歩いてる時に突然プチっという感覚があり、腰に力が入らなくなったのだ。 激しい運動をしたわけでもない。ただ歩いていただけだ。
「なんなんだ?今の感覚は」
激しい痛みがあったわけではなく、なんとなく腰に違和感を感じただけだった。しかし、その結果、座れなくなった。いや、座れないことはないのだが、腰を曲げようとすると激痛が走る。真っ直ぐ直立して座れば大丈夫だ。そして横になるときにも、起き上がるときにも腰に激痛が走る。寝返りをうつのも一苦労だ。
整形外科に行ってみたところ、ギックリ腰だろうとのこと。詳しい説明を聞いて驚いた。私が想像していたものと全く違ったからだ。
ギックリ腰というのはマンガなどで老人が重いものを持ち上げようとしてグキっとなって動けなくなってしまうという程度の認識しかなかった。たぶん関節のかみ合わせがずれてしまい、腰を叩いたりしたら、元に戻るものかと思っていた。整形外科で聞いた説明に驚愕した。
「完全に以前と同じ状態には戻りません」
背筋が寒くなった。
「卓球ができなくなるどころか、日常生活にも支障が出るのか?」
ギックリ腰というのは、背骨の関節のギザギザの間にある「肉の座布団」が破れてしまうことらしい。そしてその破れはしばらくすると治るらしいが、元と同じ形には治らないのだという。
「どうやら卓球ができなくなることはないらしい」
少し安堵した。
その後、痛みは引いて、だんだん腰の状態も以前のようになったのだが、たしかに、ほんのわずかな違和感が現在に至るまで残っている。 運動の前のストレッチの大切さを思い知らされた。
それで終わったらよかったのだが、最近また腰を痛めてしまった。
ツッツキを回りこんでドライブしたら、フォアのキツイ場所にブロックされた。それを夢中で追いかけたら、腰に違和感が走った。前と同じ場所だった。
今回はおそらく首の皮一枚で助かったのだと思う。それほど痛みを感じない。しかし、前と同じ箇所が痛むのがおそろしい。どうやら、腰の故障はクセになるようだ。この違和感はこれから一生続くのかもしれない。
フットワークを使って大きく移動するのは中年には負担が大きすぎる。小さく素早く動くのはいいと思うが、大きく急激に動くのは控えたほうがいいだろう。さもなくば卓球どころではなくなくなってしまう。
腰の他にも、プロの選手が膝を故障したということをよく聞く。膝の故障がどんなものか分からないが、「膝の故障が再発」という話も聞くので、こちらも完治はむずかしいのだろう。こちらにも気をつけたい。
身体の故障に悩まされている人には言わずもがなだが、私のように長年故障とは縁のなかった人たち、とりわけ若い人たちに伝えたい。
「身体をあんまり粗末に扱うと、中高年になってから卓球ができなくなるよ」