部屋がモノであふれている。
昔買った本やCD等が捨てられずに溜まっていく一方だ。

昔、グラディウス(初代)という85年に発売されたコナミのゲームが好きで、基盤(ゲームセンター向けの機械)まで買ってしまうほど好きだった。ファミコンやパソコンに移植されたが、どれもオリジナルとは似ても似つかない出来だった。

「きっと、数年後にはグラディウスはゲームセンターから消え、プレーできなくなる。まだ3周目以降の復活パターンがちゃんとできていないのに。家庭用ゲーム機の移植版では満足できない。買うなら今しかない!」

と思って買ってしまったのだ。当時6~7万円ぐらいしたと思う。そしてこの基盤は特殊な基盤で、電圧のちょっとした変化ですぐ壊れる(バブルシステムという名前。カセット式で、ロムを替えると、ツインビー(初代)とかも楽しめた)。コナミに修理に出したりして、また2~3万かかった。
それが数年後にソニーのプレイステーションでほぼ完全な移植版が出て、数千円で購入できたのだ。しかも故障しない。

こんなことがいくらでもある。好きな本やCDが市場から消えていきそうになると、「買うなら今しかない!」と焦って購入し、おまけに「保存用にもう一冊」と計2冊買ってしまったりした。しかし、数年後にはブックオフができて、私が高い金を出して買った本やCDが100円とか500円とかで叩き売られている。これからは電子ブックが普及するだろうから、絶版とか品切れというのはなくなるかもしれない。

なんと愚かな私。そんなふうに焦って買わなくても、不思議なことにお気に入りのモノというのは、いつか再びめぐりあえるものなのに。

最近、その法則を実感した。
20数年前に買ったヤサカの名前のよく分からないラケットがヤフオクに出品されていたのだ。
120316_1036~01























珍しい6枚合板でコニックグリップ。当時の定価は3800円で、入門者用ラケット的な位置づけだった。
当時としても、値段が手ごろだったので、なんとなく購入したのだが、けっこう気に入っていた。久しぶりに握ってみると、ブレードがデカイ。そして重い。でも威力のある良いボールが打てた気がする。今はラバーを剥がすときに失敗して、上板が剥がれ、さらに合板を張り付けていた接着剤もダメになり、3~4枚目の板が剥離してしまい、使い物にならなくなってしまった。

それがなんと!ヤフオクに新品(!)で出品されていたのだ。まさかこんなシロモノに今になって出会えるなんて。本当にいい時代になったものだ。

panther



















そういえば、「パンサー」って名前だったっけな。レンズとかもないので、ラケットの名前をすっかり忘れていた…欲しいなぁ、これ。でもこれを買ったら、また後悔してしまいそうな気がする。値段を見ると、案の定、うなぎのぼりだった。このラケットが気に入っていた人は多かったんだろうな。
つい最近、用具は替えないと誓った舌の根も乾かないうちに、またこんなものを買ってしまったら、いつになっても上達しないぞ!と後ろ髪を引かれながらも、「パンサー」を諦めた。
また、いつかきっと、どこかでめぐり逢えるさ。
-----------
それにしてもヤフオクをチェックしている人というのはレベルが高い。
ワカバなどのラバー貼りラケットが1500円とかで出品されていることがよくある。出品者も
「世の中にはいろいろな人がいるから、この値段でも買ってくれるかも」
と期待して出品しているんだと思う。
こういう出品をみると、
「こんなのを初心者がまちがって買っちゃったりするんだろうな。新品より高いかもしれないのに」
とか思うのだが、誰ひとり入札しない。100円でも、誰も入札しない。
この手のお得感のない出品に対して誰も入札しないというのは、考えてみたらけっこうすごいことではあるまいか。ヤフオクをチェックしている人が揃いも揃って用具の鑑識眼を持った人ばかりなのだ。
他にも「激安」とうたっている10ダースのトレーニングボールが3000円ぐらいで出品されていることがよくある。ネットショップなら、新品で買っても、同じぐらいの値段で購入できるので、オークションでこの値段では、割高である。やっぱり誰ひとり入札しない。
「激レア」とか書いてあっても、そういう煽り文句に全く流されない。誰も入札しない。
有名選手のサイン色紙が2000円ぐらいで出品されていたりするが、やっぱり誰も入札しない。

逆に卓球非経験者が出品した商品と思しきラケットに小さな写真だけが添えてあったりする。メーカー名はおろか、ラケット名、貼ってあるラバー名も一切記載がない。それが500円とかで出品されている。写真が小さいので、判別は難しいが、一見すると、ラバー貼りラケットかなと思う。しかし、写真をよ~くみると、どうやらラバーはバタフライのテナジーのロゴのように見える。
「シメシメ。こんな細かいところまでチェックしている人はいないだろう。500円で両面テナジーが手に入るならお得だな」
と思っていたら、やっぱりみんなチェックしているらしく、すぐに2000円ぐらいまで値段が跳ね上がっていた。

ヤフオクの卓球用具ウォッチャーって、チェックしすぎでしょ?
ヤフオクの卓球用具は破格で買える気がしない。価値の無いものは全く入札がないし、価値のあるものは相応の値段か、かなり高額な値段がつく。ヤフオクウォッチャーのチェックが厳しすぎるので、「こんないいものが、こんなに安いなんて!」という買い物はほぼ不可能。食指を動かす商品はいつもそれなりの値段がつく。うまい話というのはそうそうないものだ。
逆に出品者にしてみたら「けっこういいものなのに、こんな安く落札されてしまった」ということにはなりにくく、出品しやすいのだが。