しろのたつみ



卓球について考えたこと、
気づいたこと(レベル低いです)
を中心に中級者の視点から綴っていきます。




当ブログでは皆様からの寄稿を募集しております。卓球について意味のある主張を発表したい方はshirono.tatsumi◯gmail.comまで原稿をお寄せください。

コメントについて:
コメント欄は他の読者が読んで意味のある情報交換の場としてご利用ください。当ブログの方針(察してください)に沿ったご意見は公開します。返信しにくい場合は公開のみとさせていただきます。指導者ではないので、技術的な質問には答えられません。中傷等は論外です。なお、メールアドレスは公開されません。

人生卓球――世界卓球2019を振り返って

世界卓球2019ブダペスト大会がが終わった。今年は個人戦だったが、振り返ってみると、微妙な結果だったと言わざるを得ない。
団体戦の方は毎回熱戦が繰り広げられ、日本はコンスタントに結果を出しており、楽しめるのだが、個人戦は毎回物足りなさを覚える。

男子シングルスの水谷選手や張本選手は、時には中国選手を破るポテンシャルを持っているし、丹羽選手にしても確実に強くなっている。森園選手のガッツや、吉村和弘選手の大物食いにも期待させられたが、結局メダルには届かなかった。丹羽選手とリャン・ジンクン選手とのメダル決定戦はすばらしい試合で、楽しめたが、結果はついてこなかった。

女子シングルスの伊藤選手は中国のトップ層に匹敵する実力があり、メダルに届くかと思っていたが、ダメだった。石川選手や加藤選手も、「もしかしたら」と思わせるものを持っていたのだが、やはりダメだった。加藤選手とリウ・シウェン選手の試合はすばらしい試合で、楽しめたが、結果はついてこなかった。

このもどかしさは一体なんなんだろう?

東京オリンピックに向けて選手には課題がたくさん。今、中国選手に勝てなかったのは、よかったのかも?マスコミが騒ぎすぎです。選手を過大評価しすぎです。マスコミが騒ぐほど日本選手は強くないのです。(「世界卓球、伊藤・早田銀メダル」)


「マスコミが騒ぐほど日本選手は強くない」。なるほどそういうことか。

たしかに水谷選手や張本選手が中国のトップ選手に勝ったり、伊藤選手はスウェーデン・オープンで中国のトップ3人を連破したりとすばらしい活躍をしたが、それも5回戦ってやっと1回勝てるぐらいなのかもしれない。

Tリーグが盛り上がり、マスコミなどにも頻繁に取り上げられるようになって、今まで全く歯が立たなかった中国トップ選手にもときどき勝てるようになり、なんとなく「とうとう日本は中国に追いつきつつある」と錯覚してしまったようだ。中国の前に韓国やドイツ、香港などと比べても優位に立っているとは言い難いと思わされたのが今回の世界卓球の結果だった。

劉詩文優勝

10年間にわたり、世界トップの実力を維持してきた劉詩文選手が28歳の今大会で初めて金メダルに届いた。私は劉選手のファンなので、すなおに喜びたい。2015年蘇州大会では、決勝で丁寧選手が負傷。ついに世界チャンピオンになれるかと思ったが、まさかの準優勝。長らく無冠の帝王として有名だったが、今大会の優勝で劉選手は名実ともにチャンピオンとなった。
同様に馬龍選手も約10年間金メダルの候補になっていながら、2015年の世界卓球まで優勝できなかった。毎回いいところまで行くのだが、どうしても王皓選手に勝てなかった。
世界卓球のシングルスで結果を残すというのは、それほど大変なことなのである。一度や二度中国のトップを破った日本選手がメダルに届かなかったからといって驚くには当たらない。これを3回に1回は勝てるぐらいのところまで持ってこなければ世界卓球のシングルスでメダルを獲ることはできないのではないか。
ここで思い出すのは、77年の世界チャンピオン河野満氏である。『卓球王国』2019年5月号「伝説のプレーヤーたち」によると、67年のストックホルム大会に20歳で出場してから10年間、おしいところまでは行くが、どうしてもチャンピオンになれなかった。そして77年のバーミンガム大会でついに世界チャンピオンの栄冠を手にする。

「河野がもし、初出場の67年世界選手権決勝で長谷川を破って優勝していたら。あるいは日本選手権でタイトルを獲っていたら、現役生活はもっと短いものになっていたかもしれない。」(「伝説のプレーヤーたち」)

劉詩文、馬龍、そして河野満(他にも馬琳とか)。若くして将来の世界チャンピオンを嘱望されながら10年間、金メダルを逃し続けてきた。そして30歳近くまで辛抱強く戦い抜いた結果、ついに世界チャンピオンになることができたのだ。郭躍選手のように若くして世界チャンピオンになった選手に比べれば、彼らは卓球の楽しさも苦しさも存分に味わい尽くしてきたのではないかと思う。彼らの人生は卓球そのものだと言っても過言ではないだろう。こんな幸せな卓球人生があるだろうか。

