスイングがないというストロークによる命名、あるいはバウンド直後を捉えるという打点による命名だと思われる。私は打点による命名のほうがより本質的だと思う。

フリックは回転をかけようが、ごくわずかなストロークで弾こうが、どちらにしてもボールの上昇期、すなわち上図のA打点でないと安定しない。バウンド直後のボールの回転が一時的に弱まっているところをヒョイっと軽打するのがフリックの本質だと思われるからである。

前記事「フリックとは何か」はフリックという打法をどのように定義するかをめぐって考察したものだが、はしなくもこのような形で私なりの定義ができた。フリックはショートやストップと同様、打点を基準にして整理されるべき打法なのではないだろうか。その理解が最もフリックを安定させるからである。

【付記】
『ステップアップ中学体育』には他にも知らなかったことが書いてあった。
それは審判の得点の示し方についてなのだが、審判が右手を挙げた場合は二つの意味があり、手をパーにして右手を挙げるのは、レットやタイムアウトを意味し、グーにして挙げた場合は得点した方を示すという違いだった。私は審判をする時、得点した方の手をパーで挙げていたので、間違った指示を出していたことになる。

【追記】140107
水谷選手のブログに以前フリックのコツが書いてあった。
http://ameblo.jp/mizutani-jun-blog/entry-11641734258.html
それによると「頂点をとらえること」が一番大事だということなので、バウンド直後で捉えるのではなく、頂点で捉えるべきなのかもしれない。何が正しいかは読者のみなさんの判断に委ねたい。
 

福岡の中心にUNDER SPINという卓球バーができたらしい。

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以前、「卓球BAR」という記事で理想の卓球バーを妄想していたが、ついに日本にもできたのか。それも博多というのがおもしろい。東京にも同じような店があるらしいのだが、あまり取り上げられていないのは、コンセプトが違うのだろうか。Under Spinには 4~6台、台があるらしい。
1台あたり30分500円で利用可能。飲み食いして一人あたりだいたい3000円ほどになるらしい。

Yahoo Japan ニュースから引用する。

中洲の商業施設「gate’s(ゲイツ)」(福岡市博多区中洲3)8階に11月22日、卓球ダイニングバー「UNDER SPIN(アンダースピン)」(TEL 092-282-7255)がオープンした。(博多経済新聞)
 福岡で飲食事業を展開するモンテリブロ(大名1)が出店した同店。店舗面積は90坪。席数は60席。内装は「黒を基調とし、大人が楽しめる空間にした」と今西正店長。店内には4台の卓球台を置き、1台30分500円で利用できる。コアターゲットは20~40代。
 料理は「ニューヨークスタイル」をテーマに用意し、「ニューヨークスタイルハンバーガー」(980円)、「シーフードピザ」(1,980円)、店内で作る「ポップコーン」(480円~)などをそろえる。客単価は約2,500円~3,500円。


3000円+卓球1時間1000円かぁ…。酒代を含めたら一人5~6000円ぐらいになるのだろうか。
全日本出場レベルの人が店員にいて、相手をしてくれるなら、値打ちがあると思うが、ただ友人と酒を飲みながら卓球をするだけなら、食指が動かない。特別な事情があって、高くて小洒落た店を利用しなければならない状況に置かれたなら、ここを選ぶけれど、どうしてもこの店に行きたいというほどではない。岸川選手がゲストで来てくれるなら行ってみたいけれど。

お金持ち向けかな。

私のような貧乏人で、卓球に無関係な仕事に就いている人間はそう思うかもしれないが、世の中にはいろいろな人がいる。卓球関係者にはいい店なのかもしれない。
たとえば博多のいくつかの卓球クラブが講師を招いて卓球講習会などを催した場合などである。講習会は盛況だったのだが、主催者は講師と卓球をする機会がなかった。ちょっとお手合わせをしてみたい、そんなときにこの卓球バーというのはうってつけなのかもしれない。あるいは大学の卓球部の忘年会とか(学生にはちょっと高いか)、地域の卓球クラブの大会後の打ち上げとか、そういう人たちにとってはこういう店は需要があるのかもしれない。

ただ、そういう限られた層に対する需要だけではあまり盛り上がらないと思われる。できれば店員さんにかなり上手な人(元日本リーガーとか、中国の元プロ選手とか)を雇って、その人と試合して勝てたら料金半額とかにすれば、盛り上がると思う。今はしがないサラリーマンだが、かつて全国大会に出たことがあるなんて人はざらにいる。そういう人が腕試しをできるような場を作れば、客足が途絶えないのではないだろうか。私のような下手くそでも、「元日本リーガーと1マッチの試合ができる!」となれば、ちょっと行ってみたくなる。卓球好きで裕福な老人は「元日本リーガーと試合できるなら、1万円ぐらい安いものだ」と思う人もいるかもしれない。


おそらく関東や関西の1部リーグで活躍した選手のうち、卒業後もレベルの高い環境で卓球ができる人はごくわずかだろう。それ以外の人は卓球とは急に疎遠になってしまう。そういう才能を有効活用できないものだろうか。

などと勝手に妄想している。

 