日本選手が10代で、あるいは20代前半で世界チャンピオンになってしまうとしたら、彼らは卓球を十分味わい尽くすことができないかもしれない。なかなか結果を出せず、苦しみながら、世界のトップレベルで戦い続け、30歳近くまで門をたたき続ける不屈の選手に対して世界チャンピオンの扉は開かれる。これこそロマンである。そんな劇的な卓球人生を送れる選手は幸いである。


卓球における質の高さ

最近、硬いラバーを使うことによってドライブの質が高まったように思う(前記事「心機一転」)。回転もスピードも以前に比べれば増したはずである。が、(私なりに)「質の高い」ドライブが打てるようになると、今度はそれが返ってきたときに対応できないという問題が起こる。

私はドライブ連打が苦手である。1球は強打できるのだが、その強打がなまじスピードがあるだけに返球されると次は合わせるようなゆるいショットしか打てなくなってしまう。となると速い返球に対応できるだけの速いフットワークの習得が課題となってくる。

--------------
卓球ではよく「質の高いボール」ということが言われるが、まず思い浮かぶのはスピードが速く、台に突き刺さるような低いドライブだろう。しかし、それ以外にもサイドを切るような、コースの厳しいボールも質の高いボールである。これらは相手の想定を超えたスピードや、コースの厳しさで、決定率が高いボールと言える。

そんな決定打のようなボールだけではなくて、台から出るか出ないかの絶妙の長さのツッツキや、どうしても強打できない短くて低いサービスも質の高いボールだと思う。ナックル気味の深いブロックもそうだし、逆モーションで相手の逆を突くような「流し」もそう言えるだろう。

と、「質の高いボール」の範囲をここまで広げると、もはや回転量やスピードの問題というより、相手の予測を外すようなボールが「質の高いボール」となってくる。

となると、いわゆる「高性能」な用具ではなく、コントロール性能の高い用具でも「質の高いボール」が打てることになる。それほど弾まず、引っ掛かりも弱い、初級者向けのラバーやラケットのほうが長さのコントロールがしやすいだろうから、ボールのスピードは速くないものの、相手の打ちにくいところにツッツキやフリックを送ることができる。

ここまでショットの質の高さについて考えてきたが、試合で勝つためにはショットの質の高さだけではなく、フットワークの質の高さということも重要だろう。冒頭の私の経験のように相手から速いボールを返球されても、こちらが打球と同時に1歩下がり、素早くニュートラルな向きや姿勢でそのボールを迎えることができれば、連続攻撃が可能になる。低いレベルの試合なら、もしかしたらショットの質の高さよりもフットワークの質の高さを優先すべきなのではないだろうか。


 Mと違って、ドライブ性能は落ちているものの、引き換えに安定感が大幅に上がっていて、筆者のような実力層からするとSの方が手を出しやすく感じました。ちなみに筆者は、当たれば入るからフォアの練習に時間が割けてフットワークも上達するという嬉しい副作用が生まれました。(くろかみ氏によるマントラSのレビュー


上のレビュー記事で、くろかみ氏はショットの方はそこそこの質でいいから、フットワーク、その他の質を高めようとしているように読める(おそらくバック面で使ったときの印象だろう)。当てればとりあえずは入ってくれるので、ショットのほうに意識を集中しなくても済むため、その他の技術に意識を割くことができるというわけである。私の周りでも、一発強打はすごいが、レシーブや台上、フットワークの方はおそまつという人はあまり試合で勝てないというイメージがある。入ればすごいボールが出るが、許容性が低く、うまくタイミングを合わせなければミスが出る用具よりも、そこそこの性能だが、適当に打っても入る用具を使ってもっとフットワークを磨くべきなのではないだろうか。

なんだか前にも同じような記事を書いた気がする(「必要にして十分」)。思考力も記憶力も衰えているので、同じような主張を何度も繰り返すが、ご容赦いただきたい。

また、フットワークではなく、戦術の質を高めるという方向性もあるだろう。

故・荻村伊智朗氏の「卓球は100m競争をしながらチェスをするようなスポーツ」という言葉を借りるなら、馬龍より100m競争が早い選手は他にもいる。しかし、馬龍よりチェスがうまい選手は、恐らく今、世界の卓球界にはいないだろう。(卓球王国「世界卓球ブダペスト大会速報」より)

ボールの質もフットワークもそこそこでいいから、戦術的な質を高めようという方向性である。これも質の高い卓球と言えるだろう。しかし、戦術的な質を高めるにはある程度のボールの質も、ある程度のフットワークも要求される。うまく相手の弱いところにボールを集めても、そのときのショットがあまりにも貧弱だと、逆に相手に攻め込まれてしまうからである。

ということは、どういうことだ?え~と、ショットの質ばかりを高めようというのは間違っている。それよりもフットワークの質を高めよう。それに戦術の質も高めよう。でもショットの質も大切?

今日は疲れているので頭が働かない。この辺で擱筆するとしよう。

張本敗退

世界卓球2019で張本選手は不本意なベスト16敗退という結果になった。
しかし、彼はまだ15歳。この経験が彼をより強くしてくれることだろう。もし彼が今大会で運よく世界チャンピオンになってしまったら、それで満足してしまい、これ以上強くなれないのではないか。




最新記事
記事検索
プロフィール

シロノ タツミ

カテゴリ別アーカイブ