用具のカタログを見ていると、ドライブの弧線の描き方がラバーによって違うということが分かる。
レベルの高い試合ではこの弧線が大きく影響するらしい。

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神巧也選手が以前、テナジーは性能が高いが、相手に取りやすい弧線を描くので、ラクザに戻したと話していたのをどこかで読んだことがある。たしかに強烈な回転がかかっているドライブが急な弧線を描いて取りにくかったという経験は私にもある。

ということは、いわゆるコントロール系ラバーというのを使えば、みんなが慣れていない独特の弧線を描けるのではないだろうか。

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こういうラバーを使うと、回転があまりかからないので、相手がブロックしたら落としてしまうことも期待できる。特にレトラは特厚もあるようなので、特厚を使えば、今までにない弧線で相手のミスを誘えそうだ。
また、表ソフトには、いわゆる半ツブというラバーがある。軽くツブ高の性質を兼ね備えた表ソフトである。コントロール系ラバーを使い古し、アンチラバー的な性質を持った「半裏」というラバーはできないだろうか。

などということをボンヤリと想像してみたのだが、さすがにそれを試してみようとは思わない。
せっかく身につけた今のラバーの感覚を壊したくないし、中級者のレベルの試合では弧線がどうのというのはあまり効果がなさそうだからである。ただ、コントロール系ラバーを省みる人は稀だが、いろいろ試してみたらおもしろい発見があるのではないだろうか。用具マニアたちの探究心に期待したい。
 

速いドライブを打つためにはボールの上部を薄く捉えて、できるだけ前にスイングするのがいいと思っていた。
確かにそれでもうまくタイミングが合えば、速いドライブが打てるのだが、かなり体力を消耗し、しかも戻りが遅くなる。 それに対して、上手な人は手首をひねるようにしてドライブを打つらしい。



原田氏の説明によると、ボールの上ではなく、後ろを捉えてバイバイをするように打つといいらしい。
上の動画を見ると、ほとんど前腕だけの小さい動作で驚くほど速いドライブを打っている。そしてラケットの縁にボールを沿わせるようにこすっている。今まで目を三角にして身体全体を使って渾身の力でドライブを打っていたのがバカらしくなる。あんな小さな動作であんな速いドライブが打てるなんて。

この打法をバックハンドに適用したのが台上バックドライブなのかもしれない。
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フォアハンドドライブに比べると、小さなスイングで速いボールを打てる。写真の樊振東選手のバックドライブの振りの小ささとボールの速さは定評がある。
もしかしたらサービスにも適用できるかもしれない。チョコっとひねって速いスピードサーブが出せたら、相手の意表をつけるのではないだろうか。









 

野球ではスコアブックというものがあるらしい。
打者がどんな場面でどんな打撃をしたか、あるいはどんな場面でどんなミスをしたかをデータ化して記録するというものらしい。たとえば、打者Aは今までの試合でどんなコースにどんな打撃をしたかというのを記録しておき、「A選手はレフト側に大きく打つ傾向がある」のように選手のクセを把握し、試合で活用するというものらしい(たぶん)。

こういうのは卓球でもできないものだろうか。試合で相手選手のクセを知ることも大切だが、試合の勝敗にこだわらない人でも、自分のクセを把握すれば、自分の弱点を知ることもできる(前記事「問題意識―短期間で上達する方法」)。また、このようなデータを分析することによってマンネリな戦術から脱却できる契機になるかもしれない。

以前xia氏のブログで相手選手の分析について言及されていた。
【ペンドラ】試合前の練習から相手のプレーを読み解く
上級者は瞥見しただけでここまで分析できるのかと驚かされた。
これほどの分析は初中級者にはムリである。そこで試合中のラリーの展開を観て、どんな癖があるかを分析するのである。

しかし、多種多様なラリーをどうやってデータ化すればいいのだろうか。
によると、大学生の卓球の試合(かなり高いレベル)では4球目までで80%以上のポイントが決まるということなので、4球目までに限ってデータを取るのが効率的だということである。
どの要素をデータ化するかについてだが、

回転の性質
配球コース
フォア・バックのどちらで打つか
ボールの高さ
ボールのスピード

など、いろいろあるが、上のpdfファイルでは「配球コース」のみを扱っている。
卓球台を18面に分割し、それぞれに番号を振って下のように図示し、それを「7567」のようにデータ化する。

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ただ、これだけだとちょっと物足りないので、個人的には「サービスの回転の種類」という要素を追加して、さらにもう一桁増やしたいところである。
たとえば上のポイントなら、B(下回転)、N(ナックル・順回転・上回転)、S(横回転)なども書き込んで「S75674」とするわけである。1ポイントがこんな簡単な記号列にデータ化されるわけだが、この英数字だけでもたしかにラリーの展開がイメージできる。これを1マッチ分記録して、試合後に分析すれば、自分がどんなボールでミスしたか、相手がどんなレシーブをするかという傾向が見えてくるだろう(前記事「自宅でできる練習―脳内ラリーのすすめ」)。

ほかにもネットを探してみると、画像が小さくて詳細は分からないが「卓球スコアブック」という製品もあるらしい。

これから試合の時にこんな記録をつけて自分の弱点の克服に、あるいは相手への対策に役立てたい。

【追記】140104
前記事「人には言えない秘密」で、自分のプレーを分析するには、結局「自分のどんなボールに対して決定打を打たれているか」に注意すべきだと書いた。 スコアブックにも自分が失点したときの相手の決定打というのをできれば記しておきたい。

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